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連載Cocotame Series

SMCカンパニープレゼンテーション「w/」TALK CROSSINGレポート

CDジャケット、ミュージックビデオ、歌詞カードを連動――BURNOUT SYNDROMESの楽曲が持つ世界観を深める手法とは?

2018.10.15

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エンタテインメントにまつわる様々な分野において幅広いソリューションを提供する、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(以下、SMC)。本特集では、SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」にて行なわれた、様々な事例をテーマに現場の担当者がトークセッションを行なう「Talk Crossing」をレポート。

特集第8回のテーマは、『CDジャケット、ミュージックビデオ、ブックレット連動の可能性』。

青春文學ロックバンドBURNOUT SYNDROMESの世界観を、いかにしてビジュアルで伝えるか。その表現手法を紐解いていこう。

ビジュアルチームが一体となって世界観を表現

エピックレコードジャパン所属アーティストBURNOUT SYNDROMES(新しいタブで開く)は、大阪発のスリーピースバンド。日本語の響き、美しさを大切にした文学的歌詞、緻密なアレンジが話題を呼び、「青春文學ロックバンド」として大きな注目を集めている。

BURNOUT SYNDROMES

BURNOUT SYNDROMES

SMCにおいてクリエイティブを手掛ける部門に所属する青木と川本は、インディーズ時代からBURNOUT SYNDROMESのCDジャケットやミュージックビデオの制作に関わってきた。メジャーデビュー後は映像ディレクターの千葉氏も加わり、三位一体でビジュアルを手掛けている。

左から 映像ディレクター 千葉崇志氏 SMC クリエイティブプロデュース本部クリエイティブオフィス 川本拓三 SMC クリエイティブプロデュース本部クリエイティブオフィス 青木健輔

左から
映像ディレクター 千葉崇志氏
SMC クリエイティブプロデュース本部クリエイティブオフィス 川本拓三
SMC クリエイティブプロデュース本部クリエイティブオフィス 青木健輔

一般的に、CDジャケット、アーティスト写真、ミュージックビデオ、ライブツアーのグッズやロゴの制作は、アーティストが所属するレーベルのA&Rから、デザイナーやディレクターなど各担当者へとバラバラに発注されることが多い。

一般的なスタッフ構成

しかしBURNOUT SYNDROMESの場合は、“歌詞の世界観を大切に表現する”というコンセプトのもと、すべてのビジュアルコーディネートを青木に集約。さらに、一般的に映像ディレクターが主導することが多いミュージックビデオの制作にもアートディレクターである川本が加わることで、CDジャケット、ミュージックビデオなどのビジュアルに統一感を出すことに成功している。

BURNOUT SYNDROMESのプロジェクトにおけるスタッフ構成

千葉氏も「グラフィックと映像を連動させるケースは増えています。とはいえ、ここまでビジュアルチームが一丸となって取り組むプロジェクトは珍しいです」と話す。SMCがクリエイティブをトータルコーディネートしているからこそ、実現できたと言えるだろう。

各楽曲のビジュアル制作秘話

BUNROUT SYNDROMESの楽曲には、それぞれ明確な主人公が登場するケースが多い。その主人公をCDジャケットやミュージックビデオに登場させ、楽曲ごとに世界観の統一を図っている。
「歌詞を大事にしているので、“タイポグラフィ×少女”というコンセプトを軸にしています」と川本は話す。

ミュージックビデオは、楽曲によって実写、アニメーションなどさまざまな表現手法を採っている。実写の場合は千葉氏がディレクションを担当。アニメーションの場合は、その都度異なるクリエイターを起用している。

それでは、BUNROUT SYNDROMESの作品をピックアップし、それぞれのビジュアルコンセプトを紹介していこう。

インディーズ 2ndミニアルバム『文學少女』

「主人公は、本が好きそうな女の子。教室の隅の窓際の席で本を読んでいるような女の子をイメージし、女子高生イラストレーターの金子開発さんにオファーすることにしました。まず彼女にCDジャケットを描いていただき、それをベースにしてアニメーションの得意な映像ディレクターにミュージックビデオを制作してもらいました。曲の1番と2番でアニメーターを変え、あえてキャラクターデザインも少し変えています」(川本)

