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意外な事実が続々! 『サッポロ一番 みそラーメン』の50年史【連載第22回】

2019.2.4

Interview

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ソニーミュージックグループが設立してから50年という節目に、同じく50周年を迎える企業、ブランド、商品の歴史を紐解くことで、「時代」を浮き彫りにする連載企画。

今回、お伺いしたのは、「サッポロ一番」でその名を知られるサンヨー食品。そして、50年の歩みを紐解くのは、多くの人が一度は食したことがあるであろう、袋麺市場の超スタンダード商品『サッポロ一番 みそラーメン』だ。

シリーズ1回目は、その誕生秘話と、これまでの歩みについて聞いていく。

味噌ラーメンを全国区にしたのは『サッポロ一番 みそラーメン』だった

――今回は東京・赤坂に燦然と「サッポロ一番」のロゴが輝く、サンヨー食品東京本社にやってきました。

水谷:広報の水谷です。よろしくお願いします。

サンヨー食品株式会社
マーケティング本部 広報宣伝部
水谷彰宏さん

――今日は、50周年を迎えた『サッポロ一番 みそラーメン』についてのお話を伺いに来ました。“ココだけの話”をいろいろとお聞かせください!

水谷:では、まず「サッポロ一番」の成り立ちから。ご存じのように「サッポロ一番」は、『サッポロ一番 みそラーメン』に2年先んじて発売された『サッポロ一番 しょうゆ味』(発売当初は『サッポロ一番』)が始まりです。それまでも当社ではお湯かけの『ピヨピヨラーメン』と塩味の『長崎タンメン』という袋麺を発売していたのですが、先代社長である井田毅(当時は専務)が、インスタントラーメン市場の中心であった醤油味市場への参戦を決意し、ラーメンの聖地である札幌の名店で食した一杯をヒントに……。

――あの〜、すみません、その辺はネットで調べればわかりそうなので……、生誕50周年を迎えた『サッポロ一番 みそラーメン』について、ココでしか読めないお話をお願いできますか。

水谷:……。

――では、質問です。『サッポロ一番 みそラーメン』は、どういう経緯で発売されたんですか? やっぱり『しょうゆ味』と同じく、当時、味噌味が流行っていたからなんでしょうか?

水谷:いいえ。当時の味噌ラーメンは、今で言うところのご当地ラーメン的な位置付けで、まだ北海道以外の地域では知る人ぞ知る味でした。札幌のラーメン屋を食べ歩いていた井田毅前社長がそこに目を付けて、これを全国展開すれば、『しょうゆ味』とともに「サッポロ一番」をブランド化できると考え、『サッポロ一番 みそラーメン』を開発したのがきっかけです。

――そうだったんですね。ところで「サッポロ一番」というネーミングもそうですが、「サッポロ一番」シリーズは、札幌の味が重要な位置付けになっていますよね。サンヨー食品あるいは井田毅前社長は札幌に何かゆかりが?

水谷:いえ……それが、サンヨー食品は群馬発祥の会社で、井田毅前社長も群馬県生まれなんです。札幌にはよく仕事で訪れていたみたいですが……。

――……そうなんですね。

水谷:よくそういう反応をされます(苦笑)。ただ、『サッポロ一番 みそラーメン』が、当時はまだ札幌周辺だけで食べられていた味噌ラーメンを全国区に引き上げたのは本当の話です。当時の多くの方が、初めて食べた味噌ラーメン=『サッポロ一番 みそラーメン』だったのではないかと。

1968年発売当時の販売風景

『サッポロ一番 みそラーメン』の発売当初のパッケージ

『サッポロ一番みそラーメン』が一番売れているのは意外にもあの地域

――そうして生まれた『サッポロ一番 みそラーメン』ですが、市場の反応はどうだったんですか? 北海道以外ではまだ味噌ラーメンの認知度が低かったということですが。

水谷:目新しく、しかも食べてみたら味噌味が美味しいということで非常に好評だったようですが、特に業界内での注目が高かったようです。ほぼ醤油ラーメン一色であった袋麺市場に、これまでなかった新しい味が生まれたということで、いろいろなメーカーから味噌ラーメンが発売されたそうです。

――袋麺市場に味噌ラーメンブームが起きた、と。

水谷:ただ、1年以上の開発期間で100パターン以上もの試作を重ねて作り込まれた我々の『サッポロ一番 みそラーメン』と、急遽企画されたものでは、味に差があったようです。『サッポロ一番 みそラーメン』は、当初から、野菜炒めなどの具材を追加しても味を受け止められる、しっかりした味付けになっていたので、それが人気を後押ししたのではないでしょうか。

――確かに。『サッポロ一番 みそラーメン』は、現在も袋麺市場で確固たる地位を築いていますよね。

水谷:そして、『サッポロ一番 みそラーメン』が袋麺市場に味噌ラーメンブームを引き起こした結果、何と、日本中のラーメン屋さんが味噌ラーメンをメニューに加えるという現象も起きました。

――現在は、有名ラーメン店の味をカップ麵で再現するのが人気ですが、それとは逆のムーブメントを生み出したんですね。ちなみに、現在、『サッポロ一番 みそラーメン』が一番売れている地域はどこですか? やっぱり味噌ラーメン人気の高い札幌でしょうか?

