創刊10周年イヤーに突入した『リスアニ!』の編集長がアニメ音楽への想いを改めて語る

2019.6.28

Interview

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2010年4月の創刊以来、アニメ音楽専門誌としてファンに愛されてきた『リスアニ!』(エムオン・エンタテインメント刊)。雑誌のみならず、国内では日本武道館を聖地として海外にも進出を果たす「リスアニ!LIVE」を筆頭に、各種音楽イベントを精力的に開催して、ブランド力を高めてきた。

そんな『リスアニ!』はなぜ、読者だけでなく、アニメ音楽アーティスト&クリエイターからも絶大な信頼を寄せられているのか。これまでの歩みや媒体として貫いているポリシー、そして先日発表された創刊10周年プロジェクトに賭ける想いを、編集長・馬嶋亮に聞いた。

 

株式会社エムオン・エンタテインメント 『リスアニ!』編集長 馬嶋亮

2013年に前職のレコード店バイヤーから『リスアニ!』編集部にディレクターとして転職。2015年に4代目編集長に就任。現在は、編集長職とともに『リスアニ!』事業部のプロデューサーとしてイベントや放送のほか、「リスアニ!プロジェクト」の全体を取り仕切る。

『リスアニ!』のコンセプトは真正面からアニメ音楽を評論するメディア

──2010年4月に創刊されたアニメ音楽専門誌『リスアニ!』が、今年で10周年イヤーに突入しました。あらためて媒体のコンセプトを教えてください。

馬嶋:『リスアニ!』は、アニメ音楽を専門に扱う媒体ですが、ほかのアニメ関連雑誌と異なるのは、単なるアーティスト紹介、楽曲紹介で終わらせずにアニメ音楽を“真正面から評価・評論する”。それが、創刊時から変わらないコンセプトです。

──『リスアニ!』創刊以前は、アニメ音楽を“評論する”メディアはなかった?

馬嶋:アーティストにフォーカスしたアニソン雑誌は存在しましたが、作り手やクリエイターにもここまでスポットを当て、アニメ音楽そのものの魅力を掘り下げていった雑誌は、おそらく『リスアニ!』が初めてだと思います。

──『リスアニ!』が創刊された背景には、当時のアニメ音楽シーンの盛り上がりも大きな理由としてあったと思いますが?

馬嶋:もちろんそうですね。私は創刊当時、まだレコードショップでバイヤーやマーチャンダイジングなどの仕事をしていたんですが、2000年代中盤位から『リスアニ!』が創刊する2010年にかけて、『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『マクロスF』『けいおん!』など、音楽とアニメが強力に結びついて大ヒットとなり、複数のアニメ音楽曲がチャートを席巻するようになった頃で、アニメとその音楽のシーンが非常に活性化していました。

──馬嶋さんも、その勢いをショップの現場で感じていたと。

馬嶋:はい。アニメ作品と音楽が融合して、一般的な音楽アーティストの売れ方とは全く違う方向から大ヒットが生まれることが分かり、ショップ側も「これからはアニメ、アニソンも重点的に展開しよう」という方針を打ち出し始めました。洋楽やJ-POPをメインに扱っていたショップでも、初のアニメ・アニソン専門コーナーを設けたりと、明らかにアニメ音楽への認識が変わってきていました。

──実際に2010年に『リスアニ!』が創刊されたとき、外部から見て馬嶋さんは、どう感じましたか?

馬嶋:創刊号は、表紙と巻頭特集が『けいおん!』だったんですが、じつに新しい音楽メディアだと感じました。それまでのアニメ雑誌はアニメのビジュアルがメインで記事が構成されていましたが、『リスアニ!』は評論系の原稿がメインの雑誌だったのも画期的。書き手も音楽雑誌やカルチャーメディアで活躍されている方を多く起用し、作品としてのアニメと、それを音楽で表現するアニメ音楽との関連性、重要性を、クリエイターのインタビューや楽曲解説を通じて考察していました。「アニメ音楽が、なぜこんなにも人を惹き付けるのか?」という魅力を、丁寧に表現していることに大きな可能性を感じましたね。

■リスアニ!の歴史2010年

■リスアニ!の歴史2011年

■リスアニ!の歴史2012年

──それから、『リスアニ!』と類似するアニメ音楽雑誌がいくつか刊行されましたが、現在、定期刊行されているものは『リスアニ!』だけですね。ここまで続けることができた要因は、何だと思いますか?

