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サステナビリティ ~私たちにできること~

想いを込めた花というバトンを、廃棄花を減らすというゴールへ――『Rebloom Relay Flower』の取り組み

2025.10.27

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ソニーミュージックグループでは、日本サステナブルフラワー協会と協力して、ライブやイベントの会場に贈られる祝い花を回収し、利活用する「Rebloom Flower Project」を実施してきた。

その「Rebloom Flower Project」をベースにして、新たに始動したのが『Rebloom Relay Flower』。アーティストに贈る祝い花の一部をアップサイクル(廃棄される予定のものに新たなデザインや価値を付与して再利用すること)して、取り組みに賛同してくれたファンに記念品を届けるファンクラブ会員限定の有料企画だ。

2025年8月、デジタル声優アイドルグループ・22/7(読み:ナナブンノニジュウニ)『西條和 卒業コンサート ~存在の証明~』で初めて実施されたこの取り組みについて、4人の関係者に話を聞いた。

  • K.H.プロフィール画像

    K.H.

    ソニー・ミュージックレーベルズ

    ※オンラインで参加

  • M.Y.プロフィール画像

    M.Y.

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • O.E.プロフィール画像

    O.E.

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • F.R.プロフィール画像

    F.R.

    ソニー・ミュージックソリューションズ

「Rebloom Flower Project」とは?

ロゴ画像

ソニーミュージックグループのヘッドクオーター、ソニー・ミュージックエンタテインメントのサステナビリティ推進部門が立ち上げたプロジェクト。ライブやイベントで使用された祝い花のなかから、きれいな状態のものを回収、利活用することでフラワーロスという社会課題に取り組んでいる。回収された花はドライフラワーにしてイベントなどの装飾に活用したり、キャンドルやミラー、ポプリなどに生まれ変わらせたりするなど、さまざまな“Rebloom=返り咲き”の手法を展開。「Rebloom Flower Project」の活動趣旨や認知度を高めるため、ワークショップなども手がけ活動の幅を広げている。

 

『Rebloom Relay Flower』とは?

Rebloom Relay Flowerで作成したボードと22/7のメンバー

『西條和 卒業コンサート~存在の証明~』で制作されたフラワーパネル

ソニーミュージックグループで、エンタテインメントのソリューションビジネスを手がけるソニー・ミュージックソリューションズ。同社の注力ビジネスのひとつ、ファンクラブ運営を手がける部門が、「Rebloom Flower Project」の趣旨に賛同し、ファンクラブビジネスのメニューのひとつとして立ち上げたプロジェクト。第1弾は、ソニー・ミュージックレーベルズ所属のデジタル声優アイドルグループ・22/7の西条和卒業コンサートにて実施された。

ファンクラブサイトの企画制作、運営を行なっている会社が手がけるサステナ企画

──まずは、『Rebloom Relay Flower』の第1弾の取り組み、22/7(読み:ナナブンノニジュウニ)『西條和 卒業コンサート~存在の証明~』における、皆さんの役割を教えてください。

M.Y.:『Rebloom Relay Flower』は、アーティストやクリエイター、キャラクターなど、さまざまなファンクラブサイトの企画制作、運営を行なっているソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)が立ち上げた、新たなファンクラブ施策となります。自分はこのプロジェクト全体の統括を担当しています。

O.E.:私もM.Y.さんと同じく、SMSのファンクラブ運営部門に所属しています。本件における具体的な役割としては、『Rebloom Relay Flower』の特設サイトの構築など、主にシステム面の構築を担当しました。

白地に黒のドットが描かれたシャツを着るO.E.

