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芸人の笑像

野田ちゃん:明るい自虐ネタで笑いと元気を届ける根っからのポジティブ気質【後編】

2021.12.02

ソニー・ミュージックアーティスツ(以下、SMA)所属の芸人たちにスポットを当て、ロングインタビューにて彼らの“笑いの原点”を聞く連載「芸人の笑像」。第10回は、白スーツに蝶ネクタイで独特な動きを見せながら「野田ちゃんっすわ!」と、明るく自虐ネタを繰り広げる野田ちゃん。現在46歳、芸歴20年以上の彼が、2021年元旦に放映された『おもしろ荘』で注目されるまでの道のりと今の心境を語る。

後編では、ピン芸人として再スタートし、芸風を確立していく過程と、今後の活動への思いを明かす。

  • 野田ちゃん

    Noda-chan

    1975年8月31日生まれ。東京都出身。血液型AB型。身長173㎝。趣味:特になし。特技:特になし。

不満を抱えながらコンビをつづけるのは嫌だ

前編よりつづく)ネタの評価が上がるいっぽうで「コンビ仲は徐々に悪くなっていった」と、野田ちゃんは振り返る。

「結局、長い間いろんなものを溜め込んじゃってたせいなんですよ。僕は僕でコンビが今ひとつ売れないのを(井上)二郎さんのせいにしちゃってたし、二郎さんは二郎さんで、もともと誰かと協力してやるのが苦手なタイプ。特に僕がネタを書くようになってからは面白くなかったんでしょうね。さらに非協力的になっていった。僕がこうしてくれということを覚えてこないとか、ネタ合わせにもバイトを優先して来ないとか。それで僕がイライラして、人間的にも二郎さんのことを前ほど好きになれなくなって……。僕が結構いろんなことを我慢しちゃうタイプだったのもいけなかった。本当は途中で言いたいことをハッキリ言い合えれば良かったんですけどね」

そんな悪循環から、2018年、チャーミングは解散する。言い出したのは野田ちゃんだ。

「2017年には『M-1グランプリ』も準々決勝まで行けるようになってたけど……。そのとき思ったんですよ。売れたい売れたいでつづけて来たけど、このまま調子づいてチャーミングが売れてしまったら、一生、二郎さんに不満を抱えながらコンビをつづけていかなきゃいけなくなる。それは嫌だと気付いて、やっと答えが出せたんです。僕らは、お笑いの方向性は一緒だったけど、性格の不一致で別れた。よくバンドマンが、“音楽の方向性の違いで解散”なんて言いますけど、チャーミングはその逆。むしろ夫婦の離婚に近いかな(笑)」

その解散劇で、野田ちゃんがとても印象に残った出来事があったという。「このままじゃ二郎さんと一緒にはやっていけない」。そう井上に告げたとき、彼はこんなことを野田ちゃんに言い放ったそうだ。

「『そっか。お前の才能を俺が独り占めしてちゃだめだな。解放するときが来たんだ、ありがとな!』みたいな、すごいカッコ良い言い方をしたんですよ。二郎さんは、コンビ活動の途中から“チャーミングじろう”の名前でマンガの連載を始めて、それが単行本(『芸人生活』)になったり、ハリウッドザコシショウが『R-1グランプリ』を獲ったときに、シショウとお母さんとの思い出をマンガに描いたのが話題になったり、マンガにすごく力を入れていた。

で、僕、思ったんですよね。このときのカッコ良い台詞も、二郎さんがいつかきっと良い話としてマンガにしてくれるんじゃないかって(笑)。でも僕が有名じゃないと、読むほうもつまらないじゃないですか。だから、その解散マンガが世に出たときが、僕が本当に売れたときだと思う。早く読みたいので頑張らなきゃって思ってます」

『ピンになった。さぁ、こっからだぞ!』

長年つづけたコンビの評価が上り調子になったところでの突然の解散、という大事件を経て、ピン芸人・野田ちゃんは誕生した。このとき、既に43歳。「ここが潮時か?」と思ってもおかしくない年齢だが……。

「そうですよね。もう43歳だったんですけど……全然、まだまだやる気満々でしたね。『ピンになった。さぁ、こっからだぞ!』みたいな(笑)。そもそも、46歳になった今の今まで、僕、一度も芸人を辞めたいと思ったことがないんですよ。なんでですかね(笑)?」

あの温和な表情で、ニコニコと真っ直ぐに笑顔を向ける野田ちゃん。逆にこちらが聞きたい。なぜうまくいかない出来事があっても、いつ何時も落ち込まず、そんなにポジティブでいられるのか?

「そうなんですよね~。だから僕、自分が怖いんですよ。仕事がなかったり貧乏だったりしても、お笑いやってて辛いと思ったことがないんです。もしかしたら、中身が子どものまま成長が止まっちゃってるんじゃないかな? って(苦笑)」

この言葉からもわかる通り、彼の性格は、自虐ネタをとことん明るくポジティブな笑いに変える芸風そのままだ。「野田ちゃんっすわ! 何があっても落ち込まないっすわ!」という台詞が聞こえてきそうだ。

「だから、ポジティブっていうこと自体が、よくわからないんですね(笑)。別に無理に前向きなことを言っているわけでもないんで。そういえば、『R-1グランプリ2021』が、去年の予選直前に、急に芸歴10年以内の人しか参加できないって発表されたじゃないですか。僕、その前の年にいきなり準決勝に行けてたから、次は絶対優勝するつもりで準備してたんです。でも突然出られなくなっちゃった。それで、その発表があった日、野田は相当落ち込んでるだろうと、だーりんずの小田(祐一郎)さんが励ますつもりで、お酒に誘ってくれたんですよ。でも、僕は落ち込むどころか、今後はこういうことをしようと思う、ああいうこともやりたい、みたいな話をしてたんですよね。そうしたら小田さんがビックリしちゃって。『俺はなんのためにお前を誘ったんだ!』と、怒られちゃいました(笑)」