馬嶋:それはやはり、雑誌の創刊年と同じ2010年からアニメ音楽フェス「リスアニ! LIVE」シリーズを開催し、TV番組も制作するなど、マルチメディア展開を積極的に行なったからだと思います。良質なアニメ音楽をさまざまなチャンネルを使って紹介するメディアとして、早いうちに“リスアニ!ブランド”を確立できたのが強みだと感じています。

──しかも『リスアニ!』は、そのマルチメディア展開を駆使して、クリエイターやアーティストを丁寧に追い続けますよね。それと、新人のアニメ音楽アーティストのサポートにも力を注ぐことで定評があります。

馬嶋:新人アーティストのサポートもメディアとしての成長を促した要因だと思います。今やジャンルの枠を超えたアーティストへと成長したLiSAさんは、ソロデビュー前の創刊号からほぼ毎号登場してくれています。藍井エイルさん、Kalafina、春奈るなさん、ClariS、綾野ましろさん、CHiCO with HoneyWorks、PENGUIN RESEARCH、ASCAさんなどは、デビュー当初から『リスアニ!』で積極的に紹介してきたアーティスト。いま挙げさせていただいたアーティストは、ソニーミュージックグループの所属ですが、グループ全体でアニメを盛り上げていこうという気運と相まって、グループ内でのクロスメディア展開も大きな力となっています。

──一方で、ソニーミュージックグループに限らず、他社の音楽レーベルとの信頼関係も“リスアニ!ブランド”の構築には大切な要素だったかと思います。

馬嶋:もちろんです。『リスアニ!』はメディアとしてフラットな立ち位置なので、良質なアニメ音楽はレーベルにこだわることなく深掘りして紹介してきました。fripSideもそうですし、川田まみさんがワンマンライブではなく「リスアニ!LIVE 2016」を引退発表の場に選んでくれたのも、彼女の活動だけじゃなく、彼女が所属していた音楽制作集団「I've」の活動なども、我々がずっと追い続けたことを評価してくれたのではないかと。アニメ音楽ファンに寄り添い、クリエイターたちの想いをしっかりと届けるという信念を持ち続けたからこそ、作り手の方たちとの信頼関係が生まれ、そうした光景を皆さんと一緒に見ることができたんだと思います。

■リスアニ!の歴史2013年

■リスアニ!の歴史2014年

■リスアニ!の歴史2015年

一大フェスへと成長した「リスアニ!LIVE」のこだわり

──先ほどからお話しに挙がっている通り、『リスアニ!』の10年を振り返るとき特筆すべきは、雑誌創刊と同じ2010年の12月より継続し続けているフェス「リスアニ!LIVE」の存在だと思います。こちらについても改めてコンセプトを教えてください?

馬嶋:「リスアニ!LIVE」で最も重要なこととは、出演アーティストのライブの魅力をしっかり伝えることです。そのために以下のことをポリシーにしています。

<「リスアニ!LIVE」のポリシー>
■楽曲は全曲生バンドで演奏する
■1組の持ち時間をなるべく長くして複数曲演奏してもらう
■アニメタイアップ以外からの選曲もOK
■アーティストのパフォーマンスに専念してもらうため、アニメの映像は流さない

各アーティストのワンマンライブの魅力をそのまま再現してもらい、「リスアニ!LIVE」で観て気に入ったアーティストのワンマンにも、足を運んでもらうきっかけになったらいいと考えています。

──2回目以降、ずっと日本武道館を会場に選んできたのも、「リスアニ!LIVE」のこだわりでしょうか?

馬嶋:はい、その通りです。日本武道館はジャンルを問わず、アーティストなら誰もが憧れるライブの聖地。このライブで初めて武道館に立ったと喜んでくださるアーティストも多いです。さらに新人の方には、「自分は武道館に立ったのだ」という自信を持ってほしいし、「いつかここでワンマンを!」という夢を持っていただきたい。そういう願いもありますね。

──アニメ音楽のフェスと言えば、先行して人気を博してきた「Animelo Summer Live」や「ANIMAX MUSIX」が有名です。そちらとの差別化も考えられましたか?

