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キャラクタービジネスの心得

トーマス号×大井川鐵道――ともに走った10年という時間が笑顔をつなぐ未来への懸け橋になる➁

2024.08.02

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蒸気機関車の動態保存に長年取り組み運行している大井川鐵道と、『きかんしゃトーマス』のキャラクタービジネスを展開するソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)のパートナーシップで毎年開催している『DAY OUT WITH THOMAS™』をフィーチャー。

後編では、コロナ禍や台風被害といった困難との向き合い方と『DAY OUT WITH THOMAS™ 2024』の見どころ、そして今後の展望について聞いた。

  • 山本豊福氏プロフィール画像

    山本豊福氏

    Yamamoto Toyofuku

    大井川鐵道株式会社
    広報室

  • 坂下裕之氏プロフィール画像

    坂下裕之氏

    Sakashita Hiroyuki

    大井川鐵道株式会社
    新金谷運輸区

  • 西岡敦史プロフィール画像

    西岡敦史

    Nishioka Atsushi

    ソニー・クリエイティブプロダクツ

  • 朝倉精吾プロフィール画像

    朝倉精吾

    Asakura Shogo

    ソニー・クリエイティブプロダクツ

  • 渡辺 創プロフィール画像

    渡辺 創

    Watanabe Hajime

    ソニー・クリエイティブプロダクツ

この記事の前編はこちら:トーマス号×大井川鐵道――ともに走った10年という時間が笑顔をつなぐ未来への懸け橋になる①

コロナ禍と台風の被害を乗り越えトーマス号は走りつづける

――朝倉さん、渡辺さんは、これまでの『DAY OUT WITH THOMAS™』への関わりで印象に残っていることは何ですか。

優しい表情で話す朝倉精吾

朝倉:私がプロデューサーになってすぐの2020~2021年が、とても印象深いです。2020年は『きかんしゃトーマス』の原作絵本の出版から75周年。何かスペシャルな企画をやりたいと思い、『きかんしゃトーマス トーマスのはじめて物語』という映像作品に登場する、トーマスが『はじめて物語』の舞台であるソドー島に来たころのボディを再現した緑色のトーマス号を『DAY OUT WITH THOMAS™』で走らせるという計画を立てました。

緑色のトーマス

この企画は、一度はコロナ禍で断念しなければならなかったのですが、2021年に実現させることができました。“コロナ禍に負けず、みんなが苦しいときにもトーマスは頑張って走ります”という大井川鐵道の皆さんの想いも乗せたメッセージを、スペシャル企画としてお届けできたことは印象的でしたね。

渡辺:『DAY OUT WITH THOMAS™』が今年で10周年を迎えるなかで、山本さんをはじめ、大井川鐵道の皆さんと新しい企画をいろいろと考えていますが、沿線の魅力を熟知した皆さんとのコラボレーションは、とても実りが多いです。

トーマス号が走行することで、新たなロケーションを発掘でき、新しい楽しみを提供できる企画やプロモーションのアイデアも尽きることがありません。また、私たちも、このプロジェクトに参加することで童心に帰れますし、親子3世代にわたる幅広い層のお客様が『きかんしゃトーマス』を愛してくださっていることを実感しています。

――朝倉さんからコロナ禍での取り組みの話がありましたが、大井川鐵道は2022年9月に台風15号がもたらした記録的な大雨により、大井川本線に不通区間が出るなど、とても大きな被害が出ました。そんななかでも、2023年には新金谷~家山駅間でトーマス号の折り返し運転を再開させ、『きかんしゃトーマス』の仲間たちをフィーチャーしたイベントも開催されました。トーマス号の運行は、多くの方々に勇気と元気を与えたかと思います。

山本:そうですね。正直なところ、大井川本線の全線復旧にはもう数年はかかると思いますし、我々にとっても非常に厳しい状況はつづいています。しかし、そんななかでも、トーマス号の運行を求めてくださるお客様が多く存在したことは、とてもありがたかったです。

何より全線開通していない不完全な状態であっても、「トーマス号に会いに行こう!」と遠くからはるばる足を運んで、大井川鐵道を応援してくださっている。その温かい気持ちには、これからも応えていきたいと強く思っています。

西岡:我々としても一日でも早く全線復旧することを願う思いは同じですし、地域振興という意味においても、トーマス号が大井川鐵道を走ることで、沿線住民の方々が少しでも元気になっていただけたらうれしいですね。そしてトーマスたちには、そういう役割も担ってもらっていると考えています。

坂下:そうですね。実際、地域の皆さんも、初夏の匂いを感じると「今年もトーマスがやってくるぞ!」という認識でいてくださいますし、我々が暮らす地域をトーマス号たちが多くの人に紹介してくれているという感覚があります。そして、この大井川流域、大井川鐵道沿線地域にとって、トーマス号がひとつの象徴として存在していると感じています。

山本:我々、大井川鐵道も『DAY OUT WITH THOMAS™』を通じて地域貢献ができているのかなと思いますし、それも10年間、SCPの皆さんと協力しながら『DAY OUT WITH THOMAS™』をつづけてこられたからこそではないかと思います。

今年は運転区間が拡大! トーマス号が大井川第一橋梁を渡る

――『DAY OUT WITH THOMAS™』は10周年を記念して、12月25日まで実施されます。今年も大賑わいが期待されますが、見どころを紹介してください。

朝倉:大井川鐵道に集まっている『きかんしゃトーマス』の仲間たちは、これまで12キャラクターいましたが、10周年の今年はまた新しい仲間が増えました。それがロコトレインのニアです。

