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『出前一丁』が海外で人気なのはなんでだろう? 知られざるブランドの歴史を紐解く【連載第10回】

2018.6.13

Interview

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2018年は、ソニーミュージックグループが設立してから50年目を迎えた年。本連載「50年の歩み ~meets the 50th Anniversary~」は、同じく50年目を迎える企業、商品、サービスを取り上げ、その歴史を紐解くことで、「時代」を浮き彫りにするという特別企画だ。

日清食品の即席麺『出前一丁』の歴史を語るシーズン3。今回は、『出前一丁』を語る上で欠かせない人気キャラクター・「出前坊や」にまつわるエピソードと、なぜ『出前一丁』が海外で大人気なのか、その理由を聞いた。

日清食品株式会社
マーケティング部 第3グループ主任
三浦由視さん

『出前一丁』の印象的なパッケージは●●●●からヒントを得た

──日清食品さんの代表的なブランドである『チキンラーメン』や『カップヌードル』は、味や形状がネーミングの由来であることがすぐに理解できますが、『出前一丁』はそれとは少し異なっていますよね。この名称はどなたが考えられたのですか?

三浦:商品名は当初、創業者の安藤百福が「ラーメン天国」や「出前ラーメン」といったものを考えていたそうなのですが、どうもしっくりこないと決めかねていたそうです。そんな時、当時大学生だった息子の安藤宏基(現・日清食品ホールディングス代表取締役社長・CEO)が、親しみやすく響きの良い“一丁”をつけたらどうかと提案し、『出前一丁』という名称に決まったそうです。

ちなみにこの名称は海外でも共通です。「出前」も「一丁」も海外では全く通じない言葉ですが、それがアジア圏では日本語の象徴的なフレーズとして受け入れられているそうです。日本でも海外ブランドの名前で意味を知らずに受け入れていることがありますが、それに近いものがあるかもしれません(笑)。

──そして『出前一丁』というと、やはりパッケージに描かれている「出前坊や」のイメージが強いのですが、このキャラクターはどのようにして生み出されたのでしょうか?

三浦:こちらもCEOの安藤宏基が原案を考えたそうです。ただ、時代に合わせて細かなリニューアルは行なっていて、50年前と全く同じというわけではありません。

パッケージのデザイン、カラーリングについては安藤百福が考えたのですが、東京で見かけたタクシーのボディカラーをヒントにしたそうです。赤と黄色のツートーンカラーは遠くからでもよく判別でき、印象に残っていたそうで、それがきっかけとなって『出前一丁』のパッケージも赤と黄色を基本色に採用しました。

メモリアルイヤーなのは『出前一丁』だけじゃない!!

──「出前坊や」の活躍について、もう少し詳しく教えてください。

三浦:やはり90年代に放送されたアニメCMの印象が強いのではないでしょうか。絵柄が劇画調に切りかわるシーンでは、『巨人の星』の星飛雄馬などで有名な声優の古谷徹さんに出演していただきました。

──30代後半~40代なら、皆、このイメージが強いですよね! 「悪かったじょ~」って(笑)。

三浦:最近では2015年、料理コーナー「MOCO’Sキッチン」でも大人気の速水もこみちさんが「出前坊や」になりきって、まるでオリーブオイルのようにごまラー油を振りかけるという実写CMを放映しました。このCMはとても話題になり、販売数もドーンと伸びました。

──では、今年も「出前坊や」は大活躍ということですか?

三浦:最近は、「ごまラー油」をアピールするコミュニケーション活動を主に行なっており、「出前坊や」を前面に押し出した展開はひとまずお休みさせていただいているんです。ただ、「出前坊や」がお役御免になったわけではありません。今年同じく50周年を迎えた、タカラトミーさんの『人生ゲーム』とコラボレーションした限定商品には、「出前坊や」を主役にした「出前坊やの出前人生ゲーム」を同梱して2017年12月末に発売しました。

今後、もっと情緒的な面で『出前一丁』に愛着を持っていただきたいというフェーズに入った時には、再び活躍してもらいたいと思っています。

──今後の『出前一丁』のプロモーションについて教えてください。

三浦:実は、日清食品には50周年を超えたブランドが既に3つ存在します。それが『チキンラーメン』(1958年発売/今年60周年)、『日清焼そば』(1963年発売/今年55周年)、そして『出前一丁』です。今年は、それぞれのブランドが節目の年を迎えるということで、「ロングセラートリオ」として強くプロモーションをかけています。パッケージに「ありがとう! インスタントラーメン発明60周年」のロゴをあしらい、インスタントラーメン市場全体を盛り上げていきたいと考えていますので、『出前一丁』だけでなく、これらのブランドもご愛顧いただければ幸いです。

『出前一丁』は香港では今や“国民食”という扱いに

──そして『出前一丁』と言えば、日本だけでなく海外でも大人気だということですが、実際にはどのような状況かを教えてください。

三浦:『出前一丁』は、日本だけでなく、香港、シンガポール、ドイツ、イギリスなど、40以上の国と地域で販売しており、世界中の人々に愛されています。中でも香港は、サイズ、フレーバーともに世界一のラインアップを誇っており、さらには『出前一丁』が飲食店でさまざまなメニューにも使用されるなど、日常生活に欠かせない食品になっているんです。

──以前、香港に取材で訪れた時、火鍋の締めに『出前一丁』が選べるようになっていて驚きました。香港では事実上国民食のような扱いになっていますよね。これっていつ頃からなんですか?

三浦:香港では、日本での発売とほぼ同時期に、日本の商品を輸入するかたちで販売がスタートしました。その後、香港市場に受け入れられて販売が順調に伸びたため、1984年に現地法人を設立し、その翌年から香港で生産を開始しています。90年代以降は香港独自商品の開発に力を入れ、現在展開している商品ラインアップは、ほとんどが現地の味覚に合わせて開発したものです。

──前回のお話でも登場した「辛辣XO醤海鮮味」は香港発祥なんですよね。

三浦:その通りです。日本では「しょうゆ味」の『出前一丁』がメインですが、香港ではさまざまなフレーバーの『出前一丁』を発売しています。「辛辣XO醤海鮮味」のほかにも「五香 (ウーシャン) 牛肉味」や「黒麻油とんこつ味」など、本当に多様なフレーバーを販売しているんです。

──そのほかに、海外独自の展開として特筆すべきものがありましたら教えてください。

三浦:2016年11月に香港国際空港の第2ターミナルに「出前一丁ファクトリー」をオープンしました。「出前一丁」を小麦粉から手づくりすることができる体験コーナーで、お子さまを中心にご好評いただいており、2018年3月現在で約2万5,000人ものお客さまがこの体験に参加してくださいました。また、昨年はイケメンの「出前坊や」が登場するCMを香港の現地法人が独自に制作し、ネットニュースなどを通じて日本でも大きな話題になりました。本家としても負けていられないという気持ちです!



香港で放送された『出前一丁』のCM

連載 9回目「出前一丁」の誕生秘話はこちら
連載11回目「出前一丁」のアレンジレシピ&食べ比べはこちら

出前一丁の公式サイトはこちら

取材/文:山下達也(ジアスワークス)
撮影:松浦文生

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