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連載Cocotame Series

ソーシャルメディアでの挑戦

ソーシャルドラマに見いだすクリエイティブ&マネジメントの可能性【後編】

2021.04.15

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ソーシャルメディアで活躍する人や注目のプロジェクトをフィーチャーする連載「ソーシャルメディアでの挑戦」。

ここ数年、とりわけコロナ禍の巣ごもり需要で増加した、SNSで見ることができるオリジナル作品、ソーシャルドラマ。その“ソシャドラ”を配信するYouTubeチャンネル、『みせたいすがた』が開設された。この新チャンネルの連続ドラマを制作するにあたって掲げられた、ソニーミュージックグループならではのテーマとは。旗振り役の須藤一希と、彼の声掛けでこのプロジェクトに参加した佐々木美幸、五十嵐夏輝の3人のプロデューサーに話を聞く。

後編では、配信中の第1弾ドラマ『水曜日22時だけの彼』と、撮影中の第2弾『惑星サザーランドへようこそ』の制作過程を、各プロデューサーが語る。

  • 須藤一希

    Suto Kazuki

    ソニー・ミュージックエンタテインメント
    『みせたいすがた』総合プロデューサー

  • 佐々木美幸

    Sasaki Miyuki

    ソニー・ミュージックアーティスツ
    『水曜日22時だけの彼』プロデューサー

  • 五十嵐夏輝

    Igarashi Natsuki

    ソニー・ミュージックレーベルズ
    『惑星サザーランドへようこそ』プロデューサー

興味があるアーティストを軸にキャスティング

――既にスタートしている第1弾ドラマ『水曜日22時だけの彼』、そして5月28日から配信が開始される第2弾『惑星サザーランドへようこそ』の制作過程を聞かせてください。

佐々木:まず、チャンネル全体のディレクションを須藤が担って、『水曜日22時だけの彼』を私が、『惑星サザーランドへようこそ』を五十嵐が担当しました。

須藤:“アーティストから俳優へ”というテーマが決まった段階から、俳優活動に興味があるアーティストを軸にキャスティングしていきました。第1弾は、バンド、インナージャーニーのドラム担当で、俳優活動が増えてきたKaito。第2弾は、バンド、羊文学のボーカル&ギターの塩塚モエカとジャズピアニストとしても活躍する甲田まひる。もしかしたら興味があるんじゃないかなと、オファーしました。

『水曜日22時だけの彼』主演のKaito

五十嵐:僕が担当している『惑星サザーランドへようこそ』は、塩塚モエカ、甲田まひるに加えて、映画監督としても活動している小川紗良、若手女優の河合優実がメインキャストです。この4人がお芝居をするっていうことを考えたときに、まったく想像がつかなかったんです(笑)。でも、想像がつかないからこそ、面白いものができるんじゃないかなってことで、企画を進めました。

『惑星サザーランドへようこそ』のメインキャスト。(写真左から)塩塚モエカ、甲田まひる、小川紗良、河合優実

――第1弾と第2弾のプロデューサー同士では制作上のすり合わせなどはあったんですか。

佐々木:特になかったですね。すごく前の話なんですけど、五十嵐とは社員研修で一緒だったので、そのときにいろんな話をして。なんとなく感覚も一緒だし、五十嵐はたくさんの映像を見ていて、彼自身クリエイターでもあるので、彼がやりたいことをやれば、自ずと面白いものができそうだなって思っていました。

キャスティングの部分はお互いに相談しながら決めてはいたんですけど、共通項を作るというよりは、それぞれのドラマで色合いを変えるほうが面白いなと思いましたね。『水曜日22時だけの彼』はポップで、猫動画を見るような気楽に見れる作品になっています。夜、寝る前に見て、ニヤニヤしながら眠りにつくくらいのテンションにしたいっていう思いがありました(笑)。

五十嵐:すみ分けはまったく意識してないんですけど、僕は佐々木の企画のような発想はどうしてもできないんですね。そこは須藤が両方の企画を見て、バランスをとったり色合いを調整してくれていると思います。

