ECサイト運営(システム保守・データ分析):ECサイトをより便利に改善し、データ分析でマーケティングを支援する仕事
2026.07.05


音楽、アニメ、ゲーム、キャラクター、イベントなど、人に感動を提供するエンタテインメントにはさまざまなジャンルがあり、そのジャンルの数だけ多種多様な職種が存在する。
連載企画「エンタメ業界のお仕事紹介」では、ソニーミュージックグループで働くスタッフの生の声から、エンタメ業界に存在する職種と業務内容、そして、その仕事にどんな“やりがい”や“魅力”があるのかを紐解いていく。
今回は、エンタメ業界のソリューションビジネスを手がけるソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)で、アーティストやキャラクターなどのEコマース(以下、EC)サイトの制作や運営を行なう担当者に話を聞いた。
目次

TAKAYUKI
ECサイト運営(制作・運用)
キャリア:16年目
ソニーミュージックグループ内外を問わず、さまざまなECサイトの運営、管理を行なう。あわせてクライアントへの営業活動に加え、サイトのデザインや機能設計のサポートも担うほか、商品の出荷スケジュールの調整や、発送後に不備が発生した場合のカスタマー対応の手配など、運用全般を幅広く支えている。
学生時代は、情報工学の勉強をしていて、周りはほとんどIT系企業への就職を目指していました。でも、自分はその道に進むのがイメージできなくて。だから、もともと興味のあったエンタメ業界で働くことを考え始めたんです。
エンタメ業界のなかでは、音楽業界のほかにも、テレビ業界やゲーム業界にも興味があって。いくつかの企業にエントリーをしたところ、ソニーミュージックグループから採用の通知をもらうことができ、入社したという経緯です。
だから、どうしてもここに入りたい! というほどの熱量をエントリーのときに見せられたかというと自信はありません(苦笑)。今思うと、当時、システムに関する知識があるという新卒採用希望者がエンタメ業界には少なかったので、ソニーミュージックグループでは、その点を評価されて、入社することができたのではないかと思っています(笑)。
ECサイトの運営と管理をベースに、クライアントへの営業なども行なっています。現在、自分が所属している部署で手がけているサイトは100件近くあり、ソニーミュージックグループに所属するアーティストはもちろん、キャラクターを扱うサイト、VTuber関連のサイト、ほかにもバレーボールやラグビーといったスポーツ系など、ソニーミュージックグループ内外のクライアントからさまざまなECサイトの運営を受託しています。
サイト運営と言っていますが、実際は、サイトの立ち上げから関わることがほとんどなので、クライアントの意向を聞きながら、どんなデザインや機能にするかを決めていくところからサポートさせていただいています。
また、サイトが完成し、実際の運営がスタートしてからは、商品の出荷スケジュールの調整や、発送後の商品に不備があった場合のカスタマー対応の手配など、担当する業務は多岐に渡ります。
それぞれのサイトは基本的に各2~3人、大規模なサイトの場合は8~9人ほどのスタッフで担当。現在、自分は部署のなかで現場をマネジメントする役割なので、実務としては、ECサイト運営に課題を抱えるクライアントへのヒアリングや、サイト運用に関する各クライアントとの大枠の調整などを担当することが多いですね。
入社後に配属された部署では、社内の音源管理システムの保守運用や、ソニーミュージックオフィシャルサイトのリニューアルなど、システム関連の業務を約3年間担当していました。その次に「Sony Music Shop」と、当時、立ち上がって間もない「forTUNE music」で、ECサイトの運営に携わりました。
ECサイトの運営を3年ほど続けたあと、今度は音楽パッケージ営業として2年ほどキャリアを積んでいたところ、社内にスマホ向けアプリゲームを企画、制作する部署が立ち上がり、当時の上長からの鶴の一声で、そちらに異動することに。
その後は、兼務から異動というかたちでファンクラブ運営チームの現場統括として、ソニーミュージックグループ内のマネジメント会社のファンクラブ会員向け施策に本格的に携わりました。その次の部署では、外部の芸能マネジメント会社が運営するコンサートグッズの物販会場や店舗への入場整理券システム、グッズ購入の利便性を高めるアプリなどの開発も担当していましたね。
