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連載Cocotame Series

READING HIGHHYPNAGOGIA~ヒプナゴギア~

山寺宏一は、なぜ『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』の虜になったのか? その理由を語る

2018.06.25

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心に残るストーリーと生演奏の音楽、そして様々な特殊効果を駆使した舞台演出――ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)が、演劇人・藤沢文翁と立ち上げた音楽朗読劇の新ブランド「READING HIGH」。その第2弾公演『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』が、2018年7月7~8日、Billboard Live TOKYOにて幕を開ける――。

本特集では、体感する朗読劇とも言われる「READING HIGH」の魅力を全6回に渡ってお伝えしていく。特集第5回は、2009年の『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』日本初演、2011年の再演に続き、三度、ピアニスト役を演じる山寺宏一に、本作に惹かれた理由と、本作にかける想いを語ってもらった。

山寺宏一 HYPNAGOGIA ヒプナゴギア
山寺宏一
6月17日生まれ。宮城県出身。声優、ナレーター、ラジオDJなど、声に関するあらゆるジャンルに加え、映画、ドラマ、舞台など俳優としても活躍。藤沢文翁作品に多数出演しており、今回の『HYPNAGOGIA~ヒプナゴギア~』でピアニスト役を演じるのは三度目となる。

その才能に惚れ込んだ藤沢文翁との出会い

――山寺さんはこれまでコンスタントに藤沢朗読劇に出演されていますが、そもそもは『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』が最初だったそうですね。

山寺:ええ、2009年の日本初演のときです。共通の友人で、たまたま他の芝居で音楽を担当してくれた稲本響さんというピアニストの方と「一緒に飲もう」という話になったとき、稲本さんが紹介してくれたのが、藤沢さんです。

――出会ったときの藤沢さんの印象はいかがでした?

山寺:彼はイギリスから帰国して、いろいろな舞台を手掛けているということでしたが、話をしていてとても楽しい人だと思いましたね。知らないことがないのではないかっていうぐらい、さまざまなことに精通していて、話を振るとなんでも答えてくれるんです。その出会いの直後ですね、稲本さんが「藤沢文翁と一緒に音楽朗読劇をやるんだけど、出てみない?」と誘ってくれました。

――そのお誘いで快諾されたんですか?

山寺:いえ、たしかに興味はありましたが、たくさんの声優の方が既に朗読劇をやられていたので、今から自分が出ていっても新しいことはできないのではないかと思って、即決はできませんでした。でも、よくよく話を聞いたら、共演が女優の真中瞳さんと落語家の柳家花緑さんだと。その異色の共演に興味がわいて、とりあえず脚本を読ませていただいたんです。読んでみたら、すごい物語で……。この作品はぜひやりたいと思い、すぐに連絡しました。

――脚本に惚れ込んだということですか。

山寺:はい、とにかく内容が素晴らしかったですね、それと音楽も。そのときは稲本響さんのピアノとMaLさんのヒューマンビートボックスという、これまた異色の共演だったんですが、それがじつに楽しくて。そういう演出の力も含めて、とにかく藤沢文翁という劇作家の才能に惚れ込みました。

――そこから現在にいたるまで、密なお付き合いが続いていらっしゃるんですね。

山寺:そうですね。舞台で何度もご一緒させてもらっていますが、同時に、プライベートでもとても仲が良い飲み友達になり、今に至るという(笑)。『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』の日本初演以降、彼は数々の作品を発表していますが、どうも最近は“みんなの藤沢文翁”になっちゃって(笑)。引っ張りだこになってくれるのは、友人のひとりとしてとても嬉しいんですが、彼が生み出す素晴らしい作品には僕も出続けたいと思っています。

――今回の上演はBillboard Live TOKYOで行なわれますが、朗読劇がこの会場で行なわれるのは異例なことだと伺っています。

山寺:Billboard Live TOKYOは音響設備も、会場の雰囲気も特別な空間ですからね。最初に聞いた時は、僕もびっくりしました。音楽が好きなので、Billboard Live TOKYOにはプライベートでよくライブを観に行っていますが、まさかここで朗読劇ができるとは思っていませんでした。

山寺宏一が演じるピアニストの人物像

山寺宏一 HYPNAGOGIA ヒプナゴギア

――そんな山寺さんにとって、『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』でピアニストを演じられるのは3度目です。彼をどういう人物と捉えていらっしゃいますか?

