特集

SuchmosのYONCEとKCEEが語るアナログレコードの魅力<後編>【特集第5回】

2018.11.16

Interview

Music

SuchmosのYONCEとKCEEがアナログレコードの魅力を語るインタビューの後編。

ジュークボックスからお気に入りのアナログレコードをチョイスしてもらうとともに、彼らのアナログレコードに対するこだわりから垣間見えるSuchmosの音楽哲学を掘り下げた。

SuchmosのYONCEとKCEEが語るアナログレコードの魅力<前編>はこちら

ジュークボックスからチョイスしたお気に入りの曲たち

──今回はおふたりに7インチシングルのアナログレコードが80枚入ったジュークボックスで音楽を聴いていただきましたが、それぞれがチョイスしたお気に入りの曲を教えていただけますか?

YONCE:俺は、サーフ・インストバンド、ザ・ベンチャーズの「キョウト・ドール」かな。ああいうリヴァーヴの利いたギターインストをやってる人たちは今いないから、録音も味があって良いなと思いましたし、その他にもオーティス・レディングの「ザ・ドック・オブ・ザ・ベイ」とかボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「ノー・ウーマン、ノー・クライ」のようなリズム&ブルースやレゲエも良かったですね。

KCEE:チャック・ベリーの「ロール・オーバー・ベートーヴェン」かな。ジュークボックス時代の音楽というか、音楽からジュークボックスのイメージが浮かんでくるというか。オールディーズの映画に出てくるジュークボックスのシーンだと、みんなお洒落して踊ってて、ロックンロールやブルース、リズム&ブルースにロマンがあるじゃないですか。そういうムードが今の時代もあったらいいなって思いましたね。

──おふたりが求めているのは、体験も含め、ビジュアライズできる音楽であったり、カルチャーとしての音楽ということなんでしょうか?

KCEE:そうですね。だから、ジュークボックスは今の音楽シーンに必要なものを象徴している気がします。

YONCE:音楽とそれにまつわるアートワークやファッション、カルチャーとかって、かつては一体だったと思うんですけど、今はそういう結びつきが希薄じゃないですか。唯一、一体になっているのはヒップホップくらいかな。今はラッパーがファッションリーダーだと思うんですけど、それ意外の音楽ももっと充実したらいいなって思うんですけどね。

KCEE:60年代後半から70年代前半にかけてのアートワークは、文字のフォントからジャケットのデザインまで手書きで書いてあって、そこからアーティストとその仲間の存在が感じられるようなアルバムがあったりするじゃないですか。Suchmosでもそういうことがやりたいんですよね。

アナログレコードとの出会いとつきあい方

──ちなみにおふたりがアナログレコードで音楽を買ったり、聴くようになったりしたのはいつ頃から?

KCEE:うちは親がレコードを聴いていなかったので、レコードはもうこの世に存在しないものだと思っていたんですけど(笑)、高3の時にザ・エス・オー・エス・バンドの「テル・ミー・イフ・ユー・スティル・ケア」をレコードで初めて買って、その後、大学に入ってから友達のパーティでDJをするようになりました。

──今はデータが入ったUSBをCDJに挿してプレイするDJもいますけど、それでもレコードはDJにとって一番身近なものですもんね。YONCEさんはいかがですか?

YONCE:僕は自宅でレコードを聴ける環境を整えてからまだ2、3年なんですけど、もともと叔父さんの飲食店にレコードが沢山あってそれをよく聴かせてもらっていましたし、昔バイトしていたバーのマスターがDJをやってる人だったので、お店にあるレコードでDJをやらせてもらったりして、レコードとの付き合いは長いんです。周りにそういう環境があったので、レコードを譲り受けたり教えてもらっているうちに、気づいたら自分もレコードを集めるようになっていましたね。

KCEE:YONCEの叔父さんのセレクトは間違いないもんな。

YONCE:頼んでないのに買っといてくれますからね(笑)。

──ということは、デジタル・ネイティヴ世代のおふたりにとってはデジタルとアナログが当たり前のように共存しているわけですね。

YONCE:そうなりますね。

KCEE:欲を言えば、全部レコードで聴きたいし、車でもレコードをかけられたらいいなって思うんですけどね(笑)。自分のなかではデジタルは再生機、アナログは打楽器というイメージがあって。デジタルは決まった音が流れてきますけど、アナログは湿気だったり、その時の環境で針が少し重くなったり、レコードがちょっと歪んだりすることで聴こえ方が変わるんですよ。何せアナログというのは、溝に針が当たってる音を拾って音が鳴っているので、そこで鳴った音が音楽の流れる時間を作り出しているんだよなって。だから、そういう時間や風景が見える音楽を自分たちでも作りたいと思って、悩んだり研究したりしているんです。

