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連載Cocotame Series

amazarashi 秋田ひろむが「朗読演奏実験空間“新言語秩序”」の制作意図を語る

2018.12.27

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秋田ひろむ(以下、秋田)を中心とするバンドのamazarashiが、自身初となる日本武道館でのワンマンライブ「朗読演奏実験空間“新言語秩序”」を、11月16日(金)に開催した。

今回の公演は「新言語秩序」と呼ばれるオリジナル小説および、スマートフォン向けアプリを用いたユーザー参加型のプロジェクトとして、かつてないライブ体験の創造に挑み、その結果、ライブは大盛況のうちに終わった。

今回の一連のプロジェクトの制作意図とは?そして彼らが日本武道館で見た光景はどんなものだったのか?秋田ひろむにメールインタビューを行なった。

ライブレポートはこちら

――amazarashiはこれまで透過型スクリーンなどを駆使して、音楽と映像を組み合わせた新しいライブ体験を創出してきました。そういった新鮮な試みを常に行なってきたことには、どんな理由があるのでしょうか?

秋田:曲によって感動するポイントや共感する箇所は人それぞれだと思うんですが、その感情の高まりを会場のすべての人と共有するのが映像の役割だと思ってます。ひとつの曲を聴いて思うことや思い出すことは皆バラバラだと思うんですが、映像と一緒に音楽を体験することで皆が同じ方向を向いて、同じような感情の起伏を共有する、ということを目指しています。ストーリーを絡めたライブをするのもこれと同じ意図でやっています。

――秋田さんはバンドの活動にとって「ライブ」という表現方法をどのように捉えていますか? それを通じてお客さんに伝えたいこと、CDなどの「音源作品」とは別で感じてほしいことがあるのでしょうか?

秋田:音楽としての本質はライブでの演奏にあって、CDなどの音源はそれに付随するものだと考えてます。ライブでのフィジカルな表現が、生身での演奏こそが僕らの実体だと思ってます。作品を作るという点では、ライブも音源も同じくらいの気概でやってますが、ライブに関してはより熱量が伝わってほしいので、演奏の完成度だけじゃないバンド感、生っぽさを重視して構成してます。

――今回の日本武道館公演「朗読演奏実験空間 新言語秩序」は、アプリやポップアップショップ、シングル「リビングデッド」などと連動した、非常に大掛かりかつ斬新なライブとなりました。そもそも初の武道館公演でこのように実験的な試みに挑戦したのはなぜだったのでしょうか?

秋田:なにか集大成的なものをやりたいなとは思ってたんですが、前のツアー(『amazarashi LIVE TOUR 2018「地方都市のメメント・モリ」』)でバンドとしての達成感のあるライブをやってしまったので、また別なことをやりたいなと考えました。ストーリーを絡めた朗読ライブも、実験的なことも、amazarashiが常にやってきたことなので、そういう意味での集大成なら面白そうなことができるかと思ってこのライブを考え始めました。

――秋田さんは本公演の実施に際し「表現をする上での息苦しさから今回のプロジェクトを立ち上げました」とコメントされていましが、実際に息苦しさを感じることは多いですか?

秋田:はい。自由にやればやるほど、どこかで誰かを傷つけることになるっていう実感は最近多かったですね。自分自身や身の回りの人に対しても、リスナーに対しても。そういう声を聞くこともありましたし。そこで自分の言葉に歯止めをかけそうなときが何度かあって、そういう感覚を一度振り払わなきゃなと考えてたのが今回のライブに色濃く出たと思います。

――秋田さんは本公演のために小説「新言語秩序」を書き下ろされました。これは国家による監視社会や全体主義の恐怖を書いたジョージ・オーウェルの小説「1984年」にインスパイアされたとのことですが、この物語が生まれた経緯を教えてください。

秋田:「1984年」に対して、一般市民同士が発言を見張り合うディストピアってどうかな? と閃いたのが最初です。最近のSNSでの言葉狩りなんかに対して言いたいこともあったので。あと言葉をテーマに扱うっていうのはamazarashiの初武道館らしいかもっていうのもありました。そこから枝葉を付け加えていった形です。朗読ライブなので、朗読時間は長くしすぎないように時間を決めてそこから逆算して考えたり、物語は短めになってしまうので登場人物は少なくしようとか、amazarashiの曲をイメージさせる一節をいれようとか。

――ライブは先に公開された物語「新言語秩序」の朗読を挿みながら、物語の世界観に寄り添う形で展開されましたが、「朗読演奏実験空間」と銘打った本公演の演出意図や狙いについてお聞かせください。

秋田:このライブの核は言いたいことは言わせろっていうところで、その為に「独白」という曲がクライマックスにありました。そこでどれだけのカタルシスが得られるか、「ようやく言えた」っていう開放感が生まれるか、それを一番大事にして構成を考えました。

――ライブに先駆けてリリースされたシングル「リビングデッド」は、本公演のために作られた作品でしたが、楽曲制作において特別意識したこと、普段と違う取り組みはありましたか?

