50年の時を経て甦る、伝説のピンク・フロイド『箱根アフロディーテ』ライブ映像【前編】
2021.08.03
音楽を愛し、音楽を育む人々によって脈々と受け継がれ、“文化”として現代にも価値を残す音楽的財産に焦点を当てる連載「音楽カルチャーを紡ぐ」。
今回は、7月21日に第21弾が発売されるコンピレーションアルバムのロングシリーズ『image』の魅力を紐解く。今や、ヒーリングミュージックの老舗ブランドになった本作。第1弾発売の2000年から、世の中の変化とともに歩みつづけた20年と今なお支持される要因を、15年にわたり制作に携わってきたソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(以下、SMJI)原賀豪が語る。
後編では、最新作『image21』の聴きどころや、今後の『image』ブランドの展開について聞く。(文中敬称略)
原賀 豪
Haraga Go
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
2000年8月23日に第1弾が発売された、ヒーリングミュージックのコンピレーションアルバムシリーズ。音源リリースと並行して、コンサート『live image』も行なわれてきた。シリーズの代表的な収録曲は、葉加瀬太郎「情熱大陸」(TBS系『情熱大陸』メインテーマ)、宮本笑里「Les enfants de la Terre~地球のこどもたち~」(TBS系『世界遺産』メインテーマ)、加古隆「パリは燃えているか」(NHKスペシャル『映像の世紀』テーマ曲)ほか。
――第1弾発売から約21年となる7月21日に、『image』シリーズの最新アルバム『image21』がリリースされました。今作はどのような1枚にしたいと考えていましたか。
既定路線をきちんと継承するということがひとつと、コロナ禍で『live image』の開催がままならないなかでもアルバムはリリースして、『image』の火を灯しつづけたいという強い気持ちがありました。
――アルバムの制作は例年どのようなスケジュールで進行しているのでしょうか。
大体リリース前年の10月くらいのタイミングで、アルバムの選曲を始めます。同時に、これは収録したいなと思うような曲もリサーチしていく。キックオフして3カ月くらいでマスタリングするイメージですね。10月から12月ころまでにやり切って、翌年2月にリリースするというのが例年のパターンです。
今回、僕がどうしても入れたかったのは、サントリーのシングルモルトウイスキー山崎・白州のCM曲です。これはもう、僕が日々CMを目にしているなかで惚れてしまった音源のひとつで。マイケル・トンプソンがエレキギターでバッハの「G線上のアリア」を演奏した楽曲なんです。バロック時代のバッハが作った弦楽合奏の曲なのに、エレキギターで演奏されることで違う世界に連れて行かれるトラックだと、CMで聴いたときから思っていたので、今回収録することができてすごくうれしかったですね。『image』のスピリットを強く感じる音源でもありますし、CD初収録でもあるので、そういう意味でも良かったと思っています。
――CM曲など、普段からいろんなアンテナを張って情報収集してるんですね。
そろそろ『image』に着手しなきゃという時期が近づくと、TVのCMやYouTubeなどを見て、「これはどうかな?」という音楽探しをずっとやってますね。
あと、今回の『image21』は実はギタリスト祭りの様相を呈していて。先ほど挙げた「G線上のアリア」のアレンジ版もそうですけど、ほかにも沖仁、ゴンチチ、鳥山雄司、春畑道哉の楽曲が収録されています。
ひと口にギターといっても、ゴンチチのようにほっこりしたものもあれば、春畑道哉のエレキギターでバラードを弾いているものもあるし、沖仁はフラメンコギターというアプローチで「アマポーラ」を演奏しています。クオリティミュージックのなかでのギターの多様性をすごく楽しめるアルバムにはなっていると思います。
――鳥山雄司「Majestic Shadow」だけをとっても、1曲のなかで、フルオーケストラの演奏をバックに、アコギからエレキに持ち替えてますね。
この曲はとてもゴージャスなトラックになっていますよね。素晴らしいと思います。
――また、広く馴染みのある曲で言えば、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』のメインテーマも収録されています。
