ECサイト運営(制作・運用):アーティストやIPのECサイトを立ち上げ、運営する仕事
2026.07.06


2026.07.05
音楽、アニメ、ゲーム、キャラクター、イベントなど、人に感動を提供するエンタテインメントにはさまざまなジャンルがあり、そのジャンルの数だけ多種多様な職種が存在する。
連載企画「エンタメ業界のお仕事紹介」では、ソニーミュージックグループで働くスタッフの生の声から、エンタメ業界に存在する職種と業務内容、そして、その仕事にどんな“やりがい”や“魅力”があるのかを紐解いていく。
今回は、音楽CDやグッズの販売サイトのUI/UXデザインやシステム改善を行なう、Eコマース(以下、EC)サイト運営(システム保守・データ分析)担当者に話を聞いた。
目次

REIKA
ECサイト運営(システム保守・データ分析)
キャリア:5年目
既存ECサイトのUI/UX改善やシステム改善に加えて、マーケティングアナリティクスにも取り組む。ユーザーにとってより使いやすいサイトを目指すとともに、運営スタッフの業務効率化と高度化も実現するべく、日々改善を行なっている。また、サイト利用者の動向を分析し、その結果をマーケティング施策にいかす取り組みも行なう。
私は、キャリア採用でソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)に入社しました。前職では、イベントやECサイトを通じて陶芸家やイラストレーター、テキスタイルデザイナーといった作り手の方々の作品を、お客様に販売する仕事をしていました。
仕事内容は面白く、職場環境も良好だった前職からの転職を考えるきっかけになったのは、新型コロナウイルスの影響です。緊急事態宣言や生活様式の変化を経て仕事が一段落したときに、自分のキャリアを見つめ直すことがあって。そこで、私はずっと音楽が好きだということに改めて気づき、“音楽に携わる仕事にチャレンジしてみたい、動くなら今しかない”と思って、転職活動を始めました。
また、自分のキャリアをもう一段ランクアップするには、より大きなフィールドでスキルを磨く必要があるとも感じていました。そのため、前職での経験をいかしながら、まずはEC部門やCDの流通といった領域に携わり、そこからキャリアを広げていけたらと考え、SMSへの入社を志望しました。
現在は、ソニーミュージック公式直販サイト「Sony Music Shop」のUI/UX改善とシステム改善、そしてマーケティングアナリティクスを担当しています。
UI/UXの改善は、サイトの見た目や美しさを整えながら、お客様にとってそのサイトをより使いやすくすることを目指す業務です。私が入社してからチームで取り組んだもので、わかりやすい例を挙げると、検索欄に文字を入力すると候補キーワードが表示される“検索サジェスト機能”などがあります。
システム改善は、サイトを運営するスタッフの業務効率化、高度化を目指すもの。売上の集計システムを見直したり、業務ツールの課題点を整理したりと、ミスが起きやすいポイントを洗い出し、ヒューマンエラーが起きにくい環境づくりに取り組んでいます。
マーケティングアナリティクスでは、Xやメールマガジンといった、さまざまなチャネルからの流入経路や購入実態をリサーチして、その分析結果をマーケティング施策に反映させています。
これらに加えて、現在は「Sony Music Shop」全体のリニューアルプロジェクトにも携わっていて。サイトに求められる“使いやすさ”は、時代や利用環境の変化とともに変わっていきます。例えば、スマートフォンが普及した際には、PCだけではなく、スマートフォンでも見やすいデザインに刷新する必要がありました。また、CD購入時の特典やリリースイベントなど、たくさんの情報が詰まっている施策をお客様にわかりやすく伝えられる仕様にするのも、私たちの重要なミッションです。
こうした改善を円滑に進めるため、現場から改善すべきポイントをヒアリングし、優先順位をつけながら、社内のシステム開発チーム、社外のベンダー企業の方々とともにスケジュールを調整しています。場当たり的な対応ではなく、年単位をベースに計画的な改善を心がけています。
ひとつは、アナリティクス情報をもとに潜在的なニーズを推測し、実施したシステム改善です。
お客様のサイト内での動きを分析したところ、サイトを訪れてログイン後すぐにマイページで注文履歴を確認される方が多いことに気づきました。このデータから推測できたのは、注文した商品がいつ届くんだろうと、お客様が待ち遠しくされている様子です。
具体的な例を挙げると、「Sony Music Shop」ではアーティストのライブグッズの事前通販も行なっているため、グッズの到着がライブ当日までにちゃんと間に合うのか、いつ手元に届くのかを早く知りたいという気持ちが表われていると考えました。