──Suchmosが目指しているのは、時間を作り出し、風景を映し出す音楽なんですね。

YONCE:そうですね。格好良いっていうのはそういうことだと思うんです。わざわざレコードを探したり、わざわざ時間を作って、そうやって音楽を聴く……今の人はそういう行為を“わざわざ”って言いますけど俺たちはそう思っていないし、それこそがスタイリッシュでナウくてイケてるなと思っていて。自分が自信をもって選んだ音楽を聴いたり、はたまたジャケットだけでピックアップしたアルバムをドキドキしながら聴いたりする。俺はその何とも言えない時間にこそ自分の人生の時間を使いたいと思っているので、アナログレコードが好きだし、デスクトップで音楽をつくれる時代にマイクをいちいち立てて、バンドで録音したり、実験したりしているんです。だから俺らと同世代やもっと若い人たちも、自分たちが格好良いと思う在り方を探す時代が来たらいいなって思いますね。

──ここ最近は海外で先行してアナログ再評価の波が起こって、それに遅れる形で日本でもアナログレコードを手にするリスナーが増えているようですし、それが一過性のファッションで終わらず定着するといいですよね。

KCEE:ここ5年、10年でデジタルが主流になりましたけど、それでも本当に音楽が好きな人はアナログの良さに気づいているし、2020年、30年代の音楽シーンはまたアナログ主流の時代が来るんじゃないかなって。

Suchmosがアナログレコード越しに投げかける問い

──そして、Suchmosはアナログ・リスナーであるだけではなく、最新作『THE ASHTRAY』も今年の7月にアナログレコードでリリースしましたよね。

YONCE:今は音楽だけでなく、ファッションや何でもそうですけど、与えられたもの、押しつけられたもので溢れていて、それは自分で選んだものではないし、良いのか悪いのかも判然としなかったりして。でも今の時代、レコードを出すということは、「お前の物差しでこれを測ってみろ」という行為でもあって、そうやってリスナーに問い続けていくのが、バンドとか音楽家を志す上で大事にしていきたい部分だし、俺らにはそういう偏屈なところがあるということなんですよね。少なくとも俺らは音楽を探したり、選んだりして、そのなかから見つけた色んなエッセンスを自分たちの音楽に落とし込んで、今度はそれを知らない人たちに新しい音楽として味わわせようとしている。Suchmosではそういう行為をずっと続けているだけなので、今後もアナログを出し続けたいなっていうのはありますね。

──レコードはリスナーが試されるメディアでもありますよね。CDはバッグに入りますし、データが入ったスマートフォンはポケットに収まりますが、レコードは持ち歩くにはかさばりますからね。その点を考えただけでも購入時のハードルは高かったりします。

KCEE:そうですよね。でも俺はレコードショップに行くと、買ったレコードを袋に入れず、裸で持って帰るのが気持ち良かったりして。まぁ、自分でも恥ずかしいやつだなとも思うんですけど(笑)、「どうだ!」って感じで見せびらかすのが好きですね。

──(笑)。

KCEE:音楽をやっているなら、作品をリリースしているなら、レコードを出さないとその表現が完結しないのになって思うんですよね。極論を言えば、作品のリリースはレコードだけでいいのになって思ってるくらいなんですけど(笑)。でも一方で世界の人にも聴いてほしかったりもして。この間も知り合いから「タイの美容院でSuchmosが流れてたよ」って言われたんですけど、そういうことがあるから今はデジタルでもCDでもリリースするし、レコードでもリリースしているんです。

──色んな音楽メディアを上手く使い分けられるのが今の時代の音楽家の在り方なんでしょうね。

YONCE:だから、要は、世の中との付き合い方ということですよね。まぁでも、その上手い立ち回り方に関しては全く自信がないので、周りのスタッフさんにお任せしたいですね(笑)。

取材/文:小野田雄
撮影:VIOLA KAM

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11月24日(土)、25日(日)に、横浜アリーナにて2daysにわたって行うワンマンライブ『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA』のチケットは両日ともにソールドアウト。

2019年3月より全国アリーナツアー『Suchmos ARENA TOUR 2019』が開催決定。
オフィシャルサイトでは11月27日(火)23:59までチケットの先行予約を受付中。
https://www.suchmos.com

『Suchmos ARENA TOUR 2019』
2019年3月16日(土)静岡県 エコパアリーナ
2019年3月30日(土)宮城県 ゼビオアリーナ仙台
2019年4月6日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2019年4月20日(土)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
2019年4月29日(月・祝)福岡県 福岡国際センター
2019年5月11日(土)広島県 広島サンプラザ ホール
2019年5月25日(土)兵庫県 ワールド記念ホール
2019年5月26日(日)兵庫県 ワールド記念ホール

■オフィシャルHPチケット先行予約受付
【受付期間】2018年11月5日(月)10:00 ~ 27日(火)23:59まで

■オフィシャルHP2次先行予約受付
【受付期間】2018年12月26日(月)10:00 ~ 2019年1月10日(木)23:00まで

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