『FGO Fes. 2018』はこうしてできた! 主催×運営事務局インタビュー<後編>
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2018.08.23
スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)の3周年を記念したリアルイベントとして、7月28日と7月29日に幕張メッセ9〜11ホールで開催され、盛況のうちに幕を閉じた『Fate/Grand Order Fes. 2018 ~3rd Anniversary~』(以下、『FGO Fes. 2018』)。
特集第2回は、去年よりさらにパワーアップした『FGO Fes. 2018』に主催として携わった株式会社アニプレックス(ANX)の金沢利幸さんと、運営事務局として携わった株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(SMC)の竹内大博さんをインタビュー。
運営側からの『FGO Fes. 2018』の成り立ちや魅力について、前編・後編にわたってお届けする。
目次
金沢利幸
Toshiyuki Kanazawa
アニプレックス
竹内大博
Masahiro Takeuchi
ソニー・ミュージックコミュニケーションズ
――『FGO Fes. 2018』におけるお二人の役割をお聞かせください。
金沢:僕はFGO PROJECTの中で宣伝を担当しているんですが、『FGO Fes. 2018』では主催であるFGO PROJECTの一員として、企画や宣伝の取りまとめを担当しました。
竹内:僕らSMCは、昨年の『Fate/Grand Order Fes. 2017 ~2nd Anniversary~』(以下、『FGO Fes. 2017』)から運営事務局として『FGO』のリアルイベントに関わらせていただいています。
基本的には主催であるFGO PROJECTの方々からどんなことをやりたいか、オーダーがあって、それを実現するためにどうしたらいいかを収支も含めて興行ベースで一緒に考えていく役割です。通常のイベントだと決められた予算内でやりくりしていくことが多いんですが、『FGO Fes.』では、売上は念頭に置きつつ、やりたいことをより良く大きいものにするために、予算を増やすことまで考えるなど、深く関わらせていただいています。
――『FGO Fes. 2018』の開催目的や開催経緯を教えてください。
金沢:『FGO』のゲームユーザーの方に目に見える形で日頃の感謝を伝え、ゲーム内だけでなくゲーム外でも『FGO』というコンテンツを体感していただける場所を作りたいという想いから、『FGO』配信1周年のタイミングの2016年夏から大きなリアルイベントを開催しています。
『FGO Fes. 2018』においてもその思いは変わらず、昨年よりも開催規模や来場者数を増やし、ゲームの外でも『FGO』を楽しんでいただける場を提供するということを目的に開催しています。
昨年の『FGO Fes. 2017』閉幕直後から今年の開催の見込みはあったのですが、年末年始の2017年12月〜2018年3月には『FGO冬祭り 2017-2018 ~冬のファラオ大感謝祭~』(以下、『FGO冬祭り』)という地方巡業イベントがあったり、3月には『AnimeJapan』という2年連続で『FGO』が大きなブースを出展させていただいている大きなイベントがあり、『FGO Fes. 2018』の具体的な中身を決め始めたのは、それらが終わった初春あたりからでしたね。
『Fate/Grand Order』2周年イベント『Fate/Grand Order Fes. 2017 ~2nd Anniversary~』の様子
『FGO冬祭り 2017-2018 ~冬のファラオ大感謝祭~』
――今年は『Fate Night FES. 2018』という、『FGO』やFateシリーズの楽曲アーティストが出演するライブイベントも開催されました。
金沢:『FGO Fes. 2017』は、ステージあり展示あり物販あり関連企業の出展ありと、色々な楽しみ方のできるイベントとなり、来場者の方々にも喜んでいただけたと思います。
ですが、今年の『FGO Fes. 2018』を開催するにあたり、昨年と同じことをやっていても面白くないという思いが、自分を含め『FGO』に関わる方たちの共通認識としてありました。ならば昨年とは違うどんな面白いことができるのかと考えた時に、ANX、ひいてはソニーミュージックグループの根幹である音楽を打ち出せないかと思い、ライブイベントに挑んでみようと決めました。
Fateシリーズの作品に関わるさまざまなアーティストの方々にご出演いただく、音楽フェス形式のライブイベントをANXが主導して実施することは初なので、ANXとして新たな可能性を探るチャレンジになりました。
――同じことをやっていても面白くないというお話が出ましたが、昨年と比べて今回変わったことやパワーアップしたことはありますか?
