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連載Cocotame Series

イナズマロック フェス 2018

『イナズマロック フェス 2018』スタッフが語る“イナズマ”の舞台裏

2018.08.29

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西川貴教が地元・滋賀に恩返しをしたいという想いから立ち上げた“イナズマロック フェス”(以下、“イナズマ”)が、今年で10回目を迎える。

着実にファンを増やし、ブランド力を高めている“イナズマ”がどのように成長してきたのか? そして、フェスの舞台裏にどのようなストーリーが隠れているのか?

特集第3回は、 “イナズマ”を影で支えるスタッフチームから、株式会社ディーゼルコーポレーション 石井香子氏(統括/西川貴教の所属事務所で2009年の初年度から運営に携わる)、株式会社Zeppライブ 行貝竜一氏(統括/5回目の2013年からチームに参加)、キョードー関西グループ / 株式会社キョードーアジア 高岡俊輔氏(運営/2009年の初年度から運営に携わる)に、10年を振り返ってもらうとともに“イナズマ”の魅力を語ってもらった。

    • 行貝竜一

      Namegai Ryuichi

      Zeppライブ

    • 高岡俊輔

      Takaoka Syunsuke

      キョードー関西グループ/キョードーアジア

    • 石井香子

      Ishii Kako

      ディーゼルコーポレーション

2016年雷雨途中中止のステージ裏

――今回は、イナズマロック フェス実行委員会のみなさんに、これまでの思い出に残るエピソードなどをおうかがいします。早速ですが“実は裏では……”という出来事といえば?

行貝:やっぱり、2016年の2日目の雷での中断、中止がナンバーワンですね。会場には気象予報士の方にも入ってもらっていて、朝オリエンを受けて。前日から雨の予報だとは聞いていたんですが、朝の段階では大きな心配はないと……。

高岡:天気が崩れ始めてからが早かったですね。僕らも気象図は逐一チェックしていたんですが、「これ、ヤバくないですか?」っていう状況になってスタッフのみんなに連絡を入れたんです。

行貝:その連絡が来たのが15時頃。で、一旦中断を決めて、僕を含めた3人で西川さんに状況を説明しに行ったんです。彼はしばらく言葉が出なかったんですが、沈黙の後「しょうがないね」「じゃあ、僕がお客さんに説明します。」と。心の中で何かが切り替わったんでしょうね。ステージに送り出した瞬間を今でもよく覚えています。

石井:私はフリーエリアのステージを担当していました。当時は雨と雷の音でインカム(トランシーバー)も携帯の着信も全く聞こえないような状況でして。とにかくフリーエリアにいるお客様や出演者を誘導しなくてはと動いていましたね。後で見ると携帯電話の着信履歴がすごい数になっていました。

高岡:僕は運営本部にいました。運営本部はステージ裏にある制作本部とは離れた場所にあるので、無線でやりとりしようとしても雨が酷くてステージ裏まで届かなくて。ステージに西川さんが現われた時も「あ……出てきた」って。中止を知ったのはお客様と一緒のタイミングでした(苦笑)。そこからは安全に帰っていただくことを第一優先に動きまして。避雷針で雷を逃がしているから安全なので、その場で座ってください、と説明していました。

行貝:後で雷が落ちた場所を確認したら、イナズマの会場だけが落ちていなかったんですよ。

石井:正直、ゾッとしましたね。避雷針の効果を改めて実感しました。

高岡:これまで他の催しで前日に中止を決定したり、一時中断の後に再開したりすることはあっても、中断してそのまま中止というのは、僕自身も会社としても初めての経験でした。それほどの状況だったので各所バタバタはしていましたけど、自然と役割分担ができていたと思います。

石井:気象予報士から「このまま雷雲が会場周辺に1時間半とどまる」という情報を知らされた時点で、まだ演奏していないアーティストが3組残っていました。電源車の電源も落とさないと危ないという状況だったのですが、電源車は一度落とすと復旧に1時間は必要と言われまして。音の問題で終演の時間は元々決まっていますし、そうなると電源を復旧させて、終演時間から逆算して……どうやっても3組満足に演奏していただくのは不可能なんですよね。もう中止するより仕方なかったです。

行貝:その分、経験値は上がりました。ただ、それを翌年すぐ使うことになるとは思っていなかったですけどね(苦笑)。

スタッフが感じた西川貴教“2016”へのこだわり

――では、やっていて良かったなと感じた瞬間と言えば?

行貝:去年の“リターンズ”が終わった時ですね。2016年が終わらない感じが一年間ずっと続いていたので、無事に終了して一番ほっとしました。2016年の中止が決まった後、お客さん全員が会場を出るまで西川さんと話をしていた時に“リターンズ”のアイデアの断片は出ていて、その後すぐにスタッフ間でその想いを共有して実現に向けて進めていきました。

イナズマロック フェス 2016 リターンズ

高岡:あの時に来てくれたお客様にもう一度観てもらう。それをどうやったら実現できるか。場所や時間は? 何人くらい集まってくれる? あの日の来場者であることをどうやって確認する?……色々考えました。だから開演した時は、「お客さんが時間までに入り切って、ちゃんと始められてよかった」という思いでした。野外のイベントは、“何も起こらないこと”が一番良いことですからね。

行貝:僕らの意向は決まってもアーティストが出てくれる保証はなかったわけで……でも結果、出演してくれました。あの日は天気も良くて清々しい気分。ただ、また2日後は台風で中止になっちゃったんですけど(苦笑)。

石井:この2017年に開催した“リターンズ”なんですが、西川自身は“イナズマロック フェス 2016”という前年のタイトルそのままでやりたい、とずっとこだわっていたんです。

