騎手を目指す少年少女の群像劇を描く『群青のファンファーレ』――作り手たちが作品に込めた熱量【前編】
2022.05.27
アニプレックス
「IPビジネス」の源泉となるオリジナルキャラクターや作品を生み出そうとする人たちに焦点を当てる連載企画「IPを生み出すレシピ」。
今回フィーチャーするのは、12月7日にローンチされた完全無料のスマートフォンアプリ『タロット男子 ~22人の見習い占い師~』(以下、『タロット男子』)。ソニーミュージックグループの新規IP創発プロジェクトに参画するアニプレックス(以下、ANX)と、ソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)の共同制作によって生まれた“イケメンキャラクター×占い”をテーマにした占いアプリだ。
企画の立案からクリエイターの発掘方法まで、あえて過去に頼らない手法を選んだプロジェクトメンバーたち。そこに込められた“新規IP創発”にかける思いと、完全無料のアプリであるがゆえに、今度どのようなビジネス展開を描いているのかについて、企画開発に携わった4人のキーパーソンに話を聞いた。
後編では、担当者たちの『タロット男子』への愛着と、ビジネスの具体的な展望について語ってもらった。
目次
松永友喜子
Matsunaga Yukiko
アニプレックス
泉ありか
Izumi Arika
アニプレックス
吉留明子
Yoshidome Akiko
ソニー・クリエイティブプロダクツ
早川洸子
Hayakawa Hiroko
ソニー・クリエイティブプロダクツ
――(前編からつづく)22人の個性的なキャラクターたちに素晴らしい声で命を吹き込む声優さんたちの演技も、アニメファン、声優ファンの方には楽しみなポイントですね。キャスティングはどう決めていかれましたか?
松永:先ほど白皙さんとの出会いのエピソードでも名前が挙がった、制作の小田桐(成美)さんを中心に話し合い、22人とキャラクターが多いので、ボイスを聞いてキャラクター性にあった人をキャスティングしています。結果、新人からベテランまで個性豊かな声優陣が揃いましたね。その上で、このキャラクターはぜひこの声優さんにお願いしたい! というアイデアが浮かんだものについては、その方にお願いしています。
――『タロット男子』公式YouTube番組にも出演されていた千葉翔也さん、梅原裕一郎さんを筆頭に、村瀬歩さん、鳥海浩輔さん、小林裕介さん、櫻井孝宏さんなどが出演されていますね。
松永:千葉翔也さんは、もともとタロット占いを勉強していて、占うのも占ってもらうのもお好きだという情報を得ていたので、これはお願いするしかない! と話していて、梅原さんもスタッフ内で早い段階からお願いしたいという声が挙がっていました。
村瀬さん、鳥海さん、小林さん、櫻井さんも、各スタッフがこのキャラは、絶対この人が良いという強い希望があって、それぞれ奇跡的にスケジュールのパズルがハマりオファーを受けていただけたという状況です。
泉:そのほかのキャスティングについても、『タロット男子』は多くの方に興味を持ってもらいたいコンテンツなので、小越勇輝さんのような2.5次元の舞台でも活躍されている方や、著名なベテラン声優の方まで、皆さんの期待に応えられるキャスティングになっていると思います。
松永:新人時代にキャスティングさせていただいた方が、どんどん名優になっていく例も多いので、そこも期待したいです。
早川:今回は、コロナ禍でのレコーディングだったので、スタジオに入れる人数も制限されていたので、私はリモートで参加していたんですが、新人の皆さんは特に、担当キャラクターと同じ雰囲気を持っている方が多いなと感じました。
吉留:実際にキャラクターが完成して話す場面も、皆さん声がぴったりで。
泉:事前にサンプルボイスをいただいているので、キャラクターとの親和性が高いのはある程度狙い通りではあるんですが、収録当日のディレクションにも皆さんすぐに対応してくだるので、キャラクターとの相性がますます上がって、キャスティングは総じてすごく良かったと思います。
――とは言え22人分の収録は、物理的にも大変だったのではないですか?
早川:確かにそうでしたね(苦笑)。
泉:アニメやストーリー性の高いゲームなどとは違って、『タロット男子』では台詞の分量はそう多くはないのですが、朝から晩まで収録していましたね。音響会社の方々には、できるだけ数日間で録り切るようにスケジューリングをしていただきました。
松永:アプリ内では、キャラクターの絵を触ると何かをしゃべってくれる機能もありますので、ユーザーの皆さんもいろいろ試していただけたらと思います。
――ちなみに、皆さんの“推し”のキャラクターは誰ですか?