金沢:まず大きく変えたのはステージです。昨年は着席が約300、立ち見が約700の計1,000人規模の観覧だったところを、今年は着席を1,000、立ち見を4,000の計5,000人の方が見られる大きなステージにし、イベントの構成を、ステージが栄えるフェスにしました。
次に、昨年はフェスのために描き下ろしていただいた正装したサーヴァントをスタンディにして展示した「FGO After Party」を行ないましたが、今回はイベントコンセプトでもある“Journey”をテーマに「サーヴァントと巡る世界展」として、欧州や中国、日本など実在する国や地域の装いに身を包んだサーヴァントの描き下ろしをスタンディにし、背景もその国や地域をイメージしたリアルな展示にしました。
竹内:しかも、昨年は展示エリア内の片側に寄せて背景やスタンディを設置したため、片側からしか見ることができなかったところを、今年は展示エリア内の両サイドに置きその間に通路を作ることで、お客様自体がその展示の世界に入り込み、360度どこからでもその展示の世界感を堪能できる、没入感を大事にしたつくりにしました。
――会場の中央にある円柱状のスクリーンが印象的でした。
金沢:場内の映像演出に、昨年はプロジェクションマッピングを使用したんですが、今年は高さ13m×幅10mの大きな円柱スクリーンに4.5m四方のLEDスクリーンを左右に取り付けた「Grand TOWER」というコンテンツを用意しました。
竹内:去年は壁1面を使ったプロジェクションマッピングだったので、平面の映像演出でした。今年は映像についてもパワーアップさせたいなと運営事務局の中でも色々考えていたんですが、ちょうどその頃、『FGO』の第2部が配信され「空想樹」という白い巨大樹のような敵が出てきて。なんとかこれを立体化できないかと、提案してみたんです。
金沢:SMCさんからこの提案を聞いた時、すごいなって思いましたね。
竹内:「面白いもの思いついちゃったんですけど、どうですかこれ?」っていう軽い気持ちで提案させていただきました。これも普通にやっていたら単に円柱に映像が流れるだけになるんですが、そこに照明やスモークを取り入れて、レーザー演出や雲の表現など、より立体的な映像演出によってお客様に楽しんでいただけたのではないかと思っております。
金沢:また、「Carnival STAGE」というミニステージでは、声優さんのセリフによる初の着ぐるみショーにチャレンジしたり、オフィシャルコスプレイヤーが登壇するステージを行なったり。今回は一般来場者のコスプレをOKにしていたので、一般コスプレーヤーの方々にステージに上がっていただくコスプレギャザリングや、『FGO冬祭り』でも盛り上がったゲームをプレイして最高ダメージを競うというチャレンジクエストなど、来場者参加型の催しも行ないました。
ほかにも、『FGO』関連プロジェクトとして、セガ・インタラクティブさんが開発している「Fate/Grand Order Arcade」というアーケードゲームのエリアや、ANXがライセンシーとして携わっているフィギュアとボードゲームが融合した「Fate/Grand Order Duel -collection figure-」の体験エリアなど、昨年より広がった『FGO』の関連プロジェクトを体験いただけるエリアが増えたと思います。
竹内:あとはリアル脱出ゲームもやっていますね。
金沢:SCRAPさんと共同で『Fate/Grand Order×リアル脱出ゲーム「謎特異点Ⅰ ベーカー街からの脱出」』(以下、『FGO×リアル脱出ゲーム』)を全国で開催しているんですが、その出張ライト版を会場内で開催しました。開場時間からお越しのお客様全員が入場し終わる想定時間が11時30分だったので、ゲーム開始時間を12時に設定し、12時になると主催側がコントロールできる会場内全てのモニターに『FGO×リアル脱出ゲーム』のオープニング映像を流し、まずはこの世界観に入り込んでゲームを楽しんでもらえるようにしました。
竹内:通常のイベントでは、会場内を回遊する企画というとスタンプラリーが定番だと思いますが、『FGO×リアル脱出ゲーム』というゲームコンテンツによって、回遊をしながらイベント全体を楽しんでいただくことができて良かったと思います。
金沢:当初はスタンプラリーのアイデアも出ていたんですが、どうしても作業感が出てしまい楽しさを感じにくいのでは? という意見が出ました。会場内を回遊するというアクションにも何か楽しさを感じていただくためにはどうすればいいかを考えていった時、リアル脱出ゲームと組み合わせるという案が出て。
『FGO×リアル脱出ゲーム』の公演は『FGO Fes. 2018』以降にも札幌・福岡と開催が続くので、未体験の方へ知っていただく機会になればとも思いました。
――イベント運営にあたって、運営事務局としてどのあたりに気を使いましたか?
