永瀬莉子:「ミスセブンティーン2018」から5年、“等身大”は自分の強み
2023.10.27
今、注目すべき旬のアーティストにスポットを当て、最新インタビューとプライベートショットで素顔に迫る連載「Eyes on」。
今回は、その超絶テクニックをいかして、10代のころからインストゥルメンタル・メタルバンドとして活動してきたASTERISMが登場。3人の出会いから、最新作『ASIDE』『BESIDE』ではボーカル曲にも挑戦し始めた彼らの現在を聞く。アメリカツアーのオフショットも多数公開する。
ASTERISM
アステリズム
(写真左から)MIYU(B)21歳、佐賀県出身。HAL-CA(G&Vo)20歳、福岡県出身。MIO(Dr)23歳、佐賀県出身。10代のころから、アメリカの大規模複合イベント“SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)”に出演し、アメリカツアーやアジアツアーを行なうなど、国内外で積極的にライブ活動を展開するメタルバンド。最新EP『BESIDE』が配信中。
──ASTERISMは、バンドの音楽ジャンルを“マスメタル”と言っていますが、そのコンセプトから聞かせてください。
HAL-CA:インストや歌ものをやっているメタルバンドです。私たちの音楽を紹介するジャンルとして、“メタル”に、大衆という意味の“マス”をつけた造語“マスメタル”を掲げているんですが、ASTERISMがお茶の間に浸透するメタルを作っていくという意味合いになっています。
──では、メンバーおひとりずつ音楽を始めたきっかけを教えてください。まずはギター&ボーカルのHAL-CAさん。
HAL-CA:私は小学2年生のときドラムを習い始めて、ドラム教室の先生がメタル好きでいろんなライブに連れていってくれたんです。初めて観たのがジューダス・プリースト、そのあとはドリーム・シアターを観にいったりしました。
しばらくして福岡に来たLOUDNESSを観たときに、ドラムよりもギターがやりたいと思ったんです。それで小学4年生の10歳の誕生日にギターを買ってもらって、ギターを習い始めました。それからは、家に友達が遊びに来てても、ひとりでギターを弾きつづける子どもになりました(笑)。3カ月くらいしてオーディションに出て、DRUM LOGOSとかでひとりでLOUDNESSの「In The Mirror」を弾いたりしてたんです。当時は、ただただ弾くのが楽しいって感じでしたね。
──好きなアーティストや影響を受けた人を挙げてもらえますか?
HAL-CA:幼稚園のころから車で流れていたオジー・オズボーンやブラック・サバスはDNAに染み込んでます(笑)。ギタリストでは、アーチ・エネミーのマイケル・アモットとか、聴かせる系のギターを弾く人が好きです。メロディックな感じは、ASTERISMに繋がってると思います。
──次は、ベースのMIYUさん。
MIYU:もともと父親がバンドをやってて、兄のMIOがドラムを叩いてたんですよ。じゃあオレもってことで、ベースを握ったんです。そこからMR.BIGのビリー・シーンを見てベースの真のカッコ良さを知り、ジャコ・パストリアスからジャズの影響を受けました。
音楽は、父親が好きなヴァン・ヘイレンとかホワイトスネイクとかをいっぱい聴いてて、今はレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)やニルヴァーナ、ヒップホップとか幅広く聴いてます。僕は目立ちたいタイプで(笑)、ギターはアームがついてるけど、なんでベースについてないんだろう? と思ってアームをつけてもらったりもしました(笑)。
──使ってるのは7弦ベースなんですよね。
MIYU:はい。ずっと4弦を弾いてたら飽きてきて、いっぱい弦のあるベースを弾きたくなったんですよ。雑誌を見たら、一番安くて弦が多いのが7弦ベースだったんです(笑)。ギターみたいなこともできるし、7弦ベースでいろいろ開拓していこうって思ってます。
──では、ドラムのMIOさん。
MIO:弟のMIYUの話よりも前のことになるんですけど、父親がハードロックが好きでホワイトスネイクの映像をめちゃめちゃ見せられていたんです。ドラムがコージー・パウエルで、「このドラマー、カッコ良いだろう?」「ドラム始めてみないか?」って言われて、「ハイ」って感じでドラムを始めました(笑)。
佐賀県の楽器教室で、ビートルズから始まって、オジー・オズボーンとかボン・ジョヴィとかのコピーをしていました。父とやってたバンドは、ハードロックのカバーバンドです。
MIYU:ホワイトウェイヴっていうバンド名なんですが、“白波”っていう、父が好きなお酒から取ったらしいです(笑)。
MIO:でも、段々と父たちのテクニックを僕らが追い抜いちゃって(笑)、それでMIYUとドラムとベースだけのユニットを組んだんです。それでオーディションを受けたときに、HAL-CAと出会いました。
──そうだったんですね。ちなみにMIOさんの好きなアーティストは?