山寺:彼はピアニストとして成功する夢を持ち、それが立ち行かなくなって落ち込んでいるときに、夢の中で才能を与えてくれる女性と出会います。自分の夢の中で出会った人物から才能を得るというのは、とても不思議な体験だと思いますが、全ての人に才能はあって、人によってはそれが眠っている場合もある。誰しも最初から天才などということはないわけですから、夢がきっかけになって何かが目覚めることもあるのではないかと。そういう意味で、僕は彼が特別変わった人間だとは感じていません。

――なるほど。ピアニストの才能がどこから現われたものなのかは、藤沢さんともお話になりましたか?

山寺:話したことはあった気がしますが、この物語において、あまり重要ではないのかなとも感じていて。『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』はとてもミステリアスな物語なので、どのようにでも捉えられる余白が脚本にあります。ピアニストの才能しかり、登場人物の人物像しかりですが、そこの捉え方は観てくだる皆さんがどう感じられるかに委ねられるべきもので、初めて観ていただく方には、楽しみにしてもらえたらと思います。

――ご自身が、ピアニストに共感できる部分も多いですか?

山寺:それはありますね。彼のセリフの中に、全てがうまくいかなくて「自分が何者でもないと思った」という言葉があるんですよ。僕も、役者という仕事をしている中で、時々そういう不安に陥ったりすることがあります。

――山寺さんほどの方でもですか?

山寺:当然です。僕も声優として、役者として、まだまだ勉強中の身ですから。なので、藤沢さんの書くものは、「何か僕に教えてくれようとしてるんじゃないか?」と感じるときがあります。しかもそれが自分の役からだけでなく、作品全体からも感じ取れるんです。喜怒哀楽といった心の動きはもとより、人間関係から生まれる良いことも、悪いことも全部、ファンタジックな物語の中で、とてもうまく表現されていると感じています。

――もちろん物語としてはフィクションですが、現実世界の我々の心を捉えて放さないのは、藤沢作品の大きな魅力ですね。

山寺:はい。『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』は“ピアニストが夢を見て、女と出会い、それを現実だと思ってしまう”という、簡単なあらすじだけ見ると荒唐無稽な話です。でも、この物語はそうではない。内容をここで全てお話することができないのがもどかしいですが(苦笑)、じつに不思議な世界に我々を連れて行ってくれる。今まで藤沢さんの舞台には何本も出演させてもらっていますが、この作品で彼の才能を思い知った身としては、やはり思い入れも強いですね。

――『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』なら脳科学に通じるサイエンス要素が含まれていたり、藤沢作品はファンタジーの中に、現実的な要素が上手にちりばめられているのが、面白さを強めているのではないかと感じます。

山寺:ただのファンタジーでは終わらないんですよね。彼の作品には、歴史を描いたものも多いですが、史実に基づいた要素がたくさん重なり、そこで俄然興味が深まるんだろうなと感じます。また、藤沢さんの劇作家としての凄さは、和と洋、どちらの世界観も書けること。若い頃に渡欧しているから、ということだけではない劇作家としての懐の深さを感じます。

“「伝説」を作りたい”本作にかける想い

山寺宏一 HYPNAGOGIA ヒプナゴギア

――そんな『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』は、2011年の再演でも、夢の中の女を林原めぐみさんが演じられていました。この作品での共演は2度目になりますね。

山寺:林原さんは、僕が誘いました。林原さんとは声優として長く仕事をしてきていますし、夢の中の女役にはぴったりなんじゃないかと思って、声をかけました。

――とてもファンタジックでミステリアスなお話ですが、劇中ではピアニストと夢の中の女とのコミカルな掛け合いも楽しめるそうですね。

山寺:ええ。コメディではないんですけど、そういった会話もありますね。でもそういう心温まるふたりのやりとりがあるからこそ、シリアスな切なさも深まる。皆さんには、その辺りも楽しんでいただけたらと思います。

――そして医者役を演じられる大塚明夫さんは、藤沢朗読劇初出演になります。

山寺:そうなんですよ。前々から明夫さんにも「僕、こういう朗読の舞台をやっているんだよ」と、話はしていて。他の舞台では明夫さんとの共演もありますが、ぜひ藤沢朗読劇でもご一緒したかったんです。それが今回実現して、とても嬉しいですね。明夫さんとは2歳違いで、僕にとっては業界の兄貴分。デビュー当時から公私ともによくしてもらっていて、医者とピアニストの親友という関係にもぴったりだなと。

――皆さんの初回の脚本読みを拝見しましたが、林原さん、大塚さんとの息もピッタリ。藤沢さんも、初めての脚本読みでここまで完成度が高いのはあり得ない、と驚嘆されていました。気心が知れた皆さんだからこその素晴らしいお芝居に、期待が高まりました。

