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連載Cocotame Series

クリエイター・プロファイル

「っぽい曲」で上質のオマージュを捧げる新進気鋭YouTuber“犬も食わねぇよ。”の進化【後編】

2020.11.27

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チャンネル登録者数は15万人以上、人気楽曲をオマージュした「っぽい曲」を独自目線の歌詞で歌い、コミカルに演出されたミュージックビデオ(以下、MV)をYouTubeで公開する犬も食わねぇよ。。楽曲の制作、演奏、歌唱を担当する完全制覇サスケとマンモーニ拓磨、そして新たに加わった流星リュウセイとペニヨシの4名によるこのYouTuberバンドは、活動開始してからの2年間、常に進化を遂げてきた。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのこのユニットから、今回、完全制覇サスケと流星リュウセイを迎えて話を聞いた。

後編では、オマージュ曲に新たなコンセプトを得た時期を経て、クリエイターレーベル『Be』への所属で新たな展開を見せる現在までを語る。

犬も食わねぇよ。 Inumokuwaneeyo。

(写真左から)ペニヨシ(ギャグ、エアドラム)、マンモーニ拓磨(メインボーカル、ギター、ベース、作詞、作曲、編曲)、完全制覇サスケ(サブボーカル、ギター、ベース、ピアノ、作詞、作曲、編曲)、流星リュウセイ(イケメン、エアギター)。2018年、作詞・作曲家として活動していた完全制覇サスケがマンモーニ拓磨を誘って結成。当初「っぽい曲」MVシリーズを週1ペースでYouTubeに投稿し、約1年でチャンネル登録者数10万人、再生回数1,000万回を突破する。2020年6月よりクリエイターレーベル『Be』所属。最新アルバム『犬食世界大戦』発売中。

思いついた面白そうなことはなんでもやってみる

動画出演専門の研修生という役割も、犬も食わねぇよ。ならではのシステムだ。最初は流星リュウセイのように仲間うちで随時人を揃えていたが、2020年の始めに「新メンバーオーディションINUKUWADREAM2020」と題してSNSで募集。200人以上の応募から第2期研修生として4人を選び、いくつかの動画にも参加しているが、現在はその存在も非常に流動的なのだとか。

それも、“思いついた面白そうなことはなんでもやってみよう”をポリシーに突っ走り、常に進化と変化を続けている犬も食わねぇよ。らしい展開だ。「っぽい曲」シリーズへのスタンス、バンドとしての在り方も、この約2年の活動期間中、常に変化を遂げてきた。

完全制覇サスケ:今のイヌクワは、僕らのなかでは第4期に入っています。(マンモーニ)拓磨とふたりで毎週投稿を続けながら、お笑い芸人的なスタンスで曲を届けていた第1期。(流星)リュウセイを正式メンバーにしてツアーを回り、バンドらしい楽曲を引っ提げてバンドマンらしい活動をやっていたのが第2期……だったんですが、正直、そのあたりでフェスのデカいステージの常連的なバンドへのオマージュは、やり尽くした感がありました。もともと「邦ロックっぽい曲」をずっとやるつもりもなかったので、次は何をしようか考えてました。

そんなとき、本人が顔出しをしない2次元アーティストがどんどん人気になっていき、イヌクワも新しいコンセプトに挑戦を始めた。それが2020年初頭以降の第3期に当たる。YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。、ヨルシカや、有名なボカロPの楽曲をオマージュし、イヌクワ出演による実写映像ではなく、絵師と呼ばれるイラストレーターとコラボしてアニメーションによるMVを制作した。

YOASOBIっぽい曲作ってみた『朝に昇る』(feat.灯燈あか/WHITE BOX)

完全制覇サスケ:2次元アーティストファンはYouTubeとも相性が良くて、「っぽい曲」の再生回数も軒並み50万を超えました。僕らの活動も、実写撮影がないぶんすごく余裕ができたし、僕らのことを知ってくれる人の幅も広がった手応えもありました。

そんな第3期では、YouTubeでの活動が話題となり、2020年3月に放映されたフジテレビの音楽番組『テレビ特区「FNS歌謡っぽい祭」』で、サスケ憧れのゴールデンボンバーとも共演を果たすなど、うれしいエポックも。そして同年半ばには、さらなる転機となる出来事がいくつも訪れた。ひとつはオリジナルメンバーであるマンモーニ拓磨が、2次元ジャンルのオリジナル楽曲に特化したソロプロジェクト、Lady Mellow.を始動させ、イヌクワ本体での活動を縮小すると宣言したことだ(その後11月に完全復帰を発表)。

完全制覇サスケ:イヌクワの活動がYouTuber的にも幅を広げたことで、ファンとの距離が近くなり過ぎ、拓磨が楽曲の創作に集中しにくい状況が生まれてしまっていました。2次元ジャンルの活動であれば拓磨のペースでじっくり創作に集中できるので、それならストレスなく取り組めるということで、一定期間ソロを中心に活動していました。

その間、一旦イヌクワの活動を二手に分け、第3期的な2次元オリジナルはマンモーニ拓磨ソロ、2期のようなバンドらしい曲の実写動画制作は、研修生とともに完全制覇サスケと流星リュウセイが続ける方向にシフト。それが第4期イヌクワだ。現在は、拓磨と旧研修生のペニヨシの復帰により、第1期の雰囲気に戻り、以前にも増してふざけた動画を投稿している。

完全制覇サスケ:イヌクワはお笑いっぽい面もあればバンドっぽい面もあり、また2次元系のアーティスト的な側面もある。本当に多面的だけど、そのどれもがメンバーの個性でありイヌクワの個性。全包囲で楽しんでもらえたらありがたいけど、それは僕らのエゴなので……どれか一方向だけでも刺さって楽しんでもらえたらうれしいです。わかりにくい奴らですみません(笑)。犬も食わねぇよ。として早く統一感のある形が作れるよう模索中です。

