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連載Cocotame Series

エンタメ業界を目指す君へ

エンタメ業界に向いているのはこんな人――インターンシップの現場を見てきた担当者が語る【前編】

2024.01.11

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エンタメ業界の最前線で働く人々から現場の生きた情報を聞き出し、お届けする連載企画「エンタメ業界を目指す君へ」。

今回スポットを当てるのは、ソニーミュージックグループでエンタテインメントのソリューションビジネスを手がける事業会社、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)が開催した『5Days エンタテインメントビジネス インターンシップ』(以下、エンタテインメントビジネス インターンシップ)。

このインターンシップでは、ソニーミュージックグループが手がけるビジネスを横断的に学べるだけでなく、グループワークなどを通して実際のエンタメ事業に即した内容で学生たちが企画を考え、SMSの役員に向けてプレゼンテーションも行なわれた。

本インターンシップの事務局メンバーであるSMSのスタッフに、エンタメ業界におけるインターンシップの重要性、その先に求める人物像について話を聞いた。

前編では、インターンシップがスタートした経緯、プログラムの概要についてお届けする。

  • 井口信之プロフィール写真

    井口信之

    Iguchi Nobuyuki

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • 平井光湖プロフィール写真

    平井光湖

    Hirai Mitsuko

    ソニー・ミュージックソリューションズ

ソニーミュージックグループの多岐にわたるビジネス領域を学ぶ

──井口さん、平井さんは、SMS『エンタテインメントビジネス インターンシップ』の運営に携わっていますが、このインターンシップはいつごろから始まったのでしょうか。

井口:スタートは2013年ですね。SMSでは、イベントやライブ、グッズなどの企画・制作からファンクラブの運営など、さまざまなエンタメソリューションビジネスを手がけつつ、CDジャケットやWebサイトなどのデザイナー、レコーディングスタジオのエンジニアをはじめ、グループのなかでも専門的なスキルを持つスタッフが多数在籍する会社です。

その上で、SMSにはこんな職種があって、こんな人材を求めているということを学生の方々に紹介してほしいと専門学校のキャリアセンターの方々からご要望いただき、デザイナーとスタジオエンジニアというふたつの専門職についてインターンシップを始めたのが、取り組みのきっかけでした。

井口信之写真1

──今回も含め、近年の『エンタテインメントビジネス インターンシップ』はソニーミュージックグループのビジネスを横断的に知ることができるカリキュラムになっています。1回目の開催から、こうした内容に変化した経緯を教えてください。

平井:ソニーミュージックグループは新卒採用についてグループ一括採用を行なっていて、内定後にご本人の適性など総合的な判断で配属先が決まります。ただ、学生の皆さんがソニーミュージックグループの新卒採用にエントリーしても、事業会社も職種も多岐にわたるため、就職後に自分がどんな内容の仕事をするのか、具体的なイメージが浮かびづらいと思います。そのため、我々、SMSも含めた、ソニーミュージックグループ全体のビジネスを知っていただくために、2015年からグループを横断するビジネスインターンシップになりました。

井口:“ソニーミュージック”と聞くと、詳しい方ならA&R(アーティスト&レパートリー:音楽アーティストをさまざまな面でサポートしながらヒットへ導く音楽業界の業種)や音楽スタジオのエンジニア、一般的にはマネージャーなど、音楽業界で活躍する仕事を思い浮かべると思います。

ですが、ソニーミュージックグループが手がけるビジネスは音楽に限らず、エンタテインメント全域にわたります。なかでもSMSは、ソリューションビジネスという少し伝わりづらい領域を担っているので、「こういう仕事もあるんだ」と気づいていただきたいという思いもありました。

平井光湖写真2

──インターンシップでは、毎年テーマを設定しているそうですね。2023年度のテーマは“さあ、世界を変えよう! Passion、Action、Creationで感動を。”でした。このテーマには、どのような意図を込めたのでしょう。