山寺:たしかに、作家も共演者も公私ともに仲が良いですからね。でもそこに甘えてはいけないので、芝居はより厳しくしていかなければならないと思っています。Billboard Live TOKYOという、ごまかしの効かない舞台も用意していただきましたし、さらに気を引き締めていきたいです。最初の顔合わせで僕は、ちょっと冗談めかして「伝説を作りましょう!」と皆さんに言ったんですが、これは本気なんです。今までたくさんの素晴らしい朗読劇を、先輩方が作られていますし、今も作品がどんどん増えています。でも、他の舞台とは一味違う! というものを、「READING HIGH」の舞台ではお見せできたらなと思っています。

――声優ファンにとっては、山寺さん、大塚さん、林原さんという名優3人が揃われることが、もはや「伝説」です。

山寺:レジェンドということなら、大先輩はたくさんいらっしゃいますし、僕らの下の世代でも圧倒的な人気と実績を誇る方がたくさんいらっしゃいますからね。僕らはまだまだレジェンドなどと言われるような存在ではありません。ただ、この3人でしか表現できないものがきっとあると思っているので、それがお客様にしっかり届くように、この舞台に全力を尽くします。

――上演も差し迫ってきました。最後に山寺さんからこの作品を楽しみにしている皆さんに、メッセージをお願いします。

山寺:藤沢朗読劇は、ビジュアルにもこだわるので、観ていて楽しい舞台だと思います。その上で、「READING HIGH」は音楽朗読劇というだけあって、「音」で何が表現できるかにも非常にこだわりを持っています。僕は藤沢朗読劇では基本的に、台本から目を離さずに、動くことなく演じています。それはほんのちょっとでも、音楽との呼吸が揃わないと芝居が変わってしまうから。当日は、音楽家のおふたりともバトルをするつもりでやりますので、そこでどんな「音」が奏でられるかにも注目してください。より丁寧に、きめ細かく演じていきたいと思います。

――「物語」と「音」、両方揃っての「READING HIGH」という訳ですね。

山寺:ええ。『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』は物語の面白さも群を抜いています。だからこそ、この作品を世の中にもっと広めていきたい。今回の公演に注目いただいた先に、例えばCD化であるとか、映画化であるとか、コンテンツとして広がってくれたら、演者としてもとても嬉しいですね。

新感覚・音楽朗読劇「READING HIGH」の第1弾公演『Homunculus~ホムンクルス~』がイオンシネマ16館で上映決定!

新感覚・音楽朗読劇「READING HIGH」の第1弾公演『Homunculus~ホムンクルス~』

昨年の12月9日、10日、カルッツかわさきで上演された「READING HIGH」の第1弾公演『Homunculus~ホムンクルス~』。心に沁みる物語、美しい音楽、そして実力派声優・俳優たちによるあまりに見事な朗読劇で、伝説とまで称されたこの舞台が、全国のイオンシネマで上映されることが決定した。

未だパッケージ化されていない、幻想的な舞台をお見逃しなく!

『Homunculus~ホムンクルス~』(2017年)

■上映日時:2018年7月14日(土)18:30~20:30(予定)
■会場:イオンシネマ 全国16館
シアタス調布、板橋、むさし村山、港北NT、幕張新都心、浦和美園、高崎、新潟南、名取、江別、名古屋茶屋、金沢フォーラス、四條畷、加古川、岡山、福岡
■チケット情報
料金:3,600円(全席指定・消費税込み)
チケット先行販売・一般販売:イープラス(新しいタブで開く)
・プレオーダー受付(抽選先行販売)
受付期間:6/13(水)12:00~6/18(月)23:59
・一般発売(先着順)
受付開始:7/1(日)12:00~
キャスト:諏訪部順一、梶裕貴、豊永利行、甲斐田ゆき、梅原裕一郎、関智一、石黒賢

新感覚・音楽朗読劇 READING HIGH premium『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』

■会場:Billboard Live TOKYO(東京ミッドタウン内)
■公演スケジュール
7月7日(土)
昼:14:30開場/15:30開演
夜:19:00開場/20:00開演
7月8日(日)
昼:13:30開場/14:30開演
夜:18:00開場/19:00開演
■原作・脚本・演出:藤沢文翁
■音楽監督:村中俊之
■キャスト:山寺宏一、大塚明夫、林原めぐみ
■制作:Zeppライブ
■主催:ソニー・ミュージックエンタテインメント

※一般販売は予定枚数終了しています。

©READING HIGH

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