『Be』は一緒に考えてくれるブレーン的な存在

新しい挑戦となるもうひとつの転機が、2020年6月にソニー・ミュージックエンタテインメントが開始したYouTuber中心のソーシャルクリエイターレーベル『Be』に所属したことだ。『Be』のマネジメントサポートを受けることになったことも、第4期イヌクワの活動に影響を与えている。

完全制覇サスケ:今まではイヌクワの方向性やブランディングについて相談できる相手もいなくて、ひとりで悩んで決めることが多かった。でも『Be』に入ったことで、意見をしてくれたり、一緒に考えてくれるブレーン的な存在ができた。それだけでも心強いし、『Be』のスタッフは、面白い動画を作りながらクオリティの高い「っぽい曲」やオリジナル曲をやる第1期、第2期のイヌクワを応援してくれていた。そんなイヌクワの原点を大事にしようと思えたキッカケもスタッフの後押しがあったからなんです。『Be』にいなかったら、拓磨が活動休止中のイヌクワを続けていくのは相当きつかったと思います。

流星リュウセイ:僕にとっても、イヌクワが『Be』に入ったことは大きな転機でした。第3期は実写動画がなかったので、僕とイヌクワの関わりも薄れていて、YouTubeの活動から離れてしまっていました。でも『Be』で一緒にまたYouTuberバンドらしい活動ができるようになって、個人的にもうれしかった。今、モチベーションも上がってます。

そんなエポックとともに変化と進化を遂げたイヌクワ第4期は、またも今までにない新しいコンセプトを打ち出している。

完全制覇サスケ:第4期のコンセプトは、外に開くことです。前のようにただふざけて身内ネタを投稿するだけじゃなく、コラボを増やしたり、仲間を増やしたり。iPhoneではない高性能のカメラで撮影した動画や、室内の演奏シーンのみの動画を投稿するなど、いろいろな挑戦をしています。

同じ『Be』所属の松浦航大さんや、マルチに活躍する虹色侍さんやmisonoさんとのコラボもできましたし、『Be』のスタッフの協力を得て、YouTuber以外の大物の方とのコラボも実現できた。自分たちだけでは手の届かなかった人たちと一緒に動画が作れるようになったのは、大きな変化です。

流星リュウセイ:なので、撮影のスタイルも今までとは変わりました。僕の好きなオシャレなMVが増えたのも個人的にはうれしいです(笑)。

完全制覇サスケ:リュウセイは本当にオシャレな動画が好きだよね(笑)。今はそうやってさまざまな実験をしている期間ですが、自分たちにとってしっくりくる形が最近になってようやく見えてきました。きっと、今のイヌクワが好きな人にも、初期のイヌクワ が好きな人にも楽しんでもらえる活動が、これからどんどんできるようになると思います。

イヌクワというバンドを面白がってほしい

10月21日にリリースされた自主制作の4thアルバム『犬食世界対戦』も、そんなバラエティに富んだイヌクワワールドが堪能できる1枚だ。収録曲のYouTube総再生回数は600万回超え。2次元アーティストをオマージュした第3期、最新ヒットを網羅した第4期イヌクワ楽曲に加えて、この時世だからこそ生まれたポップソング『マスクをとって~コロナ時代のラブソング』などのオリジナルナンバーもたっぷり収録されている。

『マスクをとって~コロナ時代のラブソング』

完全制覇サスケ:この2年間で4枚もアルバムを出せたのは、音楽家としてはうれしい。とくに今回は音楽系YouTuberの総集編のような内容で、しっかり最新の流行にも乗っかってます(笑)。これ1枚持っておけば、J-ROCKとJ-POPのトレンドがわかります(笑)。

流星リュウセイ:そのなかでも僕は、DISH//の『猫』をオマージュした『犬』がお気に入りです、オシャレで(笑)。第4期の新しいイヌクワを見てもらえるんじゃないかなと思います。かなりいろいろな曲があるから、誰でも絶対に好きな1曲が見つかると思います。

完全制覇サスケ:ほんまオシャレ好きやなぁ(笑)。逆に、僕のオススメは男子の性欲とモテない悲哀を歌ったオリジナル曲の『あの子の特別になりていよ』ですね。もともと僕はこういう泥臭いパンクなバンドがやりたかったんですよ。こんな生々しくて情けない歌を歌う人も今は少ないと思うので、ある意味唯一無二です。YouTubeでは未公開の曲もあるし、サブスクでも一部配信されているので、ぜひ。

そして、こうも語る。

完全制覇サスケ:YouTubeの世界はとにかく変化が早い。これからはコンテンツに頼っていたらすぐに飽きられて淘汰されてしまう時代だと思うので、もっと力をつけないと。僕らの「っぽい曲」は知っていても、オリジナル曲や、どんなやつらなのかという中身まではまだまだ知られてないので、これからはより深い部分も知ってもらえるような活動にシフトしていきます。

今はコロナ禍でライブやCD作りができなくて解散してしまうバンドも多いですが、僕らには動画があったからよかった。その強みを武器に、これからも自分たちが面白いと思うことを発信し続けていきたいです。

一見、ただのコミックソングを面白おかしく歌っているだけのように見えるが、その音楽性は高く、音楽を通じた表現活動をしっかりと分析し、真摯に向き合っている犬も食わねぇよ。。今後の活動に期待大だ。

文・取材:阿部美香

『あの子の特別になりていよ』メイキング映像

最新オリジナル楽曲『あの子の特別になりていよ』の撮影現場にCocotameが潜入。あのシーンはこんなふうに撮影されていた!

関連サイト

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https://www.inumokuwaneeyo.com/(新しいタブで開く)

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