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クリエイター・プロファイル

「っぽい曲」で上質のオマージュを捧げる新進気鋭YouTuber“犬も食わねぇよ。”の進化【前編】

2020.11.26

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チャンネル登録者数は15万人以上、人気楽曲をオマージュした「っぽい曲」を独自目線の歌詞で歌い、コミカルに演出されたミュージックビデオ(以下、MV)をYouTubeで公開する犬も食わねぇよ。。楽曲の制作、演奏、歌唱を担当する完全制覇サスケとマンモーニ拓磨、そして新たに加わった流星リュウセイとペニヨシの4名によるこのYouTuberバンドは、活動開始してからの2年間、常に進化を遂げてきた。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのこのユニットから、今回、完全制覇サスケと流星リュウセイを迎えて話を聞いた。

前編では、完全制覇サスケとマンモーニ拓磨による活動スタートから、流星リュウセイが加入するまでを聞く。

犬も食わねぇよ。 Inumokuwaneeyo。

(写真左から)ペニヨシ(ギャグ、エアドラム)、マンモーニ拓磨(メインボーカル、ギター、ベース、作詞、作曲、編曲)、完全制覇サスケ(サブボーカル、ギター、ベース、ピアノ、作詞、作曲、編曲)、流星リュウセイ(イケメン、エアギター)。2018年、作詞・作曲家として活動していた完全制覇サスケがマンモーニ拓磨を誘って結成。当初「っぽい曲」MVシリーズを週1ペースでYouTubeに投稿し、約1年でチャンネル登録者数10万人、再生回数1,000万回を突破する。2020年6月よりクリエイターレーベル『Be』所属。最新アルバム『犬食世界大戦』発売中。

バンドを解散して社会人をやりながらの作曲家活動

やりたいことを自分たちの手で、自分たちのやり方で、既存の枠にとらわれず自由に発信していく。そんな“自由さ”と誰もが楽しめるエンタテインメント性を武器に、YouTube界で注目を集めている新進気鋭のバンドユニットがある。それが“イヌクワ”こと犬も食わねぇよ。だ。楽曲の制作、演奏、歌唱を担当する完全制覇サスケとマンモーニ拓磨のふたりと、MVへの出演メンバーとしてスタッフから昇格したマスコット的存在の流星リュウセイとペニヨシの4名が現メンバー。そのほかにも仲間たちが演者として加わって、個性的なMVの制作と投稿を続けている。

2020年11月現在、彼らのYouTubeチャンネル登録者数は、15万人オーバー。活動開始から約2年という短いキャリアのアマチュアが、今やプロ、アマ問わず、現役芸能人などの有名人も多数参入してきている群雄割拠のYouTube界で15万人以上もの登録者数を獲得するのは簡単なことではない。11月中旬からは、若者文化の発信基地でもある人気ショップ、ヴィレッジヴァンガードとのコラボレーショングッズの発売もスタートした。音楽、サブカルジャンルからの注目度も抜群だ。

そんなイヌクワがYouTubeで活動を始めたのは、2018年8月。元バンドマンで、作詞・作曲の才能をいかしてメジャーなアニメ主題歌などの楽曲提供者としても活動していた完全制覇サスケが、同じ広島で活動していたインディーズバンドマンの旧友、マンモーニ拓磨に、今までとは違った面白いバンド活動をやろうと声をかけ、楽曲制作と動画制作を始めたのがきっかけだ。

完全制覇サスケ:イヌクワを始める前は、バンドを解散して社会人をやりながら、作曲家を目指してひたすら曲を作っていました。そのうちコンペとかにも採用され始めたので、仕事を辞めて、音楽だけで食べていけるようにはなったんですけど……。自分の作った曲がアニメ主題歌になったり、オリコンチャートの1位を獲ったりしたところで、少し燃え尽きてしまったというか……。夢が叶ったはずなのに、このまま引きこもって曲を作り続けるだけの人生でいいのかな? とまた悩んでしまったんです。

そこで自分は「音楽が好きだから曲を作る」というより、「人が好きだから曲を作ってる」という原点に立ち返って、目一杯自分を表現することで、ただ作曲家を続けるよりも、もっとたくさんの人に楽しんでもらえる可能性があるんじゃないかと思って、YouTubeを始めました。

2018年のYouTube界は、カジサック(キングコング・梶原雄太)を筆頭に有名芸能人がチャンネルを開設するなど、従来のYouTuberとは違うジャンル、違う活動をする人々が続々参戦しだしたころ。音楽ジャンルでも米津玄師の「Lemon」のMVが2億再生を超えたのを筆頭に、国内外のメジャーアーティストがYouTubeから映像を発信して、ヒットに結び付ける機会が増えていた時期だ。

完全制覇サスケ:作曲家は完全に孤独な作業だし、真面目な曲しか需要がない。僕はもともと破天荒な性格だったのでストレスで死にそうでした。溜まった鬱憤を晴らすために、とにかくふざけまくろう、バカなことをやりまくろうと、当時北九州でのんびり暮らしていた(マンモーニ)拓磨を無理やり誘って、ふざけたMVを作ってアップし始めました。

オマージュは「誰かに僕らを見つけてもらうため」

しかし、ただの無名な元バンドマンがオリジナル曲を投稿したところで、群雄割拠のYouTube界で人の目に止まるのは難しい。そこで、プロデューサーを兼任する完全制覇サスケが考えたのが、「まずは自分たちの音楽を聴いてもらうため、誰かに僕らを見つけてもらうため」に、自分たちの好きな有名アーティストの楽曲をオマージュしたメロディにユーモラスな歌詞を乗せる「っぽい曲」シリーズを投稿するという発想だった。