泉:私は「悪魔」のカードがモチーフのアイン・バフォメット(CV:梅原裕一郎)です。もともと悪魔キャラが好きなので(笑)。ボイスは梅原裕一郎さんが担当していますが、普段の低音ボイスとはまた違う声色で演じていただいているので、ファンの方はそこにも注目してください。
アイン・バフォメット(CV:梅原裕一郎)カード:悪魔
松永:私は「運命の輪」のロット・シックザール(CV:坂泰斗)がおすすめですね。一番元気で、良い意味でアホな子なんですけど、運がすごく悪いときのおまじないボイスが、めちゃくちゃ面白くて可愛いのでぜひ聞いてほしいです。
ロット・シックザール(CV:坂泰斗)カード:運命の輪
吉留:私は「恋人」のカードのハイル・ラヴーシュカ(CV:川島零士)。常にアダムとイヴというお人形を抱いているんですが、その癖の強さに惹かれます。
泉:ハイルは、息を吐くように甘い言葉を言ってくれる色男タイプです(笑)。
ハイル・ラヴーシュカ(CV:川島零士)カード:恋人
吉留:でも人形に話しかけるときは、赤ちゃんに話すような感じになるんですよ。お人形同士で話をさせたりとか、ちょっとアブナイ感じも楽しい(笑)。左右の目の色が異なるオッドアイのアイデアだったり、お人形の細かいデザインなどは白皙さんからの発案で、とても麗しく仕上げてくださいました。
――タロット占いにも造詣の深い早川さんはいかがですか?
ルミナス・トリステッツァ(CV:村瀬歩)カード:女教皇
早川:私は、白皙さんのキャラデザインが出来上がってから「女教皇」のルミナス・トリステッツァ(CV:村瀬歩)が可愛くて、とても気になっています。『タロット男子』に登場するのは全員男子という設定なんですけど、なかには女性の意味を表わすカードがあるんですね。そこで白皙さんが中性的なルックスをすごく素敵に描いてくださって。
松永:キャラクターはひとりずつ、毎日占いの言葉が違うので、ぜひいろんなキャラを選んで愛でていただきたいですね。
泉:ace先生が書いてくださった占い原稿を元に、ライターの方々がキャラクターの口調にリライトしてくださっているので、とても楽しいと思います。
――占いで声優さんのボイスが聞けるということですが、本アプリのメインコンテンツとなる占いも本格的だと伺っています。キャラクター設定のお話しでもお名前が出たプロの占い師、ace先生が占いをされているんですね。
松永:はい。ace先生は、いろいろな占いにご協力されている実績、経験ともに豊富な占いの先生です。コンテンツ自体、占いがメインテーマなので、企画初期の段階からace先生には入っていただいていて。実は、『タロット男子 ~22人の見習い占い師~』というアプリのフルタイトルもそうですし、作品の情報解禁日などの大事なことは、ace先生の占いでアドバイスをいただいています。
――アプリ内では、1日1回できる「今日の占い」のほかに、「ミニ占い」やキャラクターたちと対戦するミニゲームでポイントを貯めて、さまざまな占いやお楽しみコンテンツが楽しめると伺いました。
早川:はい。基本的に「今日の占い」や「明日の占い」などは、ご自身の生年月日を最初に入力していただくことで、その日の運勢や恋愛運、気を付けるべきことなどをチェックできます。そしてアプリを使い込んでいただくと、タロット占いでより詳細なアドバイスを受けることができるようになります。占いだけでなく、カードゲームなども収録されていますので、飽きずに楽しんでいただけると思います。
泉:ユーザーの方が選んだキャラクターとの親密度が上がると、いつもと違ったキャラクターの一面が見られるようになるという、お楽しみ要素も用意しています。
松永:そこで『タロット男子』が最もこだわったのが、全てが完全無料で楽しめるということですね。
――アプリ内課金といわれる要素もないのでしょうか?
