『惑星サザーランドへようこそ』監督&キャストが語るソシャドラ撮影の現場【後編】
2021.05.31
ソニー・ミュージックエンタテインメント 他
2021.05.31
ソーシャルメディアで活躍する人や注目のプロジェクトをフィーチャ―する連載「ソーシャルメディアでの挑戦」。
4月に新設されたドラマ専門YouTubeチャンネル『みせたいすがた』で、ドラマ第2弾として5月28日より配信中の『惑星サザーランドへようこそ』。ソーシャルドラマに初挑戦した、塩塚モエカ、小川紗良、河合優実、甲田まひるの4人のキャストと山本英監督に、今回の制作の様子を聞く。
前編では、ソシャドラに出演した感想や撮影現場の思い出、それぞれの印象を語る。
目次
塩塚モエカ
Shiotsuka Moeka
1996年7月3日生まれ。2012年結成のロックバンド、羊文学のボーカル&ギター。最新シングル「ラッキー」配信中。
小川紗良
Ogawa Sara
1996年6月8日生まれ。東京都出身。映画『ビューティフルドリーマー』(2020年)ほか出演。監督、脚本、編集を手掛けた映画『海辺の金魚』が6月25日に公開される。
河合優実
Kawai Yuumi
2000年12月19日生まれ。東京都出身。2019年、映画『よどみなく、やまない』で役者デビュー。映画『サマーフィルムにのって』(8月6日公開)、『由宇子の天秤』(9月公開)が待機中。
甲田まひる
Coda Mahiru
小学6年生のときに始めたInstagramをきっかけにモデルとして活躍。同時に、ライブハウスを中心にジャズピアニストとしての活動も行ない、2018年にアルバム『PLANKTON』を発表。以降、シンガーソングライター、ファッショニスタ、ジャズピアニスト、俳優として幅広く活動。出演映画『サマーフィルムにのって』が8月6日公開。シンガーソングライターとして、今年ワーナーミュージック・ジャパンよりデビューすることも決定。
山本 英
Yamamoto Akira
1991年生まれ。広島県出身。東京藝術大学大学院映像研究科監督領域で学び、諏訪敦彦監督、黒沢清監督に師事。主な監督作は『回転(サイクリング)』(2016年)、『小さな声で囁いて』(2018年)。
あらすじ:地球上最も美しいとされる土地、サザーランドと間違え、千葉県館山市に不時着した地球外生命体“エヌマ”の波多野(小川紗良)、麦(河合優実)、梅ちゃん(甲田まひる)。彼女たちは、地球探査を目的に別荘管理のアルバイトとして人間の麗美(塩塚モエカ)と暮らしながら、実験対象となる男性・リョウ(大下ヒロト)も巻き込んで“人間”の生活に触れていく。
監督・原案:山本英 脚本・原案:イ・ナウォン
――ソーシャルドラマという新たなジャンルに挑戦した感想からお伺いしたいと思います。まず、山本監督からお願いできますか。演出をする上で、“ソシャドラ”だからという意識はありましたでしょうか。
山本:普段、自分は映画ばかりなので、今回連続ドラマをやるにあたって、やっぱり各話ごとに起承転結をしっかりつけるというところは気をつけましたね。それは、ソシャドラというか、連続ドラマだからこそではあるんですけど、特にソシャドラの場合はいわゆるテレビドラマよりも短い、10分くらいの尺なので、そのなかで起承転結をつけるっていうところを大切にはしてました。
――山本監督の初めての長編映画『小さな声で囁いて』(2018年)の上映時間は110分で、“一見、退屈とも取られかねない時間”を描いていることに対して、「これ以上、1秒たりとも切ることができませんでした」と、当時コメントされていました。
山本:そうですね。普段、映画を作るときは無茶苦茶尺を使って撮るので、今回は見やすいようにということを意識しました。でも、日常に流れる弛緩する時間は、今作でも皆さんに感じ取ってもらいたいと思っていて。そこはあまり切りすぎないようにかなり気をつけながら編集していたので、その時間も感じてもらいたいなと思いますね。
――小川さんは、今回女優としての参加ですが、6月25日には監督映画『海辺の金魚』が公開されます。監督としての目線ではソーシャルドラマをどう捉えてますか。
小川:ソシャドラをやろうと考えたことはなかったんですけど、この『惑星サザーランドへようこそ』が面白かったので、監督するのも楽しそうかもなって思ってます。
――映画とは違う可能性を感じましたか。
小川:そうですね。同世代の若いキャストの方と一緒に作っていける可能性があるし、何より、いろんな人に見てもらえますよね。普段、映画館に足を運ぶ人とは違う人が見ると思うと、新しい出会いもあって楽しそうだなって思いますね。
山本:僕も今回初めてソシャドラというものをやらせていただいたんですけど、いつでも見れるっていうのが一番良いところなのかなと思ってて。各話の尺も長くないので、寝る前とか、出勤前とか、日常のちょっとした合間に見てもらえるのは映画にないところですし、日々のちょっとした癒しになったら良いなって思ってます。
――演じ手として参加した皆さんはどうですか。
