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連載Cocotame Series

Like It!~これが私の好きなもの

武田梨奈:人生に影響を与えた映画は80年代の作品【後編】

2022.05.13

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愛してやまないモノ、ハマっているコトの魅力を存分に語ってもらう連載「Like It!~これが私の好きなもの」。

今回は、80年代映画を愛してやまない武田梨奈が登場。幼少期から親しんできたという作品たちについて聞く。ドラマ『ワカコ酒』でのキュートなイメージとはまた違った自身の空手家としてのルーツがそこにはあった。

後編では、80年代映画の主題歌についてや、アクション映画への想いを語る。

武田梨奈 Takeda Rina

1991年6月15日生まれ。神奈川県出身。2009年5月『ハイキック・ガール!』で映画デビュー。2013年、第1回ジャパンアクションアワードでベストアクション女優最優秀賞を受賞。2015年より主演している連続ドラマ『ワカコ酒』で人気を博し、シーズン6が放送中。現在、ドラマ『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』出演中。出演映画『Sexual Drive』公開中。日米印合作映画『Shambhala-シャンバラ-』が公開待機中。

朝の目覚まし音は『ポリス・ストーリー』のテーマ

──(前編からつづく)武田さんは、1980年代の映画音楽も好きなんですよね。

はい、私は映画を見て好きになった音楽がたくさんあります。逆に、音楽を知っていてそのあと映画を見るということも80年代映画には多いですね。『ネバーエンディング・ストーリー』や『ゴーストバスターズ』(ともに1984年)も先に曲を知っていました。小さいときに父がよくカセットテープで流していて、「これはあの映画の主題歌なんだよ」って教えてもらったことが、映画を見るきっかけにもなっていたんです。

──特に気に入っている曲はありますか?

やっぱり一番は、シンディ・ローパーの「グーニーズはグッド・イナフ」ですね。もう自分のなかのテーマソングになってます。

Cyndi Lauper - The Goonies 'r' Good Enough

「グーニーズはグッド・イナフ」が主題歌になっている『グーニーズ』(1985年)の主人公たちは、ちょっとダサいとされてる若者たちなんですが、歌詞では、でもそれがかっこ良いじゃんと主張していて、素敵だなと思います。私もどちらかというと古くさい考え方の人間なので(笑)、今の時代はこうですと言われても、自分の信念は曲げたくないっていうところがいまだにあります。

──自分の信念を貫きたいタイプであると。

そうですね(笑)。先輩方が作ってきた作品の影響が強いので、アクション映画などで自分が携わるときは、そこを大切にして演じてます。例えば、今はCGなどの映像技術や、ワイヤーだったり、役者の肉体だけではできないことも作品のなかではできてしまう。映画は、俳優部だけではなく、撮影部やアクション部といった各部署の力があって、すべてのシーンは成り立ちますが、そこに甘えて頼りすぎてはいけないと思って、常に稽古を通して自分の体作りや表現を追求しています。

──過去の作品へのリスペクトを感じます。

ジャッキー・チェンさんやジェット・リーさんのように、“頭のてっぺんから足の先まで、引きで撮っても大丈夫なように演じる”という意識は、当時の作品から、一方的なポリシーでしかないんですが、勝手に受け継いでます(笑)。そうじゃないと自分に納得がいかないんですよね。ハマった映画に宿っている魂みたいなものを、精神に取り入れてるところはあります。なので、自分にとって大切な撮影や試合があるとき、気持ちが負けてしまいそうなときは、好きな映画の音楽を聴いて、いつもモチベーションを上げてます。ほんとに人生で助けられてます。

──今も空手の大会に出られてるんですか?

はい。今はコロナ禍でできてないんですが、空手の大会に出させていただいてます。試合のときは、いつも映画の音楽を聴いて気合いを入れてますね。

──特に気合が入るのはどんな曲ですか?

