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連載Cocotame Series

キャラクタービジネスの心得

スヌーピーとチョコレートで広げたい、日本の贈り物文化【前編】

2019.12.25

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10月に、京都の清水坂と嵐山にオープンした、スヌーピーのチョコレート専門店『SNOOPY Chocolat』。前回、店舗を運営する株式会社 寺子屋(以下、寺子屋)の副社長・海蔵昭成氏と、『ピーナッツ』の国内エージェントとして関わるソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)の関恭子に、出店の経緯とキャラクターライセンスビジネスについて話を聞いた。

今回は、『SNOOPY Chocolat』起ち上げの中心となったキーパーソン4名、寺子屋の嶋津 健氏、近藤和也氏、小川洋子氏、そして外部デザイナーとしてプロジェクトに携わった白石佑佳氏に、具体的にどのように『SNOOPY Chocolat』のプロジェクトが進んでいったのか、それぞれの立場から語ってもらう。そこには全国の観光地で、その土地ならではの土産物=贈り物を企画し販売する、寺子屋ならではの取り組みがあった。

『SNOOPY Chocolat』の情報はこちら

  • 近藤和也氏

    Kondo Kazuya

    寺子屋

  • 白石佑佳氏

    Shiraishi Yuka

    デザイナー

  • 小川洋子氏

    Ogawa Yoko

    寺子屋

  • 嶋津 健氏

    Shimazu Ken

    寺子屋

プロが考える“売れる”チョコレートの作り方

──『SNOOPY Chocolat』のプロジェクトは、寺子屋 社長・海蔵講平さんが、インバウンド需要の高まりからチョコレートの専門店にビジネスチャンスを見出し、さらに『ピーナッツ』のキャラクターとコラボレーションすることで、より多くの人に専門店ならではの味を届けられると考えられたことがきっかけで始まったと伺いました。まずはどのような取り組みから始められたのでしょうか。

近藤:社内から事業推進の嶋津、企画の近藤、デザイナーの小川の3名が集められ、プロジェクトチームが発足しました。その後、SCPからご紹介を受け、外部デザイナーとして、白石さんにもチームに参加していただき、この4人が中心となってプロジェクトを進めることになりました。

嶋津:テイクアウトフードを多く担当してきた私と、雑貨やフードのお土産を担当してきた近藤、クリエイティブ面を担当する小川と、『SNOOPY Chocolat』のロゴから店内装飾に至るまで、多くのデザインを手掛けてくださった白石さん、という役割分担の下で、まずは各自の経験からアイデアを出し合うことから始めました。といっても、私たちだけで作っていったわけではなくで、他の社員も含めたチーム全員で、ブレストを重ねながら作り上げていきました。

──SCPより「チョコレート専門店なら、味も見た目も本格的なチョコレート」という提案があった際には、すぐにコーディネーターとしてショコラティエを迎えられたそうですね。

近藤:スヌーピーとのコラボレーションでチョコレート専門店をやりたいという我々の意志は強かったのですが、味も見た目も本格的なチョコレートとなると、寺子屋としては初めて手掛ける商品で、ほぼゼロからのスタートとなります。そこで外部からチョコレートの専門家をお呼びして、アドバイスをいただきながら商品作りをスタートさせました。

──チョコレートのプロフェッショナルの方たちとは、どのようにしてつながりができたのでしょうか。

嶋津:日頃からお付き合いさせていただいているメーカーや工場の方々からご紹介いただきました。正直、我々自身に全くツテがなかったので、本当に有難かったです。

実際、ショコラティエの方には、チョコレート作りのプロセスから、今、どういった商品にニーズがあり、何がトレンドかというマーケティング、さらにはチョコレートのサイズ感や食べやすさといった商品としてのディテールまでコーディネートしていただいています。その道のプロならではのアイデアやノウハウが詰まっていて、お願いして正解でした。

