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連載Cocotame Series

エンタメ業界を目指す君へ

エンタメ業界に向いているのはこんな人――インターンシップの現場を見てきた担当者が語る【後編】

2024.01.12

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エンタメ業界の最前線で働く人々から現場の生きた情報を聞き出し、お届けする連載企画「エンタメ業界を目指す君へ」。

今回スポットを当てるのは、ソニーミュージックグループでエンタテインメントのソリューションビジネスを手がける事業会社、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)が開催した『5Days エンタテインメントビジネス インターンシップ』(以下、エンタテインメントビジネス インターンシップ)。

このインターンシップでは、ソニーミュージックグループが手がけるビジネスを横断的に学べるだけでなく、グループワークなどを通して実際の事業に即した内容で学生たちが企画を考え、SMSの役員に向けてプレゼンテーションも行なわれた。

本インターンシップの事務局メンバーであるSMSのスタッフに、エンタメ業界におけるインターンシップの重要性、その先に求める人物像について話を聞いた。

後編では、インターンシップが学生と社員双方にもたらす効果、就活生へのアドバイスなどをお届けする。

  • 井口信之プロフィール写真

    井口信之

    Iguchi Nobuyuki

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • 平井光湖プロフィール写真

    平井光湖

    Hirai Mitsuko

    ソニー・ミュージックソリューションズ

社員との交流を通して、リアルな社風を知る

前編からつづく)──インターンシップに参加する学生は何人くらいですか?

井口:定員30人で募集をかけています。学生の皆さんに5日間スケジュールを空けてもらうのは難しく、途中からご家庭の事情やゼミの都合で参加できなくなる方や、事前説明を受けたうえで「やはり5日間通うのは厳しい」ということで辞退する方もいます。ですから、参加者は毎年27、8人ですね。

──どのくらい応募があるのでしょうか。

井口:最初にインターンシップを始めたころは、270人くらいだったと聞いています。ですが、今は数千人の応募があります。

──そこから、どのように30人まで絞り込むのでしょうか。

井口:エントリーシートに基づく書類選考で絞り込み、Web試験で60人、Web面接で30人に絞ります。試験を取り入れたのは、ここ2年くらいですね。ソニーミュージックグループの本採用に近いような選考過程になっています。

こういった選考を行なうことで、実際の就活時にソニーミュージックグループを志望していただく際の予習になれば良いなと考えています。

井口信之写真1

──地方在住の学生の方たちは、参加が難しそうですね。

井口:5日間にわたり、六本木にあるSMSのオフィスに通っていただくので、どうしても首都圏の学生が多くなります。

──インターンシップに参加したからといって、就活が有利になるわけではありませんよね?

平井:はい。インターンシップ参加が新卒採用選考に有利になることはなく、選考に紐づくものではありません。ただ、インターンシップに参加した学生が、その後エントリーして内定を得たケースはあります。

──オンラインでは行なわず、リアルにこだわるのはなぜでしょう。

井口:コロナ禍ではオンライン開催も実施しましたが、学生の皆さんからも講師を務める社員からも「オンラインよりリアルのほうが伝わりやすい」という意見をもらいました。なので体験、体感を重視できればと考えています。

井口信之、平井光湖写真1

──インターンシップのカリキュラムも“聞く”“見る”“話す”を取り入れた内容になっていますよね。やはり実際に体験していただくことを重視しているのでしょうか。

井口:そうですね。我々が手がけるエンタテインメントは、見る、聴く、触れるなど体験を伴うものが多いため、リアルに体感していただくことは重要だと思っています。

ほかに重視しているのは、ビジネスに対する熱量を伝えることですね。熱量を持ってビジネスに取り組んでいるからこそ、やりがいを感じて働いている人間がこの会社にいること、そしてそういう人たちがビジネスを大きく展開しているということを伝えたくて。リアリティや熱量、クリエイティビティを大切にするのは、エンタテインメントの総合企業である我々ならではかもしれません。

──インターンシップを行なうことで、社員の皆さんにとってはどのようなメリットが生まれていますか?

井口:インターンシップは、学生に業務内容を伝えるだけでなく、講師を務める社員も改めて自分たちのビジネスについて気づきを得る機会にもなっています。若手社員はなかなかこういった場でプレゼンする機会が少ないので、学生だけでなく講師も緊張します(笑)。ただ、その緊張感から生まれる面白さもあるんですよね。

平井:講師を務めたスタッフからも「初心に返ることができました」「いろいろな刺激を受けました」という意見をもらっています。それに、学生の皆さんは我々が行なうエンタメビジネスのエンドユーザーでもありますよね。

皆さんに「今、何に興味を持っているの?」「CDって買う?」「どういうグッズが欲しい?」と話を聞くなど、若手社員にとってもユーザーの声を聞く場にもなっていますね。年齢も近く、仕事についてフレンドリーに話してくれる社員も多いので、そういったやり取りや触れ合いを通して学生の皆さんも「あ、ソニーミュージックグループってこういう社風なんだ」と感じていただけるのは大きいですね。

平井光湖写真1

目指すは、エンタメ業界全体のエンパワー

──インターンシップに参加した学生の皆さんの反応はいかがでしたか?

