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スポーツをエンタテインメントに! 男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」における挑戦【特集第6回】

2018.10.5

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B.LEAGUE
スポーツ

Live/Event

エンタテインメントにまつわる様々な分野において幅広いソリューションを提供する、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(以下、SMC)。本特集では、SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」にて行なわれた、様々な事例をテーマに現場の担当者がトークセッションを行なう「Talk Crossing」をレポート。

特集第6回のテーマは、『スポーツエンタテインメントの可能性』。

男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」における、SMC、そしてソニーミュージックグループの取り組みを紹介する。

なぜソニーミュージックグループがスポーツを?

ソニーミュージックグループでは、エンタテインメントを軸に音楽、アニメ、キャラクターなど幅広いビジネスを展開しているが、近年挑戦しているのがスポーツエンタテインメントビジネスだ。

コンサートや舞台、イベントなどでは、多くのファンが会場に集い、熱狂し、感動を得るが、それはスポーツにおいても共通。つまりスポーツは究極のライブエンタテインメントのひとつと言えるのではないか? そう着目し、スポーツの分野でもエンタテインメントの力で新たな感動を生み出すべく、さまざまな競技において新たなチャレンジを始めているというわけだ。

そのなかでも注目したいのが、バスケットボールに関する取り組み。

北米の男子プロバスケットボールリーグ「NBA」では、ビッグゲームにおいて著名アーティストがオープニングアクトやハーフタイムショーに出演したり、試合中も音楽を使ったさまざまな演出が行なわれたりするなど、バスケットボールは音楽との親和性がとても高いスポーツだ。
日本においても、2016年に発足した男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」が、“エンタテインメント性の追求”をミッションのひとつとして掲げている。そんな「B.LEAGUE」を、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)がSMCをはじめとするグループ各社とともに、リーグ発足当初から多角的にサポートをしている。

「B.LEAGUE」をサポートするSMCの4本柱

左から SMC クリエイティブプロデュース本部 クリエイティブオフィス 中島史朗 SMC MD&プランニングカンパニー イベント制作オフィス 真保恵太 SMC MD&プランニングカンパニー MD営業部 宮嶋啓行 SME SSR準備室 藤井俊行

左から
SMC クリエイティブプロデュース本部 クリエイティブオフィス 中島史朗
SMC MD&プランニングカンパニー イベント制作オフィス 真保恵太
SMC MD&プランニングカンパニー MD営業部 宮嶋啓行
SME SSR準備室 藤井俊行

SMCでは、「B.LEAGUE」のロゴやポスター、グッズなどのデザイン、マーチャンダイジング、映像制作、イベント演出を手掛けている。それぞれの担当者が、コンセプトや制作秘話を明かしてくれた。

デザイン──制約の多い中、最高のクオリティを目指す

SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」Talk Crossing smc 中島史朗

「B.LEAGUE」には、開幕戦、オールスターゲーム、チャンピオンシップという3つの大きな大会がある。中島は、各大会のポスター、ロゴ、グッズのデザインを担当している。

ポスターをデザインするうえで、注意しているのは「選手を特定できないようにすること」。ポスターを制作する時点では、どのチームが勝ちあがるかわからない。本来なら実際に活躍する選手の写真を使いたいところだが、整合性が取れなくなる恐れがあるため、写真素材集を使ってポスターをデザインしているそうだ。

SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」Talk Crossing ポスター

ただし素材集を使うにしても、モデルの選手の顔が見えてしまうのもNG。ユニフォームの色も、特定のチームを連想させるものは使えない。「顔が見えてしまうと『これは誰だ?』となってしまいます。顔が見えない写真を使うか、誰かわからないように加工しています」と、中島はその苦労を話す。

制約が多いなかでも、躍動感、プロリーグ感を出すなど求められるクオリティは高い。難度の高い案件だが、「今シーズンは例年よりさらにパワーアップしたビジュアルを展開していきたい」と中島は意欲を覗かせた。

続いては、オールスターゲーム、チャンピオンシップなどのロゴ。ロゴは毎年デザインを変更しており、ひとつのロゴを作るにあたり、毎回10種類以上の案を提出するという。2017-2018シーズンのチャンピオンシップのロゴは、炎やトロフィーをモチーフにしたロゴを複数提案し、そのなかから選ばれたロゴをさらにブラッシュアップ。最終的にさまざまなモチーフを一体化させ、極限までデフォルメしたソリッドなロゴが完成した。

SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」Talk Crossing ロゴ

マーチャンダイジング──試合会場で映えるインパクトのあるデザインに

試合会場で販売するTシャツやタオル、缶バッジ、ステッカーなどのデザインも中島が担当しているが、デザインにおいて通常のアパレルとは大きく異なる点がふたつある。
第一に、当日そのTシャツを着て盛り上がれるか。第二に、持ち帰って記念品になるか。そのため、ロゴや日付、対戦カードを大きく打ち出すデザインに。普段使いはしにくいが、試合会場で映えるデザインを目指している。SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」Talk Crossing タオル Tシャツ

SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」Talk Crossing smc 宮嶋啓行マーチャンダイジングを担当する宮嶋も「1日で販売するので、インパクトのあるもの、お客様に訴求するものを目指しています」と話す。


映像制作──映像と会場演出を一体化

映像の制作においてもSMCのノウハウが発揮されている。
今年1月に熊本で行なわれたオールスターゲーム「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2018 KUMAMOTO」のオープニングで上映した映像は、熊本でロケを行なったという。

SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」Talk Crossing smc 真保恵太
「リーグが制作したコンセプトムービーのイメージと連動させるべく、SF的かつスペーシーなイメージの映像を制作しました。宇宙空間から試合会場めがけてボールが落ちてくるシーンで映像は終了。すると会場内の上空にドローンが出現し、ドローンから落ちてきたボールを選手がキャッチするという演出を行ないました」と話すのは映像制作とイベント演出を担当した真保。映像と会場演出が見事に融合し、訪れた観客からは大きな歓声が沸き上がった。

イベント演出──360°どこからでも楽しめる空間を演出

前述の「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2018 KUMAMOTO」は、大地震に見舞われた熊本の復興支援がテーマ。そのため「熊本から全国に元気を伝える」というコンセプトで、演出を行なっている。
「ブラックライトによる演出で、衣装を着た熊本・鎮西高校ダンス部がセレモニーダンサーとして登場したほか、来場者全員にも発光するTシャツを配り、会場にいるすべての人々が自ら発光してパワーを全国へ送りました。また、事前に振付師とともに鎮西高校に伺い、ダンス指導を行なっています。地元の方々が登場することで、熊本のパワーをお伝えできたのではないかと思います」と真保は話す。

SMCはオールスターゲームの他にも、シーズンの開幕戦や決勝戦であるファイナルの会場演出も担当してきた。

2016-17シーズンは、開幕戦ではライブなどでお馴染みのペンライトシステム「FreFlow®(フリフラ)」など、テクノロジーを多用した演出を行ない、ファイナルでは巨大なチームフラッグを操る旗振り師やチアリーダーによるパフォーマンスを取り入れ、身体的な演出を行なった。

2016-17シーズン開幕戦のオープニングセレモニー

2016-17シーズン開幕戦のオープニングセレモニー

 

2016-17シーズンファイナルのオープニングセレモニー

2016-17シーズンファイナルのオープニングセレモニー


そのほかにも、そのシーズンに活躍した選手を表彰する「B.LEAGUE AWARD SHOW」の演出も、「B.LEAGUE」監修のもと、SMCが進行、運営、会場の選定まで行なった。

>>関連記事:「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」から見えてくる、エンタテインメントとしてのスポーツの未来

イベント演出において、真保が大切にしているのは「選手目線、来場者目線、メディア目線」の3つだという。「バスケットボールは、360°どこからでも見られる空間を作らなければなりません。その点を意識しました。また、フィジビリティ(実現可能性)も重要です。技術、時間、予算をチェックしながら、選手、来場者、スタッフ誰もが満足できる演出に仕上げていくのが我々の役割です」と語った。

ソニーミュージックならではの遊び心あふれる施策

ソニーミュージックグループならではの、遊び心あふれる施策にも注目したい。

「B.LEAGUE」オフィシャルカルチャーブランド「RUN THE FLOOR」

SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」Talk Crossing sme 藤井俊行

SMEでスポーツエンタテインメントを担当する藤井は「バスケットボールは音楽だけでなく、ファッションとも非常に親和性の高いスポーツです。そのため、『B.LEAGUE』とともに製作委員会を作り、ファッション、音楽をはじめとした新たなバスケットカルチャーを作ろうと立ち上げたのが『RUN THE FLOOR』です。SMCはアパレルを担当し、『RUN THE FLOOR』ブランドのTシャツなどを作っています」と語る。

オフィシャルカルチャーブランド「RUN THE FLOOR」

エイプリルフール企画

“選手がヒップホップユニットを結成し、メジャーデビュー! ライブツアーも決定!”というユーモラスな企画を2018年4月1日に実施した。「アーティスト名はバスケットボールの戦術の名前からとった『PICK and ROLL』、そしてデビュー曲名は相手プレイヤーをだますプレイテクニックの名前でもある“フェイク”からとって『FAKE NEWS』に。アーティストのプロモーション案を企画するような感覚で、みんなで悪ノリしました」(藤井)

たった1日限りの企画ではあるが、そうとは思えないほど手が込んでおり、SMCはアーティスト写真やジャケット写真のデザイン、グッズ製作、映像制作を担当。製作したグッズは試合会場やECサイトで実際に販売したという。「予想以上の売れ行きでした。何事も面白がる姿勢は、ソニーミュージックグループならでは。今後も遊びながら企画を立てていきたいです」(宮嶋)

トークセッションのラストには、会場を訪れていた「B.LEAGUE」シニアマネージャーの増田匡彦さんもサプライズ登壇。「『B.LEAGUE』は単なるバスケットボールというより、ひとつのエンタテインメントとして見ていただきたいと思います。我々が『こんなことはできませんか?』と抽象的な話をしても、ソニーミュージックグループが具現化したものを見せてくれます。おかげで、日本ではなかなか見られないクオリティの高いスポーツエンタテインメントになっていると思います。『B.LEAGUE』は『BREAK THE BORDER』、つまり常識を壊すことをスローガンに掲げています。それをエンタテインメントの部分で担ってくれていると感じています」

今後もより一層多角的な企画を考えたいと意欲を覗かせる一同。
10月4日からは3年目となる2018-19シーズンのB1リーグ戦がスタート。今シーズンも「B.LEAGUE」そして、ソニーミュージックグループの取り組みに注目だ!

B.LEAGUE公式サイトはこちら
B.LEAGUEオフィシャルカルチャーブランド「RUN THE FLOOR」公式サイトはこちら

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写真提供:B.LEAGUE

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