MIO:僕はTOTOが大好きで、ジェフ・ポーカロ、サイモン・フィリップスが好きです。ジャズ・フュージョンにめちゃくちゃハマって、スティーヴ・ガッドとかにも影響を受けました。あと大学生のときにニュー・オーダーとかのニューウェイヴを聴いて、テクニックだけじゃない音楽の面白さを知りましたね。
──HAL-CAさんとはオーディションで出会ったとのことですが、結成の経緯を聞かせてください。
HAL-CA:2014年の音楽コンテストに、私はソロで福岡の大会に出てて、ふたりはユニットで佐賀の大会に出てたんです。両方を見た審査員の方が、合わせたら面白いものになりそうっていって引き合わせてくださったんです。私もずっとバンドをやりたかったけど、小学生で楽器ができる人が周りにいなくて、ましてやメタル好きなんていないんですよ。「ふたりと会ってみないか?」ってお話を聞いて、面白そうだなと思って会うことにしたんです。
MIYU:僕らも「久留米にすごいギタリストがいる」って聞いて、会ってみようって感じでした。そしたら、全員オジー・オズボーンが大好きだった、みたいな感じだったんです。
HAL-CA:初めて会ったときに、スタジオでLOUDNESSの「SPEED」を合わせてみたら良い感じだったので、次の九州大会にはバンドとして3人で出たんです。
──すごい運命的な展開ですね。そこからバンド活動が始まっていくわけですか。
MIO:はい。福岡のライブハウスでいっぱいやってました。
HAL-CA:毎週土日は必ずライブでしたね。私たちが子どもだったので、地元のおじさんたちが珍しがって、すっごいかわいがってくれたんですよ。
MIYU:「ラーメンが好き」って言ったらおごってくれたり(笑)。ほんとライブはいっぱい出させていただきました。それが僕らの血肉になってます。
HAL-CA:でも3人で、マジでひと言もしゃべってなかったんです(笑)。3~4年は話してなかったです。
──どういうことですか(笑)?
MIYU:みんなシャイで話せなかった。
HAL-CA:こんなに話せるようになったのは最近だなって思うくらいです。ひと言もしゃべらずにステージに上がって、ひと言もしゃべらずに帰るみたいな(笑)。
──ステージ上ではうまくいってたんですか?
MIYU:不思議とそうなんです。そのときお世話してくれてた人が間に入って、3人のコミュニケーションをとってくれてたんですよ。
MIO:あと、練習だけはちゃんとやってたのが良かったんだと思います(笑)。
──ASTERISMは2017年にデビューし、2018年8月に初のアルバム『IGNITION』を発表していますね。
HAL-CA:当時で、平均年齢15歳くらいでした。Pファンクのブーツィー・コリンズさんとSNSを通じて仲良くなって、『IGNITION』では2曲プロデュースしてもらいました。
MIYU:僕らがスタジオで演奏してる動画をアップしたら、それをブーツィーさんがFacebookでシェアしてくださって、そしたら世界中からフォロワーが一気に増えたんです。僕らは2017年にメジャーリリースをしているんですが、それもブーツィーさんがシェアした映像を見てくださった方から声をかけていただいたのがきっかけでした。
HAL-CA:2019年に初めてアメリカツアーを行なったときは、ブーツィーさんのお家に行って演奏させてもらったりもしたんです。ブーツィーさん、すごく良い方でした。
──初のアメリカ遠征のときはいかがでしたか?
HAL-CA:まず、“SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)”のジャパンナイトに出演できることになって、それに紐づけてツアーもやったんです。初めてのアメリカで怖かったんですけど、ライブはすごく楽しかったです。
MIYU:オースティン、ダラス、ヒューストン、LAを回りました。
──若くしていろんな経験をされてますね。さて、今までは福岡を拠点にしていた皆さんですが、昨年東京に出てきたんですよね。
MIYU:東京での活動も多かったですし、東京に行きたいっていう思いはあったんで、MIOの大学卒業のタイミングで行こうってなりました。
MIO:あと、2020年に所属事務所が変わって。
HAL-CA:それを機に、より本格的にやっていこう、東京に出ようって感じになりました。
──そして、今年3月に発表された配信EP『ASIDE』は、初のオリジナルボーカル作品となりました。インストバンドとして出発したASTERISMにとって、歌もの楽曲を発表するというのは大きな変化だと思いますが、どのような思いがあったんですか?
