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連載Cocotame Series

オーディション~原石の発見

『CGオーディション』でガールズアイドル・グループの概念を変える【前編】

2021.05.20

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ソニーミュージックグループが関わるさまざまなオーディションをピックアップし、開催の舞台裏、求める才能、そこに込められたスタッフの思いなどを掘り下げる連載「オーディション~原石の発見」。

今回は、現在応募受け付け中のガールズアイドル・オーディション『CGオーディション』をフィーチャ―。数々のバンドを発掘、育成し、アイドルグループ・フィロソフィーのダンスの生みの親でもある総合プロデューサー、加茂啓太郎に話を聞く。

前編では、なぜ今、アイドルオーディションを開催するに至ったのかの経緯や、“アイドル”探求に込めた思いを語る。

  • 加茂啓太郎

    Kamo Keitaro

    ソニー・ミュージックエンタテインメント
    RED

CGオーディション

「女性アイドルの概念を変えるグループのメンバー募集」として、4月28日より募集を開始したオーディション。世界に通用するエンタテインメントの創成を目指す。NUMBER GIRL、氣志團、相対性理論、Base Ball Bearらバンドや、フィロソフィーのダンス、寺嶋由芙らアイドルを手掛けた加茂啓太郎が総合プロデューサー務める。公式Webサイトからの応募締め切りは6月1日17時。エントリーはこちら(新しいタブで開く)

目標のひとつはジャンルの壁を壊すこと

――新たなガールズアイドル・グループのメンバーを募集する『CGオーディション』開催の経緯から聞かせてください。

僕が最初にアイドルをやりたいと思ったのが、BiSやでんぱ組.incがデビューした後の2012~13年だったんですね。2014年に元BiSの寺嶋由芙ちゃんと出会い、彼女のディレクターを1年半やって。ソロアイドルの次はグループアイドルをやってみたいと思い、2015年にフィロソフィーのダンスを立ち上げました。

フィロソフィーのダンス

――加茂さんは東芝EMI(現ユニバーサル ミュージック アーティスツ合同会社)時代に、新人発掘部署“GREAT HUNTING”のチーフプロデューサーとして、ウルフルズやNUMBER GIRL、氣志團、相対性理論、フジファブリック、Base Ball Bear、赤い公園などの発掘育成を手掛けてきました。

そうですね。ロックやバンド、シンガーソングライターの畑で20年以上やってきたので、アイドルのプロデュースは手探りでした。東芝EMIもアイドルをあまりやらない会社でしたし。フィロソフィーのダンスを見様見真似で始めて、昨年メジャーデビューすることができました。

その間での学びもあったし、人脈も作れた。こうすれば良かったなどの反省もあるので、じゃあ、もう1回、フィロソフィーのダンスで培ったノウハウを基にしてアイドルオーディションを立ち上げようと思いました。

――その間で加茂さんが得たものはなんでしたか。

新型コロナウイルスの影響で、ファンサービスの場であり、アイドルにとっては収入源のひとつである“特典会”は対面からオンラインに移行していますけど、アイドルはファンのエンゲージメントが高く、ファンダム(熱狂的なファンの集団)になっていくので、ビジネスとしては、バンドやシンガーソングライターよりも、経済的に回しやすいと思います。

でも、アイドルの曲というだけで聴かない人も多いし、アイドルだから扱わないという媒体もあります。僕の目標のひとつはジャンルの壁を壊すことなのですが、それは少しはできたかなと思っています。

フィロソフィーのダンスは、アイドルファンだけではない、いわゆる音楽リテラシーが高いファンがついてくれたり、ミュージシャンや音楽関係者からもお褒めの言葉をいただいています。なので、ある程度の成果は出せましたけど、完全にジャンルの壁を壊せたかというとまだそこまでではないので、さらに目標に向かって頑張りたいと思っています。

アイドルプロジェクトの魅力は自由度の高さ

――国内のアイドルシーンをどう見てますか。

2010年代のアイドルグループが乱立していたころに比べると、ある程度ファンを獲得していたグループが活動休止したり、シュリンク傾向にはありますよね。

――だからこそ、このタイミングで“アイドル”のオーディションを開催することがちょっと意外だなと思ったんです。

今のアイドルシーンがシュリンク傾向にあると言っても、アイドルの歴史を振り返ってみれば、まったくなくなるものではないと思います。シーン全体が大きくなったり、小さくなったりすることはあるけれども、完全になくなってしまうことはないし、BiSHやNiziUのように、面白いものをやればセールスにつながると思います。

