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技術者たち ~エンタメ業界が求めるエンジニアの力~

ネットワークエンジニア:グループ各社のネットワークインフラを支える力

2022.11.29

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専門的な知識とスキルを持つ技術者=エンジニア。さまざまなエンタテインメントビジネスを手掛けるソニーミュージックグループにも、それぞれの分野で力を発揮するエンジニアが多数在籍している。

連載企画「技術者たち~エンタメ業界が求めるエンジニアの力~」では、そんなソニーミュージックグループのエンジニアに話を聞きながら、今、エンタメ業界で求められているスキルやこの業界で働くことの意義、悦びについて語ってもらう。

第1回は、ソニーミュージックグループのネットワークインフラを担い、業務の円滑化を支えるネットワークエンジニア、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)の街祐也に話を聞いた。

  • 街 祐也

    Tsuji Yuya

    ソニー・ミュージックエンタテインメント

時代の風を読み、先手を打ってインフラを整備していく

──街さんは現在、エンジニアとしてどういうお仕事をされているのでしょうか。

ソニーミュージックグループは、市ヶ谷や六本木ミッドタウン内などの各オフィスビルのほかにも、全国各地にあるライブホールのZeppやソニー・クリエイティブプロダクツが運営する「六本木ミュージアム」のような施設、音楽のレコーディングやアニメーション制作を行なうスタジオなど、全国に約60カ所の拠点を構えています。

ソニーミュージックグループ 六番町本社ビル

こうした各拠点の業務ネットワーク環境を整備したり、必要なIT環境を整えたりするのが、私が所属する部門の仕事です。グループ各社によって展開するビジネス内容も大きく異なり、必要となる環境もさまざまなので、リクエストを聞きつつネットワークを構築、運用しています。

──ネットワークエンジニアという職種だと考えればいいですか?

はい。例えば同じエンジニアでも、プログラマーという職種であれば設計図を基にシステムを構築していくのが業務内容の主になりますが、私たちはその場を使う人たちから「ネットワークでこういうものが欲しい、これがないと困る」といった要望や課題を聞き、それを可能な限り実現していくのが仕事になります。ちなみに、リモートワーク環境を整えるのも、私たちの役割です。

──例えば、「突然、ネットがつながらなくなった」といった障害が起きたときの対応も、街さんたちの部門で行なっているのでしょうか。

そうですね。何かトラブルが発生した場合、内容によっては昼夜を問わず対応が求められることがあります。ネットワーク機器を扱うベンダーには、24時間365日システムを遠隔で監視してくれるオペレーターの方々が交代制で控えてくださっていて、トラブルが発生したときはまずそこで検知されます。それから私たちに連絡が入り、対応するというのが基本的な流れですね。

──今はネット環境がないと、コミュニケーションが取れないだけでなく、コンテンツの制作やイーコマース、配信にも悪影響が出てしまうことが想定されます。そういう意味では、街さんたちのお仕事は、まさに会社のインフラを支える業務と言えますね。

ソニーミュージックグループでは、音楽やアニメ、ゲームなどさまざまなコンテンツを制作していますが、それらを生み出すのはアーティストやクリエイターの皆さんです。そして、そのアーティストやクリエイターを支えるのが、裏方となる各社の現場スタッフ。我々は、そのすべての方々をサポートする立場にあるので、確かに会社のインフラを担う業務と言えるかもしれないですね。

──リモートワークツールの導入も、街さんたちの業務という話がありました。コロナ禍が発生してから間もなく3年が経とうとしている現在においては、もはやあって当たり前になりましたが、当時はまだリモートワークは手探りの状態だったと思います。また、外出自粛などもあって街さんたち自身も出社できないような状況にあるなかで、システムを構築し、グループ社員に周知するのは大変だったのではないでしょうか。

実は、ソニーミュージックグループにはコロナ禍が始まる前からリモートワーク環境がありました。とは言え、当時はネットワークの回線速度も十分ではなく、利用できる人数を制限していて、全社員に展開するには環境を整える必要があったんです。近い将来に向けて新しいリモート環境の試験導入を進めていたところ、コロナ禍の波がやってきて一気にプロジェクトが進みました。ご指摘の通り、ゼロベースでは到底準備が間に合いませんでしたが、下準備をつづけてきたことで導入することができましたね。

──ソニーミュージックグループでは、フルリモートで業務ができるようになったのはいつごろからだったのでしょうか。

2020年2月にリモートワークの環境が整いました。フルリモートに対応できる企業がまだ多くないなか、外出自粛要請などが出る前に対応できたのは良かったと思います。

──社会の動向を読んで、先々の計画を立てるのも街さんたちの業務ということでしょうか。

そうですね。働き方改革の声が挙がっていたこともありますし、先手を打っていかないと自分たちの技術が追いつきません。しかも、構想を練ってからシステムを実装するまでには時間がかかるので、先へ先へと進めていかないとどんどん時代に取り残されてしまいます。Wi-Fi7やローカル5Gと言った新しい技術も視野に入れつつ、先を見据えてネットワーク環境をボトムアップしていく必要があります。

エンタメに囲まれた環境で働く悦び

──街さんは、新卒でソニーミュージックグループに入社したということですが、エンジニアという職業を目指したきっかけを教えてください。

小学生のころは、学校の授業でパソコンに触れるくらいでしたが、中学になったころにはプログラミングにも興味を持ち始めました。小さいころからブロック遊びなどが好きで、何かを組み立てる、作るということが好きだったのと、パソコンはなんでこんなにいろんなことができるのか、裏側ではどういうシステムが動いているのかということに純粋に興味がありました。それをもっと知りたいと思って、高校卒業後は4年制の専門学校で情報システム学科に入りました。

──専門学校では、どんなスキルを身につけましたか?