ニアは線路を走る機関車ではないですが、新金谷駅構内のトーマスフェア会場となっている駐車場内を周回します。トーマス号やトビー号に乗って楽しむだけでなく、駅を降りても『きかんしゃトーマス』の仲間に乗れて楽しい空間を作りたいと考えて実現しました。

トーマスフェア会場を周回する「ロコトレインのニア」

トーマスフェア会場を周回する「ロコトレインのニア」

渡辺:“大井川鐵道に行けば『きかんしゃトーマス』のいろんな仲間に会える!”という喜びは、さまざまな苦境を乗り越えてきたこの10年、変わらず継続してきたポリシーです。これは、私のあとにつづく担当者にも引き継いでいきたいことのひとつですね。

――さらに台風被害からの復興の一例として、トーマス号の運転区間が新金谷~家山駅間の折り返し運転から、今年は新金谷~川根温泉笹間渡駅まで延び、トーマス号がいよいよ大井川第一橋梁を渡りますね。

大井川第一橋梁を渡るトーマス号(2022年撮影)

大井川第一橋梁を渡るトーマス号(2022年撮影/写真提供:大井川鐡道)

山本:はい。トーマス号が走っている大井川本線沿線風景の一番の見どころは、やはり大井川を渡る美しい車窓風景にあります。延伸は3kmほどですが、大井川鐵道らしい迫力ある景色を楽しんでいただけるのは、我々にとってもうれしい限りです。ぜひ楽しんでいただきたいですね。

坂下:また、車内から観る川根温泉の沿線風景も壮観です。大井川本線はきかんしゃトーマス号、アプト式鉄道で有名な井川線にはきかんしゃトビー号が走行しているほか、原作でトーマスと競争していたバスのバーティーにも乗車が可能なので、楽しみ方は盛りだくさんです。

――会場で楽しめること以外にも、SCPではさまざまな施策に取り組んでいると聞きました。

渡辺: “ノスタルジー”と“テクノロジー”。このふたつをかけ合わせて、『DAY OUT WITH THOMAS™』の新しい楽しみ方を会場の内外で提供することを企画しています。

今年からは、トーマス号乗車の予約をより手軽にするために、新たにおでかけ予約サイト「アソビュー!」との連携も始まりました。また、『DAY OUT WITH THOMAS™』をもっと広くアピールし、トーマス号にご乗車いただくお客様にも、より深くイベントを楽しんでいただけるよう、YouTubeで公開するオリジナル映像の企画を進めています。

――それはどういった内容になるのでしょうか?

渡辺:まさに先日、大井川鐵道にお邪魔して、車両整備の様子など普段見られないトーマス号運転の裏側を取材してきました。

トーマス号と仲間たちの姿を、もっと身近に感じてもらえる施策を通じて、よりたくさんの方に大井川鐵道に遊びに来ていただけるよう、これからも企画を考えていくつもりです。ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

真剣なまなざしで語る渡辺創

『DAY OUT WITH THOMAS™』でたくさんの笑顔を未来に運ぶ

――節目の10周年を迎えた『DAY OUT WITH THOMAS™』ですが、今後の展望を教えてください。

山本:私たちが願っているのは、“たくさんの笑顔が見られるイベント”です。今年も繰り広げられる光景かと思いますが、トーマス号が走るたびに訪れたご家族、ご両親と小さなお子様、お祖父様、お祖母様とお孫さんが、どこに行っても本当にニコニコしていらっしゃるんです。

その笑顔を見るたびに、社員全員が「『DAY OUT WITH THOMAS™』をやって良かった」としみじみ思うんですね。私自身も、たくさんのご家族の楽しそうな笑顔に癒されつづけているので、これからもできるだけたくさんの方に、足を運んでいただけたらうれしいです。そのために、トーマス号が走りつづけられる環境を私たちが作っていかなければいけないと考えています。

西岡:私たちも同じ気持ちです。特に日本の『DAY OUT WITH THOMAS™』は、大井川鐵道の皆さんが作り上げてくれたトーマスと仲間たちの再現度が、おそらく世界一と言って良いくらいのクオリティの高さなんですね。

『きかんしゃトーマス』の海外の権利元からも、「日本のトーマス号はアメイジングだ」という絶賛の言葉をもらっています。その意味でも、国内のトーマスファンだけでなく、インバウンド効果にも大いに期待したいですね。

前のめりになり話す西岡敦史

山本:特に今年はアジア圏からの予約が増えていますし、海外のお客様も多くなっています。

渡辺:アジアで『DAY OUT WITH THOMAS™』を開催しているのは日本だけですし、究極のトーマス号が大井川鐵道で見られることは、大いにアピールしていきたいですね。これからも大井川鐵道の皆さんのお力を借りながら、今まで以上の情熱を持って、『DAY OUT WITH THOMAS™』に取り組んでいきたいと思います。

回転台で回るトーマス号

この記事の前編はこちら:トーマス号×大井川鐵道――ともに走った10年という時間が笑顔をつなぐ未来への懸け橋になる①

文・取材:阿部美香
撮影:干川 修

関連サイト

大井川鐵道 公式HP
https://daitetsu.jp/(新しいタブを開く)

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