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連載Cocotame Series

アニメから広がる新たな物語。鈴木拡樹&和田琢磨が挑む「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス」

2019.04.16

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2019年4月18日から、東京・大阪で「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」が上演される。原作は、人々の精神が数値化される近未来で、正義を問われる刑事のドラマを描くアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズ。この舞台はアニメシリーズの脚本家・深見真が舞台用に書き下ろした完全オリジナルストーリーのスピンオフ作品となっている。もちろん登場人物も、この舞台のために新たに生まれたキャラクターだ。主演の鈴木拡樹、彼とバディを組む和田琢磨のふたりに、舞台の見どころを聞いた。

監視社会を揺るがすテロ組織 公安局刑事課三係が直面した連続猟奇殺人事件とは

「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズは、人間の心理状態や性格傾向を数値化する装置"シビュラシステム"が開発された近未来を舞台にしたオリジナルアニメーション。「踊る大捜査線」シリーズの本広克行が総監督を務めるほか、監督は塩谷直義、ストーリー原案は虚淵玄(ニトロプラス)、アニメーション制作はProduction I.Gと名だたるクリエイター陣を起用し、大きな話題を呼んだ作品だ。

これまでTVアニメ第1期、第2期が放送された上、2019年1月から劇場三部作「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」が順次公開に。さらに、2019年10月よりTVアニメ第3期の放送も予定されている。

「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」は、アニメと世界観を共有しながらも、全く新しいストーリーを描き出すスピンオフ作品だ。鈴木拡樹演じる主人公・九泉晴人(くせんはると)は、公安局刑事課三係に所属する監視官。彼は公安局局長・禾生(かせい)からの命を受け、同じ三係の監視官・嘉納火炉(かのうひろ)や執行官たちとともに連続バラバラ殺人事件を捜査することに。なぜ死体は細かく切断されたのか? 各部位にナンバーがふられた理由とは? 事件を追ううち、九泉たちは武力闘争組織「ヒューマニスト」の存在に辿り着く。

徹底した監視社会に揺さぶりをかける「ヒューマニスト」、公安局内部に潜む不穏分子。アニメ同様、舞台もシステムに支配された社会における"人間性"や"正義"について、問いを突き付けてくる。バディを組みながらも、それぞれの正義を貫く九泉と嘉納。九泉役の鈴木拡樹、嘉納役の和田琢磨へのインタビューからその人物像をひもとくとともに、舞台の見どころを探っていこう。

「PSYCHO-PASS サイコパス」のような監視社会が現実化してもおかしくない──鈴木拡樹

──鈴木さんは別の舞台に出演していたため、数日ぶりに稽古に復帰されましたが、現時点での手ごたえは?

鈴木:台本に変更点があり、より見やすくなったと感じました。一度稽古を離れていたからこそ、「この改善、面白いな」とか「考えに考え抜いた結果の変更なんだな」と最初の台本との違いも実感できました。この素晴らしい台本に応えるべく、日々稽古に臨んでいます。

──今回の舞台化にあたり、アニメはご覧になりましたか?

鈴木:もちろんです。劇場版は和田君と一緒に観に行きました。フィクションではありますが、世界観がリアルですよね。100年後を想像すると、もしかしたら「PSYCHO-PASS サイコパス」に近しい世界になっているかもしれない。服をホロで表示できるような便利さもありますけど、ちょっと恐怖も感じました。

──確かに、あり得ない話ではありませんよね。

鈴木:そうなんです。現実社会でも犯罪をなくすための方法は常に考えられていますし、安全を突き詰めて行くと「PSYCHO-PASS サイコパス」のような社会に至るのかなって。しかも、その安全は人間にとって本当に自由なのかと考えさせられるんですよね。とても興味深いテーマだと思います。

今の九泉晴人には爽やかさのカケラもない──鈴木拡樹

──そんなアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」が舞台化されます。しかも世界観は同じですが、キャラクターはオリジナルです。

鈴木:キャラクター人気も高いので、狡噛(こうがみ)や常守(つねもり)監視官を見たいという意見もあるでしょう。でも、スピンオフ作品としてとても面白い作品だと思います。やりがいがありますし、この舞台でも、「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界観をどんどん広げられるものだなと感じています。

──アニメのイメージが鮮烈なので、新しいキャラクターを投入するのは難しいのかなと思いましたが。

鈴木:その点に不安はないですね。キャラクターは新規ですが、世界観も題材もアニメと共通しています。「人間らしさって何だろう」「シビュラシステムで保障された安全は本当に幸せを生むのか」というテーマも通じているので、原作のファンの方たちにも受け入れていただけるんじゃないかと思います。

──九泉というキャラクターには、どんな印象をお持ちですか?