井口:最初は緊張した面持ちですが、徐々に楽しそうな表情に変わっていきますね。初日に学生をグループ分けするので、まずはそのグループで仲良くなって、一緒に食事に出かけたという話もよく聞きます。

皆さん、まったく別の学校から来ていますが、自然と結束が生まれるんですよね。翌日からは我々も意図的に座る席の配置を変えて、いろいろな人と会話できるようにしています。そのためだんだん和やかなムードになり、最終日の役員プレゼンに向けて一体感も生まれていきます。

──実際の業務においても、チームワークや一体感を持つことが大事です。そういった点も意識しているのでしょうか。

平井:それもありますね。例えば、SMSのイベント制作チームや空間プロデュースチームによる講義では、座学だけではなくワークショップを取り入れていました。「クライアントからこういうテーマを与えられました。皆さんだったら、どうやって解決してイベントを作りますか?」とお題を与えて、学生たちも即席チームで意見を出し合って。それに対して、社員からその場でフィードバックをもらえるという形式で、皆さん楽しそうに取り組んでいました。実務に近い演習ですし、チームワークの大切さも学べたのではないかと思います。

また、社員たちのやりとりからも各部門の雰囲気がすごく伝わるんですよね。「皆さん、仲が良いんですね」「先輩後輩がフランクに接し、楽しそうに話している姿が印象に残りました」という声もいただきました。先輩社員たちの姿を見て、「自分もこの会社に入れば、こういう環境で働けるんだな」とイメージできるよう、プログラムを組む側としても意識しています。

井口信之、平井光湖写真2

──自分に合う会社かどうかを見定めるうえでも、インターンシップは重要な役割を果たしていそうです。

井口:本当にそうですね。例えば、A&R(アーティスト&レパートリー:音楽アーティストをさまざまな面でサポートしながらヒットへ導く音楽業界の業種)やマネージャー志望で入社したとしても、ソニーミュージックグループはグループ一括採用ですから必ずしも希望する職種に配属されるとは限りません。そうなったときに「思っていた仕事と違うな」と感じるぐらいだったらまだしも、その仕事が嫌いになってしまうような状況は誰だって嫌ですよね。

そうならないためにも、ソニーミュージックグループではどういうビジネスを展開していて、自分がやりたい仕事は何か、しっかり見定めたうえで本エントリーしていただくのが良いのではないかと。インターンシップに参加したうえで、「やっぱり違うな、自分とは合わなそうだな」と思ったら、それが事前にわかるだけでも参加していただいた意味があると思うんですね。

そして、例えソニーミュージックグループとはそのときご縁がなかったとしても、ほかの企業に入り、「そういえばSMSって面白いことをしていたな」とビジネスでつながりが生まれることもありますから。

平井:そのいっぽうで、インターンシップを経験した学生からは「ソニーミュージックグループにぼんやりとした興味を抱いていたけど、5日間を通してエンタメビジネスに対する理解が深まり、役員からは厳しい意見も言われたが、よりこのグループに入りたくなりました」という声もいただいています。「エンタメは好きだけど、ほかの学生たちや先輩社員と話をして、自分にまだ足りないところがあると感じた」という声もあり、就活までに自分が伸ばすべきポイントを見つける機会にもなっているのかなと思います。前向きな気持ちに切り替わり、本エントリー、本選考に臨む学生も多いと感じますね。

井口:実際、このインターンシップを受講して、その後、本エントリーをされる学生の方は、非常に多いと聞いています。また、そのなかから毎年数名の方が、ソニーミュージックグループに入社され活躍されています。

SMSインターンシップ風景写真

──しっかりと実績も出ているわけですね。とはいえ、インターンシップは人数が限定されているため、実際に参加できる学生は一握りです。ほかに、グループの全容を知っていただく機会は設けているのでしょうか。

井口:ITやセキュリティのエンジニアに特化したインターンシップはありますが、ソニーミュージックグループ全体では現状そういった機会は設けていません。

ですが、SMSに関しては、我々の事業を知っていただく場があります。SMSでは周年に合わせ、取引先をはじめとする企業の皆さんに向けて、SMSのテクノロジーやソリューション、ビジネスモデルを紹介するカンパニープレゼンテーション『EMBARK(エンバーク)』を実施したのですが、別途インターン向けの日程を設けて学生の方々もご招待しています。今年は約150人の学生に参加していただきました。

『EMBARK』キービジュアル

さまざまな展示に触れ、新しいテクノロジーの実機デモを体験してもらうほか、インターン向けの日程では若手社員によるトークセッションも行ないました。参加者のなかからソニーミュージックグループの内定を受けた方も複数いて、我々のビジネスを伝える場として機能しているんだなとうれしくなりました。

平井:カンパニープレゼンテーションのインターンDayでは、学生の皆さんに私たちのビジネスについて2、3時間学んでいただきます。社員と直接やりとりでき、そのうえで具体的なビジネスに触れていただくので、「こういう仕事をしているんだ」とリアルに伝わるんですよね。

平井光湖写真2

──今後のSMSにおけるインターンシップのあるべき姿は、どんなものだと考えていますか?

