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連載Cocotame Series

オーディション~原石の発見

『CGオーディション』でガールズアイドル・グループの概念を変える【後編】

2021.05.21

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ソニーミュージックグループが関わるさまざまなオーディションをピックアップし、開催の舞台裏、求める才能、そこに込められたスタッフの思いなどを掘り下げる連載「オーディション~原石の発見」。

今回は、現在応募受け付け中のガールズアイドル・オーディション『CGオーディション』をフィーチャー。数々のバンドを発掘、育成し、アイドルグループ・フィロソフィーのダンスの生みの親でもある総合プロデューサー、加茂啓太郎に話を聞く。

後編では、今回のオーディションで求める人物像や、募集要項に掲げた条件の背景、今後の展望などを語る。

  • 加茂啓太郎

    Kamo Keitaro

    ソニー・ミュージックエンタテインメント
    RED

CGオーディション

「女性アイドルの概念を変えるグループのメンバー募集」として、4月28日より募集を開始したオーディション。世界に通用するエンタテインメントの創成を目指す。NUMBER GIRL、氣志團、相対性理論、Base Ball Bearらバンドや、フィロソフィーのダンス、寺嶋由芙らアイドルを手掛けた加茂啓太郎が総合プロデューサーを務める。公式Webサイトからの応募締め切りは6月1日17時。エントリーはこちら(新しいタブで開く)

応募者には、好奇心が強く、情報に対して貪欲であってほしい

――『CGオーディション』の参加資格について聞かせてください。16〜25歳の女性と、アイドルにしては珍しく20代の中盤まで年齢幅を広げてますね。

『CGオーディション』HPより

日本の芸能界は年齢を気にすることが多いじゃないですか。年がいくつだったとしても、その年齢ならではのクオリティのあるものができれば、評価されるべきだと思います。

例えば怒髪天とかザ・コレクターズとか、50歳越えてから日本武道館公演をやれるバンドがいます。また、Negiccoやでんぱ組.incなど、メンバーが結婚後もアイドル活動をつづけるグループも出てきて、良い傾向だと感じています。

なので、アイドルは若ければ良いっていう風潮を変えていきたいという考えがあっての年齢設定ですね。あとは、ある程度、自意識が完成している人が良いかなって思ってます。

フィロソフィーのダンスで言うと、彼女らがここまで成長した理由は、メンバーみんながセカンドキャリアだからなんです。ここで結果を残さなければ次はないっていう子たちだったから。

アイドルになりたい若い人たちのなかには、アイドルとして知名度を上げて、本当は女優をやりたいとか、モデルをやりたいという人もいるんですね。ほかのグループのそういう志の人を見てると腰掛け的なバイブスが出ちゃってることがあるので、年齢設定は高めにしてます。

――4月28日からエントリーの受け付けを開始しましたが、現状での手応えはありますか。

割と良い感じで来てると思います。こんなにキャリアがあるの? という人から既に応募が来ていたりするので、それは面白いですね。SD(新人育成セクション)に聞いても、「初動でこれだけ応募があるのはなかなか優秀です」って言ってもらえてます。あと、ほとんどのアイドルオーディションは年齢制限が20歳か21歳までなので、23歳以上の応募者のプロフィールが熱いです。

――オーディション参加者に求めるものは?

意識が高い人と出会いたいですね。いろんなことに対して好奇心が強く、情報に対して貪欲であってほしいです。例えば、元でんぱ組.incの夢眠ねむさんは、カルチャーに対する好奇心や取り入れる意欲が強かったことが、彼女を輝かせたと思うんですね。そういう意味で、いろんなことに対して意識が高い人が良いなと思います。今までのアイドルは、“やらされてる感”も魅力のひとつというところもあったかもしれないけど、それはこれからの時代の空気感ではないという気がしてます。

――音楽などのカルチャーだけじゃなく、さまざまな方向に対して興味を持っていてほしいと。

そうですね。環境問題でも、ブラック・ライブズ・マターでも、いろんなことに興味を持たざるを得ない世の中に以前よりなっていますよね。僕の野望のひとつは、プロデュースしたアイドルが『BIG ISSUE』の表紙になることなんです。『BIG ISSUE』でインタビューを受けたいなら、社会問題にも関心がないとできないですよね。

そう言えば先日、フィロソフィーのダンスが“アースデイ東京2021”のコンサートに出演したんですよ。アースデイ運営スタッフのなかにフィロソフィーのダンスのファンがいてくれたご縁がきっかけだったんですけど、アースデイ・コンサートにアイドルが出たのは初めてなので、世の中が少し変わってきたのかもしれません。

