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連載Cocotame Series

Zeppホール、Zepp@BIGBOX Singaporeを皮切りにアジア8ヶ所の開業計画を発表

2017.06.16

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Zeppホールネットワークでは、ライブホール「Zepp」のアジア展開に向けて、クールジャパン機構とソニー・ミュージックエンタテインメントから出資を受け、本年6月にオープンしたシンガポール・Zepp@BIGBOX Singaporeを皮切りに、台湾、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、マニラ、香港、ソウルのアジア8ヶ所での開業計画を発表しました。

また、国内では本年2月に、大阪に新たにZepp Osaka Baysideを開業し、その後も横浜、福岡での開業を予定しています。

これにより、国内主要都市を廻る“Zeppツアー”は、より一層充実する上に、今後は、同じツアーの中で、アジア主要都市まで廻ることが可能になります。

国内外で本格的な拡大を始めたZeppホールについて、プロジェクトの概要や今後の展望、さらにはライブエンタテインメントビジネスの課題や可能性まで、Zeppホールネットワーク代表取締役 執行役員社長の妹尾智さんに話を聞きました。

Zeppホールネットワーク代表取締役 執行役員社長 妹尾智

ソニー・ミュージックエンタテインメント 取締役 コーポレートEVP(ライブビジネスグループ、ネット&メディアビジネスグループ 統括)
Zeppホールネットワーク 代表取締役
執行役員社長
妹尾智さん

より長いタームで産業をどう維持し、成長させるかという視点も重視

――現在、国内4都市6ヶ所で展開中のZeppホールに加えて、来年以降も福岡の再スタートや、コーエーテクモゲームスから運営を受託した横浜みなとみらい21での新規開業などが控えています。このタイミングでの本格的なアジア展開のアナウンスと、その第1弾としてのシンガポールでの「Zepp@BIGBOX Singapore」開業にはどのような意図があるのでしょうか。

妹尾:クールジャパン機構とソニー・ミュージックエンタテインメントからの出資は、実はZeppホールネットワークそのものに対して行われたので、国内を含む、アジア主要都市とのライブ会場ネットワークを構築することへの出資と捉えていただいて構いません。これは、統一された規格のライブホールのネットワークを整備することによって、アーティストがより容易にツアーを組むことができること、ひいては観客としての人々の往来の増加を目指す取り組みです。タイミングについては、特に劇的な意味はなく、数年来の交渉がようやく形になり始めたということです。

――シンガポールに続いて、2020年には台湾とクアラルンプールが予定されています。また、バンコク、ジャカルタ、マニラ、香港、ソウルと主要都市での開業を計画しているとのことですが、どのようなタイムラインで考えていますか?

妹尾:ある程度のスピード感は大切なのですが、1つ言えるのは、これらはすべて長期のスパンで考えているプロジェクトだということです。少なくとも10年間はじっくり育てていこうと考えています。

もともとZeppホールは、国内でも最初の話し合いからオープンまで5年くらいはかかっています。これはレコード業界の感覚とはやや時間軸の捉え方が異なるかもしれません。しかも海外では、その国の文化の中でライブを楽しむ習慣がどのように位置づけられているか、ホールの持つ機能への理解も日本とは異なる点が多い。シンガポールの場合は、既存施設に手を入れることで1年ちょっとで開業を実現できましたが、これは異例の速さです。

Zeppホール 展開図

Zeppは主要都市にネットワークしていることが重要

――実際、国内も、98年開業のZepp Sapporoから、7年後の05年にZepp Nagoyaが開業しました。

妹尾:時間はかかりましたが、Zepp Nagoyaがオープンすると全体の稼働率が劇的に良くなったのです。つまり、Zeppは主要都市にネットワークしていることが重要です。それによって初めてZeppツアーを組むことができるわけです。これは今回のアジア展開でも同様だと考えています。シンガポールでの稼働率がしばらく厳しい状態が続いたとしても、計画中のクアラルンプールや台湾などを開業していくことで状況は改善されていくと思います。

我々のようなべニュービジネスは、このように常に5年先、10年先を見据えて、ビジネスを展開していかなければなりません。“そんなに先なの?”と言われることも多いですが、5年後なんてすぐ来ますよ(笑)。とにかく粘り強く交渉していくことが大事だと思っています。

――交渉時に、いちばん時間がかかるのはどのような点なのでしょうか。

妹尾:賃料の交渉です。実はZeppのようなライブホールビジネスは、よほどのニーズと環境整備された場に作るのでもない限り、固定費に大きく左右されます。1 日のレンタル料はほぼ決まっているので、年間の最大稼働がマックス300日だったとしても、誰でも計算できるほど、売上の上限が明確なわけです。

そこから家賃や人件費、設備費用を償却していくとすれば、家賃は可能な限り低く設定してもらいたいです。集客装置として有能だということを理解していただいた上で、さらに音楽ファンやライブ事業の将来性を実感してくれるオーナーさんでなければ、なかなか妥協点まで持っていくのに苦労します。最長2 年くらいは交渉に費やしています。先方が粘ってくる場合は、むしろ脈アリなので、焦らずに腰をすえ交渉を続けます。アジアでの、特に華僑の方々との交渉では、ここで時間と手間を惜しまないことが重要です。もちろん、行政の方も含めて、良いデベロッパーや事業者、パートナーと会えるかどうかでも明暗は分かれます。

