スポーツをエンタテインメントに! 男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」における挑戦
2018.10.05
2018.09.25
エンタテインメントにまつわる様々な分野において幅広いソリューションを提供するソニー・ミュージックコミュニケーションズ(以下、SMC)。本特集では、SMCのカンパニープレゼンテーション「w/」にて行なわれた、様々な事例をテーマに現場の担当者がトークセッションを行なう「Talk Crossing」をレポート。
特集第5回のテーマは、『心を動かすクリエイティブとマーケティング戦略』。
昨年、横浜ランドマークプラザで実施されたクリスマスキャンペーン「Landmark Bright Christmas 2017 ~あなたとピーターラビット™のクリスマスパーティー~」においてSMCは、キャンペーンのコンセプトから、クリスマスツリーの設営をはじめとする館内装飾、期間中の様々なイベント運営などを担当した。"人の心を動かす"ためにどのようなアプローチをとったのか、同事例を通じてSMCのマインドセットを紹介する。
ピーターラビット™は、イギリスの絵本作家ビアトリクス・ポター™の児童書に登場するキャラクター。日本でも非常に人気が高く、英国王室御用達として上品なブランドイメージを有している。昨年は作者の生誕150周年であり、ピーターラビット™の生まれ故郷であるイギリスの湖水地方が世界遺産に登録されたことでも話題になった上に、ハリウッドで映画化もされたことで大きな注目を集めた。「認知度、イメージ、タイミング、すべてにおいて最適と考え、横浜ランドマークプラザでのキャンペーンに起用した」とクリエイティブを担当した大仁田は語る。
原作の絵本には、個性豊かな動物たちが登場し、それぞれ固有のストーリーを繰り広げる。そのため、キャラクターが持つストーリーと矛盾が生じないよう、今回のキャンペーンのストーリー設定を慎重に考える必要があった。結果として、「ピーターラビット™といとこのベンジャミンがクリスマスパーティーを開き、動物たちがそこへ集まってくる」というストーリーを構成することになった。
キャンペーン全体のクリエイティブデザインについて、大仁田の解説をお届けしよう。
「ビジュアルは、既存のピーターラビット™のアートをクリスマス特別仕様に。オリジナルのタッチを忠実に再現し、違和感のないようにクリスマスのモチーフをプラスしました。メインビジュアルのほかグッズ用など複数のビジュアルを用意し、制作物の形状などを問わず高いクオリティをキープしています」(大仁田)
「ツリーのデザインコンセプトは、ピーターラビット™の世界観に合わせてオーソドックスでかわいく、写真を撮りたくなるもの。立体型のキャラクターリースを中央に設置したほか、羊毛フェルト作家YOSHiNOBU氏が制作した人形をツリーの足元に置いたり、キャラクターたちがパーティーの準備をしている映像を流したりと、細部までこだわって作成しました」(大仁田)
「横浜ランドマークプラザの館内装飾にも力を入れ、ピーターラビット™の世界に入り込んだような写真が撮れるフォトスポットを設置しました。また、キャンペーンのビジュアルを用いたオリジナルグッズも販売し、さまざまなタッチポイントでキャンペーンの魅力を伝えていきました。その結果、多くのお客様がSNSに写真を投稿し、好意的なコメントを寄せてもらいました」(大仁田)
続いて、空間全体のプロデュースを担当した長堀からは、会場の設計およびツリーのディテールについて解説が。
今回のクリスマスキャンペーンでは、ツリーの点灯式イベントが行なわれたこともあり、「単純にどれくらいのサイズのツリーをどこに置くかだけでなく、人が登壇するステージとのバランスや、照明・観覧席の配置、スタッフ・出演者の導線なども考慮し、イベント運営の観点から総合的にプランニングしています」(長堀)
会場の平面図と実際の会場の模様
目玉となるクリスマスツリーは、全長約9m、重量約2t。ホワイト、ゴールド、ピンク、スカイブルーという4色のLEDを散りばめ、あるシーンではスカイブルー、ゴールドといったライトが光ることにより、時間とともに表情が変わる演出方法を採り入れた。なお、スカイブルーのLEDに関しては、ピーターラビット™のイメージをできるだけ再現するため、いくつものサンプルを取り寄せてどの色が良いか比較検討したという。
ツリーの中央に飾った立体型のキャラクターリースは、電飾で光るようになっている。円錐形のツリーに円形のリースをフィットさせるため、3Dの図面をおこして綿密なシミュレーションを行ないながら制作された。
また、通常イベントなどではフェイクの木目材が使われることが多いが、このキャンペーンではツリーの土台に木材を使用。素材の質感にもこだわり、王道感を演出したという。
ツリーの周りを彩る造作(建造物を構成する部材や設備のこと)も細部にまで工夫を凝らしている。
原作に登場する作者の家のモチーフを忠実に再現し、猫のキャラクター・タビタとトムの親子のフェルト人形がまるでツリーに住んでいるかのような造作を演出として行なった。他にも、ピーターが住んでいるほら穴を覗くと、家族がクリスマスの飾りつけをしているアニメーション映像が見えたり、小物のジオラマはスケールだけでなく角度まで忠実に原作を再現するなど、こだわりがたっぷりと詰まっている。
「ディテールへのこだわりは、集客や売上などの数字には表われないかもしれません。それでも細部まで徹底して作り込むのは、人の記憶に残るから。訪れた方々に記憶を持ち帰っていただくこと、『来年もここに来よう』と思っていただくことが、エンタテインメントデザインにおいて最も重要だと考えています」(長堀)
今回のキャンペーンのマーケティングを担当した高橋は、限られた予算の中で最大限の成果を出すため、「このプロジェクトではデジタルファーストでメディアバイイングを行なうことが最適と考えました」と話す。
テクノロジーの発達により情報伝達のパーソナライズが進んだため、今では「この人にはこの情報を」とターゲット毎に最適な広告を打つことができる。今回で言えば、どの広告に触れた人が実際に何人来場したのかまでトラッキングすることが可能だ。
予算配分を見直した結果として、デジタル広告のクリック率は前年比約400%に向上、クリック単価は前年比約1/5のコストダウンを実現。高い費用対効果を出すことに成功したという。
「来場を促すだけでなく、売上につなげることに関しても我々はしっかり寄り添っています。消費者の心をどれぐらい動かし、購買行動までつなげることができるか、そこをゴールと設定して、マーケティング施策を打っています」(高橋)
最後に、高橋は次のように締めくくった。
「ビジネスサクセスのために、クリエイティブとマーケティングの両軸をバランス良く回す。そのための機能がSMCには備わっています。我々は、感性をデータで疑い、データを感性で疑うことでコミュニケーションがより洗練されていくのではないかと考えています。今後の案件でも、こういったスタンスで取り組んでいきたいと思います」。
誰もが足を運びたくなる場を作るだけでなく、訪れた人に感動をもたらし、記憶に残る空間をデザインする。それは隅々までこだわりが行き届いているからこそ実現するのだろう。
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