近藤:チョコレートについては専門家をお招きすることで商品開発が進みましたが、もうひとつSCPの皆さんから大きな課題をいただきました。それは「寺子屋にしかできないこと」です。『ピーナッツ』のチョコレート商品は他のライセンシーでも手掛けているので、寺子屋の独自性をどこに出すか? 我々も“寺子屋らしさ”を発揮できなければ、このプロジェクトをやる意味がないと感じていたので、社内で徹底的に議論しました。その結果、出てきた答えが「和のテイスト」です。日本各地の観光地に販路があり、土産店を経営しているという弊社の強みを具現化した案ですね。

──このプロジェクトはどれくらいの時間がかかっているのでしょうか。

近藤:最初の提案からは1年強くらいです。実働期間はもっと短いですが……。

嶋津:この短期間で、オープンを迎えられたのはメーカーや工場の方々など皆さんのご協力のおかげです。社内においても社長をはじめ、みんなの強い思いがあったから実現できたと思います。

近藤:それと、「ピーナッツ」に関する深い造詣と経験を持っていらっしゃる白石さんが参加してくださったのも、本当に大きかったですね。

ロゴデザインは猪目=ハートマークがヒントに。そこから生まれた商品テーマ

──デザイナーの白石さんは元々SCPで働いていて、「ピーナッツ」関連の仕事をされていたそうですね。白石さんは、どのタイミングで参加が決まったのでしょうか。

白石:昨年の12月のミーティングに参加したのが最初ですね。私はSCPを退社してからフリーランスのデザイナーとして仕事をしていたのですが、昨年の夏、家族で関西に引っ越しまして。『スヌーピーショコラ』の話が立ち上がったときに、SCP時代にお世話になった先輩の方が、SCP出身のデザイナーが関西にいるとご紹介いただいたのがきっかけでした。

小川:SCPご出身というだけでなく“『ピーナッツ』に関するリテラシーが非常に高いデザイナーさん”をご紹介いただきました。

白石:先輩方には全くかなわないですけどね(苦笑)。それで、寺子屋の皆さんにお会いすることになり、「まずはロゴの作成から」ということでスタートしました。ロゴ制作にあたり、SCPの先輩からは「和モダンな雰囲気に、スヌーピーの世界観を取り入れてみては?」とアドバイスをいただいて、ロゴを何案かご提案しました。

──『SNOOPY Chocolat』のロゴは、和風の文様のなかに、スヌーピーがにっこりと顔を出しているのがかわいいですね。

白石:京都にオープンするので、関連の文様を調べていくなかで、社寺仏閣でよく目にする猪目(いのめ)というデザインと出会い、惹かれたのがきっかけです。特に2019年は亥年で、ロゴをご提案するタイミングがちょうど年明けだったということもあり、縁を感じたのも理由のひとつです。周りにはチョコレートの原材料であるカカオをモチーフにした七宝文様(人の縁を繋ぐとされる縁起の良い文様)とカカオのシルエットを取り入れ、ハート形の猪目文様からスヌーピーがのぞいている絵柄になりました。

──「ピーナッツ」の世界観とはどのように結びつけていったのでしょうか。

嶋津:思いつきの部分も多かったのですが、白石さんのデザインからインスピレーションをいただいてイメージを膨らませました。まず、ハート形の猪目模様を見たときに、「愛」や「恋」というテーマが頭に浮かび、「ピーナッツ」のコミックスにも「恋」のエピソードが多いのでぴったりだなと。また、猪目模様を4つ並べたらクローバーになるというアイデアが出てきて、それなら4つのテーマを考えようという意見にまとまりました。そこから、「恋」「友情」「家族」「小さな幸せ」というテーマが生まれました。

七味や日本酒といった一見奇抜なフレーバーもちゃんと美味しい

白石:私は、『ピーナッツ』コミックの膨大なエピソードのなかから、テーマに沿ったコミックをピックアップして、商品やお店の装飾などにデザインとして落とし込む作業にかかりっきりになりました。それはちょっと気の遠くなるような作業で、今年のゴールデンウィークはコミック漬けでしたね(笑)。私からたくさんご提案して、そのなかからよりフィットするものを寺子屋の皆さんに選んでいただきました。

──小川さんは具体的にどのようなお仕事を担当されていたのですか?