やはりあのネタは天性のものだったのだ。それにしても、白スーツで自虐ネタを語るという脳天気なスタイルは、どこから生まれたのだろうか。

「ピンになった最初は、もっと地に足のついたネタでひとりコントをやってたんですよ。そこそこのウケを狙える感じの。でも内心は今のような漫談のほうがやりたくて、ライブでもやってみたりしたんですが……全然ウケない。そのときは衣装が黒っぽい普通のスーツだったから、それで自虐ネタをやると見た目がちょっと怖いし、バカっぽさが足りないということで、仲間のみんなに相談したら、白スーツが良い、もっとバカみたいなしゃべり方にしようとか助言をもらって。そこからだんだん笑える感じになっていったんです。ひとりコントと漫談で迷ってたときも、シショウや小田さんが、白スーツで漫談をやったほうが絶対良いと言ってくれましたしね」

さらに野田ちゃんのネタを個性的にしているのが、手をポケットに入れながら、しゃべるたびに屈伸運動をするという謎のスクワットスタイルだ。

「屈伸運動は、ヒロ・オクムラという芸人のアイデアです。僕は普段から、しゃべるときに身体が前後に揺れちゃう癖があるんですね。そうしたらヒロ・オクムラが『野田さん、普段からああなるんだったら、もっと大げさにやったほうが良いですよ』って言うんです。しかも、手もヘンに動いちゃうから、見てて気になる、と。だからポッケに入れたんですよ。自分がしゃべるときの落ち着きのない癖を、もっともっと大げさにしたんです。よく、ずっと屈伸しながらしゃべるのは疲れないかと聞かれるんですけど、これがね、全然疲れないんですよ。水道メーターの検針で、23年、立ったりしゃがんだりを1日200軒くらいやってると、足腰が強くなるもんですね(笑)」

目の前のお客さんを笑わせたい

今年1月に放映された『ぐるナイ「おもしろ荘」お笑い第7世代NEXTスター発掘スペシャル』で注目されて以降、活躍の場も広がった野田ちゃん。最近はネタ番組以外の番組にも呼ばれることが少しずつ増え、自分自身でも手応えを感じつつあると言う。なかでもうれしかった出来事は、今年2月、『R-1グランプリ』の出場資格を失った芸歴11年以上のピン芸人日本一決定戦『Be-1グランプリ』で見事、優勝したことだ。

「『おもしろ荘』に出たときも親は喜んでくれたんですけど、『Be-1グランプリ』で優勝したときに2社のスポーツ新聞に載って、新聞に載るなんてすごいと、さらに喜んでくれて。僕は弟がふたりいて、そのうちひとりが神戸にいるんですけど、会社の上司に『お前の兄ちゃんじゃないか、これ』って言われたって、喜んで教えてくれました」

自分を無理に奮い立たせるわけではなく、根っからのポジティブ気質で、ネガティブになりがちな今の時代に癒し系の笑いを提供する野田ちゃん。彼の頭のなかも、“次はこれをやりたい、こうなりたい”という前向きな思いで詰まっている。

「やりたいことはいろいろあるんです。今は“野田ちゃんっすわ!”というYouTubeチャンネルをやったりもしてるんですけど、やっぱり僕はテレビのお笑いで育ってきたから、大好きなテレビにはもっと出たいです。『おもしろ荘』でナイナイ(ナインティナイン)さんにお会いできたので、次は『ぐるナイ』本編に出たいですね」

もちろん客前でネタを披露する機会も今まで以上に増やしたい、と言う。コロナ禍で休止していた事務所ライブ“SMAトライアウトライブ(笑)”も11月から復活した。

「コロナ禍でもネタは作りつづけていたので、まだ人前で披露してないネタはたくさんあるんです。ぜひ事務所ライブで試していきたいですね。やっぱり芸人は、お客さんの前でネタを見せてなんぼなので、目の前のお客さんを笑わせたい。単独ライブも毎年やりたいし、今年やす子ちゃんと一緒にやったような、コラボライブもやりたいです」

そしてもうひとつ、今の野田ちゃんには新しい夢もできた。

「この間、番組で綾小路きみまろさんとご一緒したんです。きみまろさんはブレイクが53歳。僕が46歳だと言ったら、『きみは、まだ早いよ』って言われました(笑)。きみまろさんは、全国にファンがたくさんいて、1ステージ60分とかの漫談で爆笑を取られる。僕もそういう長丁場のステージにも挑戦してみたいし、営業とかでも全国を回ってみたいですね。番組のなかで『僕をきみまろさんの“爆笑スーパーライブ”に出してください!』とお願いしたら、前座で呼んでくれるとおっしゃってくれたんですよ。それが叶う日がくるのが、すごく楽しみですね!」

 

文・取材:阿部美香
撮影:塚原孝顕
撮影協力:東急プラザ蒲田 屋上「かまたえん」(衣装カット)

関連サイト

公式サイト
https://sma-owarai.com/s/beachv/artist/n044?ima=0142
 
公式Twitter
https://twitter.com/nodakazuyasu
 
公式YouTubeチャンネル
「野田ちゃんっすわ!」
https://www.youtube.com/channel/UC9GKiB0MEUwBaHADiinshiQ

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