須藤:ふたつの作品は、本当にまったく別物の世界観になっているんですけど、その2作品を連続して配信することで、こんなに違う世界観のものを発信していくチャンネルなんだっていう意思表示にも繋がっていけば良いなと思っています。

『水曜日22時だけの彼』は、小っ恥ずかしいくらい甘酸っぱくて、良い意味でニヤニヤしちゃうんですね。心をくすぐられているような感じというか。それが良さだし、佐々木の狙い通りだなって思います。『惑星サザーランドへようこそ』は独特な世界観で。なかなか思いつかないような世界を描いているんじゃないかなって思いますので、反応が楽しみですね。

――配信中の『水曜日22時だけの彼』は女性の癒しになりそうな恋愛ドラマですが、『惑星サザーランドへようこそ』はどんな内容になりそうですか。少しだけ教えていただけますか。

五十嵐:本作を監督している山本英監督とは、最初こういうふうにしようっていうのをガチガチに考えずに、だらだらとYouTubeでいろんな動画を見たり、Netflixを見たりしながら、昔の映画のこういうシーンをやりたいよねなどと雑談しながら作っていきました。そのうちに、美しい風景のなかで、女性同士の他愛もないやりとり、会話、生活の何気ないところを切り取っていきたいということになって。じゃ、どういうふうにそれを表現したら良いかというところから生まれた感じですね。

誰にとっても見たいと思うドラマがあるチャンネルに

――ちなみに1話の分数など、制作上の決め事などはありますか。

須藤:決まりはないですね。短いものであれば3分でも良いですし。『水曜日22時だけの彼』は1話が約5分くらいなんですけど、『惑星サザーランドへようこそ』は8分とか、長くて10分程度かと。そのくらいの長さが見やすいのかなと思ってます。更新頻度に関しては、本編は週に1本、その間にスピンオフ動画を1本上げていく予定です。

佐々木:1本目と2本目では、異なる視聴者層を狙っています。1本目は恋愛リアリティ番組が好きな人に、2本目はサブカル志向の人に楽しんでいただける作品になっているかなと思います。このチャンネルに行けば、誰にとっても見たいと思うドラマがあるようにしたいので、そういう面では最初の2本で違った世界観のものを作れて良かったなって思います。ただ、私も五十嵐も、インフルエンサーではなく役者さんに出演をお願いしたいというのは共通認識としてありました。そこでほかのソシャドラと差別化できたかなって思います。

――五十嵐さんは、『惑星サザーランドへようこそ』の撮影現場からリモートで参加していただいてますが、現場はどんな手応えでしょうか。

五十嵐:正直言って、出来上がりの予想がつかないところがかなり大きいんですけど、そのわからなさがものすごく楽しいなって感じてます。撮影におけるクリエイティブの部分に関しては、監督を信頼して委ねていますね。そこを踏まえて、どんなものが上がってきて、それを見たときに、自分を含めて、見た人がどんな感情を抱くのか。想像がつかないところも含めて、楽しみだなっていう感じです。

キャストの皆さんは現場で見ていて非常に良い雰囲気です。ほとんど初対面で、まったく別々のキャリアを歩んでいる若い女性4人が、ひとつのものを作っていく様子を見ているだけで胸にくるものがあります。そういう時間が、うまく撮れていれば良いですね。

――リモートの画面越しでも、充実感が伝わりますね。とても楽しそうですし、目がキラキラと輝いています。

五十嵐:すみません(笑)。ありがたいです。今、館山の海辺にあるペンションで撮影をしてて。学生時代に戻ったような気持ちです。

知識や経験を融合させて新しいコンテンツを生む

――今後の展望を聞かせてください。

五十嵐:見たことのないものが見られるチャンネルになれば良いなと思います。テレビドラマや映画は、ある種の文法みたいなものが確立されていて、そういうクラシックなものの素晴らしさというのもあると思うんですけど、新しい試みをするのであれば、僕は“発明”をキーワードにしていきたいです。クリエイティブな趣向を凝らしつつ、コロンブスの卵的な誰もやってこなかった発明が多くの人に受け入れられるんじゃないかと思うので、物語を軸にして、誰も見たことのないものを作っていくっていうところを我々がやっていけたら素敵です。

