連載

“緑黄色社会”のはじまり――4つの個性が重なり多彩な音楽を生み出す<インタビュー前編>【連載第8回】

2018.10.31

Interview

注目ワード
緑黄色社会

Artist/Talent

今後さらなる注目を集めるであろう、気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「Artist Profile(アーティストプロファイル)」。連載第8回でクローズアップするのは、愛知県出身・在住の4ピースバンド “緑黄色社会”(略称:リョクシャカ)。

長屋晴子(Vo.)、peppe(Key.)、小林壱誓(Gt.)の同級生3人と、小林壱誓の幼馴染である穴見真吾(Ba.)で結成され、お互いを知り尽くした4人がそれぞれの個性を出し合い、幅広いカラーバリエーションを持つ楽曲・サウンドを生み出す。

メンバーはどのように音楽と出会い、そしてどのように“緑黄色社会”が生まれたのだろうか。“緑黄色社会”のルーツを前編・後編にわたってお届けする。

音楽で生きていくということ

――11月7日リリースのMiniAlbum『溢れた水の行方』がメジャーデビュー作になるわけですが。みなさんは20代前半、最年少の穴見さんは20歳ですよね。音楽で食べていくことは早いうちから考えていたんでしょうか。

穴見真吾(Ba.& Cho.):楽器を始めた頃とか緑黄色社会が始まった頃は、まだまったく考えていなかったです。

長屋晴子(Vo.& G.):ただ楽しいからやっていたというか。

小林壱誓(Gt.& Cho.):でも音楽をずっとやっていくには、それでご飯が食べられるようになっていかないといけないなとは思っていました。

peppe(Key.& Cho.):私は正直、まったく意識してなかったんです。でもバンドとして活動していくうちに、そうあるべきだってどんどん考えがシフトしてきましたね。

小林:今の僕らの年代の人はみんな考えることだと思うんですけど、特に去年あたりはすごく考えさせられましたね。周りにいる大学の友達が次々に就職とか決まっていくなかで、自分たちも進路を考えていかなきゃいけない状況に置かれて。そこで音楽に対する気持ちや取り組む姿勢みたいなものをだいぶ意識するようになりました。

――腹を括った、と。

小林:そうなりますね。就職活動をする気はなかったし。

長屋:うん、なかった。

peppe:これでやっていくって思ってました。

――穴見さんは今、大学3年生だから、よりリアルなのでは?

穴見:そうですね。ただ、周りの大学の友達とかは「オマエ、最近忙しそうだな」とか言ってくれるんですけど、別にやってることは変わらないなと思ってて。就職して働くって誰かのために何かをするっていうことじゃないですか。僕らの場合は、それが音楽であっただけで、本質的なところは変わらないと思うんです。

長屋:私もみんなから「すごいね」って言われることが多かったんですけど、それに対してすごく違和感がありましたね。私からしたら就職活動で何社も回ったりしてることがすごいなと思うし、私は私でただ道が違っただけで、やってることは一緒。すごいのはみんなも同じなんだけどなって。

音楽との出会い

――それでは、なぜ、みなさんは音楽だったのでしょう。CDが売れないとか、音楽不況が叫ばれる今、それでも音楽を選んだ理由が知りたいです。

小林:僕の実家がダンススタジオで母親が先生だったので、幼い頃からずっとダンスをやっていたんです。今となってはやってて良かったと思うんですけど、小学生のときはもう嫌々やってるような感じで。そんななか、中学生になって初めて自分の意志でやりたいなと思ったのがバンドだったんです。

――そのきっかけは?

小林:嫌々友達に連れて行かれたボウリング場で、……嫌々ばっかりなんですけど(笑)、ふと流れていたミュージックビデオ(MV)を観たんですよ。YUIさんの「again」っていう曲のMVだったんですけど、それを観た瞬間、音楽なんか全然聴こえてこないのに一目惚れしたんです。それをきっかけにYUIさんの曲を聴くようになって、YUIさんと似たような色のギターも買いました(笑)。

――視覚から音楽にハマるって面白い。それだけ衝撃が大きかったんですね。

穴見:ライブ行ったもんね、ふたりで。「YUIっていうアーティストがめちゃくちゃ良いから、オマエも聴いてくれよ」って。気づけば同じようなギター持ってるし、どれだけ熱中しとんねん! みたいに思ってたんですけど(笑)。

――小林さんと穴見さんは幼馴染みでしたよね。

穴見:そうです、僕が2歳下で。で、YUIさんのライブに行ったらもうめちゃくちゃカッコ良くて。そのときサポート陣がみんな女性で、女性の演奏ってこんなにカッコ良いんだってビックリしたんです。当時、僕は小6だったんですけど、それまでバンドは男がやるものって思ってたけど、カッコ良い人は男でも女でもカッコ良いんだなって。

――そうして小林さんはどんどん音楽に没頭していって。

小林:はい。中学3年生のときにBUMP OF CHICKENを知って、バンドを組みたいなって思ったんです。でも受験の時期だから周りの友達は全然構ってくれなくて(笑)。“高校に入ったら絶対バンドを組んでやる!”って思って、出逢ったのが長屋とpeppeなんです。

――長屋さんはなぜ音楽を?

