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連載Cocotame Series

芸人の笑像

や団:お笑い通も一目置く、ネクストブレイク芸人の急先鋒【後編】

2020.03.28

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ソニー・ミュージックアーティスツ(以下、SMA)所属の芸人たちにスポットをあて、ロングインタビューにて彼らの“笑いの原点”を聞く連載「芸人の笑像」。

第3回に登場するのは、2020年ブレイク必至と噂されるトリオ芸人・や団(読み方は“や⤴”“だん⤵”。サッカー界のレジェンド“ジダン”と同じ音調が正解とのこと)。

ロングサイズ伊藤の加入で、トリオ体制の崩壊という一大事を乗り越えたや団。『キングオブコント』にも出場を果たし、確実に爪痕を残しつつあった。

  • 本間キッド

    Honma Kid

    1982年12月23日生まれ。埼玉県出身。血液型AB型。

  • 中嶋 享

    Nakashima Toru

    1982年6月23日生まれ。新潟県出身。血液型A型。

  • ロングサイズ伊藤

    Longsize Ito

    1981年3月22日生まれ。神奈川県出身。血液型A型。

優勝すれば、胸を張って“俺たちは芸人だ!”と言える気がする

伊藤が新加入してからのや団は、事務所主催のライブで力を蓄えつつ、2008年からはコント芸人の最大の目標である『キングオブコント』に出場。初出場の翌年には準決勝に進出。その後、一進一退を繰り返しながら、2016年からは毎年、準決勝に進出。常連トリオとして徐々に実力を認められるようになった。

「『キングオブコント』は第1回から出てるんですよね。賞レースには興味ないという芸人もいると思うけど……やっぱり僕らは『キングオブコント』で優勝したい。ボクシングをやってたら当然世界チャンピオンを目指すように、一番わかりやすい目標なんですよ。もしも優勝すれば、王者として名前が残る。それでやっと自分たちが、胸を張って“俺たちは芸人だ!”と言える気がするんですよ」(本間)

「『キングオブコント』で上位に行くこと、決勝戦のステージに上がることで、コント芸人としてやっとスタート地点に立てると思うんです。本間とや団としてのお笑いを始めて、今年で15年。ロング(伊藤)が入ってから13年経つけど、僕らはまだ名刺がない状態。まだ何も始まってないのと同じなんですよ」(中嶋)

モチベーションの上がり下がりがなかったわけじゃない

正直3人とも、未だお笑い1本では食べていけないアルバイト生活が続いている。これまで芸人を辞めようと思ったことはないのだろうか?

「お笑い自体を辞めようと思ったことはないですね。就職を蹴ってこの世界に入ったので、親には『30歳くらいまでに芽が出なかったら辞めろ』と言われてたんですけど、その頃は『キングオブコント』で予選を勝ち上がれるようになって、『エンタの天使』や『オンバト+』みたいなネタ番組にも呼ばれるようになっていました。“ほら、芽が出てるじゃない、今辞めたらもったいないよ”とまた親をごまかしつつ、今まで続けてこれちゃった感じです(笑)」(本間)

「たしかに、モチベーションの上がり下がりがなかったわけじゃないです。しかも僕は、本間さんたちと違って脱サラして25歳になってからこの世界に飛び込んだ身なので、“人生大丈夫かな?”という意識はおそらく他のふたりより強かったんですよ。なので、最初は33歳まで何も仕事がなかったら辞めようと決めていたけど、ライブに呼んでもらえたり、『キングオブコント』で準決勝に行けたりと、何かしら結果が出ていたから続けられた。今ももっと上を目指したい気持ちは、ずっと続いていますね」(伊藤)

「僕は……本間とロングのおもしろいふたりが売れてくれれば、それでいいかな。や団も、誰かが辞めるというなら辞めるし、僕はそんなにこだわりがないんですよ。このふたりに売れてもらって、僕は趣味のラーメンを食べ歩けるのが理想ですね(笑)」(中嶋)