HAL-CA:もともと歌は可能性としてやりたいとは思っていたんです。そんなときに事務所から「楽曲を聴いてもらうにはきっかけが必要。そのためには歌ったほうが良い」っていうアドバイスをもらって、私たちもそう思ったんです。インストを捨てたわけじゃなくて、インストをやりたいから歌をやるっていうスタンスですね。
──ボーカルに関して言うと、HAL-CAさんのかわいらしい声質と、ヘヴィな音とのマッチングが良いなと思いました。
HAL-CA:普通に歌うとかわいい系になっちゃうんですよ(笑)。それがASTERISMのサウンドとうまく混ざるのか、最初は全然わからなかったんです。曲を作っていくなかで、だんだんイケる気がしてきました。
MIO:むしろ、良かったなと思います。マスメタルっていうコンセプトにも通じるけど、いわゆるラウドなボーカルよりも、意外性や良いギャップがあると思うんです。彼女は強い声を持ってると思うので、演奏も一緒に楽しめる音楽を作っていけそうだなと感じてます。
──強い武器がひとつ増えた感じですね。そして、9月1日に新作EP『BESIDE』が配信リリースされました。
HAL-CA:『ASIDE』とA面B面のイメージなんですが、今回の『BESIDE』のほうが歌ものの曲作りという部分で成長した感じがあります。テーマは、ずばりマスメタルですね。コンセプトアルバムではなく、自分たちの歌もののマスメタルを表現したいという気持ちで制作しました。
──全体的に歌詞には、未来へと前進していこうという思いが散りばめられています。それは今のバンドの思いと繋がっていそうですね。
HAL-CA:活動歴は結構長いので、そのなかで試行錯誤しながら頑張ってきたという自分たちの状況と重ねつつ、聴いてくれる方にも届くような歌詞かなと思います。
──EP『BESIDE』が完成して、どんな手応えですか?
HAL-CA:素晴らしいものができた! って感じです(笑)。自分たちでも何度も聴ける、楽しいアルバムになったと思います。
MIO:サウンド感で言えば、最初のアルバム『IGNITION』からいくつかの作品を経ての変化をすごく感じてもらえると思います。
MIYU:音作りも、『IGNITION』のころは、イメージはできるけど上手くアウトプットできなかったんです。今回は、僕たちの頭にあった理想のサウンドに近づけた感じはありますし、今の自分たちにやれることは全部出し切れました。
──では、ASTERISMの今後の活動について聞かせてください。11月には東名阪福のツアーもありますね。
HAL-CA:私たちにとって今までで一番大きなツアーなんです。福岡と東京でワンマンをやったことはあったんですけど、名古屋と大阪は初めてなんです。ツアータイトルは『THE DECISION』で、“決断”という意味を込めました。私たちの歌ものに対する思いなどを感じてもらえるツアーにしたいです。
MIO:ツアーの面白そうなポイントとすれば、音源ではオーバーダビングとか、がっつりサウンドプロダクションされているんですけど、ライブだと僕ら3人の裸の音しかないです。原曲を超える勢いでガツンとやりたいと思います。
MIYU:気合い入れてツアーを回るので、音源で聴いてた楽曲がどういうふうにライブで聴けるのか、ぜひ楽しみにしてほしいです。
──期待してます! では、ASTERISMでこれからやってみたいことを希望、願望込みで聞かせてください。
HAL-CA:音楽的にクレイジーなこと、尖ったことをやっていきたいですね。今までに聴いたことがないような音楽がお茶の間に広まったら面白いなって思います。あとは海外に向けてもっと発信したいし、ツアーもたくさん回りたいです。
MIO:良い意味でこだわらず、いろんな音楽をやっていきたいです。
MIYU:ジャンルレスなことをしたいです。僕はラップをやってみたりもしたいですね。頭に浮かんだアイデアを形にできるよう、どんどん挑戦していきたいです。
HAL-CA:あと、先日、“KNOTFEST”でスリップノットさん、マンウィズ( MAN WITH A MISSION)さんとかと対バンさせていただいてほんとに幸せだったんですよ。そういう意味で、夢みたいな話になっちゃうんですけど、いつかオジー・オズボーンさんと一緒にできたらヤバいなって。
MIO:それはヤバい!
MIYU:オジーさんと共演できたら最高ですね。子どものころから聴いてた伝説の方と一緒に作品を作れたりしたら最高です。レジェンドから良いものを受け継いで、それを僕らが新しいものにして発信していけたらと思います!
文・取材:土屋恵介
ASTERISM JAPAN TOUR 2023『THE DECISION』
11/4(土)愛知県・RAD SEVEN
11/5(日)大阪府・心斎橋BRONZE
11/12(日)福岡県・LIVEHOUSE CB
11/23(木)東京都・SHIBUYA CYCLONE
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