鈴木:稽古を通して、方向性が変わりましたね。最初は爽やかな青年という印象でしたが、現在は色相が濁っているようにすら見えます。最初の印象から180°変わりましたね。

──稽古に復帰したら、役の印象も変わっていたのでしょうか。

鈴木:最初の読み合わせの時から本広さんが方向性を変えたいという話をされていたので、「あ、変わるんだな」とは思っていました。ただ、ここまでガラッと変わるとは予想できませんでした(笑)。

稽古中に「嘘をつく」――鈴木拡樹流の役作りとは?

──鈴木さんとしても、最初に役作りをされていたんですよね。そこから方向性を大きく変えるのは大変なのでは?

鈴木:そこはもう、楽しむしかないですよね。最初に作っていったイメージも、今回は使わなくても別の場所で生きる可能性がありますし。具体的には、最初の設定では「格闘技好き」とあったので、どういうジャンルが好きなのかなと考えて、それをアクションのベースにしようと用意していました。

──稽古を拝見しましたが、アクションやセリフも全体のバランスを見ながら刻々と変わっていきますよね。臨機応変に対応されていて、これはプロの仕事だなと感じました。

鈴木:それが、稽古の楽しさなのかなと思います。「ここは自然にできたな」というシーンもあれば、嘘をつく瞬間もたくさんあります。

──「嘘をつく」とは?

鈴木:「今こういう動きをするのはおかしいな」と思っても、動かないとキャラクターを掘り下げられないときには無理やり動いてみるんです。その結果、「あ、ここでこうして動いたほうが意外としっくりくる」ということもあります。

──本広さんの演出については、どのような印象を持ちましたか?

鈴木:僕らの意見を取り入れてくれますが、ただ意見を待つだけではなくて。「ここはこう見せたい」と指示してくださった上で、僕らにゆだねてくれるんです。方向性を見失うことがないし、監督と僕らの思いが混ざり、良いバランスで舞台を作れているんじゃないかと感じます。

──「PSYCHO-PASS サイコパス」を象徴する武器で、鎮圧執行システムの「ドミネーター」を構えるシーンもありましたよね。手にした感想は?

鈴木:第一印象は「ドミネーター、でかっ!」(笑)です。どう構えるとかっこよく見えるのか、バランスが難しいんですよ。アニメでは片手で持つイラストもあって、「それもアリだな」と思いましたが、今のところ研究中です。

──稽古では、ベルトを使って背中側にケースをつけていましたよね。

鈴木:携帯できるようにケースに入れて装着しています。原作アニメにはない設定ですが、「僕らの三係はそういうシステムなんだ」と思っていただければ。

──アクションも激しいものになりそうです。

鈴木:そうですね。特に今回はアンサンブル(舞台を彩るキャスト)に、スタントができるメンバーもいます。迫力あるバトルに期待してほしいですね。

──九泉のアクションは、どんなものになるのでしょうか。

鈴木:荒々しく戦うのが今回のポイントかなと思います。不良っぽい、荒々しさを出していければ。ただ、荒々しく「見せる」のがポイントなので、実際はすごく気を遣うんですけどね(笑)。

──これからまだまだ稽古が続きますが、最終的に九泉はどういう人物になると思いますか?

鈴木:主人公なので物語の主軸にはなりますが、序盤は嘉納のほうに共感するかもしれませんね。どっちかというとダークヒーローに近いのかな。

間違えると悪になってしまう「ヒューマニスト」の思想に共感──鈴木拡樹

──九泉、嘉納、「ヒューマニスト」それぞれの思想があり、それぞれに共感できるところがあります。鈴木さんは、どの立場に共感しますか?

鈴木:僕は演劇をやっている人間なので、「ヒューマニスト」のような考え方をする瞬間が多い気がします。ひとつ間違えば、この世界でいう"悪"になってしまいそうですね。

──でも、今の我々が持つ一般的な価値観、人間らしさを求めていくと、「ヒューマニスト」のような思想になってしまいそうですよね。

鈴木:そうですね。でも、「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界では管理されるのが日常になっています。「シビュラシステム」ができてから、もう3世代ぐらいになるでしょうし。生まれたときにはシステムが確立されていたので、それが当たり前の世界になっています。人間も管理されていることについて考えることをほぼ止めていますし、九泉自身も「シビュラシステム」を無条件に信じています。でも、僕はやはり自分の好きなことをやりたい。特に仕事については、「シビュラシステム」に決められるのは耐えられないと思います。だから、思想としては「ヒューマニスト」に近いでしょうね。

