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連載Cocotame Series

C3AFA Hong Kongレポート

『C3AFA 香港』アジアのアニメ&ゲームファンはアニプレックス&UNTIESをどう見る?

2018.02.28

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『C3AFA Hong Kong』(以下、C3AFA HK)で注目を集めていたのが、ソニーミュージックグループのアニメを中心とした映像の企画・製作を行うアニプレックス(以下、ANX)と、2017年末にスタートしたゲームパブリッシング事業を行なう新レーベル「UNTIES」のブースだ。

両ブースの様子をお届けするとともに、『C3AFA HK』での手応え、アジアにおける今後の事業戦略を出展関係者に聞いた。

アジア市場は世界進出の基盤! 作品をプッシュし、関連グッズでさらなるファン獲得を

『C3AFA HK』では、開場と同時に人々が会場内に駆け込み、我先に、とお目当てのブースへ疾走する姿が連日見られた。その“お目当て”のひとつとして、終始ファンの行列が絶えなかったのがANXブースだ。

『C3AFA 香港』Aniplexブース

日本におけるアニメカルチャーの代表であり、ヒットメーカーとしてANXの名が香港に浸透している実感に加え、香港のアニメファンのニーズに応える作品が多数発信されている事実を、改めて目の当たりにした。

『C3AFA HK』のANXブースはスペースを2分した構成に。半分のゾーンは丸戸史明原作のアニメ『冴えない彼女の育て方』(以下、「冴えカノ」)グッズのショップ。

もう半分には、アジアでも人気が沸騰している「Fate」シリーズ、昨年劇場版が海外だけで9,500スクリーンを超える規模で公開された「ソードアート・オンライン」(以下、「SAO」)シリーズなど、世界的人気を誇るタイトルを中心に、12作品のキャラクターフィギュアを展示。

今年1月よりNetflixでの全世界同時配信が話題となった『DEVILMAN crybaby』のフィギュアも注目を集めていた。

ずらりと並ぶ関連グッズとファンの様子を見ていて興味深かったのは、香港ユーザーが注目しているアイテムが、日本のトレンドとほぼ変わりがないことだ。

ANXライツ事業第1グループMD管理部 次長の佐々木宏さんは、その理由を「もともと日本のアニメ作品はアジア圏で注目度が高かったのですが、近年はサイマル配信(日本とほぼ同時に行われるインターネット配信)のインフラがかなり強化され、日本とほぼタイムラグなく話題作が視聴できる環境が整ってきたからではないかと考えています」と分析。

例えば香港では、ANXが海外窓口を担う新作のほぼ全てが、日本のオンエアからわずか1時間後に配信され、鑑賞可能となっている。

ANX ライツ事業第2グループ海外ライセンス部 チーフの本間久美子さんも、「とくに東アジアの香港や台湾などは日本のマーケットと感覚が近しく、アニメの人気や熱気、話題もそのまま伝わっているように思います。『C3AFA』のようなイベントでの作品・商品展開はそういった点を踏まえて選定し、非常に効果を上げています」という。

今回、ブースの一角では、現在日本でも受注受付中の「Fate」の最新アイテム、劇場版に登場する実物大のエクスカリバー『Fate/stay night[Heaven's Feel] 1/1 約束された勝利の剣』の現物サンプルを工場から直接取り寄せて展示し、人だかりを生んでいた。

『Fate/stay night[Heaven's Feel] 1/1 約束された勝利の剣』の現物サンプル

『C3AFA HK』で、フィギュアやグッズ販売をメイン展示として強化したのにも理由がある。佐々木さんによれば、「香港のユーザーはアジア地域でもコレクター色がかなり強く、香港からのANXのフィギュアの注文数は全世界で3~4番目に多いんです。我々は今後も自社タイトルの商品化に力を入れていくので、香港のアニメファンのニーズにも応えていきたいと考えています」。

「冴えカノ」グッズの即売ミニショップ「冴えカノ♭ SHOP HONG KONG」も、コレクター気質の強い香港ユーザーの心をガッチリと掴んでいた。グッズのラインナップは、昨年東京で開催されたSHOPで販売されたもの。香港のアニメショップでは売られていない、ANXの限定アイテムだけに、ファンが殺到するのも当然だった。

そして、ANXは今回、『C3AFA Singapore』に続き香港でも、「冴えカノ」のメインヒロインのひとり、加藤恵を演じる声優・安野希世乃さん出演のトークイベント(※後日、このサイトでレポート予定)とサイン会を実施。どちらも大変な盛り上がりをみせた。