長屋:最初はお姉ちゃんの真似ですね。私が幼稚園の年長の頃に姉がピアノを始めたのがきっかけで私もやるようになって。でも楽譜を見て弾くのが私には向いてなかったというか……課題を練習するより自分の好きなように弾くほうが楽しかったんですよね。なぜ自分が弾きたい曲じゃないものを練習しなきゃいけないんだろうっていう気持ちはずっとありました。

――何年ぐらいピアノは習っていたんですか。

長屋:小学校の間はずっと続けてました。一方で、小学校、中学校の部活ではトロンボーンを吹いていたんですよ。だから、なんだかんだずっと音楽をやっていて。ただ、中学生のときに人と違うことをしたいって思い始めた時期があって、周りはJ-POPを聴いているなかでバンドに興味を持ったんです。

でもバンドを組みたいと思っても中学に軽音楽部はなかったし、バンドのことを話せる人もいなかったので、壱誓と同じく高校では軽音楽部に絶対に入ろうって決めて、高校選びもして。

――軽音楽部ありきで高校を!?

長屋:はい!(笑)調べてみると大会にすごく強い高校とか、いろいろあったんですけど、与えられた課題をこなすような部だとピアノと一緒で絶対自分には向かないと思ったので、もっと自由にやれるところを探して。学力とかじゃなく、とにかく軽音楽部重視でしたね。

――バンドに懸けるその熱量がすごいです。ピアノといえばpeppeさんもやってらしたんですよね。

peppe:ピアノは2〜3歳の頃に始めて、クラシックのコンクールに出たりもしてました。なので高校は音楽学校に通おうと思っていたんですけど、タイミングが悪くて試験を受けられなくて、そのときにピアノもやめたんです。でも、いろんな縁があってこのふたり(長屋、小林)と同じ高校に入って。

長屋とはSNSで知り合って、同じ高校に入ることは知っていたんですけど、入学式で初めて会ったときに「軽音楽部に入ってバンドを組むんだ」って聞いて「私もピアノやってたよ」って言ったら「じゃあ入らない?」って。そこで“あ、ピアノ弾けるんだ。じゃあ入ろう”ってすぐ決めたんです。

――ピアノに未練があった?

peppe:全然なかったです。ピアノも音楽のことも何も考えてなくて、最初はダンス部に入ろうかとか思ってたぐらいで。だから、まさかこういう形でピアノに戻ってくるとは思っていませんでした。

戻ってから“あれ? またやってるじゃん、私”って気づいたというか……やっぱり好きなんだなって思いましたし。ただ、キーボードという楽器に触れたことはなかったので、それを一から知っていくのも楽しかったですね。

――穴見さんは? 小林さんと行ったYUIさんのライブもそうですけど、自分が音楽の道に進むにあたって決定的な出会いはありましたか。

穴見:僕、中学1年のときに陸上ホッケー部に入っていたんですけど、ちょっと違うかもしれないなって夏ぐらいに気づき始めて。その頃、うちの中学に軽音楽部ができて、できたてだからベースとドラムが足りないって募集の紙が貼られてたんですね。

で、ベースやってみようかなっていう。ちょうど壱誓からも「ベースやれよ」みたいに言われてたんですよ。「俺の周りにベースいないから」って(笑)。

――実に幼馴染みっぽいエピソード(笑)。

穴見:正直、当初はベースにめっちゃハマってたわけではなく、とりあえず始めたっていう感じだったんですけど、中学2年生のときにRed Hot Chili Peppersっていうバンドに出会って“これはヤベェ!”と。

それがベースにどっぷり浸かるというか、ベースをずっとやっていきたいなって考えるようになったきっかけですね。もちろんベースで食べていくとか、そんなことはまだ考えてなかったですけど、ベースを弾くことに誇りを覚えたというか……アイデンティティとして。

インタビュー後編では、“緑黄色社会”のはじまりについて語ってもらった。

Mini Album『溢れた水の行方』

発売日:2018年11月7日(水)

1. あのころ見た光
2. 視線
3. Never Come Back
4. サボテン
5. Bitter
6. リトルシンガー

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