小川:私は今年の5月、プロジェクトがスタートしてから半年過ぎたあたりで参加しています。社内デザイナーなので、普段は商品やお店のデザインを担当しますが、今回は土台となるデザインができている状況だったので、基本的なものは全て白石さんにお任せして、私はご提案いただいたなかから自社の展開に合うものをセレクトしたり、商品を作っていただくメーカーの皆さんと社内との調整などを行なっていました。

白石:小川さんは、デザイン案を提出するたびに「かわいいです」って褒めてくださるので、数は多かったのですが、途中でくじけることなく最後までやり切れました。

小川:パッケージデザインも店内装飾も本当にどれもこれもかわいくて! 寺子屋にはなかったテイストのデザインに仕上げてくださったので、私自身もすごく勉強になりました。

──チョコレートのフレーバーはどのようにして決まっていったのでしょうか。

近藤:ショコラティエの方と相談しながら進めました。タブレットチョコレートは基本として、味にバリエーションが出せて、ショウケースに並べたときのインパクトもあるボンボンショコラも必要だね、という流れでした。



味についても和のテイストを盛り込みたかったので、ほうじ茶や日本酒、わさび、七味といったフレーバーもラインナップしています。一見奇抜なフレーバーと思われるかもしれませんが、ショコラティエの方が、絶妙なバランスで味を調えてくださっているので、ぜひお試しいただきたいですね。

──白石さんは、今回初めて寺子屋のプロジェクトに参加されていかがでしたか?

白石:大変でしたよね?

一同:(笑)。

白石:正直、ここまで深く関わらせていただくとは思っていなくて。いざ参加すると、“いつまでに、これとこれをやらなければいけない”というようなことが、荒野のように広がっていました。全員が手探りのなか、これが必要だとなると、みんなで集中して考える。ひとつが終わると、次はこれ! という風に、次から次へと決めなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことをクリアしていきましたね。私自身は、パズルで一つひとつのピースをデザインしている感覚で、最終的な完成形は見えていなかったのですが、お店も商品も素晴らしいカタチにまとめていただいて、本当にうれしかったです。

今『SNOOPY Chocolat』で買えるチョコレート商品を全てチェック!

スヌーピーのチョコレート専門店『SNOOPY Chocolat』には、ここでしか買えないスヌーピーのチョコレートがあるのはもちろん、チョコレートを頂いた後も楽しめるスヌーピーグッズも販売している。清水坂店と嵐山店、それぞれの限定色・柄もあるので、京都を訪れた際には両店ともにチェックしたい。

ここでは、チョコレート商品のラインナップをご紹介しよう。

タブレットショコラ
各¥1,200円

約18,000本ある「ピーナッツ」のコミックのなかから、「恋」「友情」「家族」「小さな幸せ」の4つのテーマでエピソードを厳選し、4枚のチョコレートそれぞれに1コマずつプリントが施されている。「スヌーピーミュージアム」で、シュルツさんが描いた「ピーナッツ」の原画を初めて見た際、思ったより大きくて驚いたのと同じように、チョコレート1コマのサイズも意外と大きく、絵柄もセリフもしっかりと堪能できる。

同梱されるリーフレットには、谷川俊太郎氏による日本語訳付きなのでご心配なく。相手を思う気持ちは、しっかり大切な人に届くはずだ。フレーバーは「ミルク」「キャラメル」「抹茶」「ストロベリー」「ハイカカオ」「ほうじ茶」「紅茶」「柚子」8種。

■テーマ「恋」

■テーマ「友情」

■テーマ「家族」

■テーマ「小さな幸せ」

タブレットショコラ PEANUTS生誕70周年記念パッケージ
各¥1,200

1950年に新聞7紙で連載がスタートした『ピーナッツ』は、2020年に生誕70周年を迎える。清水坂店と嵐山店では、70周年限定デザインのタブレットショコラが登場。味はどちらも「スイート」だが、店舗ごとにコミックの絵柄が異なるので、こちらも要チェックだ。アニバーサリーイヤー限定発売なのでお見逃しなく!