和田くんは努力家、そんな彼から良い刺激をもらっている──鈴木拡樹

──では、舞台ならではの面白さ、見どころをお聞かせください。

鈴木:アニメの世界観をきっちり守った舞台だというのが、まずひとつ。その上で新しいキャラクターたちの個性を楽しんでいただければ。執行官も個性がバラバラで、だからこそ執行官になったんだなと感じてもらえると思います。監視官も九泉と嘉納では対照的なところがありますし、それぞれが信じる正義も違います。ひとり一人の個性の違いを楽しんでほしいですね。

──嘉納役の和田さんとのコンビネーションはいかがですか?

鈴木:じつはバディとしてがっつり絡むのは、今回が初めてなんです。同世代ですし、一緒にひとつの作品を作れるのはうれしいですね。その上で、舞台上で切磋琢磨するライバルのような僕らの関係性も、役柄に反映できたら面白いかなと思います。

──鈴木さんから見た、和田さんのイメージは?

鈴木:最初は器用に何でもこなすタイプかなと思いましたが、完全に努力家でしたね。物事を突き詰めるタイプ。一緒に仕事をしていて楽しいですし、刺激にもなります。

──鈴木さん自身は努力型?

鈴木:僕は完全に不器用型(笑)。なにかひとつを成し遂げるには、回数をこなすだけじゃなく、一度失敗してからじゃないとダメな性質です。一発でうまくできたことなんて一度もなくて、ひとつ一つが失敗の積み重ね。失敗するのはもちろん怖いですが、失敗してから修正することで良い舞台が作れたらと常に考えています。

──失敗を重ねて舞台を作っていくことが、楽しさにもつながっているのでしょうか。

鈴木:そうですね。舞台をやらせていただくまで、こんなに自分と向き合うことはありませんでしたから。舞台って、自分のことを思い知らされるんですよ。自分について少しずつわかっていく面白さも感じます。

──今回の舞台、鈴木さんにフォーカスして観るとしたらどこに注目してほしいですか?

鈴木:台本を読んでいると、最初の印象がとても大事なのかなと思います。九泉は、監視官に見えないような言動がとても多いんですね。「なぜこの人が監視官なのかな」と思っていただけるようにフリをきかせていきたいです。「どんな人だろう」と彼の人物像に興味を持っていただけるところまで引き上げたいと思っているので、そういった点を楽しんでいただけたらうれしいです。

──アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」ファンに向け、今回の舞台の楽しさを教えてください。

鈴木:音響や画質にこだわる方は、ご自身の機材で臨場感を味わいながらアニメを楽しんでいると思います。一方舞台では、劇場全体の広い空間すべてが「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界になります。それがテレビでも映画でも味わえない、舞台ならではの魅力なのかなと思います。鑑賞するというより、体験するような感覚で劇場全体の空気感を味わってください。

本広さんとのものづくりはワクワク感しかない──和田琢磨

──原作アニメをご覧になった感想をお願いします。

和田:男子の心をくすぐる要素がいっぱいありますよね。近未来という舞台設定もドミネーターも乗り物も、ワクワクするじゃないですか。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ボーン・アイデンティティー』のように、誰が観てもわかりやすくて「あ、かっこいいな!」と思える作品。そんな印象でした。

──そんなアニメを舞台化することになりました。

和田:舞台では、アニメのようにカメラがズームしたり、急にシーンが切り替わったりすることはありません。もしかしたら「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界観が狭まるかなとも思いましたが、そんなことは全然なくて。本広さんはあまり舞台であることにこだわらず、稽古を進めていくなかで今までにないような演出をどんどん提案されるんです。さすがだなと思いました。

──和田さんが経験してきた舞台と、どんな点が違うのでしょうか。

和田:ネタバレになるので具体的には言えないんですけど、今まで体験したことのない表現方法が使われていると思うので、すごく楽しみです。本広さんならではの、舞台というフォーマットに捉われない考え方だなと思いました。

──これも見てのお楽しみだと思いますが、セットもすごいですね。

和田:力が入っていますよね。銀之丞さん(山崎銀之丞)は高いところが苦手らしくて、足が震えちゃってます(笑)。

──実際、高低差を活かした演出もあるのでしょうか。

和田:まだすべてのシーンができたわけではないので、わからないんですけど。でも、シームレスな展開になっていると思います。ある場所で芝居が始まったと思ったら、いつのまにか別の場所でも始まる……みたいな。キャストの移動もひとつの演出として活かされるんじゃないでしょうか。

──なるほど。ところで、ドミネーターはもう触りました?

