八木海莉:聴き手に寄り添うシンガーソングライター
2023.11.16
今、注目すべき旬のアーティストにスポットを当て、最新インタビューとプライベートショットで素顔に迫る連載「Eyes on」。
今回は、『Seventeen』専属モデルとして活動しながら、ドラマ、映画などさまざまな話題作に出演している俳優・永瀬莉子が登場。「ミスセブンティーン2018」から5年が経過した今だからこそ感じる、これまでの活動への想いと、俳優としての今後の目標を語る。オフショット&コメントも大公開!
永瀬莉子
Nagase Riko
2002年8月13日生まれ。広島県出身。血液型B型。身長162㎝。2018年8月、「ミスセブンティーン2018」に選出され雑誌『Seventeen』専属モデルとしてデビュー。2019年1月放送の『ココア』(フジテレビ)でTVドラマ初出演。2023年は映画『君は放課後インソムニア』やTVドラマ『この素晴らしき世界』などに出演している。
──「ミスセブンティーン2018」を受賞し、『Seventeen』専属モデルとしての活動を始めてから今年の8月で5周年を迎えました。永瀬さんにとってどんな5年間でしたか?
芸能活動を始めるうえで、『Seventeen』はすごく大きな分岐点だったなと思っています。ホームのように帰る場所になっていますし、5年を経て一番上の年齢になったことで、自分の立場や撮影時の立ち居振る舞いも変わってきました。お芝居の現場とはまた違う雰囲気があるので、とても良い経験になってますし、楽しめているなと思います。
──もともとモデルや俳優という仕事に興味があったんですか?
小さいころからすごく興味がありました。私自身、テレビが好きでドラマをよく見ていましたし、父が昔、映像関係の仕事をしていて、制作現場の話もよく聞いていたので、私のなかではモデルや俳優という職業が身近に感じられていたんですよね。
それと、私は三姉妹の末っ子なんですけど、年齢が離れているので、私が小学校のころはもう姉は大学進学で上京していて。小学校5~6年生のころに、姉がいる東京に遊びに行ったときにスカウトしていただいたことがあったんですね。それをきっかけに、モデルや俳優というお仕事があるんだってことを知りました。ただ、中学受験も控えていたのでそのときはお断りして、やんわりと新しい職業を知ったっていう感じだったんですけど。
──ソニー・ミュージックアーティスツ(以下、SMA)に入ったのはどんなきっかけだったんですか?
SMAのオーディションに応募したのは父だったんです。私は何も知らない間に、履歴書が送られていて。しかも、そのときはアーティストのオーディションをやっていたので、そこに応募していたみたいです。中学生になって、13歳ぐらいのときですね。
ある日、学校から帰ってきて、家のポストを開けたら、SMAの封筒が入ってて。うちにこんな封筒届いたことないよなと思って父に渡したら、「いや、オーディオとかテレビを作っているソニーだから」って嘘をつかれました(笑)。
──そうなんですね(笑)。なんでごまかしたんでしょう?
父も書類審査の結果を見る前だったからでしょうね。結果を知ってから、オーディションに途中参加する形になって。アーティストを目指すオーディションなので、皆さんはギターやピアノを弾いたり、それぞれが特技を披露しているなか、私は手ぶらだったので、一応、歌うことだけはしました。
──何を歌ったんですか?
その当時放送されていた連続テレビ小説『あさが来た』の主題歌でAKB48さんの「365日の紙飛行機」を歌いました。歌ってみて、落ちただろうなと思っていたんですけど(笑)、俳優のほうでやってみないかと声を掛けてもらって。小学生のころから、誰かに夢を与えられる人になりたいと思っていたので、今、すごく楽しいですし、充実しています。
──オーディションに合格して、SMAに所属することが決まったときはどんな心境でしたか?
何かにチャレンジできるんだ! っていう明るい希望が見えた感じでした。いろんなことに興味を持つほうなので、わくわくした気持ちでしたね。父には中学受験が落ち着いたあたりで、俳優業に興味があるっていうことは伝えていていました。
同じ広島出身の綾瀬はるかさんに憧れてましたし、小学校6年生のときに見たTVドラマ『夜行観覧車』の杉咲花さんのお芝居にも惹かれていて。自分もドラマに出たいと強く思っていたし、そこに父が導いてくれたなと感じています。何か没頭できる、興味を持てるものを一緒に探してくれた父にはとても感謝していますね。
──それが中学校1年生のときですよね。
そうですね。初めてお仕事のオーディションを受けたのは高校1年生で、それまではずっとレッスンに通っていました。東京に通いながらお芝居を勉強するっていう、部活のような感覚で学んでいけたので、それも良かったかなと思います。
──レッスンを受けながら、なんとなく将来像は見えてましたか?