麗美(塩塚モエカ)は、宇宙人だと言う3人を戸惑いながらも受け入れていく。
塩塚:私はソシャドラにしっかり出るのは初めてなんですけど、YouTubeドラマ『放課後ソーダ日和』(2018年)の劇伴をやったり、YouTubeドラマ『DISTORTION GIRL』(2020年)の主題歌を作ったりしてて。だから、馴染みはありました。
今回の作品は1話1話が短くて見やすいし、公開から日にちが経ってから見てくださる方もいると思うので、少しずつでも広まっていけば良いなって思います。
河合:YouTubeで流れるドラマをソーシャルドラマ=ソシャドラって呼ぶことも、今初めて知ったんですけど(笑)、やっぱりいつでも、どこでも見られるのが良いなって思います。そういう意味では、多くの人に見てもらえる環境だと思うので、いっぱい宣伝してもらって、ほんとにたくさんの人に届いたら、ソシャドラとしての意味があるかなって思います。
甲田:私も馴染みがなかったんですけど、ちょっと実験的な新しい試みに参加できたのがうれしいです。すごく今っぽいなと思います。
小川:私もソシャドラを実際に見たことはなくて。関わらせていただくのも今回が初めてなんですけど、やっぱり手軽に、いろんな人にたくさん見てもらえるのが良いことだなと思います。ただ、撮ってるときは、ソシャドラだっていう意識はまったくなくて。映画を撮ってるような感覚でしたね。
――撮影現場はどんな雰囲気だったんですか。
塩塚:朝早くから夜遅くまで共演のみんなと一緒にいてずっとしゃべっていて、こんなに仲良くなれると思っていなかったです。スタッフの皆さんも面白くて、すごく楽しかったです。
小川:スタッフの方たちもキャストもみんな年齢が近かったので、キャンプに来たみたいな感じでした。和気あいあいとしてましたね。
河合:まさにキャンプに来たっていう感じでした。私たちが演じた“地球に降り立った地球外生命体のエヌマ”そのままだなとも感じて(笑)。宇宙人が館山に来て、みんなと生活するっていう作品の内容と重なっていて楽しかったです。
甲田:スタッフさんも含めて、全員のチームワークが良かったですね。カメラが回ってないところでもずっと仲良くしてたし、スタッフさんとも距離が近くて。その雰囲気が作品にもそのまま出ているのかなって思います。
――最初から仲良くなれたんですか? 何かきっかけはありましたか。
小川:それぞれ前から面識がちょこっとあったんですよ。(塩塚)モエカちゃんは5年くらい前かな。私が映画祭のオープニング映像を監督したときに出演してくださって。
甲田:私は、(河合)優実ちゃんと面識があって。
河合:(8月6日に公開される)映画『サマーフィルムにのって』につづいて2回目の共演で。
小川:だから、全員揃ってなくても、待ち時間に誰と一緒になっても落ち着く感じでしたし、楽しかったですね。
――その楽しかったっていう思い出を聞かせてください。
塩塚:なんか、みんなで変なゲームしなかったっけ?
甲田:牛タンゲームした(笑)。
小川:撮影地が観光地だったので、普通に旅行に来てる方たちもちょこちょこいて。その方たちがスタッフのなかに自然と紛れ込んで撮影を見てたんです。それをMappy(甲田)と見つけてふたりで爆笑しましたね。
河合:そのご家族、翌日も来てましたよね(笑)。
小川:そうそう。スタッフが増えていくっていう。
河合:あと、私が今パッと思い出したのは、海辺で3人で寝てるシーンですね。濡れるし、寒いしでキツかったんですけど、寒すぎて笑いが止まらなくなっちゃって。人間って辛いと笑うんだなって思いました。
小川:(笑)。特に撮影の最後のほうは疲労もあったので、だんだんおかしなテンションになっちゃって。
河合:ハイになってましたね。
塩塚:変なダンスを踊ったりもしたよね。
甲田:私が真剣に、“ファの音が聞こえないぞ”って悩まないといけないシーンを撮ってたんですけど、周りで3人がくるくる踊りながら、私の目の前に来るたびにアピールしてきて。笑わないようにするのに必死でした。ほんとにヤバかった!
塩塚:そのシーンでは、ほんとはダンスがすごい上手な優実ちゃんが、その上手さを消すためにわざと下手に踊ってるのもかわいかったな。
河合:やってたね。私が演じた麦ちゃんは表現があまり得意じゃない役だったので、ダサい動きを頑張ってしてました。
撮影は館山の貸別荘にて行なわれた。
――役の話が出ましたが、それぞれの役柄について聞かせてください。塩塚さんは、別荘管理のバイトをしている人間の堀内麗美という役どころでした。
塩塚:私の役は、監督に「淡々としてて、おじさんみたいな女の子だよ」って説明されて。私自身は、淡々とはしてないかもしれないけど、ちょっと自分と近いところがあると思いました。麗美は、日本酒の“ワンカップ”が好きなんですよ。そこがおじさんっぽいんですけど、私も普段からワンカップがめっちゃ好きなんです(笑)。だから、堂々と自分らしくやれば良いんだなって思ってましたね。
――3人から見た塩塚さんの印象は?