井口:インターンシップは、学生だけでなく我々スタッフサイドにも気づきがあります。学生はエンタメビジネスへの理解を深め、グループ内ではビジネスがより一層盛り上がるきっかけになる、そんな相乗効果を生むのが理想ですよね。そのうえで、この場を経験された学生の方々がソニーミュージックグループに入社し、エンタメ業界で楽しく活躍してくれたらこれ以上の喜びはありません。

食わず嫌いをせず、何にでも興味を持つことが大事

──最後に、採用に関しても聞かせください。インターンシップを運営するおふたりは、今、エンタメ業界でどのような人材が求められていると思いますか。

平井:エンタメ業界を目指す方は、ご自身もエンタテインメントによって感動やワクワクを体験し、「自分もエンタテインメントに関わりたい」「多くの人にエンタテインメントを届けたい」と考えている方が多いと思います。そういった自分の初期衝動を大事にして、その気持ち、ワクワク感を持ちつづけている方に、ぜひ志望していただきたいですね。

井口:広い視野を持っていられる人ですかね。「僕にはもう音楽しかありません!」「私はこのアーティストが好きなんです!」という強い思いを持つのは決して悪いことではありませんし、その熱量は誰かの心を動かす原動力になると思います。

ただ、ソニーミュージックグループもSMSも会社なので、音楽好きの人が音楽以外の部署に配属されることもありますし、入社後には異動することだってあります。そうなったときに視野が狭いと自分の仕事を楽しめなくなってしまうと思うんですね。そうならないためにも、視野を広く持っておくことが大事かなと。

──ソニーミュージックグループは総合エンタテインメント企業なので、何かに特化したエキスパートよりも何でも広くこなせるジェネラリストが求められるのでしょうか。

井口:職種にもよりますが、プロデュースワークに長けていることは大きな武器になると思います。プロデュース力があれば、例え自分自身に専門技術がなくても、その専門分野に携わる人や、さまざまな方面に協力を仰いでビジネスを実現化することができます。そこに楽しさを見出し、アクションを起こせる方はソニーミュージックグループとマッチすると思います。

井口信之写真2

──おふたりから、これからソニーミュージックグループへの採用エントリーを検討している方に向けてアドバイスはありますか?

井口:浅くても良いので、たくさんのことに興味を持ち、知見を広げておけると良いですね。それが、コミュニケーション能力にもつながると思います。

また、最近は就職試験も面接もすべてマニュアル化され、答えを用意して就活に臨むケースも多いですよね。だからこそ、皆さん優秀ではありますが、均質化しているようにも感じます。そういうなかで、自分に何か飛び抜けたものがないか、改めて考えてほしいです。

私が面接に立ち会うとき、「声楽をやっています」という学生の方に「では、歌ってみてください」と促すと実際に歌を披露してくれることが多いのですが、「ラップやっています」という学生の方に同じように促すと「いや、できません」と言われることが多いんですよね。それはすごくもったいないと思っていて。

もちろん、まったく業種の違う企業の面接でラップをやっていたことがどれほどのアピールになるかはわかりませんが、ソニーミュージックグループはそれをビジネスにしている会社ですからね。そして我々はラップが上手いか下手かを見ているわけではありません(笑)。

──やっぱり尖ったところがある人を求めているのでしょうか。

井口:あくまで一例ですが、緊張するような場面さえも楽しめるということが強みだと思いますし、情報があまねく行きわたる時代だからこそ、個性をしっかり見せられるというのは大事なことかなと思います。

──平井さんはいかがですか?

平井:インターンシップの中堅社員パネルディスカッションで、学生から「エンタメビジネスでは新しい発想を生み出すことが重要だと思います。日ごろから気をつけていることはありますか?」という質問があったんです。そこで社員は「食わず嫌いをしないこと」と答えていたんですね。それが学生の皆さんに刺さったようで大きな反応がありました。

確かに、「今までこの分野はあまり触れてこなかったな」と思うものでも、興味を持てば新しい世界が広がりますよね。好き嫌いはあって当たり前だと思いますが、いろいろなことに興味を持ち、貪欲に吸収していく姿勢は大事。エンタメ業界では、何がどうビジネスにつながるかわかりませんから。そのうえで、自分の好きなことを極めて、どうすればもっと面白くなるか、どうすればビジネスにつながるか、追求していくとより仕事が楽しいものになっていくと思います。

学生の皆さんも「“好き”と仕事は両立できるのか」と悩む時期だと思いますが、エンタメ業界では“好き”を極めればビジネスにも繋がるチャンスはたくさんあります。エンタメは無限の可能性を秘めているので、ぜひ“好き”を突き詰めていただければと思います。

井口信之、平井光湖写真3

文・取材:野本由起
撮影:増田 慶

関連サイト

ソニーミュージックグループ 採用情報
https://www.sme.co.jp/recruit/(新しいタブを開く)
 
ソニーミュージックグループ 公式サイト
https://www.sme.co.jp/(新しいタブを開く)
 
ソニー・ミュージックソリューションズ 公式サイト
https://www.sme.co.jp/company/groupcompanies/sms/(新しいタブを開く)

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