この三者三様の答えからも、や団の独特の空気感が感じ取れる。とにかくおもしろいことがやりたいんだと、真っ直ぐにネタ作りに取り組みトリオを引っ張っていく本間。3人のなかで一番、前へ前へと出ていきながらも、押しつけがましさのない陽気な伊藤。他のふたりが楽しくやってくれれば自分は目立たなくてもいいと、客観的な視点からバランサーとしてチームを支える中嶋。決してガツガツせず、飄々とマイペースでいながらも、何かデカいことをやらかしそうな匂いが、や団にはある。

ボケ・ツッコミじゃなく、素直に狂気と異常者でいい(笑)

そんな3人それぞれの個性がストレートに笑いに昇華されたネタがある。昨年末に行なわれた“SMAホープ大賞”と今年の“山-1グランプリ”で披露され、どちらも優勝を飾った“バーベキュー”というネタだ。バーベキューをしようと集まった3人。中嶋が死体役になり、伊藤にドッキリを仕掛けた本間は、それまでまったく知らなかった伊藤の一面と思いも寄らぬ行動に振り回される――。

大賞を獲るほどの完成度であるだけでなく、このネタには、これからや団としてやっていくべき笑いの方向性が、意図することなく詰め込まれた手応えがあったと本間は言う。

「ずっと、ただただ自分たちがおもしろいと思うネタを作ってきてたんですけど、ぶっちゃけここ何年かは、『キングオブコント』も準決勝止まりで、どんなネタならもっと上に行けるのかわからなくなってたんですよ。今回の“バーベキュー”も僕の趣味が強い死体ドッキリというネタなので、最初はお客さんに怖がられるだけで笑いにならないんじゃないかと不安だったんですね。でも、爽やかさ全開の伊藤が真面目な顔で狂気的なことをやると、なぜだかやたら笑えるし、空気をまったく読まずに行動する変なヤツが中嶋にはすごく似合うということが、このネタでよくわかりました。それが、や団だからできる笑いなんだなって。ボケ・ツッコミの役割分担がどうこうじゃなく、素直に狂気と異常者でいい(笑)。そういうネタが楽しいんだなって気づきました」(本間)

「“バーベキュー”は、マツクラ(マツモトクラブ)が“いいですね”と言ってくれたのも嬉しかったんです。あのマツクラが褒めてくれたネタなら間違いない。それでいい結果を残せたのも自信になりましたよね」(中嶋)

「“山-1”の話でいうと、憧れのダウンタウンさんと話ができたのも嬉しかったですね。もともとファンですし、あの松本人志さんが、俺らに向かってネタの話をしてくれてる、後輩芸人としてしゃべってくれているということに、とにかく感激しました」(伊藤)

コントの、設定や小道具で世界観を作る“作品感”が大好き

山-1グランプリ獲得でや団だからこその方向性も見え、「まずは『キングオブコント』のファイナリストになること」という目標達成への弾みはついた2020年。これからもや団は、彼ららしいコントにこだわり続ける。

「僕と伊藤は、芸人としての幅を広げたくて、ピン芸人として『R-1ぐらんぷり』の予選を毎年受けたり、一時はトリオ漫才のネタを作って『M-1グランプリ』の予選を受けたこともあります……けどやっぱり、自分はコントがやりたい。設定や小道具で世界観を作る“作品感”が大好きなんですよ。コントなら、何でもできる。漫才だとA という人物はずっとAとして話し続けなきゃいけないけど、コントはキャラクターも自由に変えられる。その幅の広さが楽しいんですよね」(本間)

「僕も漫才への憧れはありますけど、ネタで場の空気をすべてコントロールできるコントって、話芸にはないおもしろさがあるんですよね。それはコントだけの魅力。それに……“コント師”って響きもいいじゃないですか。漫才師もカッコいいけど、コント師も相当カッコいいなって思いますね」(伊藤)

「うーん……僕自身はコントより漫才のほうが好きなので(笑)、コントではこのふたりについていくだけですね、なるべく足を引っ張らないように。こいつらはほんとにおもしろいんで、ネタがウケた後、“ああ、良かったなぁ”とラーメンをすすれたら、それで幸せ。だから今年は、『キングオブコント』の決勝に出て、美味しいラーメンを味わいたいです(笑)」(中嶋)

文・取材:阿部美香
撮影:尾藤能暢

関連サイト

SMA NEET Project HP
https://neet-project.com/profile/yada-n/(新しいタブで開く)

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