佐藤ミキ:メジャーデビューで、幼少期の“確信”を形にする“シルキーボイス”シンガー
2020.12.02
今、注目すべき旬のアーティストにスポットを当て、最新インタビューとプライベートショットで素顔に迫る「Eyes on」。
第7回は、『あの子が生まれる…』『記憶捜査2~新宿東署事件ファイル~』の2本の地上波ドラマに出演中で、2021年にはショートフィルム『傷跡』も公開予定と、出演作が目白押しの松本大志。俳優として目覚ましい活躍を見せている彼だが、ここでは役柄を離れた、等身大の飾らない言葉で語る。
松本大志
Matsumoto Taishi
1992年5月15日生まれ。宮崎県出身。身長177㎝。特技:バイク、バレーボール。劇団番町ボーイズ☆のメンバーとしても活動中。『あの子が生まれる…』(フジテレビ系)、『記憶捜査2~新宿東署事件ファイル~』(テレビ東京)出演中。ショートフィルム『傷跡』2021年公開予定。
――小学生から高校生まで、ずっと全国大会に出場していたほどバレーボールに打ち込んでいたということですが、俳優のお仕事に興味を持ったのはいつだったんでしょう?
憧れるようになったのは小学6年生のとき、当時、大ヒットしていたドラマ『海猿』を見てです。僕、本職の海上保安官の方たちがやっているんだと思ったんですよ。それで「カッコイイよね」って親に話したら、これは俳優さんが演じているお芝居の世界なんだよと言われて衝撃を受けたんです。
――俳優という職業そのものをご存じなかった?
まったく知らなかったですね! テレビドラマとかを見る機会もそんなになかったので、そのとき初めて「俳優さんっていうものになれば、テレビの向こう側の人になれるんだ」って知ったんです。でも、親は教師をやっていて厳しくて、芸能界とか絶対に無理だと思っていましたし、自分とは縁のない世界だと割り切っていたんです。
――大学進学を機に上京して、在学中に受けたオーディションが芸能界入りのきっかけになったわけですよね。
東京に行けば、もしかして先につながる何かがあるかもしれない……という期待があったんです。けれど、実際には大学まで入れてくれたことや一人暮らしを始めてみて、両親に感謝と尊敬を日々感じるようになりました。卒業したらきちんと就職して親孝行したいと考えるようになったんですが、大学4年生のときに偶然オーディションの広告をWeb上で見つけて。見てみたら年齢が応募の上限ギリギリだったんで、最初で最後のつもりで受けたんです。それで合格して芸能活動を始めたんですが、ただ、その後1年間くらい、親に話せませんでした。
――えっ!? その1年間、親御さんには何をしてると思われていたんですか?
普通に就職で失敗した奴だと思ってたみたいです(笑)。この仕事を始めたときから、生意気にも役者として生きていこうと覚悟を決めていました。なので、きちんと報告ができるまで打ち明けませんでした。
それで初めての主演舞台が決まったころに伝えたら、意外にも「やりたいことをやればいいよ」って受け入れてくれました。中高時代は携帯電話すら持たせてくれないほどだったんで、勝手に厳しいイメージを持っていました。当時は聞けませんでしたが、後に父に聞いたところ「大志という名前には自分の好きなこと、やりたいことに志をもって素直に羽ばたいてほしいという意味がある。ただし、途中で投げ出すなよ」という想いがあったそうです。今はすごく応援してくれてます。
――初めて受けたオーディションで芸能活動をスタートさせて、出演作を重ねていってるのは、まさしくトントン拍子ですね。
合格してすぐに劇団に所属したので、芝居の環境に早いうちに触れられたのはとても感謝しています。初めのころは何もわからなくて、ただ台詞を読んで舞台に立つだけで精一杯でした。今から振り返ると甘かったですし、役者でやっていく覚悟に対しても深く考えられていなかったと痛感します。
転機は、2017年に主演舞台の『クローズZERO』をやらせてもらったときに、演出・脚本の山田能龍さんとの出会いでした。これまで持っていた固定概念が取っ払われるように、ひとつの役でやれることの可能性を探す作業の大事さや、深堀りする楽しさを体感しました。そこから芝居に対しての考え方も変えていけるようになりました。
――考えが甘かったとおっしゃいますが、それでもつづけてこられたのはひとつの才能に違いないと思います。ご自身では気付いていなかった役者としての適性を、きっと周りの方は見抜いていたんじゃないでしょうか。
本当に周りの方に恵まれたと思います。僕自身の性格は、おっとりしていて素直で、真面目だけど器用ではないと思っていて。でも、「自分の性格をストレートに役に投影させれば、松本大志にしかできないお芝居ができると思うよ」っていうのは、監督さんに言われたことがあります。「マイペースな部分が魅力だから、誰に何を言われてもそこはブレないでいてほしい」とも。
――マイペースなんですね。
自分ではわかんないんですけどね(笑)。誰かに何か言われると真正面から受け止め過ぎちゃって、気にし過ぎてしまうところは昔からあります。でもそれは良くないなって思って、今はすぐに切り替えるようにしてるんです。そういう自分のなかのポジティブな部分は、絶対に譲らないようにしようって。
――それができるのであれば、十分、器用じゃないですか。
ははは(笑)! そういうところだけ器用なのかもしれないですね。
――休日はどんなふうに過ごされることが多いですか?