サーバーやアプリケーション、ネットワークの設計、構築、運用、セキュリティなどシステムについて幅広く学びましたね。

──街さんがソニーミュージックグループに入社しようと思った理由を教えてください。ITエンジニアを目指した学生が、エンタテインメントを手掛けるソニーミュージックグループを志望したのはなぜでしょう。

学生時代はYUIやCHEMISTRYの音楽が好きで、よく聴いていたんですが、就職先を考えたときに、自分の好きなことにスキルをいかせる仕事に就きたいと思ったんです。それで音楽に紐づいてソニーミュージックグループのエントリーサイトを見たら、ITエンジニアの募集もあったので興味を持ちました。例えばアプリを開発するにしても、それが好きなアーティストや音楽に携われるなら楽しそうだなと思って。エンタテインメントに囲まれた企業へのあこがれもあり、エントリーしました。

──実際に入社して、エンタテインメントに囲まれているという実感はありますか?

そうですね。自分が配属された部署は直接コンテンツ制作に携わることはないですが、それでも音楽やアニメ、ゲーム、キャラクターといったエンタテインメントが常に身近にありますし、ネットワークを扱う部署なので、制作スタジオやライブホールのバックヤードを見ることができるのも楽しいです。

また、会社のフロアでも誰かがBGM的に音楽を流していることがありますし、自分でもイヤホンで音楽を聴きながら作業をすることもあります。社食に行けば、最新のミュージックビデオなどが流れていたり、まさにエンタテインメントに囲まれている環境であると言えますね。

自由な社風がアイデアを生まれやすい環境を作っている

──街さんが仕事をする上で、達成感や喜びを感じるのはどんなときですか。

ありきたりと思われるかもしれませんが、自分たちの取り組みによって、オフィスや制作現場で働く皆さんが“スムーズに仕事ができる”と感じてもらえたときが一番の喜びですね。特にネットワークエンジニアは縁の下を支える仕事なので、数年かけて成し遂げたプロジェクトでも、それを使う側の人には気付かれないことが多いんです。

例えば、街の幹線道路に陥没があったら、危なくて車やバイク、自転車が往来できなくなりますよね。そうならないように、日々、専門の業者の方が保守、点検を行なっているわけです。また、仮にそのような事態が発生しても、すぐに補修を行ない、何事もなかったかのように、いつもの道路に戻してくれる。でも、それって使う側からすると当たり前すぎて、なかなか有難みを感じることはできないじゃないですか。我々がやっていることもそれに近いと思います。でも、逆に考えると、“ストレスを感じない=安定稼働している”ということなので、僕たちとしては、その状態がベストなんですよね。

──まさにインフラですね。でも、道路で舗装工事をやっていると、「この道、また工事中だ」と感じてしまうのと同様に、インフラを担うということは、トラブルが起きたときにはまっさきに矢面に立たされるものの、安定稼働しているときは、街さんたちの日ごろの業務にスポットは当たりませんよね。

確かにそうかもしれませんね(笑)。でも、自分としてはそのほうが心地良くて。裏方でいるのが好きなタイプなんでしょうね。ただ付け加えておくと、普段は目立たないからこそ、大きなプロジェクトを皆さんと一緒に成し遂げたときの喜びはすごく大きいです。

例えば、新しい施設ができるとなったら、我々も建物が完成する前からネットワーク構築の作業に入りますし、施設の担当者たちとも顔を合わせながらプロジェクトが進みます。だいたいこの規模のものであれば年単位で取り組むことになり、いざ完成して施設が無事にオープンしたときは、やっぱりたくさんの感謝の言葉をもらって達成感が得られますし、その後も問題なく稼働していると聞けばうれしくなります。

──ソニーミュージックグループの社風、エンタメ業界でのエンジニア職のやりがいについては、どう感じていますか?

周りが全員エンタメ好きですから、そこはやっぱり楽しいですよね。あとは、自由な雰囲気も好きですね。堅苦しいと感じるような規則はなく、そういう社風だからこそあちこちからいろいろなアイデアが生まれ、新しいエンタメがどんどん作られているのかなと思います。

──街さんたちの部門でも、自由な発想というのは求められるのですか?

