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Action ~いま、私たちにできること~

どんなときも、キャラクターたちを皆さまのそばに――ソニー・クリエイティブプロダクツの取り組み

2020.05.08

いま、私たちにできること――。

現在、私たちの生活はさまざまな制限を求められている。ライブやイベントが延期・中止になり、ミュージアムやアミューズメント施設が休館を余儀なくされるなか、果たしてエンタテインメントには何ができるのか。

新連載「Action ~いま、私たちにできること~」では、社会が急速に変わりゆくなか、ソニーミュージックグループをはじめ、エンタテインメント業界の新たな試みに注目。“必要至急”とは言えないかもしれないが、どんなときでも人々に寄り添い、心を潤すエンタテインメントの未来を追いかけていく。

連載第1回は、ソニーミュージックグループのなかで主にキャラクターのライセンスビジネスを手掛け、現状に対していち早く施策を打ち出したソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)の取り組みをクローズアップ。『ピーナッツ』『きかんしゃトーマス』『Barbie®』『タマ&フレンズ』などのキャラクタービジネスを統括する渡辺恵介に「いま、キャラクターにできること」を聞いた。

  • 渡辺恵介

    Watanabe Keisuke

    ソニー・クリエイティブプロダクツ
    IP本部 本部長

    『ピーナッツ』をはじめライセンスビジネスに長年携わり、2020年度からはSCPのキャラクタービジネス全般を統括している。

映像で伝える大切なメッセージ

取材はリモート会議アプリケーションを使って行なった。

いま、私たちにできること――国内外の人気キャラクターたちがあたたかいメッセージを贈るオリジナル映像「いま、わたしたちにできること」が公開された。この企画はSCPが同じくキャラクタービジネスを手掛けるステークホルダーに声掛けを行ない実現した企画である。また、おうち時間を楽しく過ごすためのさまざまな企画が『ピーナッツ』や『きかんしゃトーマス』などでも進められている。これらの“アクション”はどのような想いから始まったのだろうか。

――SCPではキャラクターの垣根を越えたメッセージ映像の配信、おうち時間をスヌーピーと過ごすWeb企画「HAVE FUN AT HOME!」など、いち早くアクションを起こしました。どのような経緯で、こうした企画は始まったのでしょうか。

渡辺:SCPは、これまでにも有事の際にキャラクターができることを模索してきました。東日本大震災のときは、子どもたちを笑顔にするための支援活動「キャラクターエイド」を業界の有志と企画し、被災地にキャラクターを派遣したり、映画上映会などを開催しました。また、『ピーナッツ』ではさまざまな取引先の協力のもと被災地にグッズを送ったり、チャリティーTシャツを販売して全収益を寄付したりしました。今回も「私たちにできることは何だろう」「どうしたら、このような状況下でもキャラクターを楽しんでもらえるだろう」と、IPごとにさまざまな施策を企画しました。

──具体的なアプローチを教えてください。

渡辺:各キャラクターの担当プロデューサーを中心に、企画を進めています。例えば『きかんしゃトーマス』公式サイトでは、以前からぬりえを配信していましたが、そのラインナップを拡充しました。また、映像コンテンツも豊富にあるため、YouTubeの「きかんしゃトーマスチャンネル」で定期的に映像を配信しています。

『ピーナッツ』においても「おうちでできることはなんだろう」と考え、「HAVE FUN AT HOME!」のサイトでフリーダウンロードのコンテンツを提供しています。例えばシュルツ美術館が開発した「ピーナッツ・ギャングの描き方解説」やシュルツ・スタジオによる「ぬりえ」などです。

また、2018年にNASAと「ピーナッツ」のパートナーシップが50周年を迎えたことをきっかけとして、新たにスペース・アクト・アグリーメントが結ばれ、次世代の子供たちに向けて宇宙をテーマにしたSTEAM教育(科学、技術、工学、芸術、数学の教科横断教育)の教材をNASAと「ピーナッツ」で共同開発し、アメリカではすでに2019年のアポロ11号月面着陸50周年を記念してリリースされています。現在、この教材の各国語版が準備されていますので、日本語版が権利元から届き次第公式サイトの「HAVE FUN AT HOME!」に追加する予定です。

さらにスヌーピーミュージアムではゴールデンウィーク・スペシャルとして過去六本木で展示作品として制作されたオリジナル映像7本を4月29日~5月5日まで毎日1本ずつ公式インスタグラムで公開しました。

加えて、『Barbie®』『きかんしゃトーマス』『タマ&フレンズ』などの、リモート会議用バーチャル背景画像の配布もスタートしています。アメリカなどで外出を控える動きが始まった際、こうしたバーチャル背景画像が配信されたため、『きかんしゃトーマス』や『Barbie®』の担当者が日本でも展開できないかと考え、すぐにライセンサーと調整を行ない実現させました。

