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『イナズマロック フェス 2018』2日目・雷神ステージライブレポート【特集第12回】

西川貴教が地元・滋賀に恩返しがしたいという想いから立ち上げた“イナズマロック フェス”(以下、“イナズマ”)。10回目の節目を迎えた今年は規模を拡大し、9月22日、23日、24日の3日間にわたって開催された。

2日目・23日の雷神ステージには、abingdon boys schoolTHE ORAL CIGARETTES超特急NICO Touches the WallsBiSHFear, and Loathing in Las Vegas04 Limited SazabysThinking Dogsと、“イナズマ”らしい多彩なラインナップが滋賀を熱く盛り上げた。その模様をお届けする。

■Thinking Dogs

やや曇り空ながらも、それが逆に過ごしやすい天候となった2日目。オープニングアクトを務めたのは、2014年の「イナズマゲート 2014」(“イナズマ”の風神ステージ出演をかけたオーディション)に出演し、準グランプリを獲得したことがきっかけでメジャーデビューを果たした4人組ロック・バンド、Thinking Dogs。

モノトーンの衣装でシックに統一した彼らは、爽快感のあるアップ・チューン「3 times」からライブをスタートする。続く「Are you ready?」では早くも観客がタオルを振って盛り上がり、TSUBASA(Vo.)は曲のラストで客席に向けて手を差し伸べ、何かをゆっくりと掴むような仕草でお客さんのハートを鷲掴みにする。

そしてメンバーの名前を織り込んだコール&レスポンスで自分たちの名前をしっかりとアピールすると、諦めずに走り続けることの大切さを歌った「そんな君、こんな僕」へ。心に真っ直ぐに響く言葉と、それをフレッシュなバンド・サウンドに乗せて清涼感ある歌声で届けるところが彼らの強みだろう。

最後は「僕らにとっては大切なフェスなので、最後の曲はこの新しい歌を」(TSUBASA)と、切ない片思いの気持ちを歌った最新シングル「言えなかったこと」で締め括った。

<セットリスト>
1.3times
2.Are you ready?
3.そんな君、こんな僕
4.言えなかったこと

■NICO Touches the walls

滋賀県知事の三日月大造氏が虹色の被り物をしてノリノリの開会宣言を行なった後は、今回が“イナズマ”初出演となるNICO Touches the wallsの出番。

キャリアの長さを感じさせる余裕のある雰囲気で登場した彼らは、骨太なロック・ジャムといった趣きの「mujina」、そして作曲家としても幅広く活躍する浅野尚志(Vn.)をサポートに迎えたカントリー調の軽快なナンバー「THE BUNGY」で会場を一気にノせると、去年も出演予定だったが台風のために中止になったことに触れて「今年は思いっきりリベンジしましょう」(光村龍哉 以下、光村)とハッパをかける。

そして披露されたのはもちろん「天地ガエシ」。しっかりと地面を踏みしめて歩くような、力強くも心地良いリズムが高揚感を誘うなか、サビの<響け 僕らのリベンジ>という言葉が風のように吹き抜けていく。

終盤でのカウパンクの如き盛り上がりで会場の熱気がさらに上昇すると、楽器隊のファンキーなセッションから、流れるように「Funny Side Up!」へ。光村の「音楽は何やっても自由だぞー!」という声にお客さんも思い思いのスタイルで盛り上がる。そこから壮大かつカオティックなスケール感を持つ「VIBRIO VULNFICUS」で怒涛のグルーヴを叩き出し、バンドの熱さと熟練ぶりを見せつけた。

<セットリスト>
1.mujina
2.THE BUNGY
3.天地ガエシ
4.Funny Side Up!
5.VIBRIO VULNIFICUS

■BiSH

続いてステージに上がったのは、<楽器を持たないパンク・バンド>の異名を持つ6人組アイドルグループのBiSH。1曲目の「ぴらぴろ」からステージ全体を使って伸び伸びと動く大胆なフォーメーション、ヘドバン(ヘッドバンギング)やデスボイスも盛り込んだパフォーマンスを繰り広げ、その異名の理由をライブで示す。

 