そこもマイペースで、ひとりで洋服を買いに行くか、家で映画を見るか、最近はギターを弾いたりもしますね。一回挫折したんですけど、1年前くらいに改めてギターを買って、自粛期間中にちゃんと練習したら、ある程度の曲は弾けるようになったんです。いつかは皆さんの前でも弾いてみたいけど、今はまだメチャメチャ緊張しそう!
――映画を見ると、職業柄演技ばかりチェックしてしまって、ストーリーを楽しめなかったりしませんか?
そうですね。最初は普通に見てるつもりでも、気付いたら“こういうジャンルだと、どんなお芝居をするんだろう?”って勉強の場になりがちなんで、物語を楽しみたいときはアニメを見ちゃいます。
特に、最近流行ってる異世界転生ものが大好きなんですよ! 昔から非現実の世界っていうのが好きで、自分を主人公に投影して楽しんだりしちゃうんですよね。絶対に現実ではあり得ないってわかってはいるけど、こういう異世界転生が起きたら面白いのにって。
――朝、目が覚めたら異世界転生してないかなぁ……とか?
そこまではないですね! そんなに現実から逃避したいとは思ってないです(笑)。
――今は舞台に映像、さらにモデル業と、多方面で活躍されています。それぞれの仕事にどんな魅力を感じていらっしゃいますか?
ありがたいことに、いろんなジャンルのお仕事を少しずつ経験させていただいてます。ドラマや映画は、リハーサルから本番までに生み出される一瞬一瞬のシーンをみんなで作り上げていく過程がとても魅力的です。
――逆に、長い稽古期間があってカンパニーが一丸となって形にしていくのが、舞台の特徴ですよね。
舞台は、一緒にいる時間が長い分、一体感みたいなものは強いですね。終わってしまうときは感極まっちゃって、千秋楽の最後の挨拶とか、僕、いっつも泣いちゃうんですよ! 役で在り続けるという部分は、舞台にすごく鍛えられました。お客さんとの距離が近いので、生でしか味わえない迫力だったりも、もちろん醍醐味かなと思います。
モデルは、服やヘアメイクによって自分のスタイルが変化するところが魅力的ですよね。自分の知らない一面に出会うのも面白いです。
――役者の仕事をしていて、一番楽しいと思うことは何でしょう?
撮影や舞台の本番が始まるまでの間に、キャラクターを作り上げていく過程ですね。あと、やっぱり人との出会いですね。役者に限らずスタッフの方も含め、いろんな人と会って話すのが好きな僕にとっては、現場が楽しいです。
今撮影中の「記憶捜査2~新宿東署事件ファイル~」はシーズン2ということもあり、みんな本当に仲が良いんです。内田朝陽さんとはふたりでのシーンが多いので、役柄についてなどもよく話し合っています。プライベートでも仲良くさせていただいてるんですが、料理も上手でとても頼れる兄貴的な存在です。新型コロナで緊急事態宣言が出る前はふたりで銭湯にも行きました! キャスト、スタッフともに、新型コロナ対策をしながらチームワークを武器に頑張って撮影していますので、ぜひご覧ください。
――現在出演中の「記憶捜査2~新宿東署事件ファイル~」は刑事ドラマで、「あの子が生まれる…」はホラーですが、ミステリー要素の強い作品と縁がありますね。今後、挑戦してみたい役柄やジャンルはありますか?
確かに、ちょっとクセの強い作品が多いかもしれません。まだやってない役のほうが多いのでなんでも挑戦したいのが本音ですね。例えば、今ギターを練習中なのでお芝居にいかすことができたら最高だなって思います。劇中バンドでCDデビューっていうのにも憧れますし、いろいろなジャンルのお芝居に触れたいです。
――ギターを練習中ということですが、歌はどうですか?
歌自体はすごく好きで、しょっちゅうカラオケとかにも行ってます。劇団番町ボーイズ☆では舞台以外にもライブ公演も行ないます。ただ、あくまでエンタテインメントの一環としてなので、ちゃんとボイストレーニングとかもして、人の心を動かせるような歌が歌えるようになったら良いですね。もちろん、あくまでも俳優というフィールドのなかでの話ですけど。
――それでは最後に、俳優として、今後はどのような活動をしていきたいと考えていますか?
作品に出ると、家族や地元の友達が連絡をくれるんです。実際、じいちゃんは「大志の優しさが出てたよ!」とかって、しょっちゅう感想の電話をくれるんです。そういうのを聞くとすごくうれしくて、この仕事をつづけていきたいっていう原動力にもなるんです。
毎現場、自分にとって大きなチャンスだと思っています。これからたくさんの作品に出会うためにも挑戦心は常に持っていたいです。そして俳優をやっている以上は、アカデミー賞が獲れるくらいの存在になりたいです。
取材・文:清水素子
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