今の状況はアイドルに興味を失いつつある人が多くなっていると感じていて。その原因は、コンセプトや音楽性がテンプレート化してしまって、エンタテインメントとしての新鮮味がどんどんなくなってしまったからだと思うんです。

僕がBiSやでんぱ組.incに面白さを感じたときのように、今でも新しくて面白いことをやれば注目を集められると思います。だからグループとしては、本籍はアイドルで良いんですけど、現住所がJ-POPやR&Bとか、いろんなところにあれば良いなと考えています。

アイドルからスタートし、独自の立ち位置を獲得した一番の成功例はPerfumeですよね。フィロソフィーのダンスを立ち上げたときも、音楽性は違うけれど、Perfumeが理想だとずっと言ってました。

――まだアイドルシーンでやれることがあると。

いろいろありますね。アイドルはいろんな戦略を考えられるんです。バンドやシンガーソングライターだとNGなことでも、アイドルの場合は、ファンが喜んでくれることなら原則やって構わないと思ってるので、やれることの可能性は広がるんですよね。マネタイズの手法もアイデア次第で広げることができます。

――“アイドル”というカテゴリーにこだわるのはどうしてですか。楽曲のクオリティが高くても、アイドルということでバイアスがかかることもあると思います。それでも、“アイドル”と謳うのは?

偏見の目で見られることもあるけれど、「アイドルです」と謳うことで確実に獲得できるファン層があるのが一番大きいです。しっかりとした音楽性で評価されれば、PerfumeやBABYMETALのように、いつの間にかアイドルとは呼ばれなくなりますよね。

理想としては、サブスクで聴いて良いなと思って調べたら、アイドルだった、と気づくような楽曲を作りたいです。そしていろんなプレイリストを縦断できればとも思っています。

適した人がいればこちらからも誘いたい

――ちなみに、フィロソフィーのダンスのサウンドはファンク、ソウル、ディスコを基調にしていますが、アイドルシーンでブラックミュージックを歌って踊るグループは少ないですよね。

そうですね。2013年にファレル・ウィリアムスの「ハッピー」や、マーク・ロンソンがエイミー・ワインハウスやブルーノ・マーズとコラボやプロデュースをして昔のソウルミュージックをリブートした作品がヒットしたのを面白いと思ったのがきっかけです。彼らがやってることを、日本のアイドルに置き換えたら売れるかもしれないと思いました。

アイドルはダンスが必須だと思っているんですが、ヘビーメタルやロックよりも、ソウルミュージックのほうがダンスとの相性が良いんです。今は日本もダンスの注目度やニーズが上がっているので、ダンスをいかすにはブラックミュージックが音楽ジャンル的に良いだろうなと思いました。

あと、アイドルソングでも良い曲は多いんですけど、歌唱力が追いついてなくて、歌がうまい人が歌えばもっと良くなるのにって、日ごろから思っていて。そういう意味で歌唱力は重要視しました。アイドルファンじゃない人に「アイドルは歌がヘタ」って言われることも多いので、そこをクリアしたいっていう思いが強かったです。

――フィロソフィーのダンスのメンバーは、2名はスカウト、2名はオーディションという構成で、偶然ではあるにせよ、加茂さんが東芝EMI時代にやってきたバンドやシンガーソングライターの発掘と、2012年に行なったアイドルオーディションを融合した形になったわけですよね。今回は全員オーディションのみで集めますか。

いや、適した人がいれば、こちらから誘いたいなとも思ってます。ただ、以前は週に3~4日はライブを観に行くような生活をしていたけど、特に今はライブに日常的に行くことができないので、なかなか出会うきっかけがないですね。でも、例えばアイドルグループをやめてしまった人とかで、契約的に問題がない人がいれば誘ってみたいと思ってます。

――今回の『CGオーディション』において、既に思い描いているグループ像はありますか。

アメリカだとスプリームスから、TLC、デスティニーズ・チャイルドなどまで、1960年代から常にガールズグループがいるじゃないですか。そんな立ち位置をイメージしています。

――楽曲ジャンルも1990年代R&Bのイメージ?

そうですね。洋楽ではH.E.R.、邦楽ではVaundy、SIRUP、miletとか。日本でもメロウでスローなソウルミュージックの支持が上がってきているのを感じています。フィロソフィーのダンスも、「シスター」というスローでメロウな曲が、2019年11月のリリース以降、ずっとサブスク1位なんです。なので、この路線を推し進めて行きたいと思っています。

フィロソフィーのダンス「シスター」

後編につづく

文・取材:永堀アツオ

関連サイト

CGオーディション
https://www.sonymusic.co.jp/sd/cg/(新しいタブで開く)

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