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芸人の笑像

コウメ太夫:破天荒な芸風と控えめな人柄が共存する、類まれなる自然体【後編】

2021.07.30

ソニー・ミュージックアーティスツ(以下、SMA)所属の芸人たちにスポットを当て、ロングインタビューにて彼らの“笑いの原点”を聞く連載「芸人の笑像」。第8回は、白塗りの女形スタイルでシュールなネタを繰り広げ、お笑い界で唯一無二の存在感を放つコウメ太夫。SMA初のブレイク芸人とも言われ、以降一途に「チクショー!!」と叫びつづけてきた。今や理解や理屈を寄せつけない孤高感すら漂うベテラン芸人の胸の内を聞く。

後編では、今後の野望や、独特のネタ作りについて語る。

  • コウメ太夫

    Koume Dayu

    東京都出身。血液型O型。身長176㎝。特技:マイケル・ジャクソンふうのダンス(2013年に神奈川県相模原市で行なわれた“第1回ムーンウォーク世界大会”のお笑い部門で準優勝)。7月28日にスタートしたSNSドラマ『対決落語 supported by Yay!』(毎週水曜・日曜配信/全6話)に出演中。

世界のスーパースターを夢見た若かりしころ

「僕、ほんとに何も考えないで、ずっと来ちゃったんですよねぇ……」と、朴訥と語るコウメ太夫。だが、夢を叶えたいという思いだけは人一倍強かった。『エンタの神様』で人気を博したものの一気に仕事が減り、芸人としての月収が900円しかない時期もあったという。それでもお笑いをつづけてこられたのは、「意外と僕、頑張り屋で。粘っこいんですよ(笑)」という性格のせいもあったのだろう。だからこそ、ここであえて、“コウメ太夫にとっての今の夢とは何か?”を聞いてみた。

「え?……あー、うーんと……芸能界の大物になることですかねぇ(笑)。小さいころはジャニーズ入りたいとか、東京ドームに出てみたいとか、マイケル・ジャクソンのように世界のスーパースターになるぞとか、そんな夢でしたけどね。若いころはそのつもりでいたから、人生楽しいぞ! うぉー! と思ってましたけど……。夢がだんだん潰れていくので、そこで現実を見るようになる。人間関係もいろいろあったし……。良い言葉で言うと切磋琢磨だけど、そうするうちに、うーん……自分に自信がなくなっていったんですけどね(苦笑)」

自分は夢のために生きているんだと語ったかと思うと、次の瞬間、急にオドオドし出すのも、テレビで見るコウメ太夫、その人そのものだと感じる。話し出すとめっぽう自信なさげなトークになっていく控えめな人柄と破天荒な芸風との大きなギャップも、掴みどころのないコウメ太夫の自然体の魅力だ。

「なんでこうなんですかね……わっかんないんだよなぁ。自分では意識してないんですもん。いったいいつから、どこからオドオドし始めたのか。まぁネガティブ志向は元からあるんですけどね。そういえば、平井さんからも散々、お前はしゃべりがダメだダメだと言われてきて……言われすぎて、しゃべることにひとつも自信がなくなったっていうのもあるのかな(笑)。

ここで絶対笑かさなきゃいけないとなると、しゃべれなくなっちゃうんですね。だからこういうインタビューは、別に笑わせなくても良いんなら、意外と普通にしゃべれるんですよ。ただまぁ、今までずっとこういう感じで来てるんで、いつスベっても構わないというメンタルは……若干ある(苦笑)。なんだろな、諦めてるのかな?」

そして今は、「『エンタ』で一発当たって、そこから落ちて、またちょろっと仕事が入ってきて、ホッとして、あー良かった、よっしゃ、このままつづけ! って感じです(笑)」と、自らの現状を分析するコウメ太夫。

