『ギャップ・ザ・シリーズ』を皮切りに女性同士の関係性を描くドラマを展開する「aLiL」が目指すところ②
2024.09.13
タイBL(ボーイズラブ)をはじめ、アジア圏を中心にBLドラマがブームとなっているなか、配信ドラマ『ギャップ・ザ・シリーズ』が総再生数8億回を超えるなど、新たな注目ジャンルとして頭角を現わしたGL(ガールズラブ)ドラマ。
今回は、アニプレックス(以下、ANX)内の新プロジェクトとして、『ギャップ・ザ・シリーズ』を皮切りに、シスターフッドやGLなど、女性同士の関係性を描くドラマの日本語版を提供するブランド、「aLiL」を立ち上げた制作プロデューサーに話を聞く。BLにつづき、今後、さらなる躍進が期待されるジャンルで、新ブランドを発足させたきっかけや狙いを語る。
太田今日子
Ota Kyoko
アニプレックス
アジアを中心とした海外制作の、女性同士の関係性を描くドラマの日本語版を提供する、ANX内の新ブランド。上質な実写作品をこだわりのキャストで吹き替え、展開していく。第1弾は、YouTube上での全12話の総再生数が8億回を超え、世界的な大ヒットを記録しているタイ発のGLドラマ『ギャップ・ザ・シリーズ』の日本語吹替版&字幕版。9月16日より、各配信プラットフォームにて順次配信がスタートする。
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――海外実写ドラマの日本語版ブランド「aLiL」は、太田さんがプロデューサーとして手がける初のプロジェクトということですが、太田さんのこれまでの経歴を教えてください。
私は、新卒でコンビニエンスストアを運営する会社に入社したんですが、大学生のころに友人の影響でアニメに興味を持つようになっていて、入社後もアニメの仕事に携わりたいという思いが強くなっていきました。
それで前職の会社を退社し、2011年に中途採用でANXに入社しました。ANXでは2023年2月までアニメ作品の宣伝を担当していて、『3月のライオン』や『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』などの宣伝プロデューサーを務めてきました。
宣伝の仕事は好きなのですが、自分では宣伝という職種に対するセンスはないと思ってまして(笑)、作品が好きだという気持ちと熱意だけでやってきました。そこから制作の部署に異動してまだ1年とちょっとで、現在はアニメ『時光代理人-LINK CLICK-II』『黒執事』などの作品に携わっています。
――これまで数々のアニメ作品に携わってきた太田さんが、海外実写ドラマを扱うブランドを立ち上げるにことになったきっかけはなんだったんでしょうか。
2023年の1月に、Xでタイドラマの『ギャップ・ザ・シリーズ』に関するポストがバズっているのを見かけ、実際に作品を見てみたところドハマりした、というのがきっかけです。それで、「面白いドラマがあるんですよ!」と雑談みたいな感じで社内で話していたら上司に「日本語版をやってみたら?」と言われて。自分としてはこの作品に仕事として関わるとは思ってもみなかったので、そういう考えがあったかと目からウロコでした。
それで、これは実際にプロジェクトが動き出してからなんですが、海外もので、実写で、GLドラマで……とANXとしては過去に例のない展開をするのであれば、新しいブランドを立ち上げたほうが良いんじゃないかということになったんです。
――太田さんがシスターフッドやGLというジャンルの魅力に気づいたのはいつごろですか?
もともと大学生のころから百合漫画が好きで、百合アニメやGL・レズビアンドラマや映画をたくさん見てきました。漫画だと一番好きなのは『おとなになっても』です。
これは、『青い花』という名作を手がけられた志村貴子さんが描かれた作品で、少しほろ苦い大人の恋を描いた漫画です。すごく実写向きの作品だと思うので、実写ドラマ化されることを密かに期待しています……!
――シスターフッドやGLに造詣が深い太田さんが、タイドラマ『ギャップ・ザ・シリーズ』にハマったのは、特にどういった部分だったんでしょうか。
最初に第1話を見たときは映像の美しさにブワッとテンションが上がって、ときめきました。あらすじとしては、幼いころに命を助けてくれた年上の女の子にずっと憧れを抱いていた主人公が、大人になってその人と再会することになるんですが、その女性は厳しくて冷たい会社社長になっていて。でも主人公は、憧れの女性に認められたいと、諦めることなく努力しつづけて、少しずつ距離が縮まっていきます。
良い意味で、王道の少女漫画的と言いますか、ベタな展開ではあるんですが、そこにすごく引かれるんです。役者さんもとても魅力的で、もう、作ってくださったタイの制作会社に感謝しかないです。第2話、第3話とつづけて見ていくうちに、どんどん自分の肌艶が良くなっていく気分になりました(笑)。
――そんなにもハマったんですね(笑)。最初、雑談のつもりだったのが、「日本語版をやってみたら?」と言われたときはどう思われましたか?
単純に、「好きな作品に仕事として関わることができたら最高だな!」と思いました。とてもシンプルなんですけど。
――ユーザーの気持ちがわかるのは利点でもありますよね。実際に日本語版制作に着手されてからは、スムーズに進んだのでしょうか。
それがなかなか大変でした。まずはタイの制作会社に、日本語版制作の許諾を得るところから始めるわけですが、タイに知り合いがいるわけでもなかったので、ANXの海外ライセンスチームに相談して、ANX作品のタイでのグッズ展開でお世話になっているDEX(Dream Express)という会社の方を通じてコンタクトを取り、ようやく交渉を始めることができました。
――日本語吹替版を制作する作業としては、どういった点に苦労されましたか?
実写の日本語吹替版の制作はアニメ作品と違って、吹き替え収録の際に、音響監督の方はいるんですけど、アニメでいうところの監督や演出家のポジションの方がいないんですよね。セリフは、翻訳家の方にきっちり翻訳していただいているんですが、実際に声に出してみたときに、日本人にとっては微妙に違和感があるな、なんてこともあって。
そういうニュアンスを判断して、最終的に責任をもつ立場の人間がプロデューサーである私しかいなかったというのも、アニメのアフレコとは少し違うところで。収録現場で、声優さんと音響監督の方とディスカッションして、方向性を考えるなんてこともありました。一人称も、“僕”なのか“俺”なのか、はたまた“私”なのかなど、そういったキャラクターに合った言い方というものも模索しましたね。
後編では、日本語吹替版のキャストへのこだわりや、ブランドの今後を語る。
文・取材:入江奈々
撮影:古里裕美
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