当時はSMAの『劇団ハーベスト』の皆さんと一緒にお芝居をさせていただいたので、お姉さんたちのお芝居を見て、私もこういうふうになりたいって思っていたのを覚えてます。とにかくお芝居をしたいっていうのを一番に掲げていました。
──高校1年生のときに「ミスセブンティーン2018」のオーディションを受けていますね。
将来に向けていろいろ考える時期だと思うんですけど、さっき話したようにそのころはレッスンには通っているものの、まだオーディションを受けたことがなくて。実はこの仕事を辞めて、違う夢に向かっても良いのかなって考えてたりもしてましたね。
進学した高校も英語コースだったので、留学して、違う道に進むのもありかなって思っていたときに、「ミスセブンティーン2018」のオーディションを受けないかと言ってもらって。受けてみて、結果によっては、選択肢も増えますし、また将来についていろいろ考えようと思っていました。
──受かったときはどう感じましたか?
泣いて喜びました! すごくうれしかったですね。『Seventeen』がちょうど50周年の年で、夏の学園祭でお披露目だったんですけど、私が入った年に卒業されたのが、広瀬すずさんなんです。そこで広瀬すずさんの卒業セレモニーがあって、入りたての私たちは端っこで立って見てたんですけど、すごくキラキラ輝かれていて。オーディションの期間中も、ずっと頭からオーディションのことが離れないくらい、神経が研ぎ澄まされていたし、夢がかなった、やっとスタートラインに立てたって思えましたね。
──翌年の2019年からは役者としての活動も本格的にスタートしました。
フジテレビのTVドラマ『ココア』が一番最初の作品ですね。『Seventeen』で同期の出口夏希ちゃんと、同世代の南沙良ちゃんの3人で出演したオムニバス作品。右も左もわからない状態でのオーディションだったんですけど、何も知らないからこそ、怖いもの知らずで飛び込めたし、純粋に楽しいなって思いました。実際、撮影に入ってからは……私、初めての現場で悔しくて泣いて。今でも印象に残っています……。
──何が原因だったんですか?
自分が頭で考えてることが表現できてないっていうもどかしさみたいなものがあって。レッスンではわからなかったけど、実際に現場に行ってみて、初めて気づいたことでもあったんですね。より改善というか、成長する宿題を見つけられた現場でした。
スタッフの皆さんともいろいろお話ししたし、優しい言葉をかけていただいて。余計にこみ上げてくるものがありました。私、自分に対してすごく負けず嫌いなところがあるんです。対誰かではなく、できない自分に対して悔し涙が出る。そういうことばっかりです。
──よく涙は流されるんですか?
ここ数年はないですけど、俳優業を始めてすぐのころは、泣きながら家に帰ったりしてました。そういうときは、自分の最寄りの駅までは泣こうと決めて、満員電車の隅っこの席で帽子を深くかぶって、泣いてて。周り人からは、「この子、大丈夫かな?」って心配されてたと思うんですけど(笑)。
──でも、最寄り駅に着いたら、切り替えられるんですね。
そうですね。ずっと泣いてても解決しないなと思って。涙で全部吐き出して、終わりにしますね。
──涙を流すくらい悔しい経験をしながらも、俳優の仕事をやりたいと思う理由はなんですか?
作品を見てくれた人たちからの反響ですね。今はダイレクトメッセージやSNSでも感想を教えていただけるので、本当にそれは活力になってます。あのシーン、頑張って撮って良かったなと思えたりします。
──俳優とモデルの両立は大変ですか?
逆に充実していて楽しいです。そのことを苦に思ったことは一度もないですね。どっちも楽しいし、どっちもやりがいを感じてます。モデルとしての雑誌のお仕事は大好きなので、機会があれば、いろんな撮影に挑戦したいんですけど、一番はやっぱりお芝居がしたいので、『Seventeen』を卒業したあとのモデルの仕事をどうするかは、今はあまり考えていないですね。
──永瀬さんは、TVドラマ『ココア』をはじめ、ABEMAオリジナルドラマ『17.3 about a sex』(2020年)や配信ドラマ『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』(2023年)など、同じくモデル業もやられている同世代の役者さんたちと共演することも多いですよね。
そうですね。同世代の役者さんは、ひとつの作品を一緒に作り上げる仲間っていう感じですね。現場でもみんな仲が良いし、休憩中も集まってご飯を一緒に食べたりして。特にドラマ『17.3』では、『Seventeen』モデルの田鍋梨々花ちゃん、秋田汐梨ちゃんと仲良し3人組の親友役だったので、本当に撮影の合間でできた関係性がお芝居にもいかされたなっていう場面がたくさんあったと思います。
それと当時、私は高校生だったんですけど、『17.3』は恋愛や性をテーマにした作品だったので、通っている学校の先生が、「保健体育の授業でこのドラマをみんなで見たいんだけど」って言ってくださって。作品が届いていることが身近に感じられてうれしかったですね。
──同世代の役者さんたちを意識することはあまりないですか?