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年)のテーマや、『ロッキー』(1976年)のテーマソングですね。私はもともと、どん底にいた主人公が這い上がって栄光を勝ち取る、自分自身に打ち勝つという作品がすごく好きなので、そういう作品の曲を聴いて、私もモチベーションを上げています。『ポリス・ストーリー/香港国際警察』のテーマは朝の目覚まし音にしてます。あれを聴いてテンションがあがらない人はいないと思うんですよ。ケータイの着メロを自分で設定していた中学生時代から、あの曲を使ってます(笑)。

良い意味で“足りてない”アナログさが魅力

──先日、1980年代の映画主題歌を収録したCD『ナンバーワン80sムービー・ヒッツ<1980-1990>』が発売されましたが、まさに武田さんに直撃な楽曲ばかりですね。

『ナンバーワン80sムービー・ヒッツ 1980-1990』(発売中)

そうなんです。私は空手道場で教えることもあるんですが、若い子たちに「『ベスト・キッド』でああいうシーンあったでしょ?」って言いたくても、伝わらないんですよね。なので、どうしたら見てもらえるのかなってきっかけをいつも考えてるんです。そういうなかで、音楽から入ると映画を見るきっかけになるかなと思うんです。だから私はこのCDを、自分よりも若い世代の人たちにも聴いてほしいですね。そして、たくさんの方に映画を見てほしいです。

──1980年代の曲たちは、若い世代にも受け入れてもらえそうですか?

受け入れてもらえると私は思います。たぶん、今の若い世代の皆さんは目も耳も肥えてますよね。かっこ良いもの、美しいものがほんとに世の中にあふれてると思うんです。でも、そういった今のものとは違う、装飾のないシンプルなかっこ良さっていうのも、伝わると思っています。私は新作映画もよく劇場に見に行きますが、そのあと家に帰って昔の映画を見ると、また新鮮な気持ちで見られるんです。それこそ、今年、新作の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が公開された『ゴーストバスターズ』シリーズも、改めて第1作を見るとツッコミどころが満載なんですが、面白いんですよ。良い意味で“足りてない”、アナログさが魅力的なんです。それを知ってもらえたらなって思います。

『ゴーストバスターズ』
デジタル配信中
Blu-ray:2,619円(税込)/DVD :1,551円(税込)/4K ULTRA HD & ブルーレイセット:5,217円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©1984 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

──アナログの、整いすぎていない面白さはありますよね。少し話が脱線しますが、アナログで空手となると、『激突! 殺人拳』(1974年)など、千葉真一や志穂美悦子出演の作品を思い出します。

そこも、もう大好きですね。それこそ、千葉真一さん、倉田保昭さん、志穂美悦子さん、真田広之さんたちがアクション作品を撮ってたころが、私が邦画で一番リスペクトしてる時代なんです。CGがない時代のなかで、皆さん肉体だけで作品を成立させているのが刺激的です。

私は、2019年に韓国で行なわれたアクション映画祭の国際会議に日本代表で呼んでいただいたことがあるんです。そのときに「今、日本でアクションをやる人はいるけど、アクションスターがいないのはなぜですか?」って聞かれたんです。確かにそうなんですよ。千葉真一さんなどは、サニー千葉として世界からアクションスターとして評価されているじゃないですか。あの時代のアクションスターは、武道、マーシャルアーツを極めてる方だったんですよね。でも、その会議の場で、「今、新しいアクションンスターになれるのは君なんだから」って言っていただけたんです。

武田梨奈 Instagramより

──それはすごい言葉ですね。

うれしかったです。以前、千葉さん、倉田さんとご一緒させていただいたときも、やっぱりおふたりも同じようなことをおっしゃっていたんです。倉田さんに、「私は倉田さんたちが作ってきた武道映画をすごく尊敬していて、稽古をさせていただいてます」という話をしたら、倉田さんは「必ずオレたちがやってきた映画作りの時代がまたくるから、梨奈はそれをやめちゃダメだよ」って言っていただけたんです。その言葉がいまだに自分のなかにあって、日々稽古をつづけています。倉田保昭さんのお弟子さんに、十数年、稽古をしてもらっています。

──ドラゴン倉田保昭のイズムを引き継いで。

はい、ドラゴンの道を歩ませていただいてます(笑)。

あのロッキーの拳を握らせていただいた!

