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西川貴教が『イナズマロック フェス 2018』を振り返る<インタビュー後編>【特集第17回目】

西川貴教が地元・滋賀に恩返しがしたいという想いから立ち上げた“イナズマロック フェス”(以下、“イナズマ”)。10回目の節目を迎えた今年は規模を拡大し、9月22日、23日、24日の3日間にわたって開催された。

特集第17回は、西川貴教による『イナズマロック フェス 2018』振り返りインタビュー後編をお届けする。

“イナズマ”への想いを噛みしめた最終日

――“イナズマ”振り返りインタビュー後編、まずは最終日のステージを振り返っていただきたいと思います。

西川:この日は、THE RAMPAGEもHYもENDRECHERIも、前回出演がかなわなかったみんなが集まってくれた日というのもあって、感慨がひとしおでしたね。アキラ100%も東京ダイナマイトもそうですしね。ここ3年ほどの“イナズマ”への想いをグッと噛みしめるような一日でした。

――Sonar Pocket、BLUE ENCOUNT、KEYTALKと、それぞれ個性的な顔ぶれが会場を沸かせてくれましたね。

西川:ソナポケは“イナズマ”において貢献度の高いアーティストですよね。ブルエンは、フェスにはたくさん出演しているバンドですが、“イナズマ”は他のフェスとは少し雰囲気が違う。だから、どんな感じになるんだろう? と気になってステージ袖で観ていたら、曲が進むにつれて肩の力が抜けるというか、どんどん良くなっていくのが分かりました。また来てもらいたいですね。

そのブルエンからKEYTALKという流れも良かったですよね。KEYTALKももちろん若手ではありますが、しっかりしたパフォーマンスと楽曲とでお客さんを引き込んでくれました。この良い流れをもっと早い段階の“イナズマ”で観てもらいたかったと思ったほどハマっていましたね。

――そして、去年が初出演の予定だったHY。

西川:これだけのライブバンドが続いた後に、沖縄の独特な雰囲気やバラードが印象的なグループがどんなアプローチをするのかな?と気になっていたんですけど、面白かったですよね!強烈にお客さんを煽ってからシレッとバラードにいける仲宗根さんのパワー、すごかった。

――曲もMCも独特のHYワールドに引き込まれました。

西川:良い意味での“我関せず”でしたね。その流れで登場したENDRECHERIがまた独特で(笑)。8分を超える曲もあってビックリしましたね。でも、(堂本)剛は自分の表現を貫いていて、すごいなと思いました。

――ステージが終わってから堂本さんとお話しする機会はあったのですか?

西川:話しました! 剛の耳のことを第一に考えてフィナーレに出てもらうことは避けたんですが、終演までずっと残ってくれていたんです。それがすごく嬉しかったですね。とても楽しんでくれたみたいで、後日改めて長いメールをもらいました。

――そして、最後はT.M.Revolution。女性ダンサーさんたちとのパフォーマンスもインパクトがありました。

西川:一貫して「“イナズマ”は自分のフェスじゃない」と言ってきた僕が、ここでT.M.Revolutionとしてやるべきことはあの形だと思ったんです。熱心なファンの方のなかには、こういうところだからこそ、みんなでガーッと一緒に盛り上がるライブを期待してくれていた気持ちも分かるんですけどね。それは自分のライブでやればいいんじゃないかなと。

僕はこういうイベントに出る時は常に、“T.M.Revolution、初めて観るけどどんな感じ?”っていう、他のアーティストを観に来た方たちに“こういうのを観たかった!”と思ってもらえるものを観せたいんですよね。西川として1日目、2日目にはコンパクトでタイトなバンドスタイルを観てもらえたと思うので、3日目のT.M.Revolutionではめいっぱい扉を開いて、幅広い世代の方に分かりやすく、かつゴージャスなエンタテインメントとして楽しんでもらう。そうやって差別化したかったんです。