和田:稽古場でも構えましたし、ビジュアル撮影の時もドミネーターを持たせていただきました。動くんですよ、アレ。アニメそのまんまですから、もうワクワクする以外ないですよね。ドミネーターを構える動きは「PSYCHO-PASS サイコパス」の象徴でもありますが、舞台のなかでもうまく組み込まれています。原作ファンの方々にも喜んでいただけるんじゃないかと思います。

──和田さん演じる嘉納をはじめ、オリジナルキャラクターが続々登場します。嘉納を演じるにあたり、どのように役作りをしましたか?

和田:本広さんはアニメの総監督でもあるので、誰よりも「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界観を知っています。でも、僕らにもチャレンジする隙間を与えてくださっていて。「こういうセリフを言った後だから、この人物はこう思っているはず」「今こういう感情だから、このセリフはこう言いたい」って意見を言うと、積極的に採り入れてくださいます。懐が深いなと思いますし、一緒にものづくりをしているワクワク感があるんですよね。

──意見を言いやすい現場なんですね。

和田:「踊る大捜査線」シリーズの監督ですし、アニメも総監督じゃないですか。大御所感が漂っているのかなと思ったら、「和田君、今度飲みに行こうよ!」って気軽に声をかけてくださって。とてもフランクな方だなと。「思っていることがあればどんどん言ってください」とおっしゃってくれましたし、僕らが意見を言いやすい雰囲気を作ってくださっていて、とてもありがたいですね。

僕は絶対に潜在犯。色相が濁っているどころかグダグダ(笑)──和田琢磨

──嘉納のキャラクターも、初期の段階からだいぶ変わったそうですね。

和田:そうなんです。これもネタバレになるので詳しいことは言えませんが、最初にいただいた台本からだいぶ変わりました。拡樹君が稽古に参加してからは、彼とのやりとりのなかでまたちょっとずつ嘉納の人物像も変わっていくかも。本広さんとも話しながら、正解を探っていきたいです。

──最終的にどんなキャラクターになりそうですか?

和田:人それぞれに正義ってあると思うんです。監視官側の正義もあれば、「ヒューマニスト」側の正義もある。もっと細かく言えば、同じ監視官でも九泉の正義と嘉納の正義は違います。そのなかで嘉納にとっての正義とは何かが、みなさんに伝わればいいなと思います。

──台本を拝見すると、確かに「ヒューマニスト」側の言い分もわかるんですよね。

和田:そうなんですよ。未来を舞台にした話ですが、現代社会に通じるところがたくさんあって。「ヒューマニスト」に肩入れしちゃっても、それはそれで面白いんじゃないかなと思いますね。

──「自分がこの世界にいたらどういう立場を取るか」と考えてしまいます。

和田:自由と秩序って表裏一体じゃないですか。その両方から見え隠れするものが、大きなテーマだと思います。どちらがいいかは人それぞれ。どちらに比重を置くか、どちらに感情移入するか、観る人によって変わってくると思うんです。各々の正義、正当性のぶつかり合いが、この物語の面白さなのかなと思います。

──和田さんがこの世界にいたとしたら、どういう立場を取りますか?

和田:絶対に潜在犯でしょうね。色相が濁ってるどころかグダグダ(笑)。監視官より執行官に近いタイプです。

人それぞれに正義がある。嘉納の正義を伝えたい──和田琢磨

──セット、アクション、ストーリーなど、この舞台でしか見られない魅力について教えてください。

和田:僕自身も楽しみにしているのが、原作の世界観を共有しつつすべてオリジナルのキャラクターってところですね。一部のキャラクターがオリジナルっていう作品には携わったことがありますが、全キャラオリジナルというのは多分初めて。この舞台が、「PSYCHO-PASS サイコパス」という作品に逆に影響を与えられるような仕上がりになればうれしいです。原作ファンの方にとって「アニメにも九泉や嘉納が登場してほしい」「三係のチーム、すごくいいよね」と愛着の湧くチームワークを見せられたらいいなと思っています。

──アニメ第3期も発表されましたし、可能性はゼロではないかもしれません。

和田:アニメにも、良い意味で影響を与えられたら最高ですよね。もちろんアニメを知らない方もいらっしゃると思うので、そういう方々にも楽しんでほしいです。先ほどお話したようなテーマをしっかり伝えられたら。

和田琢磨が鈴木拡樹に仕掛けるイタズラとは?

──和田さんが、特に注目してほしいポイントは?