水谷:意外に思われるかもしれませんが、九州地方なんです。その次が関東地方で。

――それは意外!! 九州と言えば、やはり豚骨味やちゃんぽんが強いのだと思い込んでました。

水谷:これは私の想像なんですが、九州の方にとって、豚骨ラーメン=お店で食べるもので、袋麺で食べる機会が少ないのではないかと。それで『サッポロ一番 みそラーメン』を手に取っていただく機会が増えているのではないかと考えています。

――で、食べてみたら美味しくて定番化していく、と。

水谷:そういうことなんだと思います。なので我々としては、それと逆の現象が起きていそうな北海道の人にも、もっと食べてほしいと願っています。この記事を読まれている北海道の方、ぜひ、『サッポロ一番 みそラーメン』をお試しください!

ネーミングもパッケージデザインも、てんでばらばらなことが「サッポロ一番」の大事な個性!?

――ところで、「サッポロ一番」というと、味噌味のほかにも、醤油味(『サッポロ一番 しょうゆ味』)、塩味(『サッポロ一番 塩らーめん』)が有名ですよね。このなかではどれが一番売れているのでしょうか?

水谷:『みそラーメン』が一番売れています。しかも、国内の全ての袋麺のなかで、です。そして『塩らーめん』もほぼ、それに迫る売り上げを記録しています。

――さすが! ……ちなみに私の家(東京出身)では、『しょうゆ味』が定番だったんですけど、こちらはそれほどでもないんですか?

水谷:醤油ラーメンは、各社からエース級の製品が投入される超・激戦区なので、票が割れてしまうんです。逆に味噌ラーメン、塩ラーメンでは「サッポロ一番」ブランドが多くのが支持をいただいているので、こういった市場動向が形成されています。

――確かに、醤油味の袋麺を挙げろと言われれば、いろいろ思い浮かびますが、味噌味、塩味は、なかなか出てこないですね。……ところで、ここまで読んでくれた読者のなかには、そろそろ「?」って感じている方も出てきていると思うんですが、「サッポロ一番」って、商品のネーミングがちょっとおかしくないですか?

水谷:そこに気がつかれましたか……。

――『サッポロ一番 みそラーメン』『サッポロ一番 しょうゆ味』『サッポロ一番 塩らーめん』って、「サッポロ一番」以降が全然統一されてませんよね? 『みそラーメン』はひらがなとカタカナ。『しょうゆ味』は「しょうゆラーメン」じゃなく、「しょうゆ味」。かと思ったら、『塩らーめん』は漢字とひらがなです。これってメディア業界では怒られるヤツですよ! どうしてこんなことになっているんですか?

水谷:それは……

わかりません(笑)。

一応、社内では井田毅前社長のインスピレーション、ひらめきだったとされています。発売された時期がそれぞれ異なっているため、そのタイミングでベストなネーミングをしていったらこうなったのではないか、と。

実は、パッケージを並べていただくとわかりやすいんですが、製品名どころか、袋のデザインもバラバラで統一されていないんですよ。

――本当だ!! これ、ブランドコントロール的にはやっちゃいけないことですよね!!

水谷:ブランディングの常識で言ったら良くないんでしょうが、「サッポロ一番」はこれでいいんだ、と。我々は突き抜けた個性派が集まって結成された戦隊ヒーローのようなものって言っています(笑)。

――いやあ、それにしても本当にバラバラですよね。「サッポロ一番」ロゴの入り方、大きさも違うし、袋周辺部の枠の形も違う……。写真も、箸で麵を持ち上げてたり、レンゲがあったりなかったり、そもそも写真の撮り方も真上からと斜め上からという違いがありますね。本当に統一されてません。並べて見て、初めて気づきました……。

水谷:ちなみに『塩らーめん』の5個入りパックだと、左下にもオレンジの三角がついているんですよ。

――あの、これ、絶対にミスですよね? デザインを作ってる最中に間違って左下の三角を取っちゃってそのまま来てしまったとかいう。

水谷:さぁ、本当のところはどうなんでしょうね? そして、「サッポロ一番」のパッケージ最大のミステリーと言われてる『しょうゆ味』の青い矢印はご存じですか?

――あ、これ何だろうって思ってました。何なんですか?

水谷:わかりません(笑)。帽子とも矢印とも言われていますが、札幌の時計台をひっくり返して図版化したものだという人もいます。

――(なんでひっくり返す必要が……)こういうの、どこかのタイミングで、それこそ2年前の「サッポロ一番」誕生50周年のタイミングで統一しようとかいう話にはならなかったんですか?

水谷:実は、過去に何度もそういう話が出ています。そして、実際に統一された新デザインをある程度まで作り込んだりもしているのですが、最終的には却下されちゃうんですよね。こういう不統一性も含めて、50年以上続く「サッポロ一番」の個性、こだわりなのかもしれませんね。

――あの、なんか良い感じに締めようとしましたけど、意味不明ってところは何も解決してませんから!

次回は、長年にわたって『サッポロ一番 みそラーメン』の開発部隊を率いてきた開発本部本部長へのインタビューを掲載! 50年を経て、100年愛される商品にするため、サンヨー食品がどのような想いを込めて製品作りを行なってきたかなどを語っていただきます。

取材/文:山下達也
撮影:増田慶

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