松永:はい。あとからオープンする要素も全て、プレイしていただいて貯まるポイントや広告を観ていただくことで得られます。
早川:占いをアプリで提供するからには、やはりユーザーの方の生活に溶け込んで、毎日触っていただけるようなものにしたかったんです。加えて、若年層も含めた、幅広い世代の方々に安心して遊んでいただきたかったので、課金というビジネスモデルは選択しませんでした。
松永:ただ、完全無料だからといって、占いをおざなりにしているわけでは決してないです。プレイしていただけるとわかりますが、これだけの占いの量とコンテンツを用意していたら、無料で提供するアプリはあまりないと思います。ここも私たちは「新規IP創発プロジェクト」のチャレンジだと捉えていて。
まずは、ユーザーの方にプレイしてもらって『タロット男子』を楽しんでいただく。そして、“推し”のキャラクターが決まってファンになっていただけたら、その後の展開も楽しんでもらえるのではないかと考えています。そして、そこにはビジネスチャンスもあると考えました。
――何か具体的に予定されていることはありますか?
早川:ANXとSCPの共同開発なので、まずはキャラクターを用いたグッズ展開はやっていきたいですね。特に、リアルなタロットカードは実現したいアイテムです。アプリ内にも出てきますが、今回、白皙さんにタロットカードのデザインもしていただいていて、それがとても可愛らしいんです。今までタロットに馴染みのなかった方が、ちょっと占いでもやってみようかな? と思っていただけるようなグッズを作りたいです。
松永:ラッキーアイテム的に身に付けてもらえるお守りのようなグッズも考えられますし、『タロット男子』の占いカフェなど、リアルな展開も面白そう。あとはタロット占いの解説書兼設定資料集みたいな書籍にもトライしてみたいですね。
早川:展開が拡大していけば、有料の追加コンテンツをご提供することも考えられます。そのためにも、まずは今の段階でユーザーの方々のファンエンゲージメントをしっかり高めていけるように頑張ります。
――では最後に、『タロット男子』を楽しんでいる方、これから楽しまれる方にメッセージをお願いします。
泉:私はキャラクター開発に関わってきましたので、まずは白皙さんが描く22人のキャラクターをじっくり吟味してもらって、“推し”を決めてもらいたいですね。どのキャラクターも本当に魅力的だしキャッチー。白皙さんの絵には、人の心を掴む魅力があると私は感じていて、それがアプリでもきちんと反映できていると思います。占いも本格的ですし、ゲームやキャラクターと触れ合えるコーナーもありますので、末永く“タロット男子たち”を愛してあげてください!
松永:登場する22人のキャラクターが、皆さんの日常に寄り添い、癒しを与えてくれる存在になってくれたら良いなと思って制作してきました。また、そう感じてもらえるようにace先生、白皙さんをはじめ、すべてのスタッフが一丸となって、丁寧にキャラクターの個性を作り上げられたと思っています。
皆さんの生活を励まして、ちょっと豊かにする毎日の占いとともに、ぜひ楽しんでみてください。そして、朝、このアプリを立ち上げて「今日も頑張るぞ!」という活力にしていただけたら最高ですね。
吉留:松永さんも挙げられた通り、『タロット男子』の根本は“癒し”がテーマです。毎日の占いをイケメンのボイスでカジュアルに楽しんでいただけたら、個人的には一番うれしいですし、おすすめでもあります。22人の個性的なキャラクターが揃っているので、ひとりでもふたりでも“推し”との触れ合いを、じっくり味わってください。
早川:カジュアルに占いを楽しんでいただくというのは、占い担当としては最も願っていることです。朝のワイドショーの占いコーナーを見るような感覚で、『タロット男子』が朝の通学、通勤のちょっとしたルーティーンにしていただける、身近な存在でありたいですね。落ち込むときも、占い見習いのタロット男子たちが寄り添ってくれる。そんなアプリを目指しましたので、日常のなかにちょっと取り入れてもらえると良いなと思います。
文・取材:阿部美香
撮影:干川修
©2021 Tarodan
ジャンル:占い育成アプリ
対応OS:iOS/Android
価格:完全無料
ダウンロードはこちら
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『タロット男子 ~22人の見習い占い師~』公式サイト
https://tarodan.com/
『タロット男子 ~22人の見習い占い師~』公式Twitterアカウント
https://twitter.com/tarotdanshi
アニプレックス YouTube チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC14QT5j2nQI8lKBCGtrrBQA
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