F.R.:私も、おふたりと同じくSMSのファンクラブ運営部門に所属していて、担当はファンクラブのオーナーとのやり取りの窓口になります。22/7は自分が担当していて、レーベルのK.H.さんとSMSの制作の間に立って、施策の調整やクリエイティブのアイデア出し、確認などを主に担当しました。

K.H.:ソニー・ミュージックレーベルズ(以下、SML)所属で、22/7のA&R(アーティスト&レパートリー:音楽アーティストをさまざまな面でサポートしながらヒットへ導く音楽業界の業種)を担当しています。今回、M.Y.さんたちから『Rebloom Relay Flower』を提案してもらい、SMLで初めてこのプロジェクトに本格的に参加させてもらうことになりました。

祝い花の行き先が廃棄よりも“Rebloom=返り咲き”であってほしい

──ソニーミュージックグループでは、これまでサステナビリティ活動の一環としてフラワーロスの社会課題に取り組む「Rebloom Flower Project」を実施してきました。今回の『Rebloom Relay Flower』も、この活動がベースになっているということですが、どのようにして始まったのでしょうか。

関連記事はこちら:捨ててしまう花を再利用して咲き返らせる『Rebloom Flower Project』――エンタメ業界が取り組むフラワーロスという課題とは?

M.Y.:アーティストのライブ会場に届く祝い花は、場合によっては、贈り主の多くがファンの方々というケースがあります。そのうえで、「Rebloom Flower Project」の取り組みが始まった当初は、ファンの方々から贈られるお花の回収は行なっていませんでした※。それは、贈る方の気持ちやその花に込められた想いに対して、最大限の配慮が必要であるという考えがあったためです。

※現在は、ライブの主催者が事前に回収告知を行なうことで、ファンから贈られた祝い花の一部も回収するようになっている。

ただ、「Rebloom Flower Project」というエンタメ業界におけるサステナブル(持続可能)な活動として、非常にリアリティがあるプロジェクトが始まったなかで、それが回収のネックになるのはもったいないなと思ったのと、なんだったらファンの方のなかにも、祝い花の行き先が廃棄よりも“Rebloom=返り咲き”であることに賛同してくださる方がいるのではないかと思ったんです。

黒いTシャツを着て話すM.Y.

そこで、花を通じてファンとアーティストのエンゲージメントをさらに高める取り組みが何かできないかと考え、「Rebloom Flower Project」のチームに相談したところ、日本サステナブルフラワー協会の皆さん引き合わせてもらって、『Rebloom Relay Flower』を立ち上げることになりました。

関係者4人のフラワーロスへの問題意識はどれくらい?

──企業やメディアから贈られる祝い花の文化は、昔からありましたが、昨今ではファンの方から贈られる祝い花が、かなり増えているように感じます。

K.H.:そうですね。特にアイドルグループでは、ファンの皆さんが趣向を凝らし、想いを込めて贈ってくださる祝い花が非常に多くなっています。22/7のライブ会場でも、ロビーにはファンの方々からの祝い花が沢山並びます。

オンライン参加のためPC画面に映し出されているK.H.

──皆さんはこのプロジェクトに参加する以前から“フラワーロス”や“祝い花の廃棄”について課題を感じていましたか?

K.H.:問題意識とまでは言えませんが、ファンの皆さんが手間とお金をかけて贈ってくださったものなのに、その場で廃棄されてしまうのを見て“もったいない”と感じていました。

M.Y.:自分は、サステナビリティに関する社内アソシエーションに参加していたので、「Rebloom Flower Project」の立ち上げも見ていて、ある程度の問題意識は持っていました。そのうえで、私もレーベルに在籍していた当時から、ファンの方々の感謝や応援の気持ちを表わす祝い花が、ライブ終了後にすぐ廃棄されてしまうのは「もったいないな」と思っていましたね。

O.E.:正直なところ、私は“フラワーロス”という言葉すら知らず、今回のプロジェクトに参加して、初めてこのような社会課題があることを認識しました。ただ、祝い花の廃棄については、以前から残念に感じていたので、その課題解決の一端に携わるとても良い機会をいただいたと思っています。

F.R.:私はニュースで見聞きした程度ですが、フラワーロスが問題提起されていることは知っていました。ただ、私自身が廃棄されてしまう祝い花をどうにかできるとは一切考えが及ばず、諦めてしまっていました。なので、このプロジェクトに参加できてうれしいですし、今ではさらに活動を広げられたらと思っています。