佐々木:私は、『みせたいすがた』というチャンネル=面白いドラマが上がっている、新進気鋭の役者や監督に出会える場所というイメージ作りが課題だと思っています。そこがうまくクリアできたら、新しい俳優やクリエイターが集まってくる場所にもなる。まずは、これからも面白いドラマを作って、本数を増やすことですね。

あとは、SMAの役者班としては、次世代の役者の育成と、新しい役者との出会いを増やすことも課題です。YouTubeのチャンネルを持つことは、自分たちでテレビの枠を持っている感覚に等しい時代だからこそ、大きなチャンスです。自分たちで作ったコンテンツを自分たちの手で提供できる時代になってきたからこそ、次世代を育てるドラマ作りができる。いつかは、『みせたいすがた』の出演者オーディションを開催できるくらいになったら良いなと思います。

――佐々木さんの場合、マネージャーがドラマプロデュースも経験したわけですよね。

佐々木:そうですね。役者は成り立ってる企画に一番最後にジョインするので、作品の成り立ちを知らないままなんですよね。今回、制作に一から関わらせてもらったことで、クリエイティブの人たちと深く話すことも経験できましたし、今は撮影の現場に行っても違う目線で見られるようになって、自分の視点が変わりましたね。そういう部分でも、この企画に関わったおかげで成長させてもらってるなと感じています。

――全体を統括している須藤さんとしては今後をどう考えていますか。

須藤:歴史のある映画やテレビの世界と、SNSを中心とした世界を横断できるコンテンツになったら良いなと思っています。やっぱり、ずっとテレビドラマや映画を作ってきた方々の知識や経験はどうしても必要になってくる。いっぽう、そういった方々がまだ知り得ていないかもしれない知識がデジタルを主戦場にしている人たちにはあったりするので、そこをうまく融合させて、お互いの武器をしっかり持ち寄って、新しいコンテンツを生み出していくチャンネルになったら良いですね。

――“アーティストから俳優へ”ということですが、今後のキャスティングについてオファーしたい人は浮かんでいますか。

五十嵐:いろいろと考えてはいて、ソニーミュージックグループに所属するアーティストの新しい一面をお見せできる構想を練っています。

須藤:濁すね(笑)。例えば、既にソーシャルドラマなどで活躍している、元乃木坂46の伊藤万理華さんとはぜひご一緒してみたいですし、King Gnuの井口理さんともぜひやってみたいですね。

五十嵐:具体的な名前を挙げるとすると、SUPER BEAVERの渋谷龍太さんとか。

佐々木:本人が芝居をやりたいというパワーが大事な部分になるので、逆に、手を挙げてもらえたらうれしいですね。その人にどういう物語をつけたら面白いかを考えたいです。アーティストのA&Rやマネージャーの皆さんからの立候補や推薦をお待ちしています!

 

文・取材:永堀アツオ
撮影:荻原大志

 

YouTubeチャンネル『みせたいすがた』

第1弾ドラマ『水曜日22時だけの彼』(配信中)
 

 
出演/Kaito、石川瑠華
監督/松本壮史 脚本/夏生さえり 主題歌/崎山蒼志「そのままどこか」
 
 
第2弾ドラマ『惑星サザーランドへようこそ』(5月28日より配信スタート)
 

 
出演/塩塚モエカ(羊文学)、甲田まひる、小川紗良、河合優実
監督・原案/山本英 脚本・原案/イ・ナウォン
 
視聴はこちら(新しいタブで開く)

関連サイト

Instagram「みせたいすがた」
https://www.instagram.com/misetai.sugata/(新しいタブで開く)
 
TikTok「みせたいすがた」
https://www.tiktok.com/@misetai.sugata/(新しいタブで開く)

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