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連載Cocotame Series

「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」から見えてくる、エンタテインメントとしてのスポーツの未来

2018.06.12

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2016年、男子プロバスケットボールリーグB.LEAGUEが日本に誕生した。
去る2016-17シーズンの開幕戦では世界初のLEDコートを作り、コート全体に映像を映しながら試合を行なうなど、これまでのスポーツの常識を壊す、エンタテインメントとしてのスポーツがそこにあった。

試合のおもしろさもあいまって、2年目の今シーズンもさらなるファンを獲得している。シーズンを終えたばかりのB.LEAGUEの表彰式「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」をレポート。そこから見えてくるスポーツの未来像とは?

AWARD SHOWの名前にふさわしいスポーツの枠を超えた表彰式

プロバスケットボールリーグB.LEAGUEの2017-18シーズン最後を締めくくる「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」が恵比寿ガーデンプレイス広場で盛大に行われた。今シーズン活躍した選手たちが一同に会するとあって、観覧応募の抽選倍率はなんと100倍超え。抽選に外れたファンも、このイベントの様子を見ようと会場に集まった。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18

「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」は、レギュラーシーズン最優秀選手賞(MVP)の他、レギュラーシーズンベストファイブ、新人賞、得点王、アシスト王、リバウンド王など、シーズンを通して活躍した選手たちを個人表彰するイベントだ。

登場した選手たちは、メンズ・ファッション&クオリティ・ライフスタイルマガジン「GQ JAPAN」によるコーディネートでスタイリッシュな姿を披露。身長210㎝のニック・ファジーカス選手をはじめ190㎝台の選手たちの着こなしはまさにスーパーモデル級。

イベントの司会を務めた別所哲也さんも身長186㎝と大柄ながら、その迫力に驚いていた。司会アシスタントは元AKB48の秋元才加さんが務めた。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 秋元才加さん、別所哲也さん

写真左から、秋元才加さん、別所哲也さん

試合とはまた違った緊張感の中で、B1年間表彰からスタート。今シーズンのチャンピオンとなったアルバルク東京のルカ・パヴィチェヴィッチ氏に“最優秀ヘッドコーチ”の称号が、キャプテンを務めた正中岳城選手には優勝トロフィーが贈られた。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 プレゼンターの大河正明チェアマンとルカ・パヴィチェヴィッチHC

プレゼンターの大河正明チェアマンとルカ・パヴィチェヴィッチHC

正中選手は、受賞スピーチの中で、「これからのバスケットボール界、B.LEAGUEが発展していく中で、このトロフィーの重みがより増していくと思います」と語りながら、B.LEAGUE2代目チャンピオンチームとしての責任の重みを噛みしめていた。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 正中岳城選手

正中岳城選手

年間表彰に続いて、各スタッツのランキングで1位になった選手を表彰する「B1リーダーズ表彰」。昨年Jリーグを制した川崎フロンターレの中村憲剛選手と小林悠選手が表彰プレゼンターとして登壇。

“得点王”のダバンテ・ガードナー選手(アルビレックス新潟)、“アシスト王”の宇都直輝選手(富山グラウジーズ)、“リバウンド王”のニック・ファジーカス選手(川崎ブレイブサンダース)、“スティール王”のマイケル・パーカー選手(千葉ジェッツ)、“ブロック王”のハシーム・サビート・マンカ選手(横浜ビー・コルセアーズ)、“ベスト3P成功率王”の喜多川修平選手(栃木ブレックス)、“ベストFT(フリースロー)成功率王”の金丸晃輔選手(シーホース三河)が表彰された。

その中で注目したいのが、2年連続でアシスト王を獲得した宇都直輝選手(富山グラウジーズ)。来シーズンは富山で「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2019」が行なわれることもあり、富山でのバスケットボール人気をさらに高めるためにも、来シーズンも彼の働きが欠かせない。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 宇都直輝選手

宇都直輝選手

さらに年間を通じて印象に残るプレーを見せた選手に対しての賞が贈られた。“ベスト6thマン”は、途中出場でチームに貢献した選手に与えられる賞で、藤井祐眞選手(川崎ブレイブサンダース)が受賞。彼は高校時代にウインターカップで1試合79点の歴代最高記録を持つ選手で、試合途中からゲームの流れを変える役割が評価された。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 藤井祐眞選手