和田:拡樹くんとは何度か共演したことがあるのですが、バディという関係性は初めてなんです。同い年ですし、畑は違えど同じ舞台で頑張ってきたので、僕としては意識していて。ライバル……というかお互いを認めつつ「俺も頑張んなきゃ」って刺激になっている存在なんです。こんな素晴らしい作品でコンビを演じられるなんて、本当にありがたいこと。同い年の役者同士の掛け合いに、ぜひ注目してほしいです。

──現時点で、鈴木さんとの息の合い方はいかがでしょう。

和田:つついたら、ちゃんとリアクションを返してくる人ですからね。早速この前の稽古でイタズラしてみたら、ちゃんと九泉としてリアクションしてくれて。

──どういったイタズラを?

和田:ふたりのシーンで、本来は九泉がボタンを押すところを、アイツが押す前に僕がピッと押してやったんです(笑)。それに対して、九泉らしくチッと不機嫌な芝居を返してくれて。そういうやりとりが楽しいですし、そうやってお互いにキャラを作っていくところもあります。本番では、そんなアドリブは入れませんけどね(笑)。

──和田さんはさまざまな舞台に出演されています。舞台ならではの醍醐味は、どんなところに感じますか?

和田:何が起こるかわからないので、常に緊張感を持続できるのがいいなと思います。さっきの話じゃないですけど、とっさの感情で出た動きによってキャラクターが左右されるじゃないですか。こんな刺激的な仕事はないなと思います。もちろん失敗できない怖さもありますけれども、その瞬間瞬間でものづくりができる楽しさは何にも代えがたいですね。

僕にとって舞台で演じることは穴掘りのようなもの──和田琢磨

──昨日の稽古も拝見しましたが、監督の演出や役者さんの意見によってセリフもアクションもどんどん変わっていました。演じる側は大変ではないかと思いましたが。

和田:できることなら、「こんなに頑張ってるんです!」ってお客さんにも見せたいぐらい(笑)。でも、そういうわけにもいきませんからね。稽古はもう、ひたすら正解探しですよ。穴掘りと一緒ですね。

──穴掘り?

和田:ここを掘っても正解が見つからないし、ここを掘ってもない。ここを掘ったら断片が出てきたけど、掘り進めてみたら違うものだった……みたいな。僕は穴掘りの感覚で役を探っています。

──苦労して探り当てたときに、役がバチッとハマるんですね。

和田:なかなか当たらないんですけどね。でも、深く掘ってみたり、違うところを掘ってみたりという作業が役作りにとって大切ですし、表現の幅も広がるのかなと思っています。

──最後に、アニメのファン、そして舞台をあまり見たことのない方にメッセージをお願いします。

和田:原作の世界観はそのまま、キャラクターはオリジナルという舞台です。原作ファンの方は、きっと原作に登場するキャラクターをイメージして劇場に来られると思うので、僕にとっても大きな挑戦です。僕らも「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界にいかに入り込むかが肝だと思っています。原作ファンが「アニメにも出てほしい!」と言っていただけるぐらい人間味のある魅力的な人物に仕上げたいと思いますので、稽古を頑張っていくしかないですね。

文・取材:野本由起
撮影:冨田望

Hair Make:小川万理子(raftel)

Stylist:Hisato Nakanishi(JOE TOKYO)
スタイリスト:中西 永人(JOE TOKYO)

・衣装協力
ACANTHUS
アカンサス

「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」

【公演日程】
<東京>
2019年4月18日(木)~4月30日(火・祝)
日本青年館ホール

<大阪>
2019年5月3日(金・祝)~5月6日(月・祝)
森ノ宮ピロティホール

※5月6日(月・祝)、全国の映画館62カ所にて大千秋楽公演のライブビューイングが決定。

【キャスト】
鈴木拡樹・和田琢磨 中村靖日 多和田任益 小澤雄太 町井祥真・池田純矢 高橋光臣 山崎銀之丞

【スタッフ】
原作:サイコパス製作委員会
演出:本広克行(映画『踊る大捜査線』シリーズ、『幕が上がる』ほか)
脚本:深見真(アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズ、『バイオハザード:ヴェンデッタ』ほか)
音楽:菅野祐悟
ストーリー監修:Production I.G
制作:ソニー・ミュージックエンタテインメント、ポリゴンマジック
主催:舞台「サイコパス」製作委員会

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【主題歌】
凛として時雨「laser beamer」4/18配信スタート(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)

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「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」公式サイトはこちら(新しいタブで開く)

©サイコパス製作委員会 ©舞台「サイコパス」製作委員会

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