馬嶋:そのふたつに代表される、いわゆる毎年恒例のアニソンフェスというのは、アニメ音楽を「トレンド」という横軸で切り取り、その年の旬なアーティスト、楽曲を網羅することでアニメ、アニソンシーンの現在点を提示されているのではないかと感じます。対して「リスアニ!LIVE」の考え方はレーベルフェスにも近く、横軸に加え「歴史・意味合い」という縦軸を多く取り入れています。まっさらな新人、偉大なるシンガー、そしてトレンドにも同時にスポットを当てることで、アニメ音楽シーンの歴史も感じてもらえるブッキングを心掛けています。それと「リスアニ!LIVE」は例年、女性アーティストの出演が多かったのですが、昨年はあえて、女性に大人気の宮野真守さんやアイドルマスター SideMにも出演していただきました。

──そのブッキングの狙いは?

馬嶋:宮野さんのライブは女性ファンが大半ですけど、彼のパフォーマンスは歌もダンスも素晴らしく、一流のエンタテインメントとして男女問わず惹き付ける力がある。アイドルマスター SideMも女性向けコンテンツの派生ユニットですが、「生バンド」というスタイルでのアクトを男性の方にもぜひ観ていただきたかった。そういう魅力を、ひとりでも多くの男性アニメ音楽ファンにも知ってほしいと思いました。今後のブッキングも、『リスアニ!』が自信を持っておすすめする実力とポテンシャルを秘めた人選を心掛けていきたいです。

──これまでの「リスアニ!LIVE」でとくに印象的だった出来事を挙げてもらえますか。

馬嶋:強く印象に残っているのは、やはり川田まみさんが引退を発表された「リスアニ!LIVE 2016」。それとClariSが1stワンマンライブ前に、初めて人前に登場した2015年の「リスアニ!LIVE-5」。あとは3日間開催になった初年度、「リスアニ!LIVE 2017」で「リスアニ!LIVE」史上初のコラボ曲披露となった、LiSAとKalafinaによる「CROSS STAGE」も印象深いですね。

──「リスアニ!LIVE」から派生した他のライブシリーズも好評です。

馬嶋:そうですね。ライブハウスでの近距離戦をテーマとした「リスアニ!CIRCUIT」は、2011年から過去8回開催していますし、小規模のライブハウスで行なうアニソンオールナイトDJイベント「リスアニ!ナイト」には、アニメ好きのミュージシャン、アニメ音楽クリエイター陣がこぞって参加してくれています。今年はお休みしましたが、2017年からは新木場 Studio Coastを会場に、複数のステージで音楽ライブ、DJプレイなどを行なう回遊型のイベント「リスアニ!PARK」もスタートしました。武道館クラスの大会場ライブだけでなく、アニメ音楽をさまざまな形態で幅広く体験していただく試みは、音楽に特化したメディアである“リスアニ!ブランド”だからこそ、できることだと思います。

──2016年からは、海外での「リスアニ!LIVE」も盛況だそうですね。

馬嶋:はい。2016年、2018年と台北で「リスアニ!LIVE TAIWAN」を行ないました。台湾は、ジャパニーズカルチャーに対する感度が高く、音楽ではJ-POPだけでなくJ-インディーも人気がある。日本のアニメもほぼ同タイミングで新作が楽しめる環境があるので、日本のアニメ音楽シーンもリアルタイムにそのまま持って行けるメリットがあります。お客様も日本語を理解できる方が多く、アーティストにとってもライブがとてもやりやすいですね。

「リスアニ!10周年記念プロジェクト」と『リスアニ!』が目指すもの

──そして来年4月に向けて、イベントを中心としたさまざまな企画を行なう「リスアニ!10周年記念プロジェクト」がスタート。第一弾として、今年8月にお台場・Zepp Tokyoで開催する「リスアニ!LIVE SPECIAL EDITION ナツヤスミ」2days公演、10月開催の「リスアニ!LIVE TAIWAN 2019」、そして2020年2月に恒例の「リスアニ!LIVE 2020」を、千葉・幕張メッセイベントホールで開催することが明らかにされています。

馬嶋:「リスアニ!LIVE SPECIAL EDITION ナツヤスミ」は、冬の「リスアニ!LIVE」のコンセプトをそのままに、10周年イヤーを記念して開催されるイベントです。「リスアニ!LIVE」は毎年1月後半の開催だったので、実は学生さんから受験などと重なり、行きにくいという声をいただいていたんです。そこで今年は、スペシャルバージョンとして夏休み期間に開催。出演者も女性アーティストがメインで、1日目はソロアーティストをフィーチャー、2日目は“バンド”スタイルのアーティストをお届けします。

──さらに「リスアニ!LIVE TAIWAN 2019」は今年が3回目になりますね。

馬嶋:こちらも2days開催で、会場は2016年以来のTICC(Taipei International Convention Center)。出演アーティストも豪華なメンバーが揃いますので、日本の皆さんにも注目していただきたいです。

──「リスアニ!LIVE 2020」は、聖地・日本武道館を離れての開催になりますが?