──キャラクターを通じたメッセージ映像企画「いま、わたしたちにできること」についても詳しく教えてください。

渡辺:東日本大震災のときのようにキャラクターの力を結集できないかと考え、このプロジェクトを発足しました。今回も業界関連企業とともに、各キャラクターがおうちでできることを提案したり、今みんなですべきことを発信したりするオリジナル映像「いま、わたしたちにできること」を公開しました。“3密”(密集、密室、密接)を避けるため、映像は打合せから制作まで、全てリモートワークで行ないましました。

現在公開中の映像にはSCPが管理するキャラクター以外にスージー・ズー、ミッフィー、ラスカルが登場しています。さまざまなキャラクターに参加してもらえば、より大きなメッセージになるので、引き続き幅広いキャラクター企業に参加を呼び掛けたいと思っています。
 

キャラクターたちと楽しく過ごそう①

オリジナルメッセージ映像「いま、わたしたちにできること」
 
『きかんしゃトーマス』『スージー・ズー』『タマ&フレンズ』『ピーターラビット』『ピングー』『ミッフィー』『ラスカル』『リサとガスパール』などキャラクターたちが、おうちで楽しめることを提案するオリジナルムービーを配信している。
 
 
ピーナッツ「HAVE FUN AT HOME!」
 

日本のスヌーピーオフィシャルサイトではおうち時間をスヌーピーと過ごすWeb企画「HAVE FUN AT HOME!」を実施中。大人も子どもも楽しめる「ぬりえ」や「誰にでもピーナッツのキャラクターを描ける簡単ガイド」を掲載。
 

簡単に描けるガイドには、既にスヌーピー、チャーリー・ブラウンが公開されている。今後ウッドストックも追加される予定。
 
https://www.snoopy.co.jp/funathome/
 
 
リモート会議用バーチャル背景画像

『Barbie®』『きかんしゃトーマス』『タマ&フレンズ』などのリモート会議ソフト用のバーチャル背景画像を配信中。
 
http://www.scp.co.jp/biz/special/index.html

今、キャラクターにできること

SCPを含めたソニーミュージックグループでは、全社リモートワーク体制が敷かれている。その体制のなかでどのように企画を進めていったのだろうか。それぞれの企画がすばやく実現した理由には、SCPならではの企業風土があった。

──どの企画もスピード感を持って進行している印象を受けます。企画実現までのプロセスについて聞かせてください。

渡辺:キャラクターごとの施策に関しては、3月から動き始めました。SCPではIPごとにプロデューサーがいるため、それぞれの判断でスピーディに動けるという体制と企業風土があります。今回の場合も、海外の情報や動向をそれぞれがキャッチして、権利元とも情報交換をしながら、どんどん企画を進めていきました。当然、権利元自体もリモートワークという環境下にありますが、「私たちに何ができることがあれば」と非常に協力的だったと聞いています。

その一方で、他社とともに進める企画では、会社としての判断も必要になります。こちらについては社長から、現場スタッフに至るまで一丸となって、それぞれの役割で行なうべきことを分担しながらスピード感をもって取り組みました。プロデューサーが個々で動く施策とトップダウンで動く施策がうまく重なり、各IPの企画やキャラクター企業との連動企画が実現できたのだと思います。

──今後の展開も含め、ほかに進めている企画があれば教えてください。

渡辺:メッセージ映像だけでなく、「今、キャラクターにできること」を他社との連動も含め考えていきたいと思います。

また、『ピーターラビット™』『きかんしゃトーマス』のInstagram公式アカウントを新たにオープンし、おうちで遊べるグッズなどを紹介しています。

ほかにも、KADOKAWAとともに展開するキャラクターおでかけ情報サイト「キャラWalker」では、「おうちで楽しめるグッズ特集」などご自宅での過ごし方にシフトした内容で展開しています。

──こうした状況だからこそ、さまざまな形で「キャラクターにできること」を考え、実現しているんですね。

渡辺:現在、さまざまなエンタテインメント活動は自粛を余儀なくされています。とは言え、エンタテインメントやキャラクターが人に感動を与えるものであることは間違いないと思います。そしてそれを待ち望んでいる方々に向けて、どうすればキャラクターを届けられるか、人々と寄り添うことができるかを考え、さまざまな企画を実施しています。
 

キャラクターたちと楽しく過ごそう②

キャラクターの公式インスタグラムをスタート
キャラクターの情報をタイムリーに伝えられるように、人気キャラクターの公式インスタグラムも開始。数々のメッセージや情報をファンに届けている。
 

『ピーターラビット™』Instagram公式アカウント
 
 

『きかんしゃトーマス』Instagram公式アカウント

社会が変わっても、キャラクターは変わらない

現状のように、どうしても息苦しさを感じてしまうなかで、笑顔やときには癒しを届けるキャラクターたち。そんなキャラクターたちから元気をもらっているという人も多いのではないだろうか。日々変化する社会において、キャラクターたちに求められているものとは? 10数年キャラクターに関わってきた渡辺は、キャラクターとそのビジネスの可能性を語る。

──SCPが運営するスヌーピーミュージアムも、2月末から休館を続けています。渡辺さんご自身は、ここまで事態が長期化することを想定されていましたか?