――フィロソフィーのダンスの日向ハルさんは、“ボディポジティブ”について発信してますよね。

日向ハル(フィロソフィーのダンス)

そういうところで女性からの支持も集めていますね。男性ばかりにウケるグループではなく、女性からの支持があることも大事だと思ってます。

全容がだんだん見えてくる仕掛けを考案中

――オーディションで加茂さんが見るポイントもお伺いできますか。

基本的なスキルは当たり前ですが、あとは、やる気ですね。もちろん、みんなやる気があるとは思うんですが(笑)。また、同じような個性の人ばかりが集まってもしょうがないので、キャラが被らないようにしたいというのはあります。それぞれ違うキャラクターを持っているけど、集まったときだけは不思議なケミストリーが発生するような人たちを集めたいなと思ってます。

――歌やダンスの経験は必要ですか?

あるに越したことはないですが、フィロソフィーのダンスは当初、2名はダンスのキャリアなし、2名は歌の実力なし、1名は人前でのパフォーマンスのキャリアすらなかったので、努力してくれれば、時間はかかるかもしれないけど、なんとかなるんだと思います。

――『CG』の意味も教えてください。

『CGオーディション』HPより

だんだんとオーディションの全容が見えてくる形を考えているので、現時点では伏せさせてください。これから、第1次参加者にどういうことをしてもらいますとか、段階的に発表していって、その過程も皆さんに見ていただこうと思ってます。今は、『CG』というのはなんだろうなって想像してもらいたい。

今、これだけ情報があふれていると、みんなチェックしてアナライズして終わりみたいになっちゃうから、「これなんだろう?」って考える、脳がドライブするようなコンテンツが必要だと思います。なので最終の合格者発表まで、どういうことなんだろうと考えてもらえる仕掛けを作っていきたいですね。

――審査の過程も見せていくんですね。合格者の人数は未定ですか?

そうですね。グループとしては3人構成でいけるのがベストかなとは思ってます。音楽的にも踊り的にも3人いれば十分なんです。人数が多いと技術のばらつきも出てしまうので。アイドルグループが大人数である理由は、要するに、特典会ビジネス向けの意味もあると思います。それは今回のプロジェクトにおいては本意ではないので、ベストは3人。良い人がいれば5人になるかもしれない。

――公式サイトには、「ガールズアイドルの概念を変える」とあります。

アイドルだけじゃなくなんでもそうなんですが、新しいことをやるんだったら、概念を変えないと意味がない。NUMBER GIRLでも氣志團でも、それまでの概念を変えたバンドだと思ってます。新しいプロジェクトは、逆説的に言えば、どんなものでも“概念を変えなければいけない”とも思っています。

方程式がないなかで面白いことが起きてほしい

――新人の発掘と育成を20年以上やってきた加茂さんが楽しみにしてることはなんですか。

2010年ごろまでは、『ROCKIN’ ON JAPAN』とスペースシャワーTV、J-WAVEとFM802が気に入ってくれれば、CDが最低5万枚は売れるって言われてました。どういうものなら彼らが気に入るかという傾向と対策も、ある程度わかってましたよね。でも今は、タイアップがあれば必ず売れるということもなくなりました。

そのころに比べると、今の音楽シーンは掴みどころがなくて、何がヒットするのか五里霧中みたいなところがありますけど(笑)、逆に考えれば、ユーザーが求めている作品さえ作ることができれば、メディアを経由しなくてもヒットする可能性があるのは面白いと思います。

――最後に、応募しようかどうか迷ってる人へのメッセージをお願いします。

応募して失うものは何もないですから。受からなくて当たり前くらいの気持ちで良いと思います。僕は昔から、アマチュアの人やバンドやシンガーソングライターに、なんでも良いから応募しろ! って言っていて。どこで誰が引っかかるかわからないし、そこでどんな出会いがあるかもわからないじゃないですか。

応募して受かって、「ここは違うな」って思ったら、契約しなければ良いだけの話だし。そこでいろんな人に会って、話を聞けるだけでも良いと思うんですよね。オーディションでフィロソフィーのダンスに加入した佐藤まりあは、「オーディションの練習のつもりで受けた」と言っていて、どんだけ失礼なんだという話ですけど(笑)、それでも受かってメジャーデビューしましたから。良い意味で、軽い気持ちで応募してもらいたいなと思います。

 

文・取材:永堀アツオ

関連サイト

CGオーディション
https://www.sonymusic.co.jp/sd/cg/(新しいタブで開く)

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