馬嶋:日本武道館の大規模改修工事が秋から始まるということで、毎年冬、武道館での開催をポリシーにしてきた「リスアニ!LIVE」にとっては苦渋の選択となりました。ですが、記念すべき10回目の開催であり、10周年プロジェクトのメインとなるライブでもあるので、内容にはいつも以上に力が入っています。出演ラインナップの発表はまだ先になりますが、『リスアニ!』を総括するアーティストだけでなく、アニメ音楽の発信メディアとしての『リスアニ!』を体感してもらえるニューカマーの登場にも期待していただければと思います。これらの他にも、10周年プロジェクトとしての企画は考えています。さらに、今年開催できなかった回遊型イベント「リスアニ!PARK」も、また新たな展開を目指しているので、期待していただきたいですね。

──では、創刊から10年という節目を迎えるにあたって改めて感じること、そして今後の『リスアニ!』が目指すものを教えてください。

馬嶋:まずは『リスアニ!』を支えてくださった皆さんへの感謝ですね。読者の方々と素晴らしいアニメ音楽の作り手の皆さんにお礼を申し上げたいです。皆さんがいなければ、『リスアニ!』という媒体は存在できませんので。その上で、創刊時から変わらない、“アニメ音楽の魅力を伝えるメディア”としての役割は、これからも全力で全うしていきたいです。そのために、本誌の紙面作りも一度原点に戻り、僕ら編集サイドがアニメ音楽そのものの魅力を伝え、発信する企画をどんどんやっていきたいです。一時は休んでいましたが、創刊号からの人気企画だった、毎クールのアニメ全主題歌レビューも先号から復活しましたし、クリエイター連載も増やしています。

「リスアニ!LIVE」を筆頭とするイベントに関しても、同じことが言えます。今度は、国内はもちろん、海外も含めて接点を多く持ち、将来的には各国のアニメ音楽アーティストと国内を繋げられるような取り組みも行なっていきたいです。

■リスアニ!の歴史2016年

■リスアニ!の歴史2017年

■リスアニ!の歴史2018年

■リスアニ!の歴史2019年

──それらの施策によって、ますます“リスアニ!ブランド”を強固にしていくということですね。

馬嶋:そうですね。10年やってきたことで、『リスアニ!』という媒体の認知も一定までは拡大したと思います。その上で『リスアニ!』本誌だけでなく、1タイトルのアニメの音楽をまるっと特集する別冊「音楽大全」シリーズや女性向けアニメ音楽雑誌『LisOeuf♪(リスウフ)』、個々のアーティストの魅力を伝えるアーティストブックなど雑誌メディアとしての方向性も広がっていますし、ライブやイベントのノウハウも規模を問わず蓄積されています。今後も、魅力的なアニメ音楽を広めるサポートを我々が担っていけたらと思います。

■LisOeuf♪の歴史

リスアニ!LIVE SPECIAL EDITION ナツヤスミ

■開催日時:8月3日(土)開場17:00/開演18:00<予定>
     :8月4日(日)開場16:00/開演17:00<予定>
■場所:Zepp Tokyo
■出演アーティスト
<SATURDAY STAGE>
寿 美菜子 戸松 遥 西田望見 早見沙織 halca
<SUNDAY STAGE>
綾野ましろ 岸田教団&THE明星ロケッツ 田所あずさ May’n
■チケット料金:¥6,480(税込)1Fスタンディング/¥7,020(税込)2F指定席
※入場時別途ドリンク代必要
■インフォメーションダイヤル:03-5793-8878(平日13:00~18:00)
■チケットプレオーダー先行受付
e+(イープラス)
受付期間:6月25日(火)12:00~7月2日(火)23:59
https://eplus.jp/sf/detail/2974780001-P0030001?P6=001&P1=0402&P59=1
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