──アクション映画は世界で通用するジャンルですし、ハリウッド映画にも武道が登場することが多くなりましたよね。

それこそ、映画『ジョン・ウィック』シリーズとか、アジアのマーシャルアーツを取り入れてる映画がたくさんありますよね。

──主演のキアヌ・リーブス自身がカンフーやブラジリアン柔術を取り入れていたり、シリーズ第3弾『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年)には、インドネシアの格闘技アクション映画『ザ・レイド』(2011年)の俳優も出演していました。

そうなんです。そのアクション会議には『ザ・レイド』のヤヤン・ルヒアンさんも参加されてました。そこにいた、フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナムなどの方たちは、皆さんハリウッド映画に出演されていて、しかもマーシャルアーツを極めてる人たちなんです。昔、ハリウッドがカンフーを映画に取り入れたように、今はアジアの武道を取り入れている。そうした時代にもなってきていますし、私も空手を大事にしている人間として励みになります。そういった作品が日本でも作れたら良いですよね。

私が芸能のお仕事を始めたのは中学生のときだったんですが、高校時代に、「いつかオリンピック競技になるかもしれないので空手の推薦で大学に来ませんか?」というお話をいただいたことがありました。そのときに自分の進路を改めて考えたんですが、私は空手の選手として空手を広めるんじゃなくて、映画のなかから空手を世界中に広めたいなと思ったんです。

──そこが武田さんのベースなんですね。

例えば、ジャッキー・チェンさん、ブルース・リーさん、ジェット・リーさんの映画を見て私も武道をやってみたいと思ったように、私の姿を見て子供たちが武道を始めてくれたらなと思うんです。そうやって、空手が世界中に広まれば良いなと思ってます。

──今後、映画で演じてみたいという役はありますか?

ずっと憧れてるのは、『007』シリーズのボンドガールですね。『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)のミシェル・ヨーさんがめちゃめちゃかっこ良いなって思ったんです。『グーニーズ』も『ベスト・キッド』(1984年)もそうですが、アジアの方が作品の中心にいて活躍してることが、私も映画の世界に入りたいという夢を持ったきっかけのひとつでした。私もアジアのアクションができる役者のひとりとして、いつか『007』シリーズの作品に出てみたいというのが夢のひとつですね。

──ボンドガール、似合いそうです。

ありがとうございます。私、数年前にアカデミー賞の現地リポーターをやらせていただいたことがあって、そのときに『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)でノミネートされていたシルベスター・スタローンさんにインタビューさせていただいたんです。とっさに「拳を握らせてください!」ってお願いして、あのロッキーの拳を握らせていただいたんです!

──おぉ、それはすごい!

あのときにすごく思ったんです。それまでは、自分がハリウッドの世界に入るのは絶対無理だなと思ってたんですけど、でも、リポーターとは言え、同じ場にいられた。本当に夢を見ているような気持ちでしたけど、スクリーンのなかにしか存在していない人だと思っていたスタローンさんの、ロッキーの拳に触れて、温かい、血が通っている、同じ人間なんだ、と感じて、私も夢を諦めてはいけないと思ったんです。

──ロッキーの拳で、改めて決意したんですね。

はい! 自分が夢見ていたものに、ほんと数ミリですけど、近付けてるんじゃないかなって思えたんです。今まで遥か遠い夢の世界だと思ってたんですが、少しずつ自分の存在を海外の方にも知ってもらえてきて、夢を夢で終わらせたくないという気持ちがすごく高まっています。自分のなかに蓄積してきた80年代映画の夢の世界観を、自分自身でも実現したいと、今、強く思っています。

文・取材:土屋恵介
撮影:荻原大志
スタイリング:松野仁美
衣装協力:Jacket,Dress / tiit tokyo (THE PR) Other / Stylist own

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