そこで、購入商品に応じて出荷パターンを整理するとともに、マイページに出荷予定日をわかりやすく表示するようにしたんです。その結果、お客様から出荷に関するお問い合わせは減少し、多少なりともUXを改善できたのではないかと思います。
もうひとつは、あるアーティストのスペシャルストアで行なった取り組みです。
近年は、同じシングルでも形態ごとに収録曲が異なるケースが増えているので“初回盤Aではこの曲が聴ける”“初回盤Bに付属するDVDには、このライブ映像が収録されている”といった具合に、商品構成が複雑化することがあります。そこで、このスペシャルストアでは、収録曲がひと目で比較できるように表示していたのですが、さらにわかりやすくするためにデザインの改善が行なわれることになり、私もサポートの立場で参加。サイトの利用率が上がるという成果につながりました。
どちらもささやかな改善ですし、目新しい機能でもありませんが、小さなことでもお客様のニーズに応えることは大事で、その小さな積み重ねがサイトへの信頼につながっていく。それが数字に表われた事例として、このふたつは印象に残っていますね。
入社前から、“ソニーミュージックグループは、新しいことに挑戦し、トレンドを生み出そうとする会社”という印象を勝手に持っていて、入社後もそのイメージは変わりませんでした。
また、事業領域の広さも、入社前から魅力に感じていたことのひとつで。特にSMSはグループ内でも、幅広いエンタテインメントビジネスを手がけており、それぞれに専門性の高いプロフェッショナルが存在しています。“これをやりたい”と思ったときに、その分野のプロがいるという体制は、大きな強みだと感じています。
例えば私の業務なら、データ解析のプロに「Sony Music Shop」の分析を依頼したり、システム関連のプロにサイト改善をサポートしてもらったり、さまざまなかたちで連携しています。
ほかにも、部門を横断してプロジェクトを推進し、それぞれの専門性をいかしながらワンチームで成果を生み出している点に、多くのエンタテインメントビジネスを手がけるソニーミュージックグループならではの強みを感じています。
前職では、入社して間もないころから大きな裁量を任せてもらっていましたが、ソニーミュージックグループで同様の裁量を得るのは、しばらく難しいのではないかと思っていました。ですが、実際には自分がやりたいことを発言しやすく、ボトムアップの提案も想像以上に受け入れてもらえる環境でしたね。
その事例のひとつが、同期のスタッフとともに立ち上げた“X委員会”という取り組みです。「Sony Music Shop」ではXのアカウントを運用していますが、投稿内容が少し定型化しているように感じて。そこで、表現方法やビジュアルの改善を提案したところ、Xの運用を任せてもらえるようになりました。入社前のイメージ以上に、現場の提案を柔軟に取り入れる社風なんだなと感じています。
事業規模が大きい分、お客様からの期待も大きいのでプレッシャーもありますが、ひとつの取り組みをやり遂げたときの達成感はとても大きいですね。
小さな違和感や改善点に気づき、より良くしたいという意識を持てる人です。
普段街を歩いていて、“このデザインはわかりやすい”“このサービスは使いやすい”“この表現は素敵だな”など、そういうことに自然と気がつく感性は、この仕事にいかせると思います。
私自身、デザインを学んできた背景もあり、日ごろから看板やWebサイト、書籍などの見やすさ、わかりやすい表現を観察するのが好きです。そういった積み重ねが、業務における改善のヒントにつながっています。
現在所属している部署は、CDなどのパッケージ商品やデジタル音源をお客様に届ける“最終地点”。そして、音楽がどのような流れでユーザーの手元に届くのか、基本の“き”が見える点は大きな強みだと考えています。この経験は、レーベルでの音楽制作をはじめ、アーティストにより近い領域でもいかせると思います。
また、「Sony Music Shop」は多くの商品を取り扱うECサイトであり、ファンクラブとの連携など独自の取り組みも行なっています。ここで培った経験をいかすことで、将来的には、より大規模なECサイトやほかの領域のWebサービスに挑戦していくこともキャリアの選択肢として考えられます。
私自身は、引き続きECサイトやWebサービスに携わりながら、自身の強みである分析や改善の視点をいかし、サービス全体の価値向上に貢献していきたいです。これまでの経験をベースに、音楽をはじめとするエンタテインメントを、より良いかたちで届けるための改善を積み重ね、上質なサービスと価値を提供できるように成長していきたいですね。
文・取材:野本由起
撮影:干川 修

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