オンライン検定『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2022』が高めるファンエンゲージメント

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  中野裕輝

  Nakano Yuki

  ソニー・クリエイティブプロダクツ

検定でありながら優劣はつけない理由

「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」とは？

『ピーナッツ』の世界をより深く知ることで、もっと『ピーナッツ』という作品を好きになってもらうことを目的としたオンライン検定イベント。2021年3月、『ピーナッツ』生誕70周年記念の一環として初開催され、今年もオンラインで開催されることになった。設問は、コミックの内容や歴史、キャラクター、『ピーナッツ』関連施設などバラエティに富んだジャンルから出題。正答率によって「LOVERS認定証」に記載されるハートの数は変わるが、得点を競ったり、合否を判定するのではなく、すべての受検者が“PEANUTS LOVER”に認定される。受検者にはピンズなどの4大特典が贈られるほか、このイベントでしか手に入らないオリジナルグッズをオンラインで購入できる。

──今年もオンラインで開催されることになった『ピーナッツ』公式検定「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」についてお話を聞いていきます。まずは、初開催となった昨年の『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2021』を振り返って、良かった点、改善すべき点として挙がったことを教えてください。

昨年の『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2021』は、オンラインで検定を受けられる手軽さや、受検者全員が必ずもらえる4大特典の内容が好評でした。ただ、受検された方だけが購入できるグッズを用意したのですが、想定以上の売れ行きで。そのときは、希望されたすべての方に購入していただくことができませんでした（後日、受注生産で購入希望者に再販売）。また、グッズの種類が少なかったという反省点もありました。そこで今年は、グッズのバリエーションを増やし、希望された皆さまにご購入いただけるよう受注生産にしています。

また、昨年はコロナ禍の影響もあって、『スヌーピーミュージアム』と一体になった取り組みがほとんどありませんでした。そこで今年は『スヌーピーミュージアム』の担当者にも加わってもらって、『スヌーピーミュージアム』に関する問題を取り入れたり、プロモーションにも協力してもらいました。

──『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2021』を受検したファンの声で、印象に残ったものがあれば教えてください。

「こういうイベントを待っていた！」という声をたくさんいただいて、『スヌーピーミュージアム』では、キャストが来館されたお客様から「検定を受けましたよ！」とお声掛けいただくこともありました。

受検された方たちは、さらに深く『ピーナッツ』を知るきっかけにしてくださったようですし、ファンの方同士で受検した感想を話し合うなどコミュニケーションツールの役割もできたのではないかと思います。2回目の開催を発表した際も、SNS上で喜びの声が多数上がっていました。

──「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」は、公式検定と銘打ちながら合否を判定したり、得点を競ったりするものではありませんね。

“LOVERS CHALLENGE”という名称の通り、ご自身の『ピーナッツ』愛を知るきっかけにしていただく検定です。“みんなが『ピーナッツ』LOVER”という考えのもと、優劣を付けるような仕組みは『ピーナッツ』のイメージにも合わないとうことでやめました。

──受検者が閲覧できる「マイページ」で、成績は確認できるんですよね。

はい、「マイページ」でご自身の結果を確認できます。

──ちなみに、昨年は満点を取られた方はいらっしゃったんですか？

具体的な人数は控えますが、数名いらっしゃいました。マニアックな問題も含めた70問ですからね。すごいとしか言いようがありません。

4カテゴリ60問に挑戦！　“LOVE”にまつわる出題も

──『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2022』の開催において、昨年からブラッシュアップされたポイント、変更点などがあれば教えてください。

『ピーナッツ』の生誕70周年記念施策の一環としてスタートした「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」ですが、今回もバラエティに富んだジャンルから出題を予定しています。問題は「SNOOPY」（スヌーピー）、「FRIENDS & SIBLINGS」（ピーナッツの仲間やきょうだい）、「AUTHOR & HISTORY」（歴史や作者）、「VENUE & EVENT」（国内の公式施設やイベント）の4パートに分けて出題されます。

昨年は70問でしたが今年は60問になり、「AUTHOR & HISTORY」の問題が少し増えました。昨年の問題と解説、今年の想定問題、デザインイラストなどを収録したガイドブック『SNOOPYパーフェクトガイド』も発売中ですので、ぜひこちらも参考にしてください。