昨年末の『ロンドンハーツ』では、FUJIWARAの“フジモン”こと藤本敏史が白塗りをしてコウメ太夫のネタを真似する企画「クリスマスだよ!太夫フェス」が話題に。また、白塗りしたジャニーズのアイドルとモノマネで共演したり、NHKのトークドキュメンタリー番組『SWITCHインタビュー 達人達』にて、ホラー映画『呪怨』などで知られる世界的映画監督・清水崇が、今一番話をしたい人にコウメ太夫を指名したりと、さらなるブレイクポイントを迎えている。

そんなコウメ太夫本人に、「なぜ今、業界からのニーズが再び高まっているのか?」と尋ねると、「なんだろう……いやなんだろう、これは難しいな……。正直、何を求められているとかは意識していないので……ほんとわかんないですよね」と、相変わらずの返事が返ってくる。15年間、変わらない。スベっても、オドオドしていても、その様子すら面白いという、生真面目で粘っこい芸風は一途につづいている。

大物芸人からのアドバイスでネタが変化

だがここ数年、ネタの内容そのものには変化があった。以前は、例えば「肉まんを食べていたら~、あんパンでした~、チックショー!!」といった、若干シュールではあるけれども、笑いのポイントはここだろうと意味の通じるネタが主だった。しかし今は、彼が毎日投稿をつづけているTwitter「#まいにちチクショー」にもあるように、「美男美女かと思ったら~、ホッキ貝でした~。チクショー!!」といったような、頭で理解することを超越した、文字通りシュールなネタへと変わった。もちろん、その意味不明さが面白いのだが、超シュールにネタを振り切ったきっかけには、ある大物芸人のアドバイスがあった。

「くりぃむしちゅーの有田(哲平)さんが、意味のわからないネタをやったほうが良いよ、と言ってくれたんです。2年ほど前、『24時間テレビ』内で放映された『しゃべくり007』に出させてもらったときの帰り際でした。言われたときは、『そういうもんかな?』と思ったんですけど、有田さんは本当にお笑いが大好きで、全然売れてない芸人や若手芸人まで、どうしてそんなに知ってるの? とビックリするくらい、たくさんの芸人を見てきている。その有田さんが言うなら、やってみなきゃダメだと思いました。昔のネタは、まあ変なネタだけど、わかんなくはない。最近のは、やってる僕のほうも、意味わかんないですね(笑)」

そのアドバイスを守りつづけた結果、有田哲平がMCを務める番組にも、よく呼ばれるようになった。

「『全力!脱力タイムズ』ですとかね。その打ち上げの席で有田さんから、『意味がわかんないネタをやってなかったら、絶対番組には呼ばなかったよ、コウメ』と言われましたから。僕の一番面白いところはそこだと、有田さんは思ってくれたんでしょうね。言うこと聞いといて良かった! あぶねー! と(笑)」

それでも、出ていく場所によっては、昔の“意味が一応通じるネタ”もまだ披露する機会があると言う。

「今、浅草東洋館にも出させてもらっていますけど、浅草の寄席は若いお客さんが本当にいないんです。そこでテレビと同じ意味不明なネタをやっても、おじちゃんおばちゃんはキョトンとしちゃう。東洋館を仕切っているナイツさんには、意味のわからないネタをやってほしいと言われるんですけど……誰も笑わないからさすがに僕も心が折れちゃって。いくら僕でも、全然ウケないのはしんどい。だから、東洋館に出るときだけは、昔ながらの営業ネタをやって笑ってもらってます。

あと気をつけてるのは、有田さんの『脱力タイムズ』は、常に最新のものを求めてるので、絶対におろしたての新ネタを持っていきます。いつ、どんなネタをやったかわかるように、ノートにつけておいて、以前と絶対に被らないようにしてます」

手の甲のカンペはとにかく緊張しているから

フリがあってオチがある面白いネタを考えるのも大変だが、あえて意味のわからない言葉を連ねるネタを作るのも、それはそれで難しい作業だろう。Twitterの「#まいにちチクショー」もしかり、どうやって彼は“シュール”を体現しているのだろうか。