小川:演じてるときもそのまんまでしたね。ほんとにモエカちゃんらしいというか、そのまんまの自然体で。オンとオフの差がないから、すごくやりやすいというか。
甲田:おじさん味(み)、ちょこちょこ感じてたよ(笑)。
塩塚:昨日も友達に「おっさんみたいな動きするね」って言われました(笑)。
甲田:台本の読み合わせで最初に4人が集まったときに、モエカちゃんの最初のセリフを聞いて、なんか腑に落ちたんですよね。すぐに麗美がどういう女の子かわかって。
河合:オンオフの切り替えがなく、普段のままでしゃべるって言うのは、逆に難しいと思うんですよ。でも、カメラの前でもそのままストンとしゃべってるなって思いました。
あと、すごい素敵な声ですよね。雰囲気やしゃべり方も柔らかいんですけど、合間にお話しさせてもらって、やっぱりバンドをやられてきているから、ちゃんと自分の道を自分で切り拓いてきたんだなっていうカッコ良さもめっちゃ感じて。そのギャップがすごい素敵だなって思いました。
塩塚:ま、そんなこともありました……。恥ずかしいですね(笑)。
地球外生命体“エヌマ”の麦(河合優実)は、恋の衝動に密かな興味を持つ。
――つづいて、サザーランドと間違って館山に降り立った3人の宇宙人です。小川さんは、塩塚さん演じる麗美に“生と死”や“精神と肉体”とは何かを問いかける波多野役です。
小川:最初に宇宙人役って聞いたときは自分とかけ離れてるのかなって思っていたんですけど、本読みで監督と話し合いながらキャラクターを探っていったら、結構、自分のまんまだなって感じて。
宇宙人とは言え、人間界に馴染んでいるし、でもちょっとおかしなところがある。3人の宇宙人のなかでも、波多野はこうと決めたら突っ走る、突飛なキャラクターなんですけど、自分にもそういうところがあるので、意外と自分に近かったのが面白かったですね。
――小川さんは突飛な行動を取るようには見えないですが。
小川:外で宇宙人3人でラジオ体操をしてるときに麗美が家に帰ってきて、急に私がふたりを置き去りにして家に戻るシーンがあるんですけど、私もそういうところがあるんですよ。今、これをしなきゃって思ったら、それしか見えなくなって、突っ走っちゃう。
――ほかの皆さんからの、小川さんの印象を語っていただけますか。
塩塚:窓際で、波多野とふたりで掛け合いをするシーンで感じたんですけど、すごくやりやすかったんですよね。テンポ良く返してくれるし、こっちも返せるし。ほんとにお芝居が上手なんだなって思いました。普段の(小川)紗良さんはしっかり者だと思うんですけど、役的に真鯛を抱き締めたり、一番変な踊りをしたりしてて。そんなクレイジーなキャラクターのなかでも、しっかり者の紗良さんらしさが垣間見えて面白いなと思いました。
河合:私は、ずっと小川さんにお会いしたかったんですよ。
小川:実は優実ちゃんは高校の後輩なんですよ。会ったことはなかったんですけど、お互いに存在は知ってて。
河合:だから、今回ご一緒できてすごくうれしかったですね。入れ違いなので学校での姿は見てないんですけど、ずっと尊敬してて。「卒業後に女優と監督をされている小川紗良さん」ってずっと憧れのように思っていて。撮影現場でもみんなのお姉ちゃん的存在に感じていたし、そこは波多野のリーダー気質と重なるのかなと思いました。
波多野はクレイジーさを内に秘めながらも、ポーカーフェイスで、自分の正義があって、自分の欲望にまっすぐに行動していく。勝手な想像ですけど、それは紗良さんにも通じてそうだなと思いましたね。
甲田:本読みのときに、セリフのニュアンスを唯一、何パターンかいろいろと試されていて。そういうセリフのニュアンスとか声色とかトーンとか、テクニカルなところでたくさんの引き出しを持っているところが最初からほんとにすごいなって思ってました。撮影現場でも、常に冷静に周りを見てくださって。個人的にもたくさんアドバイスをもらったので、頼れる存在でした。
小川:……この時間、すごく恥ずかしいね(笑)。ほんと、とんでもないですよ。私、鯛に名前つけて、持って走るキャラですよ。鰹節もぶちまけてますからね。良い匂いでしたけど(笑)。
撮影に入る前に監督が本読みの時間をたっぷり作ってくださったので、その時間にみんなの声の調子や雰囲気をかなり掴めたし、現場でもそのまんまできたのが良かったなって思います。
文・取材:永堀アツオ
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