アイナ・ジ・エンド(以下、アイナ)の「イナズマロック、初めましてーっ!」という挨拶に続けて、さらに激しいサウンドの「MONSTERS」、一転して頬に両手をあてる可愛らしい振り付けで魅せたダンス・チューン「DA DANCE!!」と披露していく。

続く「プロミスザスター」は、彼女たちのエモーショナルな魅力を集約したようなナンバー。空に向けて小指を立てて星に約束するようなポーズ、アイナとセントチヒロ・チッチを中心とした力強くも切々と響く歌声、そして終盤でのアイナの天を衝かんばかりの絶唱と、目の離せない瞬間の連続だ。

そこからパンキッシュな「beautifulさ」でふてぶてしくもカッコいいところを見せると、「今日はありがとうございました! 最後はみんなでひとつになろうぜ」(ハシヤスメ・アツコ)と語って初期からの定番曲「BiSH-星が瞬く夜に-」へ。メンバー同士で肩を組んでヘドバンしたり、カメラに向かっておどけてみせたりと、エネルギッシュに駆け抜けていった。

<セットリスト>
1.ぴらぴろ
2.MONSTERS
3.DA DANCE!!
4.プロミスザスタ―
5.beautifulさ
6.BiSH-星が瞬く夜に-

■超特急

3番手の超特急は男性6人組のダンス&ボーカルユニットで、“イナズマ”には2015年以来2度目の出演となる。オープニングのメンバー紹介ムービーを経てステージに現れた彼らは、なんとT.M.Revolution「HOT LIMIT」のコスチュームを彷彿させる、それぞれのイメージカラーの色をした衣装を着用。

同曲のイントロも流れ始め「カバーするのか!?」と思いきや、途中でストップして「西川さんは僕たちにとって神のような存在なので(カバー)出来ません!」(ユースケ)と断言し、自分たちの楽曲「バッタマン」へ。ユースケが高ぶりの奇声を連発しまくって、やんちゃに盛り上げていく。

コミカルな振り付けが楽しい「SAY NO」に続く自己紹介では、メインボーカルのタカシがこの日ちょうど誕生日を迎えたという話題になり、「西川さんに全力ビンタいただきました!」(タカシ)と喜び(?)を報告。電気に痺れて白目を剥くような振りが笑える「Believe×Believe(ビリビリ)」、ユーキがアクロバティックなダンスで見せ場を作った「We Can Do It!」と、目で見ても耳で聴いても楽しめるのが彼らのライブの魅力。

タオル曲「浮つきWAVES」で会場に一体感を作り出すと、最後はバッテンポーズで激しくジャンプしまくる「Burn!」の体当たりパフォーマンスで元気いっぱいに出番を終えた。

<セットリスト>
1.バッタマン
2.SAY NO
3.Believe×Believe(ビリビリ)
4.We Can Do It!
5.嘘つきWAVES
6.Burn!

■04 Limited Sazabys

続く04 Limited Sazabysは、これが4回目の“イナズマ”出演。まずは挨拶代わりとばかりに「swim」の疾走感溢れるサウンドとハイトーン・ボイスで会場のボルテージを引き上げると、さらに「もっといいところへワープ!」(GEN)と「Warp」を畳みかける。

MCで「実は我々も10周年なので“イナズマ”とはマブダチのつもりでしゃべります」と語るGEN(Ba./Vo.)は、そもそも小学1年生の頃に「西川さんになりたい」と思ったことが音楽にめざめたきっかけだという。そして「憧れのあの人にこの歌を捧げます」と歌ったのは「My HERO」。西川のこれまでの活動と縁が“イナズマ”というフェスを特別なものにしているのだ。

さらに「Remember」を一分足らずの時間であっという間に演奏すると、起爆力満点の激走メロディック・チューン「fiction」を投下。洗練されたメロディーと衝動的な演奏で観客を興奮させる。

そこからどこか妖艶な雰囲気の「mahoroba」を挿み、「音楽はいつだってみなさんの味方」(GEN)と「Squall」で自分自身に迷っている人たちに心強いメッセージを贈る。

ラストは「monolith」でどこまでも前のめりに突っ走り、歌詞の一節を<平成最後のイナズマのステージ!>と盛り上げて全力疾走。客席の一部ではサークル(観客がみんなでグルグルと回る行為)も巻き起こるほどの熱狂ぶりだった。

