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連載Cocotame Series

50年の歩み~meets the 50th Anniversary~

なぜ全国区に? 『コメダ珈琲店』の50年の歴史を明かす

2018.09.28

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2018年は、ソニーミュージックグループが生まれて50年という節目の年。本連載「50年の歩み ~meets the 50th Anniversary~」は、同じく50年という歴史を歩んだ企業、商品、サービスを取り上げ、その歴史を紐解くことで、「時代」を浮き彫りにするという特別企画だ。

今回から4回に渡ってお届けするシリーズ5では、今年で創業50周年を迎えた『珈琲所コメダ珈琲店』を取り上げる。

名古屋の小さな喫茶店から始まったこの珈琲店が、どのようにして全国に知られるようになったのか? 『コメダ』の広報担当、沖田有紗さんに教えてもらった。

『コメダ』の名称には感動的な理由があった!?

株式会社コメダ 経営企画本部 企画部 広報グループ 主任 沖田有紗さん

株式会社コメダ
経営戦略本部 企画部 広報グループ 主任
沖田有紗さん

──まずは、『コメダ珈琲店』の始まりについて教えてください。

沖田:『コメダ珈琲店』は、1968年に創業者の加藤太郎さん(現・珈栄舎代表取締役)が名古屋の下町である那古野(名古屋市西区)に1号店・菊井店を開店したのが始まりです(編集部注:2014年に閉店)。本格的なコーヒー専門店を目指して『珈琲所コメダ珈琲店』を立ち上げました。

──『コメダ』という名称にはどういった由来があるんですか?

沖田:加藤さんの実家がお米屋さんだったことに由来します。「米屋の太郎」をもじって、「コメヤのタロウ→コメタ→コメダ」になりました。また、家業を継ぐのが当たり前だった時代に、息子の独立を許してくださったお父様への感謝の思いも込めてられていたとも言われています。

コメダ

──創業初期の『コメダ珈琲店』はどのようなお店だったのでしょうか?

沖田:本店オープン当時は、個人経営の小さな喫茶店が主流だったので(編集部注:1960年にコーヒー生豆輸入が自由化され、第一次コーヒーブームが到来。60年代以降、個人経営型喫茶店の開業ラッシュが起こる)、『コメダ珈琲店』本店のような駐車場を完備する大型の喫茶店は珍しい存在でした。名古屋は喫茶店が多くありましたが、その点でほかのお店との差別化が図れていましたね。そして郊外では、車がスムーズに敷地内に入れるかどうかも重要になります。加藤さんが目指していた、いろいろな人に日常のなかで親しんでもらいたいという思いからできたおもてなしのひとつですね。

コメダ

──『コメダ珈琲店』は東海地方で創業し、その後、どのように全国へ拡大していったのでしょうか?

沖田:創業初期は“のれん分け”という形で名古屋市を中心に店舗を拡大していきました。その後はフランチャイズの仕組みを整え、1990年代前半からフランチャイズ展開を本格的に開始。2003年に関東、2006年に関西、2013年に九州へと拡大していきました。関東に初進出した際は、名古屋で当たり前だったモーニングサービスの認知度が低く、「パンは頼んでいませんけど……」と言われることもあったんですよ。

現在では“ほぼ”全国展開を完了しており、2016年に初進出した北海道では、オープン前日から60人以上のお客様が行列を作ってくださるほどの大盛況でした。そして、2018年8月には沖縄にも出店。こちらもピーク時には120人ほどのお客さまにお並びいただいたんですよ。沖縄県の方々は行列を作らないと聞いていたので、こんなにも多くの方に注目していただいてとてもうれしかったですね。

──『コメダ珈琲店』には、国内に8店舗を展開する姉妹ブランド『甘味喫茶おかげ庵』もあります。そのコンセプトや狙いについて教えてください。

沖田:コンセプトは、ゆったりとした空間で、“甘味”というささやかな贅沢を身近に楽しめる「時」と「間」です。普段使いの「時」と非日常使いの「間」が融合した、新しい和の喫茶店としてオープンしました。日本ならではの文化も身近に体験していただきたく、自分専用の焼き台でお団子を焼けるメニューもご用意しています。これは特に外国人のお客様にも人気がありますね。ちなみに『甘味喫茶おかげ庵』という名称は、感謝の気持ちを表わす『おかげ様で』が由来になっています。

コメダ和(なごみ)喫茶 おかげ庵 あざみ野ガーデンズ店

コメダ和(なごみ)喫茶 おかげ庵 あざみ野ガーデンズ店

“マニュアルを重視しない接客”と“50年間変わらない味”

