子どもたちが音楽に触れる最初のきっかけを――「ゆるミュージック」に込めた、未来への願い【前編】
2021.02.05
ソニー・ミュージックエンタテインメント 他
誕生から75年、北欧を代表するキャラクターとして、子どもから大人まで世代を跨いで愛され続けているムーミン。そのムーミンの世界観を原作になぞらえながら、細部にまでこだわって再現し、従来のキャラクターテーマパークとはひと味違うアトラクションの数々でファンを魅了してきた『ムーミンバレーパーク』が、まもなく1周年を迎える。
Cocotameでは、『ムーミンバレーパーク』の1周年を記念して、改めてムーミンというコンテンツの魅力を3人の識者とともに探っていく。後編では、ムーミンが愛され続ける理由、『ムーミンバレーパーク』の楽しみ方、そして今後の展望を語ってもらった。
本取材は2020年1月23日に行なわれたものです。
目次
川﨑亜利沙氏
Kawasaki Arisa
ムーミン物語
マーケティング統括部
クリエイティブ・ディレクター
小栗 了氏
Oguri Ryo
脚本・演出家
増田雅子
Masuda Masako
ソニー・ミュージックエンタテインメント
──ムーミンは誕生から75年を迎えます。今も愛され続ける理由は何だと思いますか。
川﨑:ムーミンの物語が生まれたフィンランドという国には、サーミという民族がいたり、移民の人々がいたり、同性同士の結婚が認められていたりと、多様な人々が共存する社会が構築されています。ムーミンの物語にもこうした社会的背景が浮き出ていることが多く、例えばニンニのエピソードでは「いろいろな人がいて当たり前で、それでいいんだよ」という多様性を寛容する優しさが語られています。こういった普遍的なメッセージが、現代の私たちにも共感を生むのではないかと感じています。
小栗:僕は、ムーミンの物語には“余白”があって、それぞれに解釈が委ねられていることがその理由だと思います。例えば小さい子どもが『ムーミンバレーパーク』のショウを見て「あのシーンはなんだったのかな? どういう意味だったんだろう?」という感想を持ってもらっていいと僕は考えていて。
そのときはわからなくても、わからないままに楽しめるのがムーミンという作品の懐の深さだし、大人になってからふとした瞬間に「そういうことだったのか」なんて気付いてもらえたら、脚本家冥利に尽きますよね。原作にはそういうことの手掛かりになるエピソードや言葉がたくさんありました。
増田:ライセンサーはもちろん、これまでムーミンの世界観を伝え、守ってきた人たち全員がトーベ・ヤンソンの理念をきちんとリスペクトしていることだと思います。それぞれのプロフェッショナルが、みんなで良いものを作り、守っていこうという思いが共通しているからこそ、それぞれの時代に合ったムーミンの価値が常に生み出されていくのではないかと思います。
小栗:それとビジュアルについて言えば、非常にシンプルなのもポイントですね。ムーミンはフォルムにムダがなくて、シルクハットを被ればパパだし、エプロンつければママ(笑)。もう潔いほどにシンプル。白いから背景にも映えるし、シンプルなデザインというのは、時代が変わってもフィットするんですよね。
増田:過度な装飾をする方が簡単で、シンプルでありながら、多くの人に受け入れられることの方が、ずっと難しいですよね。
川﨑:フィンランドでは、ムーミンは人々の日常生活に当たり前のように溶け込んでいて、一家に1個は必ずあると言われる「ARABIA」のマグカップにもムーミンが描いてあったり、切手やおむつなどの日用品にもムーミンの絵が描かれています。
また、フィランドは図書館の利用率が世界一なのですが、多くの人が小さいときからムーミンの原作にも親しんでいます。こんなふうに、三世代に渡ってキャラクターと絵が浸透しているので、すぐ目につくところにムーミンがいる。日本でもアニメが放送されたことで知名度がぐんと上がりましたが、『ムーミンバレーパーク』を訪れることで、より原作の魅力も知ってくださる方が増えたら良いなと思っています。
──『ムーミンバレーパーク』を最大限楽しむには?