『ピーナッツ検定公式　SNOOPYパーフェクトガイド』（学研プラス刊）1,980円

──今年の問題の作成で、こだわりのポイントという点があれば教えてください。

『ピーナッツ』という作品を通して多くの方々にさまざまな形で愛を届けるべく、2021年の『ピーナッツ』のマーケティングテーマである「LOVE EACH OTHER,　AND I LOVE ME」にちなんで“LOVE”にまつわるいろいろな出題を予定しています。

また、2022年は『ピーナッツ』の作者であるチャールズ M.シュルツ氏の生誕100周年です。『スヌーピーミュージアム』の公式サイトでは、シュルツ氏の100年を振り返るアーカイブ「シュルツ100」を掲載していますが、著者に関する問題もあります。

──受検者特典についても、詳しく教えてください。

受験される全員の方に4大特典をご用意しています。

■『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2022』受検者特典
特典1　LOVERSピンズ
特典2　LOVERS認定証
特典3　LOVERSボールペン
特典4　LOVERS壁紙（受検後アンケート回答特典）

さらに、前回同様、受検していただいた方だけが購入できる限定グッズのオンライン販売も行ないます。昨年は1種類のみでしたが、今回は6種類ご用意しています。学帽をかぶったアカデミックなスヌーピーたちのイラストも、検定用に開発したものです。

■『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2022』受検者限定販売グッズ
・ぬいぐるみ＆トートバッグセット 3,980円
・ラバーキーホルダー　800円
・マグカップ　1,650円
・クッション　3,080円
・アクリルスタンド（4種）　各660円
・クリアファイル2枚セット　550円

■『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2022』受検者限定抽選特典

全受験者のなかから抽選で10名に、「Atlantis Peanuts スヌーピーとソップウィズ キャメル 航空機 スナップ モデルキット」をプレゼント。

──昨年は赤を基調としていましたが、今年は青がテーマカラーなんですね。

「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」が今後もつづけば、さまざまなカラー展開ができそうですよね。「毎年3月は、みんなで『PEANUTS LOVERS CHALLENGE』を受検しよう」「春は検定だね」と思い出していただける、連続性のある恒例イベントとして定着させられたらと考えています。

昨年のキービジュアルは赤が基調だった。

──毎年カラーの違うピンズがもらえるとなると、ファンの方たちはコレクションしたくなりそうですね。

ピンズは毎年恒例の特典になるので、10年つづけられたら10個のピンズを飾るショウケースをグッズとして用意するとか、スペシャルなイベントにしていけたらと思います。

──ちなみに毎年3月の開催は変わらないのでしょうか。

学生の方たちも参加していただきやすいように、一応、受験シーズンが終わるころの開催にしています。おそらく今後もこのスケジュール感は変わらないと思います。

ミュージアムと連動したプロモーション施策

──先ほど、『スヌーピーミュージアム』と一体になった施策についてお話がありました。どのようなプロモーションを展開しているのでしょう。

昨年「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」が開催されたものの、『スヌーピーミュージアム』と連動する施策は行なえませんでした。『ピーナッツ』全体を盛り上げるためにも、今年は『スヌーピーミュージアム』とコラボができないかという話になったんです。当初は『スヌーピーミュージアム』を『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2022』の検定会場にできないかというアイデアもあったんですが、やはり時節柄難しいという判断になって。ほかには、プロモーション施策としてインスタライブも行ないました。

──どのような内容だったのでしょうか？

ちょうど『スヌーピーミュージアム』で新企画展「しあわせは、みんなの笑顔」が始まるタイミングだったので、スヌーピーにも出演してもらって、新企画展と「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」を紹介しました。

7月10日まで開催されている『スヌーピーミュージアム』の新企画展「しあわせは、みんなの笑顔」。

『スヌーピーミュージアム』では過去にもインスタライブを行ない、再生回数も12万回を超えています。でも、そもそも『ピーナッツ』はコミックが原作なので、動きのあるコンテンツを見せるのが難しくて。今回のインスタライブは、スヌーピーが力を貸してくれたおかげで魅力的な動画コンテンツになったと思います。

──昨年の『PEANUTS LOVERS CHALLENGE 2021』は、前売りチケットの売れ行きが非常に良かったと聞いています。今年の動向はいかがですか？

検定の公式ガイドブック『SNOOPYパーフェクトガイド』に割引チケットを同封していたこともあって、今年も早割チケットの売れ行きが好調でした。最終的に検定を受ける方の人数も、昨年を上回ると予想しています。