大河ドラマのテーマ曲は『image』シリーズの定番でもありますね。癒し系の曲を集めてはいるんですが、全部同じトーンの曲だと、アルバム全体を通して楽しむことが難しくなってくる。大河ドラマの曲はダイナミックな曲が多いので、そういった素晴らしい曲も収録することで、アルバムとしての一体感が出るようにしています。
――『image21』を締めくくるアウラの「戦場のメリークリスマス」は、インストゥルメンタルではなく歌が入っていますね。
今回はたまたまボーカルグループの曲がアウラだけになっていますが、例年は数曲収録されることが多いです。アウラは素晴らしいアカペラグループで、ボイスミュージックなんですけど、インストゥルメンタル的な魅力があって、『image』の定番アーティストになっています。
今作には、最近『4K修復版』が公開された映画『戦場のメリークリスマス』のテーマ曲を収録しました。とても素晴らしい歌声とハーモニーで、クロージングを飾っていただいてます。
――21枚目が完成して、原賀さんとしてはどんな感想を抱いてますか。
『image』はいつも曲順にすごく苦労するんですよね。緩急をつけて、どう楽しんでもらうかを考えながら練るんですけど、今回、「もう、これしかない」という曲順にできたなと思っていて。楽しんで聴いていただけたらと思いますし、時代に使い古されない音楽をご提案できたのかなと思っています。
――本シリーズの今後はどう考えていますか?
単なるコンピレーションアルバムのシリーズではなく、もっと多角化させたいと思っています。
――多角化というのは具体的には?
趣味的に音楽を楽しむというところから、生活のなかで、音楽に限らず、ヒーリングとリラックスをもたらすためのブランドになるよう考えているところです。最近はスマートスピーカーが普及して、IOT(モノのインターネット:モノ同士がインターネットのようにつながり、情報交換をすることで相互に作用する仕組み)も発達してきていますよね。
これまで『image』は、リスナーが能動的に聴く音楽として素晴らしいものを提案してきたのですが、それをもっと生活環境や個々のニーズに合わせて、音楽のほうからリスナーに近づいていく形を考えています。環境音楽的な部分でも『image』はすごくポテンシャルがあると思っているので、そういった企画を考えて、立ち上げようとしているところです。
――『image』がより生活に寄り添うブランドになっていくわけですね。
そうですね。人はリラックスするために音楽を聴くところがあるので、リラクゼーションミュージックが普段の生活の一部になるよう、現代人の生活に必要不可欠な癒しのブランディングを展開していきたいと思っています。具体的な企画を練っているところなので、近い将来には、もう少し詳しくお話しできると思います。期待していただきたいですね。
文・取材:永堀アツオ
『image21 emotional & relaxing』
2021年7月21日発売
【収録曲】
Fragrant Woods/羽毛田丈史
Dawn Flight featuring 三宅一徳 /宮本文昭
Majestic Shadow/鳥山雄司 ※フジテレビ系「ソニーオープン イン ハワイ」中継テーマ曲
Bitter Love/宮本笑里
From LAX With Love(原曲名:Air On G String)/Michael Thompson & Kimiko Nakagawa ※サントリーシングルモルトウイスキー山崎・白州「なぜ、この場所なのか。」CM曲
永遠の歌 /アレクシス・フレンチ
LOVE(2019 New Recording) /ゴンチチ
アマポーラ /沖仁
花鳥風月/春畑道哉 ※TBS系『じょんのび日本遺産」エンディングテーマ曲
麒麟がくる メインテーマ/ジョン・グラム、広上淳一指揮 NHK交響楽団、林英哲 ※2020~2021年NHK大河ドラマ『麒麟がくる』メインテーマ
START! /葉加瀬太郎
雨あがり~after the rain~/小松亮太 ※日本テレビ系「news every.」お天気コーナーテーマソング
黄昏のワルツ(クァルテット・ヴァージョン)/加古隆 ※NHK総合『にんげんドキュメント』テーマ曲
悪魔のロマンス /高嶋ちさ子
Taking off Loneliness/紀平凱成
戦場のメリークリスマス/アウラ
『image』シリーズ公式サイト
http://www.sonymusic.co.jp/artist/image/
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