メジャー 1stシングル『FLY HIGH!!』


このシングルでは、実写の女子高生が主人公ということで、千葉氏が映像ディレクターとして制作に初参加した。3人でチームを組んだ最初の作品だったため、衝突しながら制作したという。

「映像には時間軸があるため、主人公の感情の変化を伝えることができます。曲の1番のタイポグラフィでは、誰かが書いた世界を表現。2番では、自分だけの文章を持つようになった少女の感情を文字で表わしています。
この楽曲が伝えるメッセージは『高く飛び上がれ、次の世界へ行こうぜ』。そこで女の子が飛び降りている映像を逆再生し、飛び上がっているシーンを作ることにしました」(千葉)

メジャー 2ndシングル『ヒカリアレ』


「こちらも実写の女子高生が主人公です。前作『FLY HIGH!!』と同じロケ地で撮影し、同じ学校の違うクラスで、それぞれにストーリーがあるという設定です」(青木)

「『文學少女』はアニメとグラフィックを使用した2次元の映像で、『FLY HIGH!!』は実写にグラフィックを載せた2.5次元、そして『ヒカリアレ』では実写空間にプロジェクタで光を載せた3次元の実写映像、と少しずつ次元を上げていっているところもポイントです。我々は『文學少女』三部作と呼んでいます」(川本)

配信限定シングル『ハイスコアガール』


「ボーカルの熊谷君が、押切蓮介さんのマンガ『ハイスコアガール』が大好きで、その世界観を歌ったのがこの楽曲です。レーベルのA&Rから『ファミコンのようなドット絵にしたい』というオーダーがあり、m7kenjiさんという有名クリエイターに制作をお願いしました。川本が整えたストーリーに、m7kenjiさんのドット絵を載せています」(青木)

メジャー 3rdシングル『花一匁』


「これまでの楽曲は、内向的な女子高生を感じさせる歌詞でしたが、この楽曲は前向きな歌詞になっていきました。その変化を汲み、ミュージックビデオでも自らの意思がある女子高生像を打ち出しました。同じチームでひとつのクリエイティブに取り組んでいると、アーティストの遍歴を理解しながら映像やグラフィックに落とし込んでいくことができる。それがこの座組のひとつのメリットだと思います」(千葉)

メジャー 1stアルバム『檸檬』


アルバム『檸檬』では、CDジャケット、歌詞カード、ティザー映像をトータルでコーディネートしている。
「文學がテーマなので、歌詞カードも小説のようなブックレットにしたいと考えました。でも、小説のようにきれいに文字を組むだけでは彼ららしくありません。そこで、楽曲ごとのテーマに合わせてまるで絵文字のような構成にしました。アーティストは歌詞を大事にするため、改行位置や字間のスペースに対してこだわりがあり、あまり遊びを入れられないことが多いのですが、この歌詞カードに関しては大胆なデザインに挑戦しています。メンバーも喜んでくれましたし、歌詞と連動したティザー映像も制作しました」(川本)

『檸檬』歌詞カード

『檸檬』歌詞カード

「初対面のアーティストだったら、歌詞を映像上で動かしたいと言っても断られていたかもしれません。ひとつのチームで長く同じアーティストに関わり、信頼感を築いていたから実現できたのではないでしょうか。それがこのスタッフィングの素晴らしいところだと思います」(千葉)

三者三様の意見が面白いビジュアルを生む

そもそもアートディレクターと映像ディレクターとでは、演出方法も異なるという。
CDジャケットやアーティスト写真など静止画を扱うことの多いアートディレクターの川本は、表情やポージングなど画面レイアウトを意識した画づくりが得意だ。一方、映像ディレクターの千葉氏は、時間によって変化する感情の流れを映像で捉えていく。
青木は「立場の異なるクリエイターが活発に意見を交わし合ったからこそ、これまでのビジュアルが作れたのではないか」と分析し、トークセッションを締めくくった。

アーティストの世界観をより強固なものにし、強いビジュアルを打ち出すにはスタッフィングから見直すことも時には必要かもしれない。CDジャケット、ミュージックビデオ、ブックレット、グッズなどトータルソリューションを提供するSMCなら、そんなニーズに応えてくれるだろう。

BURNOUT SYNDROMES公式サイト(新しいタブで開く)
BURNOUT SYNDROMES公式Twitter(新しいタブで開く)

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