<セットリスト>
1.swim
2.Warp
3.My HERO
4.Remenber
5.fiction
6.mahoroba
7.Squall
8.monolith

■Fear, and Loathing in Las Vegas

トランス風のド派手なSEとともに登場したのは、2017年に続いての“イナズマ”参戦となるFear, and Loathing in Las Vegas。Soの「はじめから全力で行こうぜー!」という言葉どおり、1曲目の「Return to Zero」からハードコアやメタル、エレクトロの要素が混ざり合ったサウンドと、SoとMinamiのスクリームを含むツイン・ボーカルで盛大にぶっ放す。いきなり側転するなど、やたらと忙しないMinamiの動きには目を奪われるばかり。

緩急の効いた「ThunderClap」に続けて「今年も滋賀のみんなに会えてうれしいです」(So)と挨拶したあとは、カンフーっぽい振りから始まる「Keep the Heat and Fire Yourself Up」。一瞬たりとも気を緩めない気迫のステージが続く。

ヘドバンやラップパートなど山場が盛りだくさんな「Let Me Hear」に続いては、MCでSoはあらためて、1日目の西川貴教のステージでコラボしたことに触れ、「リハーサルでもものすごく優しくて、人としての大きさを感じました」と語る。

そんな西川への感謝の気持ちを込めて演奏された「Party Boys」は、チップチューン風の8ビット・サウンドからメタルコアへとギアチェンジするパーティー・ロック。フロントふたりの体操みたいなハンズアップの振りに合わせて観客の身体も自然と動く。日が沈むロケーションにもハマった最後の「The Sun Also Rises」まで、全身全霊のステージを見せてくれた。

<セットリスト>
1.Return to Zero
2.ThunderClap
3.Keep the Heat and Fire Yourself Up
4.Let Me Hear
5.Party Boys
6.The Sun Also Rises

■abingdon boys school

そして、西川がボーカルを務めるロック・バンド、abingdon boys school(以下、a.b.s)がついに“イナズマ”に帰ってきた。彼らがライブを行なうのは実に6年ぶりのこと。「DESIRE」のオープニングSEに導かれて登場したバンドは、西川の「久しぶり、ほな行こか!」との言葉を合図に「STRENGTH.」からライブを始める。

「与えられた時間は30分、食らいつくぜー!」と、いつにも増して獰猛な煽りを挿み、次の「HOWLING」ではラストで強烈なシャウトを披露。MCで「もし帰ってくるならこの場所しかねーと思ってたんだよ!」と語って観客を喜ばせると、鉄板曲の「JAP」では柴崎浩(Gt.)やIKUO(Ba.)もステージ前面に出てきて熱いプレイを聴かせ、バンドらしいステージで会場をロックする。

さらに西川はここでMICRO(HOME MADE 家族)をステージに呼び込み、ヒップホップ色の強いミクスチャー・ロック「LOST REASON」でコラボ。MICROが“イナズマ”への想いを即興で入れ込みながら、コール&レスポンスで観客のバイブスを上げていく。

 

続いて西川は、曇りのため夕焼けを見ることなく暗くなってしまった空を指して「本当は夕暮れのなかでこの曲を聴いてほしかったんですけど、このステージの照明が俺たちの夕日です」と語り、夕暮れに背中を押されて前へ進む歌「From Dusk Till Dawn」を熱唱する。

続いてa.b.s.最後のナンバー「キミノウタ」が始まったのだが、西川は1番のAメロの途中で顔を伏せて、歌えなくなってしまう。久々のa.b.s.のステージ、10回目を迎えた“イナズマ”――それらの環境のなかで、きっとさまざまな想いがその胸に去来したのだろう。

サビで顔を上げて歌おうとするも、再び俯く西川。だが、観客の歓声や歌う声に押されてか、2番以降ではしっかりと顔を上げ<キミのために この命を捧げよう>と歌い、最後は客席に向けて手を伸ばし、想いを届けた。

<セットリスト>
1.STREANGTH.
2.HOWLING
3.JAP
4.LOST REASON
5.From Dusk Till Dawn
6.キミノウタ

