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連載Cocotame Series

エンタメビジネスのタネ

傷つくだけのSNSはもういらない――その思いが生んだライブ配信アプリ「わちゃっと」って何だ?【後編】

2020.06.18

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ここから未来が生まれ、そして育つ――。新たなエンタテインメントビジネスに挑戦する人たちにスポットを当てる連載企画「エンタメビジネスのタネ」。第2回は、2020年5月22日にプレオープンしたライブ配信アプリ『わちゃっと』にスポットを当てる。

2年前からプロジェクトリーダーとして『わちゃっと』を牽引してきたソニー・ミュージックソリューションズの髙橋聡志へのインタビュー後編では、『わちゃっと』のほかにはない魅力とサービスの具体面について聞いた。

  • 髙橋聡志

    Takahashi Satoshi

    ソニー・ミュージックソリューションズ
    ビジネスコミュニケーションカンパニー エンタノベーションオフィス

有料であることに見合う企画を展開

ライブ配信アプリ『わちゃっと』が目指しているのは、有名人とファンとの強固なエンゲージメント。タレントが素顔と本音でメッセージを安心して届け、ファンがそれをポジティブに受け取れる空間だ。

――タレント、アーティストにとって『わちゃっと』は、自身のファンクラブに近い存在とも言えますね。ファン側としては、同じタレントを応援する仲間の存在にも励まされます。

そうですね。ただ、ファンクラブに入る目的の多くはライブチケットの入手だと思うのですが、この御時世では、いつから以前のようにライブやイベントを開催できるか見えていません。その代わりにライブ配信でファンとタレントを繋ごうとしても、ファンクラブが自前で生配信システムを持っているところは、まずない。ストリーミング配信システムの導入は、想像以上にお金がかかるんです。であれば、『わちゃっと』をファンクラブ機能の一部としてお使いいただくのも合理的かもしれません。

――月額課金・会員制とすることで、クローズドなコミュニティでライブ配信ができるのが『わちゃっと』の最大の特徴ですが、サービスの月額はどの程度を想定していますか?

課金システムに関するユーザー調査の結果としては、1配信100円程度が適正ではないかという意見が多いですね。そうなると週1回ペースの配信を平均的なモデルと考えた場合、1タレント・アカウントに対して月額4~500円くらいが妥当だと考えられます。とはいうものの、現実的に月額料金をどこに設定するかは、タレント単位でさまざまなケースが考えられるので一概には言えません。

――例えばどういうことでしょうか?

『わちゃっと』は1配信で最大4人のタレントの参加が可能で、そのタレントやアカウントの会員となったユーザーがスマートフォンのアプリを使って配信に参加、人数無制限で閲覧できるシステムになっています。

そのタレントやアカウントが、タレントひとりに対するものなのか、グループに対するものなのかは配信者側次第。多人数のグループだと参加者を変えながら、週に何度も配信することができますが、その場合は、本人たちへの分配が行き届かなくなる恐れがでてきます。そのあたりは配信者の考え方次第ですね。また、その分、配信側も有料であることに見合うだけの意識を持った企画を展開していただけると期待しています。

セキュリティも含めて、安全かつ安心して参加できて、タレントサイドにもユーザーサイドにも満足度が高いライブ配信のシステムと内容をしっかりと提供することが、我々の使命だと感じています。

1回の配信で最大4人までの同時配信が可能。

タレントマッチングのサポートが最大の特徴

――タレントサイドにもユーザーサイドにも満足度アップの要素としては、『わちゃっと』にはどんな特徴がありますか?

ひとつは、タレントマッチングのサポートですね。これは、ほかの無料ライブ配信ツールにはない最大の特徴です。例えば、『わちゃっと』で配信中のタレント同士をマッチングさせて合同のライブ配信を企画するなどです。タレントが希望する方に我々のほうからオファーのお手伝いをすることもできます。

ちなみに、『わちゃっと』配信者同士のコラボ配信の場合は、それぞれ配信者の会員が全員、追加料金なしで参加できます。さらに、我々運営サイドから企画やゲストの人選の提案を差し上げることもあります。またライブ配信中のコメント機能で書き込まれた、ユーザーが望むゲストや企画を実現させるお手伝いも可能です。

より良質なコンテンツ作りのために、参加いただくタレントに、積極的にサポートを行なっていきたいと考えています。

――この夏にはアプリのバージョンアップが予定されていると伺いました。現状のユーザーコメント機能付きのライブ配信に、どんな追加機能が予定されていますか?