竹内:時期的に熱中症対策はすごく重要だと考えていて、お客様だけでなくスタッフのケアも念頭に入れ、館内の空調管理や塩飴やミストファン、瞬間冷却パックなどは大量に事前購入し準備していていました。
金沢:夏場の一番暑く台風も来やすい時期なので、事故が起きる可能性は色々ありますし、完全にゼロにはできないとは思います。ですが、何か起きたら今後フェスを開催できなくなってしまうので、できるだけ可能性をゼロに近づけていく体制を整えてほしいと、運営事務局にお願いしていました。
竹内:ところが実際には気温はあまり上がらず、台風が来てしまって。現場に入ってからは台風対策に重点を置いていきました。
進路や速度の変化で、台風予報は目まぐるしく変わり、『Fate Night FES. 2018』入場のタイミングが一番雨風のピークになりました。晴れを想定したマニュアルでは整理番号での入場の関係で、外の屋根のないところで3,000人くらいのお客様に1時間ほど入場待機していただく予定だったんです。
そこをなんとか会場内に避難できないかということになり、急遽3,000人ものお客様に屋内の「Carnival STAGE」前の空きスペースに移動していただき、「Grand STAGE」へは新しく動線を作って誘導するという決断をしました。事故もなく冷静な判断で滞りなくイベントが実施できたのは良かったと思います。
金沢:台風が来ていても、屋内イベントなので基本はイベントを開催するという選択肢のみだったんですが、逆にお客様が帰れなくなってしまった場合にはどうしようかという話もしました。『Fate Night FES. 2018』終演時に交通網が麻痺していたら、翌日の始発が走るまでの間、場内の一部を解放してお客様が雨風をしのげるような場所を作れないかと竹内さんに相談したら、「じゃあこことここを開放してスタッフをこういうふうに配置します」と案を出していただいたので、安心してイベントを開催できましたね。
竹内:『Fate Night FES. 2018』にいらっしゃる5,000人を対象に、屋内のホール2階や、屋根のある「カルデア’s キッチン」のエリアを解放し、「カルデア’s キッチン」のキッチンカーではドリンク販売も行なう計画でした。
主催×運営事務局インタビューの後編では、『FGO Fes. 2018』をさらに深堀。今後に向けたお話しをしていただく。
名称:Fate/Grand Order Fes. 2018 ~3rd Anniversary~
会場:幕張メッセ
会期:2018年7月28日、29日
Fate Night FES. 2018会期:2018年7月28日
主催:FGO PROJECT
協力:文化放送
出展社:アニプレックス/一迅社/auゲーム/KADOKAWA/グッドスマイルカンパニー/シャフト/星海社/ソニー/ソニー・ミュージックコミュニケーションズ/BANDAI SPIRITS/バンプレスト/プラスワン/文化放送/マーベラス/ufotable /ローソン(50音順)
展開内容:出展ブース(展示・物販など)/特設ステージ/主催企画など
公式サイト
公式Twitter
事務局:FGOフェス運営事務局
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