アーティストやマネジメント側に、ベネフィットを提供することも検討

――例えばシンガポールでは、人口が約560万人で、ライブホールに足を運ぶ若年層も絶対数が少ないのではないかと思います。現地のライブシーンというのはどういった状況なのですか。

妹尾:キャパシティ100人ほどのライブレストランやクラブが集中する地区はありますし、1万人規模のホールもありますが、その間を埋める適切なホールがありません。アーティストの成長過程に合わせた売上とコスト面とが身の丈に合う場所を見つけにくい状況であることは確かでしょうね。

ただ、例えば1 万人のホールにレディー・ガガ級のアーティストが来たら2万円でも3万円でも払うお客様は殺到しますし、10万円のVIP席でもすぐに売り切れます。そういう意味で、公演に対するニーズは高いと捉えています。当面は、日本のアーティストだけでなく、中華圏や欧米、韓国などのアーティストによる公演をスケジューリングしていくことになると思います。

――現地プロモーターや中華圏や欧米などのマネジメント側とも協力していく必要があるということですね。

妹尾:やるべきことはたくさんあります。現地語での情報発信力もその1つ。現地メディアとのコミュニケーションを含めて、主催者だけではなかなかカバーしきれない領域でのインフラ整備も進めていかなければと考えています。将来的には、主催者やチケット会社の方々と連携することで、日本国内のZepp で開催するライブチケットを現地で購入できるといった施策等で、人の往来も増やしていきたいですね。

また、アーティストやマネジメント側に、何らかのベネフィットを提供する用意もしています。例えば国内Zeppツアー+海外のZepp公演ならお得なセット料金にするなどのオプションです。クールジャパン機構と人脈を含めたリソースを相互に活用し合うことも、積極的に行っていく必要があると考えています。

――Zepp Osaka Baysideでは、ミート&グリートに使えるスペースが確保されています。これは、少しずつ増えつつある、VIP席チケットの需要がさらに高まるという予想からの設定なのでしょうか。

妹尾:特典などを付けることでアップグレードし、チケットを高額に設定するという発想は、欧米でもアジアでもごく当たり前のこととして受け入れられています。ライブビジネスを市場で捉えると、VIPチケットという概念の導入で、まだまだ伸び代があるのではないかということでもありますね。

いずれにしても、短期的な利益だけでなく、より長いタームで産業をどう維持し、成長させるかという視点も大事になってくると思います。最後に、マクロの話をするなら、日本の少子高齢化による市場縮小問題にどう対処するかという視点があると思っています。そのためには海外のお客さまが日本にたくさん来て日本人アーティストのライブを観ていただくか、アーティスト自らが、海外でパフォーマンスをして市場を拡げていくことが重要になってくるのではないでしょうか。

妹尾智さん
ソニー・ミュージックエンタテインメント 取締役 コーポレートEVP(ライブビジネスグループ、ネット&メディアビジネスグループ 統括)
Zeppホールネットワーク 代表取締役 執行役員社長

「Zepp」アジア展開 各地域ホール概要

<シンガポール>
Zepp@BIGBOX Singapore(新しいタブで開く)

■ホール概要
Zeppホールネットワークとシンガポールの現地法人Big Box Investment Pte.Ltd. が合弁会社「Zepp@Big Box Pte.Ltd.」を設立、ジュロン・イースト地区にある複合商業施設「BIG BOX」3階展示場のMEGA BOX Event Hall Aを新装し、ライブホール「Zepp@BIGBOX Singapore」を共同運営する予定。「BIG BOX」は、イベントホールに加えてハイパーマーケット、家電量販店、家具店、飲食店、アパレル小売店、キッズ・プレイパークなど幅広いリテール・ビジネスを展開しており、ジュロン・イースト駅に直結する利便性の高い好立地にある。

■詳細
所在地:1 Venture Avenue, BIG BOX Singapore 3階
ホール面積:3500㎡
収容人員:最大2333名(スタンディング時) 隣接するMEGA BOX Event Hall Bと併用することで最大4032名を収容可能
グランドオープン:2017年6月4日

<マレーシア>
Zepp Kuala Lumpur

■立地概要
クアラルンプール市内中心部に位置する市内最大級の繁華街ブキッ・ビンタン シティセンター近辺の再開発地区に、オフィス、居住棟、ホテル、ショッピングモール、飲食店、小売店舗などを含む複合施設の建設を計画中だが、そのエンタテインメント施設エリア内に「Zepp」を設置予定。電車・モノレールのハン・トゥア駅にも隣接する好立地にある。
■詳細
所在地:No.2,Jalan Hang Tuah,55100 Kuala Lumpur, Malaysia
ホール面積:約6800㎡
収容人員:約2500名(スタンディング時)
開業予定:2020年年末(予定)

<台湾>
Zepp New Taipei

■立地概要
台北市のベッドタウンとして近年人口が増加し、大規模高級マンションの他、政府の合同庁舎や国家映画センターの建設が進む新北市新荘副都心エリアにおいて、建設計画中の若者向けショッピングセンター(名称未定)内の8~11F(4フロア吹抜)に「Zepp」を設置予定。台北駅から桃園空港MRTで3駅12分(9km)の新荘副都心駅から徒歩5分の好立地にある。
■詳細
所在地: Futuhsin, Hsinchuang District, New Taipei City
ホール面積:約4900㎡(延床面積)
収容人員:約2200名(スタンディング時)
開業予定:2020年4月(予定)

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