『Be』：ソニーミュージックグループがYouTuberらと描く新しい関係とビジネスモデル【後編】

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  三浦 紹

  Miura Sho

  ソニー・ミュージックエンタテインメント
  コーポレートビジネスマーケティンググループマーケティングオフィス　プロデューサー

ニュータイプが集う！ 31組のクリエイターはこんな顔ぶれ

――全31組の所属クリエイターのうち3分の2が音楽系というお話でしたが、ボーカリストやバンド、ビートボクサーといった、また違うタイプのクリエイターたちが集まっています。

はい、まさに。すべてのクリエイターは紹介できないので、何組かだけご紹介させてください。既に47万人以上のチャンネル登録者を集めているボーカリストの松浦航大は、有名アーティストの声真似が素晴らしく、ひとり何役もこなして歌う最新ヒット曲の動画が100万回再生を超える勢いです。

松浦航大│https://www.youtube.com/channel/UCL-3q9TKxXvmlIntj4BQhwg

人気のアニソンやボカロ曲をバンドカバーしているストイック高校は海外でもすごい人気で、つい先日、中国最大手の動画共有サイト「bilibili（ビリビリ）」で公式チャンネルが開設されました。

ストイック高校│https://www.youtube.com/user/StoicHighschool
bilibiliチャンネル│https://space.bilibili.com/615904133

“踊ってみた”界では有名なダンサー2人組によるバケモノバケツ委員会は、ダンス動画だけでなく、日常を切り取ったマルチなYouTuber活動でさらに人気を高めていますし、既に世界的な活躍をしているビートボクサーのTATSUYA_BEATBOXやSHOW-GO、緻密なフィンガーダンスで世界的にもブレイクしているXTRAPといった人たちも、『Be』を通じてさらに国内外で飛躍してもらいたいと考えています。

バケモノバケツ委員会│https://www.youtube.com/channel/UC_9WnHcxXWFblmKnu6zzL2A

TATSUYA_BEATBOX│https://www.youtube.com/watch?v=UN9jFrirrM8

SHOW-GO│https://www.youtube.com/channel/UCo2jc38-5ogsVP8RtB5obtw

XTRAP│https://www.youtube.com/user/zangeofficial

手作りマスク動画がバズったYuki Fujihiraはプロのバレエ衣装作家

――音楽の分野以外でも、ちょっとマニアックで個性的な動画を公開しているクリエイターたちがいますね。

そうですね。今はまだチャンネル登録者数は多くないですが、注目していただきたいクリエイターも多いですね。例えば、手作りマスク動画がバズったYuki Fujihiraは、プロのバレエ衣装作家。

Yuki Fujihira│https://www.youtube.com/channel/UCcFZmWazctXJ4FqCcRs9H6w

一般的には知られざる、バレエ衣装の作り方を紹介しています。海外ではジェニー・ドーンというおばあちゃんが、YouTubeでパッチワーク・キルトを爆発的人気に押し上げた例もある。Yuki Fujihiraの動画を見たときは、我々スタッフも“バレエ衣装ってこんなにおもしろいんだ！”と認識を新たにしました。彼女の動画が熱心なバレエファン、ファッション好きのコミュニティを広げてくれることを期待しています。

あと、新しいクリエイティブとして僕が注目しているのは、映像クリエイターとエッセイストのカップルYouTuber、青いトマトです。京都でのライフスタイルをVlog（Video Blog）として発信しているのですが、映像の質感ひとつにもこだわっていて、動画がまるで一編の短編映画のように楽しめる。独特の世界が魅力的ですね。

青いトマト│https://www.youtube.com/channel/UCzNBZsAqitR4VOYAuyt-IDw

まずはUUUMに迫る存在感を示すチームに

――スタートの時点で既にオリジナリティあふれる顔ぶれとなっていますが、今後も所属クリエイターを増やしていきたいと考えていますか？

増やしてはいきたいですね。でも、ただ人数を増やせばいいと思っているわけではないので、そこはサポートする我々スタッフのマンパワーも含めて、きちんとクリエイターと向き合える体制のなかで考えていきたいと思っています。

――今後の『Be』のビジネスとしては、どんなビジョンを持っていますか？

YouTuberが所属する会社としては、現在、HIKAKINさんを代表格とするUUUMの一強体制が続いています。まずはそのUUUMに迫る存在感を示すチームを、精鋭クリエイターとともに目指したいですね。そして、既存のアーティストや既存のYouTuberにはなかったエンタメを『Be』から発信し、外部企業などとのコラボレーションにも繋げて市場を広げたいです。

今まさにYouTuberの事務所からの独立が盛んだったり、業界再編の兆しがあります。そんなタイミングに『Be』を発進できたのは、良い兆候とも感じています。SMEとしても『Be』の所属者は今までいなかった新しいタイプのクリエイター。それを強みに、これまでSMEではできなかったジャンルのビジネスにも、アクティブに挑んでいきたいですね。

取材・文：阿部美香