藤井祐眞選手

“ベストディフェンダー賞”は、出場している時間は常に全力でハードマークに当たる橋本竜馬選手(シーホース三河)が受賞。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 橋本竜馬選手

橋本竜馬選手

“ベストタフショット賞”は、ディフェンスの頭越しに豪快なダンクを決めたハッサン・マーティン選手(琉球ゴールデンキングス)がファン投票によって選ばれた。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 ハッサン・マーティン選手

ハッサン・マーティン選手

試合のリピーターが続出。B.LEAGUEがエンタテインメント業界からも注目される理由

2シーズン目を迎えたB.LEAGUE、1部リーグのB1は全18クラブあり、全国を東地区、中地区、西地区の3地区に分け、レギュラーシーズン60試合を戦う。シーズンは9月末に始まり、5月に終了。そこから上位8クラブで争われる「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP」トーナメントに突入し、そこで勝ち抜いたふたつのクラブが決勝戦にあたる「B.LEAGUE FINAL」で対戦。今年のFINALは5月26日横浜アリーナで行なわれ、千葉ジェッツvs.アルバルク東京にB.LEAGUE史上最多の12,005人が集まった。

この人気を支えるのが、最後まで諦めない選手たちの全力プレーに加え、試合会場作りまで含めて徹底的にエンタテインメント性にこだわった演出にある。「B.LEAGUE FINAL 2017-18」の会場となった横浜アリーナには、コンサートのような照明を設置し、FINALに進出した千葉ジェッツとアルバルク東京のスターティングメンバーを紹介する際には火柱が上がる演出を行なうなど、これまでの日本のスポーツの常識を覆す世界観を作り上げた。ハーフタイムにはB.LEAGUE 2017-18シーズンの公式テーマソングを歌った5人組のダンス&ボーカルグループFlowBackもパフォーマンスを行なった。

こうした取り組みは、選手にも大いに刺激を与えている。今回、「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」で“新人賞”を獲得した馬場雄大選手は、「FINALに出て、改めて試合以外の演出の部分もすごいと感じました。それもまたB.LEAGUEらしさだと思います。こういうエンタテイメント性も含めて、まだB.LEAGUEを見ていない方にはぜひ見て欲しいですね。プレーはもちろんですが、エンタテイメント性も推したいところです!」

これまで日本の室内スポーツは、演出や飲食・土足が禁止など施設面での制約が多かったものの、B.LEAGUEではこうした問題をすべてクリア。アルコール類の販売もOK、演出面でも照明と音響設備を自ら持ち込むなど、試合を盛り上げるために様々な取り組みを実施している。

また、リーグやクラブ、選手も含めソーシャルメディアを最大限活用し、地域とクラブ、選手とファンの距離を近づけたことも特徴のひとつ。スマートフォン・アプリを利用したデジタルチケットなどIT技術を積極的に取り入れ、観戦しやすい環境を整備している。多彩な応援グッズや地域性のあるフードの販売も含め、ホスピタリティを充実させた観客満足度を高めることで、バスケットボールの競技未経験者やファミリー層も数多く来場。試合が接戦となった時などは、ルールを知らなくても自然と応援してしまう雰囲気もあって、初めてバスケットボールを見た人の多くがリピーターとなっている。その人気ぶりはスポーツビジネスだけでなく、エンタテインメント界からも注目を集める存在となっている。

日本のバスケットボールの未来を託された才能豊かな選手たちがファンとともに歩む理想形

今回の「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」では、SNSを通してファンが投票を行ない、表彰選手を決める取り組みも行なわれた。特別表彰として、ファッショナブルなスタイルで人気を集めた選手に贈られる“B.LEAGUEファッションアイコン”は、西村文男選手(千葉ジェッツ)が獲得。副賞として「GQ JAPAN」の特集号に登場することも決定。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 西村文男選手

西村文男選手

SNSで新たな動きを生んだ選手に贈られる“ソーシャルメディアリーダー”には、今季限りで引退が決まっている伊藤俊亮選手(千葉ジェッツ)が選ばれた。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 伊藤俊亮選手

伊藤俊亮選手

B.LEAGUEの全クラブのマスコットの中から、SNS投票でNo.1を決める“マスコットオブザイヤー”は、並みいる強敵を退けて、ジャンボ(千葉ジェッツ)がその座に輝いた。表彰プレゼンターは、今年1月、熊本で行なわれた「B.LEAGUE ALL-STAR GAME2018」のアンバサダーとして活躍したタレントおのののかさんとくまモン。