SMSインターンシップキービジュアル

平井:ソニーミュージックグループでは例年スタッフに向けてグループミーティングを開催しており、そのなかでソニー・ミュージックエンタテインメントの代表取締役社長のスピーチがあります。2023年度は「ひとりの情熱が世界を変える」と、大谷翔平選手の活躍を例に挙げて話していました。ちょうどWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でサムライジャパンが優勝し、野球の魅力に目覚めて球場に通う人が増えていた時期だったので、社員もその言葉に共感しているようでした。

そこで、「私たち一人ひとりの情熱と知恵を使い、エンタメで世界を変えられる。」というメッセージを込めて、今年度のテーマにしました。

井口:インターンシップの各プログラムではグループ社員が講師として登壇しますが、その際にもこういったテーマに沿って話をしてもらっています。

井口信之、平井光湖写真1

表舞台のバックヤードを支えるビジネスの実情

──今年の『エンタテインメントビジネス インターンシップ』もプレゼン形式のトークセッションだけでなく、施設見学、パネルディスカッション、グループワークなどさまざまな形でソニーミュージックグループのビジネスについて学べるカリキュラムになっていました。どのようなコンセプトでプログラムを組んだのでしょうか。

井口:エンタメビジネスは、アーティストやタレントの活動、アニメやゲーム作品のリリースなどメディアでフィーチャーされている部分に目が行きがちですが、そのバックヤードを作り上げるのも、エンタメビジネスの醍醐味です。そういったところも含めて、エンタメビジネス全般についてお伝えできるようカリキュラムを構成しました。

平井:インターンシップは5日間にわたって実施したのですが、日によってテーマを変えています。初日はソニーミュージックグループと我々SMSについて。ソニーミュージックグループが手がけるエンタテインメントビジネスの概要と、そのなかでSMSが担う役割を説明します。

そこから講義が本格的にスタートして、まずはアーティストの活動や音楽制作にダイレクトに関わるA&Rやマネジメントの仕事がどういった内容かを紹介します。そして、CDや音源の販売、マーケティングへと領域を広げていきました。

2日目はアニメやキャラクターを含むIP、ライセンスビジネスについて。3日目はアーティストの音源制作からCDができるまでの流れについて学びます。乃木坂にあるレコーディングスタジオも見学していただきますし、CDのジャケットや広告デザイン、プレス工場での仕事、物流など点ではなく線として音楽制作の流れを理解できるようカリキュラムを組み立てています。

さらに、4日目はイベント制作・運営、グッズ製造などのマーチャンダイジング、ファンクラブビジネス、エンタテインメントに用いるテクノロジー開発などにも視野を広げていきます。そして5日目の最終日には、グループワークや役員へのプレゼンテーションも行なっていただきました。

平井光湖写真3

──盛りだくさんのカリキュラムですね。

平井:エンタメ業界のビジネスが、これほど多岐にわたるということを実感していただけるのではないでしょうか。学生の皆さんにとって興味があるもの、ないもの当然あると思いますが、著作権をはじめとする知的財産権など馴染みが薄い領域でも、エンタメビジネスには必要不可欠な知識であり仕事です。参加した学生からのアンケートでは、「権利や契約の重要性について改めて気づいた」という声もありました。

──カリキュラムには、若手社員、中堅社員それぞれのパネルディスカッションもあるようですね。どのようなお話をされるのでしょう。

井口:入社後にどのような未来が待っているのか、就活生にとってはもっとも興味があることですよね。そこで実際に働く若手、中堅社員のリアルな声を伝えています。こちらは学生からのリクエストも多く、反響の大きいプログラムです。

パネルディスカッションでは、先輩社員がどのような思いで日々仕事に臨んでいるのか、どういう壁にぶつかったのか、さまざまな経験を語ってもらいます。若手の回では入社2、3年目のスタッフ、中堅社員の回では30歳前後のスタッフに登壇してもらいました。全員、会社や部門も違うので、幅広い業務についてリアルな意見を知っていただくことができました。

平井:若手社員は、学生にとって一番身近な存在です。入社前と入社後のギャップ、気持ちの変化などリアルな話には学生の皆さんも興味を示しますし、就活の進め方や力を入れたこと、注意したことなど実践的なアドバイスに耳を傾けていました。