川﨑:ご覧の通り、森と湖に囲まれていますので、自然を身近に感じてのびのびと遊んでもらえます。お子さんと一緒なら、アスレチックやジップラインで思いっきり体を動かすのも良いですし、入場料がかからない「メッツァ」のフリースペースだけでも、良い散歩コースになると思いますよ。
そう言えば、先日『ムーミンバレーパーク』のカフェスペースで編み物をしている方を見かけたのですが、そんなふうに自分だけの楽しみ方を見つけて過ごすのもすてきだなと思いました。また、日が暮れるとところどころに温かい色の照明が灯って、昼間とは違った雰囲気になります。この時間は、デートコースにもピッタリですね。
ファミリーでも、カップルでも、友人同士でも、ひとりでも、それぞれの楽しみ方を見つけていただける場所。『ムーミンバレーパーク』は、これからもそういう場所でありたいと考えています。
増田:『ムーミンバレーパーク』に特化すると、入園チケットだけで充分楽しめるところが良いですね。本当に自然がきれいで、ムーミンの世界観を再現したオブジェの数々を見て回るだけでも楽しいですし、ムーミンミュージアムと言える「コケムス」にも立ち寄れば、これだけで半日以上遊べます。
キャラクターのテーマパークにありがちな、あれを見られなくて損をしたとか、チケット代の元が取れなかったということがないんですね。親子で自然に会話を楽しんだり、お散歩したりするだけで贅沢な時間を過ごせるのではないかと。ちなみに、「メッツァ」はペットも一緒に来場できますので、ワンちゃんの散歩コースにも最適ですよ。
小栗:ムーミンのことを詳しく知らなくても、素晴らしいひとときが過ごせると思いますね。ベンチやプロップスに書かれた原作の引用文を読んで意味を考えてみたり、ショウやアトラクションを楽しんだり、「コケムス」でちょっぴりアカデミックな体験をしたり。僕も友人たちによく「いわゆるキャラクターのテーマパークだと思わないで、のんびりお散歩気分で遊びに来て」と言ってるんですけど、『ムーミンバレーパーク』ならではの自由でゆったりした時間の過ごし方を楽しんでもらいたいですね。
──最後に、間もなく1周年を迎えますが、今後も『ムーミンバレーパーク』は進化をされていくと思います。実現の可否はともかくとして、やってみたいことなどがあれば教えてください。
小栗:「サウンドウォーク」(現在は終了)を体験していて感じたことですが、「メッツァ」の敷地はまだ開発の余地があって、『ムーミンバレーパーク』も拡大できるスペースがあるそうなので、このスペースもフルに使って映像表現もつけた大規模な「AR(拡張現実)ウォーク」ができたらいいなと思いました。ストーリーはもちろん、ムーミン谷を忠実に再現してみたいですね。
増田:我々ソニーミュージックグループには、エデュケーショナル事業の経験やノウハウもあるので、子どもたちにフォーカスを当てて、『ムーミンバレーパーク』でさまざまな体験ができるような参加型のイベントを企画してみたいです。例えば、サマースクールとかスポーティーな合宿とか。可能性はたくさんあるので、どんどん提案してみたいと思います。
川﨑:これは本当に妄想と言える夢なんですけど……。原作と同じように「エンマの劇場」を水に浮かせてみたいなと。大きな湖もありますし、ボートやジップラインを活用して、水上劇場が実現したらいいなあ、なんて。
小栗:それは壮大ですね(笑)。そのときの演出と脚本も、ぜひ僕にやらせてください!
川﨑:もちろん! 小栗さん、SMEの皆さんと一緒に実現できたら最高です。まだまだやりたいことはたくさんありますし、ムーミンの世界観の真価は、もっともっと深掘りできます。そういったことを、この『ムーミンバレーパーク』で体験していただけるよう進化させていきたいです。
文・取材:木村帆乃
撮影:篠田麦也
「ムーミンバレーパーク」
所在地:埼玉県飯能市宮沢327-6 メッツァ
アクセス:西武池袋線・飯能駅北口よりバス「メッツァ」下車
JR八高線・東飯能駅よりバス「メッツァ」下車
狭山日高インターチェンジから県道262号線経由5.4km(約12分)
青梅インターチェンジから県道218号線経由約11km (約30分)
飯能駅北口から宮沢湖入り口まで約3km(約10分)
開館時間:10:00~20:00(チケット販売19:00まで)
【入園料】
入園チケット(17:00まで販売)
おとな(中学生以上)1,500円
こども(4歳以上小学生以下)1,000円
1デーパス(16:00まで販売)
おとな(中学生以上)2,800円
こども(4歳以上小学生以下)1,800円
※3歳以下は無料
ナイト入園チケット(17:00~19:00まで販売)
おとな(中学生以上)1,000円
こども(4歳以上小学生以下)500円
3月9日(月)より営業時間が変更になります。
3月14日(土)よりチケット料金が変更になります。
最新情報はホームページでご確認ください。
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