そうですね。上から降ってきたことを設計書通りにやるのではなく、「グループ内のネットワーク環境を今後こうしていこう」「通信速度が遅くて処理が遅れるから、新しいシステムを導入しよう」と、自分たちで課題を見付け、それに対処するアイデアを出し、最適解を見付ける。それが基本的なスタイルなので、仕事のやりがいにつながっています。

──エンジニアはテクノロジーに関する最新情報をキャッチアップし、常にスキルを磨いていないといけないイメージがありますが、街さんたちも同様ですか?

はい、アンテナは広く張りめぐらせておくように心掛けています。セミナーに行ったり、専門サイトを見たり、社内、社外の有識者とコミュニケーションを図って情報をアップデートしておかないと、先ほども言った通り自分たちの技術が時代に追いついていけなくなるので、大事なことだと思います。

──会社としても、セミナーなどへの参加は推奨されているのでしょうか。

AWS(アマゾンウェブサービス)の海外研修が組まれることもあったり、自分たちで「こういう勉強がしたい」と声を挙げるとほとんどの場合、受け入れてもらえます。

相手の意図を汲み取るコミュニケーション能力を磨く

──今、現場で求められているエンジニア像について、街さんの考えを聞かせてください。

会社や部署、そのときの自分のポジションによっても求められるものが異なるというのが前提ですが、仕事のディレクションができることに加えて、現場で自分の手を動かせることも重要だと思います。我々の仕事でも、ベンダーやビジネスパートナーに大半のことをお願いできますが、それだけに慣れてしまうと自分の技術力が、時代に取り残されてしまう気がしています。

──現在、日本では「エンジニア不足」の声があがることが多いですが、街さんが在籍する部署ではどうですか?

やはり人手はいくらあっても足りません。ソニーミュージックグループでは、オフィスの再編、新規事業所の開設などが頻繁に行なわれています。その都度、ネットワーク環境を整備する必要があるため、とにかく案件が多いんですね。また、半導体不足でネットワーク機器がなかなか手に入らないこともあって、プロジェクトが長期化しています。案件の多重化を解消するために、複数のプロジェクトを並行して進め、スピード感をあげていく必要があります。そのためにも、人手はもっと欲しいというのが現状です。

──ネットワークエンジニアは、どんな方に向いている職業だと思いますか。

私たちの仕事は、会社で働く人たちの声を聞き、ネットワークの力でビジネスに貢献することです。相手ありきの仕事ですから、やはりコミュニケーション能力は磨いたほうが良いと思います。エンジニアとしての知識が豊富であることはもちろん重要ですが、実務で覚えていくことも多いです。だからこそ相手の話をしっかり聞いて、わからないことがあれば何度でも聞いて理解できるまで教えてもらう。それが苦にならずにできる人は、すごく強い武器を持っているということではないでしょうか。実際、ひとつの認識の齟齬で、相手が思い描いている構想を実現できなかったり、完成したシステムの方向性が違っていたなんてことが起こり得ますから。

──何か取得しておいた方が良い資格などはありますか?

私もITエンジニアとして幅広い知識を問う国家資格や、AWSの入門的な認定資格を取得していますが、資格を持っていれば良いというわけでもありません。ネットワークやシステム分野は専門用語が多いので、相手がわかりやすいように噛み砕いて説明する力、難しい用語を変換して伝える力が求められます。先ほどコミュニケーション能力が必要だとお話しましたが、やはり相手の意図を正しく汲み取り、アイデアを出したり形にしたりする力が現場では重要ではないでしょうか。

また、近年はネットワークも旧来のオンプレミス(サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理する施設内に設置、運用すること)から、クラウド環境に移行しつつあります。今後はクラウドやセキュリティの知識も、欠かせないものになると思います。

──街さん自身が、今後チャレンジしたいことはありますか?

夢のような話かもしれませんが、どんなときでも途切れない安定したネットワーク環境、障害に強いネットワーク環境が提供できれば最高ですよね。障害をゼロにするのは本当に難しいですが、極力減らして会社で働くすべての人がストレスを感じない環境を作っていきたいです。

あと、近未来の野望としては、ローカル5GやWi-Fi7などの新技術が成熟してきたところで、グループ内にも取り入れていきたいと思っています。安定したネットワーク環境の提供にもつながるので、いずれやりたいことのひとつです。

──もしかしたら、この記事を読んで「自分もエンタメ業界のエンジニアとして活躍できるかも」と思う方がいるかもしれません。街さんは、エンタメ業界のエンジニアにはどんな人が向いていると思いますか?

やはり音楽、アニメ、ゲームなど、自分が好きなIPを扱っている会社であればモチベーション高く働けるのではないかと思います。今、エンタメ業界でもエンジニアの力がすごく求められていますし、それはソニーミュージックグループも同様です。自分にも適性があると思った方、興味を持っていただいた方には、ぜひエントリーを検討していただきたいですね。

文・取材:野本由起
撮影:干川 修

関連サイト

ソニーミュージックグループ コーポレートサイト
https://www.sme.co.jp/
 
ソニーミュージックグループ 採用情報
https://www.sme.co.jp/recruit/

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