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連載Cocotame Series

ミュージアム~アートとエンタメが交差する場所

『名探偵コナン ライブ・ミュージアム ~ハロウィンの贈り物~』が提供する新たなミュージアム体験とは?【後編】

2022.03.04

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連載企画「ミュージアム ~アートとエンタメが交差する場所」では、アーティストや作品の魅力を最大限に演出し、観る者の心に何かを訴えかける空間を創り出す人々にスポットを当てる。

今回は、6月5日(日)まで「六本木ミュージアム」で開催中の『名探偵コナン ライブ・ミュージアム ~ハロウィンの贈り物~』(以下、名探偵コナン ライブ・ミュージアム)をクローズアップ。“ライブ・ミュージアム”と銘打っている通り、この企画ではただ展示を眺めるだけでは終わらない。あたかも『名探偵コナン』の登場人物のひとりになったかのように、臨場感あふれる謎解きやショーを楽しむことができる。細部までこだわった“ライブ・ミュージアム”の全容、そしてこれからのミュージアムのあり方とは? 同イベントを仕掛けた、ソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)の担当者に話を聞いた。

後編では、劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』と連動する取り組みの内容と、ミュージアムビジネスの未来への展望を語ってもらった。

  • 吉岡達哉

    Yoshioka Tatsuya

    ソニー・クリエイティブプロダクツ

映画とミュージアム、どちらからでも楽しめる

──(前編(新しいタブで開く)からつづく)『名探偵コナン』のファン層は、20代女性層とファミリー層が多いように感じられますが、今回の『名探偵コナン ライブ・ミュージアム ~ハロウィンの贈り物~』でも、そういった方々をターゲットにしているのでしょうか。

そうですね。挙げられたファン層の方々に楽しんでいただける仕掛けがたくさんありますが、『名探偵コナン』ファンなら誰でも楽しめるようにもなっているので、ぜひ体験していただきたいですね。

──劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』につながるストーリーについてもお聞きします。全体の構成はどのように作っていったのでしょう。

まず謎解きを入れたい、アニメや原作ゆかりの場所を再現したい、ショーを入れたい、映画と連動させたいなど、いろいろな要素を考えた上で私がコンセプトを作り、シナリオライターをはじめ、制作チームとストーリーを練りあげていきました。その上で作品の関係者の方たちに監修していただき、『名探偵コナン』の作品らしさを担保しています。

──劇場版とのつながりについて、もう少し教えてください。

ネタバレになってしまうので、劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の前日譚のお話であることしか言えなくて……。謎解きエリアでは、キャラクターに関する展示もあるのですが、そちらは劇場版の主要キャラクターの人となりや関係性を紹介するものになっています。

映画を見てから『名探偵コナン ライブ・ミュージアム』を体験すれば「あ、そういうことか」と理解していただけるでしょうし、『名探偵コナン ライブ・ミュージアム』で映画のネタバレになるような内容はないので、こちらを先に体験してから映画を見ても楽しんでいただけます。六本木には映画館もありますし、今後、何か連動したプロモーションも考えていきたいですね。

アフターコロナを見据え、強度の高い体験を提供

──吉岡さんたちが、この「六本木ミュージアム」で手掛けられているミュージアムビジネスでは、リピーターを増やすことも重要です。その点についてはどのように考えていらっしゃいますか。

謎解きに関しては、何度も体験するものではないかもしれませんが、それだけがメインのコンテンツではないので2回、3回と足を運んでいただきたいですね。この『名探偵コナン ライブ・ミュージアム』の魅力は、『名探偵コナン』の登場人物のひとりになれること。謎解きの答えがわかっていても、街並みの写真を撮ったり、エンディングのショーを楽しんでいただけたらと考えています。

──コロナ禍においては、会場に足を運んでいただくミュージアムビジネスは、状況によって厳しいときもあると思います。SCPではこうした難しい状況に、どのように対応していこうとされていますか。

おっしゃる通り、コロナ禍におけるミュージアムビジネスの難しさを感じています。こうした状況を打開するひとつの方向性は、ともかく体験のクオリティを上げることだと考えています。今は小手先だけで内容が薄い企画は通用しません。実際に足を運んでいただくお客様の期待値をどれだけ上回れるか、それこそがミュージアムビジネスを活性化させるポイントだと思います。