『ピーナッツ』ファンの皆さんは、情報をキャッチする感度が高く、受検すると決めた方は早期にチケットを購入してくださいました。今年は昨年よりも1カ月早くチケットを販売したことも、好調な売れ行きにつながったのではないかと思います。

受検者間のコミュニケーションを促進したい

──昨年は受検者限定グッズが早々に売り切れるなど、『ピーナッツ』ファンの皆さんの熱量は変わらず高いですよね。中野さんは、その熱量にどう応えていきたいと考えていますか。

『スヌーピーミュージアム』などでも見られる光景ですが、ファンの皆さんは、ピーナッツ・ギャングに対して家族や友達のように親しく接してくださいます。当然ながら、『ピーナッツ』の連載は既に終了していますが、にもかかわらず昔ながらの友達のように優しく接してくださるのはすごいこと。それだけ日本の皆さんに愛されつづけているという証だと思います。

その熱量に応えるためにも、『スヌーピーミュージアム』や今回の「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」といった『ピーナッツ』ファンの方々の声を、ダイレクトに感じられる場を大事にしていきたいと考えています。そして、『ピーナッツ』という作品とこういった場を通して、皆さんに日常生活での癒し、ちょっとした安らぎを届けられたら最高だなと思います。

──ちなみに中野さんは、そもそも『ピーナッツ』が好きで、SCPのキャラクタービジネスに携わることになったのでしょうか。

実は学生のころ、当時は六本木にオープンしていた『スヌーピーミュージアム』でキャストとしてアルバイトをしていました。そのときに、ソニーミュージックグループが『スヌーピーミュージアム』の運営をしていることを知ったんです。

2016年～2018年までの約2年半、六本木にオープンしていた『スヌーピーミュージアム』。現在は、『六本木ミュージアム』として、期間ごとにさまざまな展覧会を開催している。

ソニーミュージックグループを志望したのは、まさに『スヌーピーミュージアム』での経験があって、自分もSCPでキャラクタービジネスに携わりたかったから。その流れがあって、2019年4月に念願叶い新卒で入社できました。入社後も幸運なことに、希望通りSCPに配属になって『スヌーピーミュージアム』や『六本木ミュージアム』の事業に携わることができています。

現在の『スヌーピーミュージアム』には立ち上げから関わり、今ではすっかり『ピーナッツ』のファンになってしまいました。気付いたら、身の周りが『ピーナッツ』グッズであふれていますね（笑）。僕はリアルな場が好きですし、その場の力を信じたい。『スヌーピーミュージアム』も、『ピーナッツ』の魅力を拡張する場としてより多くの方に来館していただけたらと日々思っています。

──お客様と接するなかで、印象深いエピソードなどはありますか？

館内にいると、お客様同士の会話が耳に入ってくることがあるんですが、原画や展示をひと通りご覧になってから、「チャーリー・ブラウンってかわいいよね」「え、ちょっと情けないよ」など、それぞれの意見が食い違うのが面白くて。お客様がどのキャラクターに感情移入しているのか、会話を通して伝わってくるんです。『ピーナッツ』はいろいろなキャラクターが登場するコンテンツなので、そういった多様性をお客様が無意識に感じ取っているのだろうなと感じます。

『スヌーピーミュージアム』で開催中の新企画展では、ピーナッツ・ギャングのそれぞれの個性あふれる一面が見られる。

──『ピーナッツ』ファンの方々がコミュニケーションできる場があると、いろいろな意見が聞けて楽しそうですね。

『ピーナッツ』に今、足りていないのは、そういったコミュニティかもしれません。例えば「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」でLOVERS度が同じくらいの方々が集えるような場があれば、もっと『ピーナッツ』愛が深まるのではないかと思います。『スヌーピーミュージアム』が、そういった役割を果たせる場になれたらうれしいです。

──最後に、「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」に興味を持たれてる方に向けてメッセージをお願いします。

『ピーナッツ』は掘れば掘るほど面白いコンテンツですし、「PEANUTS LOVERS CHALLENGE」は、その一端を知るきっかけになるイベントです。ぜひファン歴を問わずに受けていただきたいですね。

また、受検者特典もありますから、受けて無駄だったと感じられることもないと思います。

どなたでも気軽に受けられる検定なので、ぜひチャレンジしてみてください！

文・取材：野本由起
撮影：篠田麦也

©Peanuts Worldwide LLC