『C3AFA 香港』藤恵を演じる声優・安野希世乃さん出演のトークイベント

冴えカノ

また、香港を経た上での中国本土への事業戦略を尋ねると、「中国は市場としてはとても魅力的だが、香港、台湾とは、規制もビジネスフローもマインドも異なります。現地代理店を通じた全世界のフィギュア販売数が日本を上回る例もあるので、現地に合わせた戦略で今後も取り組んでいきたいです」とさらなる意欲を見せる。

北米では「Aniplex of America Inc.」、ドイツではpeppermint enterprises Ltd. & Co KGとの合弁会社「peppermint anime GmbH」を設立、フランスでは「Wakanim SAS」に出資、経営に参加するなど、欧米でも海外展開を精力的に行なっているANX。

中国では、「Fate」シリーズのアニメやゲーム展開について、動画配信サービスを運営する嗶哩嗶哩(ビリビリ)と共に作品ブランディングを行ない大ヒットを飛ばすなど、ANXのブランド力をますます高めているアジア市場に今後どう斬り込んでいくか、さらなる展開に期待したい。

写真左からANX ライツ事業第2グループ海外ライセンス部 チーフの本間久美子さん 同ライツ事業第1グループMD管理部 次長の佐々木宏さん

写真左からANX ライツ事業第2グループ海外ライセンス部 チーフの本間久美子さん 同ライツ事業第1グループMD管理部 次長の佐々木宏さん

ANXオフィシャルサイト(新しいタブで開く)
ANX直営セレクトショップ「ANIPLEX+」(新しいタブで開く)
TVアニメ『冴えない彼女の育て方♭』オフィシャルサイト(新しいタブで開く)
TVアニメ『冴えない彼女の育て方♭』Twitter(新しいタブで開く)

めざすは世界に羽ばたく“G&R”! ゲームレーベルUNTIESが『C3AFA HK』で得たものは?

今回の香港開催で、『C3AFA』に初めてブース出展したのが、「UNTIES(アンディーズ)」だ。「UNTIES」はソニー・ミュージックエンタテインメントが昨年10月に立ち上げた、ゲームパブリッシング事業を行なう新レーベル。

近年のゲーム業界は、テクノロジーの進化と開発環境の発展に伴って、個人や少人数でもゲーム制作と配信が可能になり、独創的なインディーゲームが世界的ブームを巻き起こしている。そこで「UNTIES」は、良質なインディーゲームを見いだし、ソニーミュージックグループがもつエンタテインメントのビジネスノウハウを活かして、タイトルの情報拡散・販売をマルチプラットフォームで行なっている。

そんな「UNTIES」が、『C3AFA HK』出展にあたって用意したゲームは3タイトル。ひとつは、昨年末に世界同時配信を果たした「UNTIES」第1弾タイトル「TINY METAL(タイニーメタル)」だ。このゲームは、往年のターン制ストラテジーゲームの懐かしさと近代的なデザインが融合した、カジュアルに楽しめる超本格戦略シミュレーションゲーム。

「UNTIES」第1弾タイトル「TINY METAL(タイニーメタル)」
海外向けには既に英語版でリリースされているタイトルだが、「2月15日には中国語版がリリースされるので、改めて香港でプロモーションするには絶好の機会。中華圏ではPC向けゲーム購入サイト『STEAM』での販売が主体でしたが、今回はPlayStation®4などのコンシューマ版のアピールも兼ね、出展を決めました」と、「UNTIES」を牽引するソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)デジタルコンテンツグループXEチームGPルームのプロデューサーである坂本和則さんと同ルームの伊東章成さんはいう。

そしてもう2作は、『不思議の幻想郷 TOD RELOADED』と『舞華蒼魔鏡』だ。『不思議の幻想郷 TOD RELOADED』は、遊ぶたびにダンジョン構造や拾えるアイテムが変化するダンジョン探索RPGで、『舞華蒼魔鏡』は横スクロールの弾幕シューティング。

『C3AFA 香港』UNTIESブース
『C3AFA 香港』UNTIESブース

日本国内では「UNTIES」が、昨年末に『不思議の幻想郷 TOD RELOADED』のNintendo Switch™版、今年1月に『舞華蒼魔鏡』のPlayStation®4版の配信をスタートさせている。この2作の中国版はまだリリースされていないが、坂本さんは「日本の若いゲームファンに大人気の『東方Project』の、香港やアジア圏での人気や、ユーザーの生の反応を見たかった」と、出展した理由を説明してくれた。

では実際、ふたりの目に『C3AFA HK』の「UNTIES」タイトルへの反応は、どう映ったのだろうか?