──『コメダ珈琲店』の接客に対するこだわりを聞かせてください。

沖田:『コメダ珈琲店』の接客は、マニュアルを重視していません。地域密着を目指し、お客様それぞれに対して柔軟に対応するのが『コメダ』のスタイル。お客様とちょうど良い距離感を保つ接客を心掛けています。もちろん、マニュアル重視の接客をしないとは言え、従業員の教育には力を入れています。入社時には、自社の研修所で競合他社の3倍にあたる70日を超える研修を実施して、新入社員はここで『コメダ』の精神を学び、現場に赴きます。

コメダ ブレンドコーヒー/420円

ブレンドコーヒー/420円

──『コメダ珈琲店』の「ブレンドコーヒー」は、日本中どこで飲んでも同じ味なんですか? その場合、基本となる味は、どのように決めているのでしょうか?

沖田:『コメダ珈琲店』のコーヒーは日本中どこでも同じ味となります。看板メニューであるオリジナルの「ブレンドコーヒー」は、世界中から厳選した4種類の生豆それぞれの特性を生かして7種類に焙煎、独自の比率でアフタ―ブレンドした『コメダ珈琲店』伝統の味です。これを“コメダ伝統のブレンド”として提供しています。創業者の「どこにいっても安心して飲める、いつもの味」という思いを体現するこだわりのひとつです。

コメダ 黎明期のコーヒー豆輸入に使われた専用の麻袋。コメダ本社に額装されて飾られていた

黎明期のコーヒー豆輸入に使われた専用の麻袋。コメダ本社に額装されて飾られていた

──全ての地域、全ての時代で、“同じ味”にこだわっているんですね。ところで、『コメダ』と言えば「ブレンドコーヒー」が人気ですが、最近は、ブラックコーヒーにも注力していますよね。これは「ブレンドコーヒー」とどう味付けが異なっているんでしょうか?

沖田:ブラックコーヒーが好きだと言うお客様のために、2018年2月からブラック専用のブレンド「コメ黒」を提供し始めました。上品な酸味と深いコク、そしてすっきりとした後味を楽しめます。主力商品の「ブレンドコーヒー」は、砂糖とフレッシュを入れて飲むことを推奨しているのですが、「コメ黒」はブラックのままで飲んでもらいたいので、基本的にフレッシュは提供していません。

コメダ コメ黒/520円

コメ黒/520円

新たな取り組み、そしてこれからの『コメダ』とは

──『コメダ珈琲店』と言えば、ウッディな店内も特徴のひとつです。こうした調度類にも、何か『コメダ』らしいこだわりがあるのでしょうか?

沖田:はい。『コメダ珈琲店』では、再生できる材料や国産杉などをテーブルに優先的に使用しています。『コメダ』では、ESG(Environment<環境>/Social<社会>/Governance<ガバナンス>)を意識した経営に取り組むことが、健全な企業の発展や成長の原動力として重要であると考えています。その取り組みのひとつが、『コメダ』の「持続可能なお店づくり」です。

『コメダ珈琲店』の店舗は木造建築であるため、簡易的なメンテナンスで 20 年以上の長期にわたってお店を維持することが可能です。そして、内外装に木材を多用 することで『コメダ』が大切にしている温かみを感じられる“くつろぎ空間”を実現するだけでなく、テーブルや間仕切りは表面を削ることで再生させ、「捨てない店舗」を実現しています。また、2017年からは三重県が取り組む「企業の森」プロジェクトに参加し、「コメダの森」と名付けた森林の整備なども行なっています。

コメダ

──これからと言えば、『コメダ』は海外展開はしないのですか?

沖田:実は現在、既に中国本土に4店舗、台湾に1店舗を展開しています。もともと中国もコーヒーを飲む市場があるので、外でコーヒーを飲むことに対して抵抗がなかったのでしょう。特に台湾は文化的に日本に似ていて、朝食を外で食べる習慣もあるので、『コメダ』との相性は良いようです。ちなみに、海外の店舗でも日本のコーヒーと同じ味のものを提供しているんです。

今後の具体的な展開は未定ですが、日本で育まれたおもてなしの文化、そして名古屋独特の喫茶文化を通して、『コメダ』ならではの“くつろぎの場”を海外の皆さまにもお届けしたいですね!

次回は、思わず「なるほど!」がこぼれる“みんなが知ってる“コメダ”のみんなが知らない事実”を紹介していく。

取材/文:中川美紗(ゴーズ)
撮影:増田慶

掲載されている価格(税込)は、名古屋本店のものです。
価格は店舗によって異なります。
詳しくはコメダ珈琲店公式Webサイト(新しいタブで開く)をご確認ください。

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