■THE ORAL CIGARETTES

2日目のトリを務めたのは、若手バンドのなかでも今もっとも勢いのある存在と言えるTHE ORAL CIGARETTES。彼らは2013年の風神ステージで“イナズマ”に初参加、2016年、2017年には雷神ステージに立ち、今回が初のトリとなる。

まずは山中拓也(Vo./Gt. 以下、山中)の妖艶なファルセットや、ステージのイナズマ形の舞台装置がカラフルに点滅する照明演出が印象的だった「カンタンナコト」で独自の世界を広げると、オリエンタルなリフが炸裂する「What you want」、サビで観客の大合唱が巻き起こった「容姿端麗な嘘」と続ける。

「俺ら今年最後の夏フェスなんです。今夜はここに楽しいだけじゃなく、負の感情も全部置いていきたいと思います」と語った山中。次の「DIP-BAP」では冒頭をアカペラでエモーショナルに歌い上げ、途中で感極まって「感動がヤバすぎやろ」とつぶやく場面も。

その後のMCで山中は「最初はアウェイに感じていた“イナズマロック”も、今は本当に暖かいホームに感じています」と気持ちを伝える。昨年、台風で中止が決まった後、西川と話をして悔しい思いを共有したこと、そして今年、「俺らみたいな若造を2日目のトリにしてくれた西川さんの懐の深さ」――そういう想いを込めて、今度は手を取り合って歩む歌「トナリアウ」を届ける。

そこから「フィナーレを作っていこうぜ!」(山中)と吠えて、ワイルドさを増した「BLACK MEMORY」、まさに狂乱のステージを生み出した「狂乱 Hey Kids!!」とアッパーなナンバーを畳みかける。

そして「(トリを務めることについて)正直すげえプレッシャーやったかも。でもやっぱ“イナズマ”ってえーな!」(山中)と喜びを爆発させた彼らは最後に「Everything」を披露。終盤の<全て君が居たから>というフレーズが心に刺さる。

アンコールでは「俺の大好きな兄貴を呼んでいいですか?」(山中)と西川を迎えて、彼らが今年「ReI project」を通じて無料配信した楽曲「Rel」をコラボ。東日本大震災の現場を目の当たりにしたことがきっかけで生まれたこの楽曲、<天変地異なんて起こるわけがない そんな気がしたのか? あの日僕は あぁ いつかあの場所に帰れたらいいな 届くかな君にも 空はまだ青色だから>という言葉は、2年連続で天候不順により中止になった“イナズマ”のステージで特別な意味を持って響く。最後はバンドのメンバー全員が西川と熱く抱き合い、先輩と後輩の深い絆を結んで大団円を迎えた。

<セットリスト>
1.カンタンナコト
2.What you want
3.容姿端麗な嘘
4.DIP-BAP
5.トナリアウ
6.BLACK MEMORY
7.狂乱 Hey Kids!!
8.Everything

-ENCORE-
9.Rel

特集第13回目は、3日目・24日の雷神ステージの模様をお届けする。

特集バックナンバー

特集1回目 西川貴教が10年を語る<前編>
特集2回目 西川貴教が“イナズマ“の魅力と今年の見どころを語る<後編>
特集3回目 スタッフが語る舞台裏
特集4回目 「風神」ステージを徹底解剖
特集5回目『イナズマフードGP 2018 in 草津』の実食レポ!
特集6回目 ファミリーでも楽しめる「龍神」ステージご紹介
特集7回目 UVERworld TAKUYA∞がイナズマへの想いを語る
特集8回目 22日雷神ステージ出演アーテイストからのコメント
特集9回目 23日雷神ステージ出演アーテイストからのコメント
特集10回目 24日雷神ステージ出演アーテイストからのコメント
特集11回目 1日目・22日の雷神ステージライブレポート
特集13回目 3日目・24日の雷神ステージライブレポート
特集14回目 フリーエリアをレポート!
特集15回目 グランプリ“ソウルズ”の初めての“イナズマ”に密着!
特集16回目 西川貴教が『イナズマロック フェス 2018』を振り返る<インタビュー前編>

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