――ダンスありの華やかなパフォーマンスとバンドの融合を観られるのは貴重ですね。

西川:実は、ダンサーの方たちとのパフォーマンスは、去年の“イナズマ”2日目で披露しようと準備していたんです。去年の5月にさいたまスーパーアリーナで行った20周年記念のライブでしか実現していなかったので、“イナズマ”でも観てもらいたかったんですよね。

さいたまスーパーアリーナ公演はもう映像化されているので、さいたまで観られていない方にとってももう新鮮な印象はなかったのかもしれないですけど、僕としては、あのスタイルでもっといろんなところでやりたいという気持ちがあったんです。

それに、さいたまではダンサーだけでしたけど、バンドとミックスした形としては今回が初めてだったんです。ステージにめいっぱい人が乗っかっている状態でしたけど、とにかく2年越しのパフォーマンスができてほっとしました。去年、出演がなくなったダンサーたちは、京都旅行をして帰ったと言っていましたから(笑)。

感動のフィナーレの舞台裏

――フィナーレはかなり急いでいたようでしたが、何か起こっていたんでしょうか?

西川:最終日は、本編が終わったら一回ステージから下がって、フィナーレはみんなで出たいという気持ちがあったんです。THE RAMPAGEをはじめ、みんな残ってもらえるように準備してもらっていたんですが、それぞれスケジュールの都合で早く会場を出ないといけない。本来であればひと組ずつ呼び込んで、みんなからひと言ずつもらって曲にいきたかったんですけど、それをやっていると間に合わなくなる。

実はT.M.Revolutionの出番ギリギリまでどうしようと考えていて、直前に「全部巻くから、みんなに待っててほしい」とお願いしてからステージに出ていったんです。その結果、MCとアンコールをほぼカットして、あのフィナーレに辿り着いた。

10回目ですし、語りたいことや説明したいことはたくさんあったんですけど、それはお見せしたものでみなさんが汲み取ってくださるだろうと思って判断しました。ギリギリのスケジュールのなかでもみんなが残ってくれた、その気持ちに応えたかった。だから、みんなが本当に嬉しそうな顔をしてくれていて、僕も嬉しかったです。

――そういうことだったんですね。“イナズマ”には欠かせない存在のMICROさんや土屋礼央さんもとても良い表情で、これまでの重みを感じました。

西川:去年、一昨年と、雷雨と台風で二年続けて完遂することができなくて。もちろん悔しい気持ちでいっぱいで、本来起こってほしくないことですけど、それがニュースになったことで“イナズマ”が全国区になって注目を集めることになったのも事実。

実際、ここ2~3年、特にフリーエリアの動員の伸びが尋常じゃないんです。あのエリアで補い切れる限界っていうところまで大きくなった。そんな最中での10回目、初めての3日間開催。トータル15万人の方が3日間来てくれて、3年越しにイベントのフィナーレを迎えることができました。

例えるなら3巻セットの本ですかね。3冊読むと全体を通して続きものにはなっているんだけど、一つひとつが読み切りの物語として成立していて、それぞれものすごく感動できる。こんなに良くできた“イナズマ”はなかったなと思います。

今後の“イナズマ”への想い

――表も裏も、来られた方々にもたくさんの物語があったと思います。では、今後の“イナズマ”について、今どんな気持ちがありますか?

西川:10回目ってすごく大きい目標になっていたなと改めて感じました。それに加えて、この感動的な3日間だったので、まるで「目的地周辺です。運転お疲れさまでした」(カーナビの音声のモノマネで)って言われた感覚なんです(笑)。

だから、すぐに次の目的地をナビ入れてどこかに行く! という気持ちにもならなくて……。でも、深く考えずに成り行きでもう2~3年やってから、“もう、ちょっとしんどいかな”っていう風にしたくはないです。もう少し落ち着いてから考えた上で、“やるならやる!”として続けていきたい。極端な話、僕は歌わずに“開会宣言だけしに来ました”という状態になってもイベントとして成立する。みんなでそれくらいのイベントにしていけるなら続けていく意味がある、と今は考えています。

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