祝い花をアップサイクルし記念アイテムとして送り届ける

──8月28日にZepp Haneda (TOKYO)で開催した22/7『西條和 卒業コンサート~存在の証明~』。そこで行なわれた『Rebloom Relay Flower』の具体的な施策を教えてください。

O.E.:『Rebloom Relay Flower』は、ファンクラブ会員向けの限定企画で、ライブ会場に贈る祝い花についてひと口3,500円(最大10口まで購入可能)で有志を募り、集まった資金でフラワーパネルを制作。会場に展示したあと、そのパネルを回収して、お花の一部をドライフラワーにしてキーホルダーに封入し、後日、出資者の皆さまに特典としてお届けするという企画になりました。

手を使って話すO.E.

22/7を卒業する西條和を“お花を贈る”ことで応援していただきつつ、フラワーロスにも配慮することができ、さらには思い出も手元に残せる企画として、ファンの皆さんから好評をいただきました。

22/7『西條和 卒業コンサート~存在の証明~』が最初の取り組みになった理由

──『Rebloom Relay Flower』の初の取り組みを、22/7で実施した理由を教えてください。

F.R.:22/7は、ほかのアイドルグループと比べても祝い花の文化が特に盛んなんです。メンバーたちもとても喜んでいて、お花を贈ってくださることに対して、いつも感謝の言葉を口にしています。だからこそ、このプロジェクトの話を聞いたとき、すぐに22/7ことが頭に浮かんで、K.H.さんに相談しました。

K.H.:ご自身でこだわりのお花を手配される方もいるいっぽうで、“祝い花を贈りたいけど、どうすればいいのかわからない”という方もいるだろうなと思っていました。

当時の状況について語るK.H.

だからこそ、ひと口いくらで誰でも気軽に参加でき、さらにそのお花がアップサイクルされる企画ということで、F.R.さんが『Rebloom Relay Flower』の話を提案してくれたときは、喜ばれるファンの方もいるのではないかと思いました。祝い花の文化がもともと根づいていたこともあり、実際にファンの皆さんも、楽しみながら参加されていた印象です。

M.Y.:想いを込めて贈った花が、形を変えて手元に戻るというのはストーリー的にも、座組としても、ファンクラブサービスとの相性がとてもいいと思いました。

また、この施策は1回で終わらせるのではなく、当然、継続して行なっていきたいという思いもあって。そのためには、経済活動と結びつけることが重要だと考え、サステナブルな活動としてビジネスの仕組みに乗せていくことも強く意識していました。それもあって『Rebloom Relay Flower』は、ファンクラブ会員向けのサービスとして立ち上げることにしたんです。

アーティストとファン、双方に意味のある取り組みにする

──プロジェクトはどのように進めていったのでしょうか。

F.R.:まず、日本サステナブルフラワー協会の皆さんとご相談して、使用するお花を選びました。今回卒業コンサートを行なった西條和のメンバーカラーは、白または黒なのですが、この2色でフラワーパネルを作るのは難しくて……。

そこで、白いお花を基調に、22/7ファンクラブ「ナナニジハウス」のイメージカラーからピンク、水色、紫を合わせ、“ナナニジハウスから西條へ”というメッセージを込めました。

茶色のニット素材のタンクトップをきたF.R.

お花の種類もこだわっていて、フラワーパネル、ドライフラワーにしたときの両方の見栄えはもちろん、ドライフラワーにしやすいかどうか、ファンの皆さんにお届けするスケジュールに間に合うかどうかなど、製造ラインとの調整も行ないました。

──ライブ会場でも、このフラワーパネルがひときわ目立っていましたね。

M.Y.:多くの方々が参加してくださったおかげで、縦180cm、横200cmの大きなフラワーパネルを飾ることができました。

Rebloom Relay Flowerで作成したボードと西條和

──西條さん本人やファンの方々の反応はどうでしたか?