また、B.LEAGUEがテーマとして掲げる「BREAK THE BORDER(=境界を壊せ)」を冠した“BREAK THE BORDER賞”は、B.LEAGUE最年長選手にしてチームの取締役も務める折茂武彦選手(レバンガ北海道)の手に。それを祝してチームメートの松島良豪選手がサプライスで登場。シーズン中、ファンを盛り上げるために“劇団松島”として試合会場でパフォーマンスし話題になった「ダンシング・ヒーロー」に合わせたダンスをステージでも披露し、会場を大いに沸かせた。

そのほか、年間最優秀レフリーへの“最優秀審判”の表彰や、長年チームを支えた株式会社東芝に対して“特別賞”が、B.LEAGUEの社会活動の一環でアルバルク東京の一員として活動をともにした7歳の人形櫂世君に“B.LEAGUE Hope特別賞”が贈られた。

ファンと選手との距離を縮める取り組みに対して、“入場者数No.1クラブ”、“ホスピタリティNo.1クラブ”、“ソーシャルメディア最優秀クラブ”といったクラブを対象にした表彰もあり、そのすべてを千葉ジェッツが獲得。千葉ジェッツは、B.LEAGUEきっての人気クラブで、その中心となるのが、富樫勇樹選手。

“レギュラーシーズンベストファイブ”にも選ばれた彼のポジションはPG(ポイントガード)という、ゲームメークを担いアシストや自らのシュートでチームを勝利に導く役割。相手ディフェンスを切り裂くようなドリブルで突破口を開き、シュートをアシストしたり、スキあらば自らシュートを放つ。「打てるシュートはすべて打つようにしています。ただ、自分が打つよりもノーマークになっていて得点を入れられるチャンスがより高い選手に対してのパスも当然意識しています」

プレゼンターの三屋裕子JBA会長と“レギュラーシーズンベストファイブ”。左から富樫選手、田中選手、ファジーカス選手、比江島選手、金丸選手

プレゼンターの三屋裕子JBA会長と“レギュラーシーズンベストファイブ”。左から富樫選手、田中選手、ファジーカス選手、比江島選手、金丸選手

“レギュラーシーズンベストファイブ”には、そのほか、昨シーズンMVPを獲得し、今シーズンも“リバウンド王”を獲得したニック・ファジーカス選手(川崎ブレイブサンダース)、「B.LEAGUE FINAL 2017-18」のMVPを獲得した田中大貴選手(アルバルク東京)、FT成功率92.3%を記録し、安定した得点力を持つ金丸晃輔選手(シーホース三河)が選ばれた。

そして、“レギュラーシーズンベストファイブ”の中から選出される、今シーズンもっとも活躍した選手としてMVPに輝いたのが、比江島慎選手(シーホース三河)だ。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18 比江島慎選手

比江島慎選手

比江島選手は、FINAL進出をかけたアルバルク東京との第2戦で、残り9.9秒で3点差を追う展開となり、ここで入れなければすべてが終わるという場面で見事な3Pシュートを決めて、延長戦に持ち込んだ。勝負どころで集中力を発揮して必ずシュート決めるところから、そんな場面は「比江島タイム」と呼ばれるようになった。「そういうときは、ワクワクするというか、俺の出番が来たなというメンタルに変わります!」。

プレッシャーすら楽しめる強心臓ぶりが魅力の比江島選手だが、MVP受賞の際のスピーチでは、プライベートで母を亡くしたことを思い出しながら時折涙ぐむ瞬間も。
「これからも母親のため、バスケットボール界の発展のためにも、もっともっと精進していきたい。賞に恥じないようなワクワクするプレーを今後も続け、またMVPを取れるようにしたいです。日本代表でも結果を出し、B.LEAGUEやバスケットボールの知名度を上げていきたいと思います」と、力強く語った。

比江島選手をはじめ、「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」に登場した選手たちの多くは、日本代表選手にも選出されている。これから2020年東京に向けて、B.LEAGUEの盛り上がりと彼ら活躍が右肩上がりの成長を続けることで、日本のバスケットボールの未来を切り開いていく。

B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18

撮影:増田慶

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