現在、実装を予定している主な機能としては、「コンテンツ配信機能」「ギフティング機能」「アーカイブ視聴機能」があります。

――それらはどのような機能でしょうか? まず、「コンテンツ配信機能」とは?

簡単に言うと、あらかじめ用意した映像や動画を流しながら、タレントがおしゃべりする様子が見られる機能です。例えるなら、過去のライブ映像や舞台作品などを見ながらのオーディオ・コメンタリーやテレビ番組の副音声、YouTubeでも人気の顔出しのゲーム実況のようなイメージですね。

『わちゃっと』の場合は、タレントの所属事務所としっかり契約を交わしての参加になりますので、例えば配信者と同じ権利元のタレントやアーティストの映像も使用できますし、スポーツ選手なら過去の試合を見ながら解説が聞けたりと、さまざまな使い方が可能です。

コンテンツ配信機能のイメージ。配信者が自身のライブや映像にコメントしながら、視聴者同士で盛り上がれる。

――「ギフティング機能」とは、いわゆる“投げ銭”のシステムでしょうか。

はい。YouTubeライブのスーパーチャットやSHOWROOMの有料ギフトのようなイメージです。形式としてはYouTubeライブのスーパーチャットに近く、購入した有料アイテムと一緒に配信者に質問を投げかけると、その質問が目立って表示される感じを想定しています。

閉ざされたコミュニティのなかで、より深いコミュニケーションを特別な気持ちとして届けたい方にご活用いただければと。

――「アーカイブ視聴機能」は?

文字通り、過去のライブ配信をアーカイブとして閲覧できる機能です。ただし、どの配信を残すかやアーカイブする期間なども、タレント・アカウントの管理者にお任せします。基本的に我々は、充実した機能を持つライブ配信の場をタレントさんに提供する立場。配信の具体的な内容、配信形式などに関しては、タレントサイドの判断に委ねます。

閉じられた発信空間が、新しい時代のSNSになれたら

――追加機能もそうですが、『わちゃっと』はこれまでのライブ配信アプリやツールの人気機能、便利な機能を網羅した形ですね。

当然、配信アプリサービスとしては我々が後発ですので、いかにユーザーに満足いただくか、いかに配信者の皆さんに安心して使っていただけるかを一番に考え、これからも機能を充実させられるよう努力していきたいですね。

――今後、本格的なライブ配信がスタートしますが、現在はどういうタレントさんが、『わちゃっと』での配信を予定していますか?

現在、同じソニーミュージックグループに所属するアーティストを中心に、俳優、アイドル、声優といったエンタメ系の皆さんだけでなく、現役の日本代表を抱えるサッカーのクラブチームなど、スポーツ関連にも積極的に参入を打診しています。

――現役スポーツ選手のライブ配信はレアですね。

だと思います。新型コロナウイルスの影響で、ライブができなかったり、番組制作が滞ったりとエンタメ業界も苦労していますが、試合観戦で成り立っているスポーツ業界は、それ以上の影響を受けています。5月初めにJリーグが投げ銭システムの導入を発表しましたが、よりファンとのエンゲージメントを高められる『わちゃっと』を、スポーツ選手の皆さんにも活用していただけたらうれしいですね。

スポーツとコンテンツ配信機能は非常に相性が良いので、おもしろいライブ配信を実現させたいですね。

――本格始動が楽しみですが、生みの親である髙橋さんが目指す、『わちゃっと』の今後のビジョンは?

一番の願いは、『わちゃっと』という閉じられた発信空間が、新しい時代のSNSになれたらと思いますね。SNSが引き金となる悲しい事件は、二度と起きてほしくない。表舞台に立つタレント、クリエイティブに関わる皆さんだけでなく、僕らビジネスサイドの人間も、解決策を考えなければならない時期に来ていますし、そのひとつの答えとして用意したのが『わちゃっと』です。こういう私たちの取り組みが、SNSを取り巻くひとつの新しいムーブメントとして定着し、エンタテインメントの手法のひとつとして確立していきたいと考えています。

文・取材:阿部美香

関連サイト

わちゃっと公式サイト
https://www.wa-chat.net/s/wachat/(新しいタブで開く)

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