『TINY METAL』に関しては、「予想以上に、キッズ層への訴求力が大きいことを感じました」と伊東さん。実際、『TINY METAL』の試遊台には、親しみやすいビジュアルに惹かれてか家族連れが多く、子どもが楽しそうに遊んでいる横で父母がプレイを見守っている姿がよく見られた。

『C3AFA 香港』UNTIESブース

「戦略シミュレーションというゲーム性を考えると、中国版発売前はゲームに熱心なティーン層以上のユーザーがPCで遊ぶ想定はしていましたが、子どもに好かれるということは、家庭用ゲーム機でよりユーザー層を広げられる可能性も高い。配信だけでなく、パッケージ版のセールスも期待できそうです」と伊東さんは話す。

さらに、ユーザーの反応に興味を持っていた「東方Project」ファンゲーム2作については、「想像を超える手応えを感じました」と、伊東さん。「事前に、香港や台湾などのアジア圏でもインターネットを通じて『東方Project』の人気が高まっていることは知っていた“つもり”でしたが、アニメファンへの浸透度の高さは想像以上でした。プレイヤーは中高生の女性も多く、人付きも大変良かったです。同人ゲームが出典の『東方Project』作品は、海外進出を牽引する旗振りがいなかったため、どこまで受け入れられるか未知数でしたが、今回の経験を踏まえた新たな戦略を我々が積極的に担っていきたいと思います」と目を輝かせる。

『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』

『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』

 

『舞華蒼魔鏡』

『舞華蒼魔鏡』

また、今回の『C3AFA HK』への出展は「UNTIES」にとって、ユーザー動向を探るだけではない、より大きな意味もあったという。それが、アジアでの拠点づくりへの足がかりだ。

「我々がめざす目標のひとつは、しっかりとローカライズがされた上での、インディーゲームの世界同時ローンチ、そしてグローバル化です。しかし、人口的にも巨大マーケットとなる中国は、海外戦略において非常に特殊な市場。販売ルートも日本や欧米のように明確ではないので、もしも中国進出を図るなら、現地拠点は不可欠。そのためのスタッフ育成も含めて、今回の『C3AFA HK』の手応えをきっかけにしていきたいです」と坂本さんは話す。

さらに、アジア拠点を作ることで「新たな才能の発掘にも役立てたい」といい、「欧米のインディーゲームクリエイター発掘事情は、すでに成熟している感がありますが、アジアは文化の違いやゲーム機の普及状況の違いもあり、まだまだ才能が眠っていると感じています。日本はもとより、アジアの新たなクリエイターや良質なインディーゲームを発掘し才能を育て、諸外国に広めることにもぜひ挑戦したいです」と坂本さんは語る。

そして、才能の発掘・育成、制作・宣伝をトータルで担い、日本や世界を繋いでゲーム業界をより発展させることをめざす「UNTIES」を、坂本さんは「ゲーム業界のA&R」と例える。

「少なくとも日本のゲーム業界には、各作品のプロデューサーやディレクターはいても、そもそもクリエイターを育てる音楽業界で言うところのA&R的存在が皆無なことを、ずっと疑問に思っていました。インディーゲーム開発者は、個々で活動している音楽アーティストと捉え、『UNTIES』は今後、世界を視野に入れた“G&R(ゲーム&レパートリー)”となり、新たな才能を育成していきたいですね」。

『C3AFA HK』で得たアジア進出への手応えを、よりグローバルなゲームクリエイト&パブリッシングへと結び付け、昇華させていく「UNTIES」。日本発のゲームビジネスに、新しい風を吹かせてくれるに違いない。

写真左からSME デジタルコンテンツグループXEチームGPルーム伊東章成さん 坂本和則さん

写真左からSME デジタルコンテンツグループXEチームGPルーム伊東章成さん 坂本和則さん

UNTIESオフィシャルサイト(新しいタブで開く)
TINY METALオフィシャルサイト(新しいタブで開く)
不思議の幻想郷 TOD RELOADEDオフィシャルサイト(新しいタブで開く)
舞華蒼魔鏡オフィシャルサイト(新しいタブで開く)

『C3AFA HK特集』4回目は、2日目の2月11日にメインステージで開催された「乃木坂 46 Special Stage」とその翌日行われたサイン入りポスターお渡し会の様子をお届けする。

©2017 AREA 35, Inc. / ©2017 HIROAKI YURA. All rights reserved. Published by Sony Music Entertainment (Japan) Inc. ©上海アリス幻樂団 / ©2017 AQUA STYLE Published by Sony Music Entertainment (Japan) Inc. ©上海アリス幻樂団 / ©2018 souvenir circ. All rights reserved. Published by Sony Music Entertainment (Japan) Inc.©2017 丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/冴えない♭な製作委員会

※ “PlayStation”は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。
※ Nintendo Switchは任天堂の商標です。

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