それらが無事にリリースされ、“そろそろ安定してきたな”というタイミングでまた異動となり、今度は別のECサイトの運用を任されて(笑)、といった動きを何度か繰り返しながら、現在の部署に流れ着いたのが去年のことです。
いろんな業務に携わってきましたが、社内やクライアントからのニーズをもとに、とにかく“新しいもの”を作り続けてきました。新しいシステムをどんどん作り、安定してきたら保守、運用は別の人にお任せして、自分は違うところでまた新しいものを作る、これの繰り返しでしたが、自分にはこのスタイルが合っていると感じています。
スマホ向けアプリゲームを開発する部署で、プロデューサーとして業務を行なっていたときが一番印象に残っています。そのゲームは残念ながら短期間でクローズしてしまいましたが、開発ベンダー選定、ゲーム制作、権利元との契約関係、宣伝プラン策定といった一連の業務をほとんど全部任せてもらっていたので、さまざまなことを学ぶことができました。とても濃密な時間でしたし、このときの経験は今の業務にもいかせているなと感じます。
個人的にはふたつあると思っていて。ひとつは業務の流れ全体を見渡したうえで、要点を押さえながら、大きなミスが起きないように、気配りや配慮ができる人。もうひとつは、クライアントの意向を汲み取る力がある人ですね。
後者については、例えば“こういうサイトにしてほしいです”という要望があったときに、1から10まで聞かずとも、“こういうことですよね?”という提案を、自ら出せるような能力のことです。
このスキルは、一朝一夕で身につけるのは難しく、ある程度の経験を経て備わるものだと思いますが、そのためにはライブやイベントなど、エンタテインメントの現場に足しげく通って、ファンの動向や、その場の空気を知ることが大事。そしてクライアントを含め、現場で働く人たちと積極的にコミュニケーションをとり、日々、情報をアップデートしていくことが求められます。
また、ECサイト運営は受託ビジネスが中心なので、クライアントから難しい要望を言われることもあります。そんなとき、結果的に“No”という回答になるにしても、すぐさま“No”と返答するのではなく、可能な限り要望に近い状態に持っていけないか検討し、できるところまで尽力しなければなりません。
こういう言い方をすると、クライアントの言う通りに動かなくてはいけない仕事かと思われるかもしれませんが、そうではないんですよね。僕らの仕事の価値をはかるものとしてクライアントの満足度というのは重要ですが、それが高められるということは、その先にいる大勢のファンの方々の喜びにもつながっているということ。
だからこそ、目の前にいるクライアントの意向や想いに寄り添えるスキルが必要で、そのスキルのベースにはファンエンゲージメントを高めるという、エンタメビジネスを拡大させるために必須の思考が含まれている。我々の仕事は、クライアントに向き合うことですが、それを何のために行なっているのか俯瞰して取り組めるようになると、この仕事への理解度が深まると思います。
ちなみに、ファンエンゲージメントを高めるための思考力は、さまざまなエンタメビジネスの現場に応用できますので、培っておいて損はないと思います。
現在は受託ビジネスが中心となっているECサイト運営から、今後は“自分たちから広げていくECサイト”も目指していきたいです。
僕はボードゲームやカードゲームの世界に興味があるんですが、こういった興味から新たなIPの創出やメディアミックスの展開ができないかと考えています。現在は、その第一歩として、アナログゲームを自主制作されている方のイベントに出向き、積極的にコミュニケーションをして、ビジネス化のヒントや学びを得ています。
こうして始めた自分のやりたいことや、好きなことが、のちに自分の本業に発展していったという例は、ソニーミュージックグループではよくあることなんですよね。幅広いエンタテインメントの分野を手がけているソニーミュージックグループだからこそ、現在担当している業務以外の分野にも挑戦するチャンスがある。それは、この会社で働くことの魅力のひとつなのかなと思います。
文・取材:柳 雄大
撮影:干川 修

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