「2016年の続きをそのままやるんだから、余計な言葉はいらないんだ」と。私たちも気持ちは理解できるんですが、それではお客様に説明するにもわかりにくい。何かしらサブタイトルをつけさせて欲しい、と何度説明しても平行線で…。

2017年1月にその年のイナズマとリターンズの開催報告のために滋賀県庁と草津市役所を訪問したのですが、最初に訪問した滋賀県庁ではまだタイトル未定のまま会見したんです。タイトルを言わずに「昨年の代替公演をやります」という発表だけで切り抜けた(苦笑)。

そのあとの草津市役所での会見直前、控室に西川を迎えに行った時に、開口一番「 “リターンズ” でいこう」と。自分の中でなにか区切りがついた瞬間だったんでしょうか。

その後「リターンズ」のタイトルですっかり浸透したので、てっきり本人もこのタイトルで納得したものと思っていたんですけど、リターンズ当日、西川の開会挨拶の最後を聞いた時に衝撃を受けました。「 “イナズマロック フェス 2016” 、再開します」だったんです。

結局挨拶の中で”リターンズ”という言葉は一度も使いませんでした。この人は本当に“2016”そのものをやりたかったんだなと、なんというか確固たる信念のようなものを感じて思わず涙が出ました。いろいろと苦労はありましたが本当に実現してよかったです。

高岡:2016、2017年の悪天候のインパクトが強すぎて他の印象が薄れがちですけど、最初の年に明石家さんまさんが出てくれたなとか、解散してしまったバンドもあの年に出てくれたなとか、もちろん良い思い出もいっぱいあります。風神ステージから雷神ステージへとステップアップしてくるアーティストが何組もいるのも嬉しいことですよね。

イナズマロック フェス 2009

スタッフが語る“イナズマ”の魅力

――場所へのこだわり、バラエティに富んだ出演者も“イナズマ”ならではですね。

行貝:“イナズマ”に出たいというアーティストが年々増えてきた手応えもありますね。フェスが多い関西で、ほかとの差別化を徹底してきたことが結果として出てきたのかなと。

あえてロックフェスライクなアーティストだけで固めない、というのが毎年のテーマで、会話に出さなくてもみんながその感覚を持っている。それが一番大きいんじゃないですかね。

僕は“アーティストが出たいフェスはお客さんは観たいはず。お客さんが観たいフェスにはアーティストは出たいはず”という持論があるんですが、そのバランスがうまく取れるようになってきたように感じます。やっぱり続けてきた年月は大事。そして、何かがあった時に誰がケツを持つかがハッキリしているフェスは強いし、そこにある信念はお客さんにも伝わるはず。そういう意味で“イナズマ”はアーティスト主催型フェスの先駆者だと思います。

高岡:地元密着型フェスということで、“イナズマ”への出店を賭けた「イナズマフードGP(グランプリ)」などの派生イベントや、エフエム滋賀のラジオ番組公開録音、びわ湖一斉清掃への参加、収益金の寄付、そして開催日前日には地元小学生の会場見学なども行なっています。滋賀県の方にはこうした活動を通して“イナズマ”をやっている意味が少しずつ伝わっているんじゃないかなと思います。

9年間やってきて、もう自分の仕事の中心になっているのも実感しますね。色々なイベントや活動で出会った小学生が大きくなって“イナズマ”を観に来てくれているかもしれない。そんなことがあったら嬉しいですね(笑)。

石井: “びわ湖一斉清掃”に参加した際、漁連の方から「外来魚の回収車が不足している」と聞いた西川が、その後軽トラックを寄贈したこともありましたね。西川のキャラクター“タボくん”も第1回から“イナズマ”公式キャラクターとして登場して、その後は地元の高校生と田植えや稲刈りをしたり、県内のお祭りに参加したりと積極的に活動しています。そういう姿をテレビや新聞などで紹介してもらうことで、日頃から地元の方々に親近感を感じてもらえているのかなと思います。

――最後に今年“イナズマ”に来られる方、まだ行くかどうか迷われている方に一言お願いします。

高岡:今年はフリーエリアのレイアウトがガラッと変わります。お客様により快適に過ごしていただけるような配置になると思います。変えることって正直しんどいですけど、今まで改善を積み重ねてきたように、良いほうに転がるといいなと思っています。

石井:今年のイナズマの時期は滋賀県の観光キャンペーン「虹色の旅へ。滋賀・びわ湖」の期間中で、このキャンペーンナビゲーターを観光大使である西川が務めています。県内を走る近江鉄道では西川の写真が入ったラッピング電車が運行されていたり、県内各所に西川のポスターやパネルが飾られていますので、目にされる機会も多いかと。

また今年西川は日替わりで、西川貴教(22日)、abingdon boys school(23日)、T.M.Revolution(24日)として出演します。3名義での出演は今後いつ実現するかわかりませんから、とりあえず西川ファンの方には“今年行かないでいつ行くの?”というぐらいの勢いで(笑)、“イナズマ”と滋賀観光を楽しみに、ぜひお越しいただければと思います。

特集第4回目は、若手アーティストの登竜門となっている「風神」ステージのプロデューサーによる、今年の見どころをお届けする。

取材/文:草野美穂子

イナズマロック フェス 2018(新しいタブで開く)

■会場:滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場
■日時:9月22日(土)/9月23日(日)/9月24日(月・休)
■開場/開演/終演:12:00/14:00/20:00
※各日とも予定

※雨天決行(荒天の場合は中止)

チケット情報(新しいタブで開く)

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