完全制覇サスケ:そもそも僕は、ゴールデンボンバーさんがずっと好きで。そのゴールデンボンバーさんが、2009年ころに有名なアーティストのオマージュ楽曲をよく発表していたんです。アーティストをカバーするんじゃなくて、その人が作りそうなそれっぽい新しい楽曲を作るという企画。YouTubeを見ても当時からそれをやってる人はいなかったので、自分たちで始めることにしました。僕も拓磨も10年以上、お互いのバンドで曲作りを担当してましたし、昔からスタジオに入ると「どっちがよりミスチル(Mr.Children)っぽい曲を作れるか?」などということを競って遊んだりしていたので、そういうのは得意だったんです。でも、もともとただふざけたくて始めた活動ですし、オマージュ曲をドヤ顔でやってても痛いので、とことんふざけた映像を撮りました。

そして制作した第1弾MVが、2018年8月に発表した「ゲス極っぽい曲作ってみた『あなた以外あなたじゃないの』」。タイトルですぐわかる通り、ゲスの極み乙女。の大ヒット曲『私以外私じゃないの』へのオマージュ曲だ。

ゲス極っぽい曲作ってみた『あなた以外あなたじゃないの』

オリジナルでありながら、完成度の高い「っぽい」メロディとサウンドにユーモラスな歌詞を乗せて、サスケと拓磨のふたりがメインとなり、メンバーの髪型や演奏する様子、MVの雰囲気も似せて手作りした「っぽい」シリーズは、 [Alexandros]、back number、米津玄師、Suchmosなどのヒット曲オマージュを、週1本というハイペースで連発。動画の最後には、サスケ、拓磨が土下座をしながら、オマージュ元のバンドとそのファンに謝罪する映像も挿入。リスペクトの心をユーモラスに表現する真摯な姿勢も音楽ファンの共感を得て、SNSの口コミでどんどん人気を拡大していった。

完全制覇サスケ:僕らはずっと売れないバンドマンだったので、今更ダラダラ活動してても仕方ないし、とにかくほかのバンドの10倍ぐらい頑張ろうと決めてました。ほかのバンドが2、3カ月にMV1本なら、僕らは10本出す。セルフ運営でプロのクオリティには勝てないんだから、それなら圧倒的な物量で勝負したかった。どの曲をオマージュするかが決まったら、最初の2日間でMVを拓磨と見まくってアーティストを研究し、次の2日で作詞、作曲、編曲を練って、2日間で動画撮影と編集をしてアップするという、週1更新を続けました。本当にクレイジーなスケジュールで、とにかく気合いだけで続けてましたね。

その精神力を支えたのは、彼らの“売れないバンドマン”としてのプライド。犬も食わねぇよ。というバンド名も、昔、「お前らの作った音楽なんか、犬も食わねぇよ」と言われたことに対する反抗心からだという 。そして、「誰もやらないことをやり、みんなに面白く、楽しく自分たちの音楽を聴いてほしい」というエンタテイナーとしてのサービス精神だ。その気持ちは今も変わらず持ち続けている。

完全制覇サスケ:ある程度の水準を超えた作曲家なら、正直誰でも「っぽい曲」は作れます。でも、僕らはアホで変態なので(笑)、川に飛び込んだり、キモい女装をしたり、尻を出したり、バナナを皮のまま食べるMVを連発したんです。そのくだらなさを視聴者が評価してくれたので、ありがたかったです。みんなキモいのが好きなんだなぁと思いました。自分より劣る生物を見て安心する心理なのでしょうか(笑)。同時に、「っぽい曲」の合間に完全オリジナル曲も発表していたので、オリジナル曲を好きと言ってくれる人も増えてありがたかったです。

見た目のフロントマンとして流星リュウセイが参加

犬も食わねぇよ。の知名度を一気に上げたのは、2018年12月に投稿した「っぽい曲」シリーズ第14弾「フレデリックっぽい曲作ってみた『エンドレステップ』」だ。現在では、イヌクワ史上最高の250万回以上の再生回数を記録している。

フレデリックっぽい曲作ってみた『エンドレステップ』

そこからイヌクワは、発表済みの音源の自主制作CD化やライブ活動にも精力的に取り組んでいった。そんなときに彼らと出会ったのが、現メンバーの流星リュウセイだった。

流星リュウセイ:僕ももともとはバンドをやっていて、拓磨さんが広島から九州に移ってバンド活動をしていたころからの知り合いなんです。イヌクワが初ライブをするというので、物販を手伝わないかと誘ってくれてスタッフとして参加したのが最初でした。そこから研修生という肩書きをもらって動画に参加するようになり、裏方から徐々にメンバーになっていった感じです。

完全制覇サスケ:イヌクワは、僕と拓磨が楽曲制作も歌も演奏もやっているので、音楽としてはふたりで完結してるんです。ただふたりだけではMVを作るのもライブをやるのも難しいし、僕らはキャッチーなルックスでもないので(笑)、見た目のフロントマンとしてイケメンが欲しかったんです。それにリュウセイは、すごく柔軟な人なんですよ。オシャレなことが好きで、悪く言えばミーハーなんだけど(笑)、僕や拓磨が持っていないものを持ってます。

流星リュウセイ:あ、そうですよね、えへへ(笑)。

完全制覇サスケ:……という感じで、僕らを和ませてくれる。過去のイヌクワは動画を見に来てくれる人をただ待っていたけど、リュウセイはSNSをチェックして、自分からリスナーをフォローしに行っちゃったり(笑)。歌や演奏には直接参加しないけど、広報兼イヌクワのマスコット的存在として頑張ってくれてる。まぁ僕としてはメンバーが楽しいのが一番なので、楽しんで活動に参加してくれていたらそれだけで十分です(笑)。

後編につづく

文・取材:阿部美香

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