『Seventeen』の現場にいると、同世代の方の情報を耳にするし、目にもするんですけど、同じである必要はないと思っていて。もちろん、高校時代は周りと比べて焦ってた時期もあったんですけど、今は、自分の個性を見てもらえるようになろうっていう思いに変わりました。
──改めてご自身の個性は何だと考えていますか? 永瀬莉子らしさとは。
割と等身大かなって思います。見てくださってる方や同世代の方と常に同じ目線でいたい。そのうえで、自分のお仕事で表現できるものを届けたいなと。お芝居においても等身大なところは変わらずにいたいと思っています。
あとは、声を褒めていただくことがあるので、それは自分の強みなのかなと思います。ファンの方にも、「声で気づいた」とか、「莉子ちゃんの声だなと思って見たら、本当にテレビに出ていた」って言っていただくことがあって。透明感があるって褒めてくださるから、いつか声のお仕事にも挑戦したいと思ってます。
──これまで出演された作品のなかで、特に印象に残っているものや転機になったものはありますか?
TVドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(2020年)の第1話でゲストで出させていただいたんですけど、それもオーディションだったんですね。やったことのない、1型糖尿病患者という役で、すごく緊張して。生まれてからずっとインスリン注射を打ちつづけてる役だったので、撮影前に打ち方をしっかり勉強して臨みました。
撮影のなかで、主演の石原さとみさんとふたりのシーンがあったんですが、石原さんが背中に手を置いてくれたり、言葉をかけてくれるだけで涙が溢れ出てきたんです。監督に「もうちょっと我慢して、あとに取っといて」って言われるくらい、テストからもうボロボロ涙が溢れてしまって。
でも、泣くシーンが多かったので、コンディション的に自分があまり泣けないなっていう日もありました。そういうときも、石原さんは「何回でもやろう」「全然時間は気にしなくて良いよ」って優しく声をかけてくださって。すごく周りをよく見てくださってる方で、本当に偉大な俳優さんだなと思います。またどこかで共演させていただけるように頑張ります。
──ドラマや映画など、さまざまな作品に参加していくなかで、自分がこうなりたいという役者像はだんだんと見えてきましたか?
そうですね。どの現場でご一緒する俳優さんも皆さん優しくて、温かい方が多いんですよ。人として、すごく器の大きな方が多いなと思うので、私もそういう部分をしっかりと磨いていきたいです。あとは、ファンの方から「演じる役によって同一人物に見えない」って言われたことがあって。すごくうれしいなと思ったし、お芝居の面でもいろんな役に挑戦していきたいですね。
──8月に21歳になられたばかりですが、ここからの20代はどう過ごしていきたいですか?
ありがたいことに、この1年くらいで私の顔を覚えてくださったり、私のことを応援してくださる方が増えたなと感じていて。だから、もっと作品に出たいです。私を応援してくださる方に届けられる作品がたくさんあれば良いなって思います。そして、いつかSMAを代表する俳優と言われるようになりたいです。
──内面はすごく熱い方なんですね。
私は内にメラメラした闘争心を秘めているので、お仕事に対しては、貪欲に頑張っていきたいです。これまで、いろんなお仕事をしてきましたけど、一緒に頑張ろうって言ってくれるマネージャーさんたちもいるし、SMAに入ったからこそ、今の私がある。だからこそ、仕事でそれを返していきたいなと思っています。
なので、まずは、朝ドラに出たいです。SMAの俳優さん、高確率で出てますよね。倉科カナさん、二階堂ふみさん、橋本愛さん、土屋太鳳さん、黒島結菜さんにつづいていきたい。どんな現場なのかを経験したいし、朝ドラ出演は目標のひとつにしています。
文・取材:永堀アツオ
公式HP
https://www.sma.co.jp/s/sma/artist/486?ima=0000#/news/0
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