K.H.:卒業コンサートのフラワーパネルがドライフラワーになり、記念品としてファンの方々の手元に残るということで、西條和本人も喜んでいました。

O.E.:取り組みの一環として『Rebloom Relay Flower』の22/7特設サイトに、賛同してくださった方々だけが見られる本人からのメッセージを掲載したのと、さらには、ライブ当日の会場にお名前(ニックネーム)も掲示しました。ファンの皆さんにとっても思い出深い施策にできたのではないかと思います。

──プロジェクトを進めるにあたって、注意した点はどこですか。

M.Y.:やはり品質管理の部分ですね。発送商品としてドライフラワーを扱うのが初めてだったので、ドライフラワーを入れるキーホルダーケースの発送方法や、ドライフラワー自体の品質管理など、細かく確認する必要がありました。そのうえで、この点については、自分たちにとって新たな知見を得られるいい機会にもなりました。

賛同してくださったファンの皆さんへ届けられた記念品

“好き”という想いをバトンにしてリレーをつなげていく

──レーベルサイドとして、今回の『Rebloom Relay Flower』に取り組んでみて、どのような展望が見えましたか。

K.H.:2025年5月に、北海道根室市との地域連携施策として『22/7 カントリーライブ in 北海道根室市』を実施しました。このときも会場にファンの方々がたくさんの祝い花を届けてくださったのですが、こうした地域でも『Rebloom Relay Flower』のような取り組みが大いにいかせるのではないかと思いました。ファンの皆さんにとっては思い出のアイテムが手元に残りますし、ご協力いただける地元の生花店の収益が上がれば地域の経済活性にもつながります。今後はファンの皆さんが個人で贈ってくださる祝い花についても、リサイクルやアップサイクルの仕組みが作れれば、さらに喜ばれる方が増えるのかなと思っています。

──プロジェクトのオーナーであるSMSサイドは、『Rebloom Relay Flower』の今後をどのように展望しますか。

M.Y.:『Rebloom Relay Flower』は、“好き”という気持ちを社会の課題解決につなげることができる取り組みだと思っています。もちろん、我々が取り組んだこの1回がそうだというわけではなく、これを続けていくことで、ファンの方々にもフラワーロスという言葉を知っていただき、それがまた新たな意識を生み出していくという意味でのつながりです。しかも、その接着剤になってくれるのが“花”というのが素敵ですよね。

というわけで、我々として、まずは、ほかのファンクラブでも成功事例を増やしていくことが目の前の課題だと考えています。

手で表現するM.Y.

そして将来的には、K.H.さんが言っていたように、活動を地方にまで広げていきたいですね。現状はスタッフや回収した花の集積場の都合上、実施エリアが限られていますが、ライブやイベントを花で盛り上げながら地域活性にもつなげていけたら最高ですね。

O.E.:今回の特典はキーホルダーでしたが、日本サステナブルフラワー協会では、シュシュやポプリなども作れるそうなので、アーティストの個性に紐づけつつ、ファンの皆さんにもっと喜んでいただけそうな特典を模索していきたいですね。

あとは、今回の取り組みで、一連のシステムが完成しているので、2回目以降は、SMS内での対応も、さらにスムーズになっていくと思います。その点をアドバンテージにしつつ、『Rebloom Relay Flower』の活動を広げていきたいですね。

F.R.:今回は22/7という祝い花の文化が根づいたグループ、しかも西條和の卒業コンサートという大きな舞台でしたが、今後は小さな規模でもコンスタントに続けられたらと思います。

例えば、ファンクラブ会員限定イベント開催時には、会場に来てもらうだけではなく、『Rebloom Relay Flower』という新たな形で参加していただくこともできるかもしれません。祝い花の文化があまりないK-POPのイベントでの活用もありかもしれない。私も、どんどん挑戦の場を広げていきたいです。

笑顔で話すF.R.

──プロジェクト名の通り“リレー”として、バトンをつないでいくことが大事になりそうですね。

M.Y.:そうですね。まずはSMSのファンクラブのメニューとして定着させ、いずれはグループ全体、他企業との連携へとより広く展開できればと思います。花を介してファンとアーティストをつなぎ、社会課題の解決につなげていく。そんなビジョンを描いていきたいと考えています。

文・取材:野本由起
撮影:干川 修

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