今回の『名探偵コナン ライブ・ミュージアム』は、我々が今までのミュージアムビジネスで培った経験をもとに、体験の部分をさらにアップデートして、要素を詰め込みました。そして、これだけの体験に対して、一般的な展覧会と同様に価格を2,000円(前売りチケット料金)に抑えています。この価格設定でこれだけの体験をご提供したら、どれくらいファンの方々が喜んでいただけるのか、どれだけ多くの方が足を運んでくださるのか。今回は、その点にも注目していきたいと考えています。

加えて、一般的な展覧会でも何をプラスすればお客様に喜んでいただけるのか、今までにない見せ方ができるのか。この点は『名探偵コナン ライブ・ミュージアム』とは別軸でチャレンジしていきたいと考えています。いろいろな体験軸を生み出しつつ、どの分野でもお客様の期待値を超えるものを提供したい。「六本木ミュージアム」では、そのための仕込みを既に始めています。

──吉岡さんが考える、ミュージアムビジネスの未来についてお聞かせください。

ソニーミュージックグループには、Zeppのようなライブホールもありますし、これもミュージアムと同じベニュービジネスですが、Zeppでは日によって違うライブや興行が行なわれますよね。ミュージアムのように、ひとつの企画を中長期にわたって開催し、多くのお客様に来ていただくビジネスとはまた違うベクトルになります。

その上で、現状ソニーミュージックグループには、こうしたミュージアムビジネスを専門で扱うのはSCPの我々のチームだけになります。長くミュージアムをつづけていくためにも、「この美術館はこういう場所なんだ」というイメージを作り、そこにコンテンツを投入して運営するチームを拡大していきたいと思っています。今はコロナ禍で、難しい状況と向き合わなければならないときもありますが、夜明けは必ず来るはず。そのとき、勝てるのは強度の高い体験を提供している施設だと思うんです。

そのためにも、今、提供できる最高のものを皆さんに楽しんでいただきたいと考えています。そして、現時点での選択としては、“体験”をキーワードに全力を尽くしていきたいと考えています。

──ライブ・ミュージアムのような謎解きあり、展示あり、ショーありのイベントを美術館で開催するというのも面白い体験ですね。普段美術館に足を運ばない人が、ミュージアムに触れるきっかけになると感じました。

私自身、コロナ禍で行ける場所、遊べる場所が限定されてしまうからこそ、身近に選択肢が増えたら良いなと思っています。そこまでお金もかからず気軽に行ける場所がもっとあれば、日常の楽しみも増えるのではないでしょうか。「六本木ミュージアム」がその選択肢のひとつになれたら良いなと思っています。

文・取材:野本由起
撮影:篠田麦也

©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナン ライブ・ミュージアム ~ハロウィンの贈り物~』

開催期間:2022年2月11日(金・祝)~6月5日(日)
開館時間:10:00~18:00(土日祝/GW期間は20:00まで)/会期中無休
会場:六本木ミュージアム
入館料:一般・大学生:2,000円(前売)/2,200円(当日)
中学・高校生:1,200円(前売)/1,400円(当日)
小学生:600円(前売)/800円(当日)
※すべて税込
※小学生未満は無料、障がい者手帳をお持ちの方は各半額となります。
 
チケットは混雑緩和のため日時指定方式にて販売します。
前売券、当日券はイープラスにて購入できます。
また、館内の滞留人数に余裕がある場合は、ミュージアムの窓口でも当日券を販売します。
 
チケット購入はこちら(新しいタブで開く)

関連サイト

『名探偵コナン ライブ・ミュージアム ハロウィンの贈り物』公式サイト
https://conan-livemuseum.com/(新しいタブで開く)
 
『名探偵コナン ライブ・ミュージアム ハロウィンの贈り物』公式Twitter
https://twitter.com/conan_museum(新しいタブで開く)
 
劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』公式サイト
https://www.conan-movie.jp/(新しいタブで開く)

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