中堅社員は、入社から5年以上経ち、仕事にも会社生活にも慣れてきたころ。ある程度自分で仕事を回せるようになり、次のキャリアや成長について考え始める年代です。また、グループ内では人事異動もありますし、ずっと同じ部署にいる人、いくつか異動を経験した人、他社から中途採用で入ってきた人などさまざま。パネルディスカッションだけでなく講義内でも中堅社員の講師からは「以前この部署でやっていた仕事が、今の部署でもいかされている」といったことも含めて、話してくれました。

井口:講義終了後に、学生が「同じ大学だと思うのですが……」と若手社員に話しかけるなど会話も生まれていましたよね。そのほかのプログラムも、できるだけ若手に登壇してほしいと各部署にお願いしています。そのほうが親近感も湧きますから。

井口信之、平井光湖写真1

役員プレゼンで磨かれる実戦力

──グループワークも行なわれたということですが、具体的な内容を教えてください。

井口:学生の皆さんには、まず4日間でソニーミュージックグループのビジネスを網羅的に学んでいただきます。そこで得た知識をいかし、学生の皆さんに新しいビジネスを考えていただくのがグループワークです。10人ぐらいのグループに分かれて、各チームが2日目からあれやこれやとセッションしながら草案をまとめていきます。

そして最終日には、考えたビジネスを企画書に落とし込み、SMSの代表取締役会長、代表取締役社長をはじめとする役員の前でプレゼンテーションを行ないます。役員も学生相手だからと手加減することなく、社員に接するときと同じように企画内容を精査し、ズバズバ意見を言ってくれます。

平井:インターンシップなので、できるだけ実際の仕事に近い体験をしてほしいんですよね。過去にはライブ会場の裏で物販を手伝うなど、リアルな仕事現場を体験していただく機会もありましたが、コロナ禍もありましたし、現場スケジュールとの調整も難しいときもあり、そのなかで職務体験のひとつとしてグループワークは大きな軸になっています。

他企業のインターンシップでも、なかなか役員に直接プレゼンする機会は得られないと聞いていますので、我々の『エンタテインメントビジネス インターンシップ』のひとつの目玉かなと思っています。募集時にも役員プレゼンがあると開示しているので、このグループワークを楽しみに参加する学生もいらっしゃるほどです。

SMSインターンシップ風景

──実際にグループワークを行なった学生の皆さんは、どのような反応でしたか?

井口:草案作成の段階から、皆さん一生懸命に取り組んでいましたね。私たち事務局のスタッフは、「役員の鼻を明かしてやろうよ」と煽ることはあっても、企画内容にアドバイスなどをすることはありません。その上で、出てくる企画は「まだまだ物足りない!」というものが多いのですが、なかには「そういうアイデアもあるのか」と、我々が気づきを得ることもあります。なので学生の皆さんには自由に考えていただき、思い思いにプレゼンしてもらいました。

井口信之写真2

平井:レコーディングスタジオの見学など、体験型のプログラムはほかにもありましたが、アンケートでは役員プレゼンが最も好評でしたね。

──役員を前にすると臆してしまいそうですが、皆さん楽しまれていたんですね。

平井:どちらかというと「悔しかった」という意見が多くて。思うような結果が得られず、「自分はまだまだだな」と悔しい思いやビジネスの厳しさを体感したからこそ印象に残ったのかもしれませんね。

井口:役員も忌憚ない意見を言いますからね。その悔しさが、学生の皆さんの成長の糧になってくれればと思います。

後編につづく

文・取材:野本由起
撮影:増田 慶

関連サイト

ソニーミュージックグループ 採用情報
https://www.sme.co.jp/recruit/(新しいタブを開く)
 
ソニーミュージックグループ 公式サイト
https://www.sme.co.jp/(新しいタブを開く)
 
ソニー・ミュージックソリューションズ 公式サイト
https://www.sme.co.jp/company/groupcompanies/sms/(新しいタブを開く)

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