「じっくりは考えないですね。ふわーっと……電車に乗ってるときとか、家にいるときとかに。1秒、2秒でできるものでもないですけど、毎日、そんなに時間をかけないで作っちゃいますね。それを紙に印刷して溜めてます。

もちろん、意味がわからないようにすることは意識しますけど、自分のなかからワードが出てこなかったら、ニュースとかで聞く言葉から連想して、意味をわからなくしちゃったり。それを面白くするのは、大変っていうか……そうでもないっていうか……何て言ったらいいんだろう(苦笑)。こんな感じだと笑ってもらえるかな? というのは考えますけど、いざやってみるとドン引きのヤツも結構ある。だから……ネタの作り方は自分じゃわかんないっちゃ、わかんないですかね(笑)」

コウメ太夫と言えば、手の甲にズラズラとカンペを書いておき、それをいちいち見ながらネタをする姿もおなじみだ。あれもネタのひとつとして、わざとやっているのだろうか。

「いや、あれは……ちゃんとカンペです。ステージに出て行く前もカンペばかり見てまして、ちゃんと言えるかな? ちゃんと言えるかな? と、とにかく緊張してるんですよね。テレビだと新しいネタをやることが多いし、出演が決まるのが収録の直前なんてこともある。だから、本当に僕の脳みそでは覚えられないんですよ。わざと笑ってもらいたいわけでもなくて、大丈夫かなぁ……といつも心配してる、そういう気持ちの表われですかね(笑)」

意識して狙ったシュールネタと“素”で発揮される天然っぷりが、計算を超えた笑いを生み出すコウメ太夫の芸。最近ではその類まれな存在感を求めて、役者としての出演オファーが来ることも増えたそうだ。昨年公開された亀梨和也主演映画『事故物件 恐い間取り』への出演も話題になった。現在、TOKYO MXにて放映中で、YouTubeでも公開されているコメディドラマ『劇的に沈黙』でも、SMAの芸人仲間であるアキラ100%と共演する。

「役者はやっぱりやりたいですよね。良い役者、味のある役者になるのも夢。憧れは、藤田まことさんとか、伊東四朗さんとか。お笑いから役者になって、ずっと芸能界で生き残って、気がついたら大物になっている……ああいうの、良いなぁと思いますね……って、今のままだと厳しいわ(笑)!

なので、最近、役者の仕事が入ってくるのがうれしいですね。もっと入ってこないかなと思う。んん?……どんな役をやりたいか? ですか? ひとつやりたいのは、凶暴な役。コウメ太夫らしくない感じの、例えば映画『アウトレイジ』に出てきそうなワルとか、サイコパス役とかやってみたいですね」

先日放映された『SWITCHインタビュー 達人達』でも、清水崇監督が自分の映画に出演してもらいたいと話すシーンがあった。

「いや~、どうなんですか? 清水監督って、あんなに怖い映画を撮っている人なのに、平気で冗談だか本気だかわからないオチャメなことを言う方なんですよね。あの番組でも、僕にオファーするなら、カンペを見る役とか言ってたじゃないですか。どうなんだろう、そんな役ほんとにあるのかな? カンペお化け(笑)?」

もちろん、本業の芸人としても、ますますの活躍を期待したい。

「コロナ禍では、営業に行けないのが、一番苦しいですよね。もちろんネタ番組には出たいし……。あとお笑いでやりたいことは……えーと……ちょっと待って、オレ、何したいんだ? 誰と共演したいんだろ?……えー、とにかく、仕事があればどこでも行きたいです。行かせてください!」

 
文・取材:阿部美香
撮影:塚原孝顕

関連サイト

コウメ太夫 公式HP
https://sma-owarai.com/s/beachv/artist/n023?ima=0953
 
Twitter
https://twitter.com/dayukoume
 
YouTube
コウメ太夫のちゃんちゃかチャンネル
https://www.youtube.com/user/shotti01
 
コウメ太夫のクックショーDIRT1600チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC0-bl1zmCvGuOvHvhbC7bbw
 
Instagram
https://www.instagram.com/koumedayu/

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