渡辺:ここまでの事態になることは想定しておらず、当初はもう少し楽観視していたというのが正直なところです。当然のことながら、今では認識を改めていますし、この事態が長く続くのではないかという懸念も抱いています。

それゆえに、今はSCPのスタッフ全員が一生懸命に知恵を絞っています。我々のビジネスは、イベントやミュージアム事業に注目が集まりますが、SCPの基本はライセンスビジネスです。つまり、キャラクターグッズの商品化が中核を成しています。現在、キャラクターグッズを販売する多くの店舗は休業を余儀なくされていますし、全国29店舗の『ピーナッツ』オフィシャルショップ「スヌーピータウンショップ」も全店休業しています。時間が経つにつれ、スタッフの間にも危機感が広がっています。SCPに限らず日本全体、そして世界が危機感を覚えていますし、「こうやって時代が変わっていくのかもしれない」とも感じています。だからこそ固定概念に捉われるのではなく、今後社会がどのように変わっていくのか、未来を想像した上で、キャラクタービジネスを考えていかなければならないと感じています。

──キャラクタービジネスにおいて、今後も変わらないこと、そして変わっていくことは何だと思いますか?

渡辺:今年『きかんしゃトーマス』は75周年、『ピーナッツ』は70周年を迎えます。どちらも世界的に人気で、これだけ長い歴史を歩んできたキャラクターです。この事実を踏まえて、どれだけ時代が変化しても、それぞれのキャラクターが持つ世界観や原作者がそのキャラクターに託したメッセージは変わらないということではないでしょうか。皆さんがキャラクターに対して期待するのもこうした普遍性だと思いますし、我々もキャラクターの哲学、作品のテーマは本当に大切に伝えていかなければならないと考えています。その上で、変わっていくのは届け方だと思います。

──それは絵本やコミックから始まり、映像になり、ミュージアムやイベントへも展開し、さらにはネットやアプリを介するという変化ですね。

渡辺:そうですね。もちろんミュージアムやイベントといった既存のビジネスも継続しつつですが、新しい届け方を考えるために私たちもアンテナを張って、コミットしていかねばならないと思います。例えば今回のオンライン取材でも、みなさんは背景画像として『タマ&フレンズ~うちのタマ知りませんか?~』の画像を使ってくれていますよね? こういう画像をお届けすれば、ファンのみなさんが「私も好きなキャラクターを背景にしてみよう」と思うでしょうし、キャラクターをより身近に感じていただけるかもしれません。新しいメディア、テクノロジーを取り入れつつ、キャラクターの魅力を伝えていくことが重要だと思います。

──最後に、SCPがキャラクタービジネスを通じてファンに伝えたいことをお願いします。

渡辺:どんなに時代が変化しようとも、キャラクターは変わらずみなさんに寄り添っています。何周年を迎えようとも、みなさんが各キャラクターに対して抱くイメージがこの先変わることはありません。ぜひ、引き続きそれぞれのキャラクターを応援していただけますようお願いします。私たちも、ファンのみなさんにさまざまな形でキャラクターをお届けしていきたいと思っています。

このような状況下ではありますが、今回制作した映像が発信するキャラクターたちのメッセージがひとりでも多くの方に届き、この事態が一日も早く終息することを願っています。
 

キャラクターたちと楽しく過ごそう③

変化する時代において、普遍のメッセージをおくる『きかんしゃトーマス』
『きかんしゃトーマスとなかまたち』は国連との共同企画で、SDGs啓発ショートビデオの日本語版を公開した。SDGsとは国連加盟193カ国が“持続可能な開発目標”として2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた17のゴールのこと。キャラクターたちは、いつでも多くの人々に力強いメッセージを訴える。
 

文・取材:野本由紀
撮影:冨田望

© Sony Creative Products Inc.
© Peanuts Worldwide LLC
© 2020 Mattel.
© 2020 Gullane (Thomas) Limited.
© FW&Co.,2020

関連サイト

ピーナッツ「HAVE FUN AT HOME!」
https://www.snoopy.co.jp/funathome/

リモート会議ソフト用のバーチャル背景画像
http://www.scp.co.jp/biz/special/index.html

『ピーターラビット™』Instagram公式アカウント
https://www.instagram.com/peterrabbit.jp/

『きかんしゃトーマス』Instagram公式アカウント
https://www.instagram.com/thomasandfriends_jp/

『スヌーピーミュージアム』Instagram公式アカウント
https://www.instagram.com/snoopymuseumtokyo/

連載Action ~いま、私たちにできること~