秋田:自分で主題歌を作るような感じでした。なんとなく始まりの曲っぽい感じにしようと漠然とイメージして作りました。言葉ゾンビの反乱のテーマみたいな、シンガロングの箇所とかそういうイメージでした

――本公演では、シングル「リビングデッド」の収録曲を軸にしつつ、それ以外のamazarashi楽曲も「新言語秩序」の物語や演出に組み込まれることで新しい意味が与えられていたように感じました。セットリストはどのような基準で選曲したのでしょうか?

秋田:基本は武道館でやりたい曲ということで決めていって、ここはストーリーに則してこの曲の方が合うかも、みたいに考えました。重要な場面の曲はストーリーを書いてる時点で決まってました。特に最初と最後は。

――ライブの最後で演奏された新曲「独白」は、武道館公演で初めて検閲解除バージョンが披露されました。先にシングルで発表されていた「独白(検閲済み)」はノイズ混じりで不明瞭な部分が多かったですが、この日の「独白」はお客さんがアプリを使って検閲を解除することで本来の形となり、小説の真の結末と連動した歌詞が明らかになって、より物語の世界に引き込まれるパフォーマンスだったように思います。これらの一連の仕掛けで秋田さんが表現したかったことについて教えてください。

秋田:お客さんに物語に入り込んでもらうっていう思惑がありました。物語の中で起きている検閲がYouTubeやCDの歌詞カードや、アプリで現実に起こって、それを実際に検閲解除するワンアクションがあることで当日の物語の共有がより深くなるんじゃないか、そうなって欲しいという思いで出来上がった仕掛けでした。

――当日のライブを終えた後の率直な感想をお聞かせください。お客さんの反応、スマホのバックライトが織り成す光景にどのような感情を覚えましたか? また、日本武道館という場所に特別な感慨はありましたか?

秋田:スマホのライトはお客さんも見えたと思うんですが、想像以上に綺麗でしたね。開演前のチュートリアルでお客さんから歓声があがったんですけど僕らも裏で見てて「すごい」って感動してました。武道館に関しては舐めてましたすいませんって感じです。全然気負いなくやれるつもりだったんですけど、実際ステージに立つと色んな想いが込み上げてきました。武道館の歴史の重みっていうのもあると思うんですけど、自分が忘れてた音楽を始めた頃の気持ちとか憧れとか、そういうものが一気に蘇ってものすごく感情的な演奏になりました。武道館が良いライブにしてくれたっていう感覚です。

――今回の「新言語秩序」プロジェクトを通じて、お客さんにどのようなことを伝えたかったのでしょうか? また、その想いは本公演を終えて伝わったように思いますか?

秋田:言いたいことは言わせろっていうのが核にあって、それは十年くらいamazarashiをやって少しずつ積もってきたしがらみを壊したいっていう想いで、実際それは果たせたと思うんですが、それがお客さんに伝わっているかどうかっていうのはわかりません。ただamazarashiはここまでやるよ、ここまではOKでしょう、っていう表現の拡充はできたのでamazarashiにとっては意味のあるライブだったと思います。

――武道館公演および「新言語秩序」プロジェクト全体の手応えをどのように感じていますか?

秋田:今は達成感でいっぱいです。僕が始め、考えたこと以上のものができたので、それはamazarashiの為に苦心してくれたスタッフのお陰なので、かけがえのない財産だなと思ってます。反省点とか次のこととかはもう少ししてから考えたい気分です。

――今回のプロジェクトを経て、amazarashiとして今後新しく取り組みたいことはできましたか? 「ライブ」表現において目指すもの、「音楽」を通して伝えたいことを教えてください。

秋田:今回のようなライブも含めて、色んな形のライブができたらいいなと思ってます。今までも弾き語りやアンプラグドや色んなライブをやってきたんですけど、それらがひとつずつamazarashiの武器になれたらいいなと考えてます。

New Single『リビングデッド』


[収録曲]
01. リビングデッド
02. 月が綺麗
03. 独白(検閲済み)
04. リビングデッド -instrumental-
05. 月が綺麗 -instrumental-

初回生産限定盤[CD+GOODS]
スペシャルボックス仕様
¥2,130(tax out) AICL-3590~3591
[CD] 3tracks + 2instrumental
[GOODS] 新言語秩序バリケードテープ

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[収録曲]
01. リビングデッド
02. 月が綺麗
03. 独白(検閲済み)

通常盤[CD]
¥1,185(tax out) AICL-3592
[CD] 3tracks

『リビングデッド【通常盤】』の購入はこちら(新しいタブで開く)

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