ボンボンショコラ
¥1,200(3個セット)、¥2,300(6個セット)、¥3,400(9個セット)

香り高きチョコレートに、抹茶やほうじ茶、わさびなど、日本が誇る和の食材、そしてフライングエースやジョー・クールなど、ユーモアを交えた愛らしいスヌーピーの絵柄がデザインされた豪華なチョコレート。味は「ナチュール」「抹茶」「ほうじ茶」「わさび」「日本酒」「キャラメル」「きなこ」の他、清水坂限定フレーバーに「白味噌」、嵐山限定のフレーバーに「柚子」があり、各店限定のスヌーピー型チョコレート(ホワイト・清水坂限定/ビター・嵐山限定)も入っている。

タブレットショコラ-ジャパン-
各¥700
全7種セット¥4,200

ハート形のチョコに、スヌーピーと和の食材がデコレーションされている、見た目にも華やかな一品。商品名にジャパンとある通り、柚子、抹茶&ごま、ほうじ茶&黒豆、紫蘇&ストロベリー、あずき、わさび、七味のような和のフレーバーが揃っている。

ほうじ茶&黒豆、紫蘇(シソ)&ストロベリー、七味といった意外なフレーバーもあるが、スタッフ間でも「意外な組み合わせほど、食べてみたらおいしかった!」との声も。

チョコレートもなか
¥600(2個入り)、¥1,500(6個入り)

『SNOOPY Chocolat』のロゴマークの形をしたかわいいもなか。パリパリっとした香ばしいもなかに、濃厚なチョコレートペースト(ミルク/抹茶)が詰まっている。京都らしい、紙の箱のパッケージが大人の雰囲気。



クランチチョコレート
¥1,500

スヌーピーの缶に入ったザクザク食感のチョコレート。食べた後は、かわいい缶を小物入れなどに使えるのでお土産としても喜ばれること間違いなし。紫蘇&ストロベリー、抹茶、きなこ(清水坂限定)、ほうじ茶(嵐山限定)の4種類。

チョコレート・ラングドシャ
¥1,000

お店のロゴがプリントされたサクサク食感のクッキーに、スイートチョコレートとホワイトチョコレートをサンド。家族や会社など、人が集まる場所のお土産に。

レリーフチョコレート
¥650

『SNOOPY Chocolat』のロゴマークから飛び出した、おどけた表情のスヌーピー。バッグ型のパッケージもかわいい。ホワイトチョコ&ミルクチョコ、ホワイトチョコ&ストロベリー、ホワイトチョコ&抹茶の3種類。

SNOOPY Chocolatテイクアウトメニュー

嵐山店および清水坂店共にテイクアウトメニューが充実。特に清水坂店には店内奥にイートインスペースがあり、インスタ映えするスポットもあるので、かわいいスヌーピーのジェラートやドリンクをいただきながら、思う存分記念写真を。

こだわりジェラート
¥530(シングルコーン)、¥730(ダブルコーン)、¥500(シングルカップ)

これを食べるためだけにでも、立ち寄ってほしい! と思うほど、絶品のジェラート。おすすめは、コミックにも登場する「ミルクショコラ」と「バニラ」の組み合わせ(写真左)。カップは「ミントショコラ」。その他「ビターショコラ」「宇治抹茶ショコラ」「ほうじ茶ショコラ」「柚子ショコラ」「クッキーショコラ」がある。全8種。スヌーピーの顔型チョコレート付き。

季節のチョコレートドリンク(ホット/アイス)
各¥500

リッチな味わいのチョコレートドリンクに、季節ごとに変わるフレーバーがトッピングされている。

レザーカップスリーブ
¥1,000

ホットのテイクアウトドリンクを持ち歩く際に便利なスリーブ。革製なので使えば使うほど味が出てくる。また、環境に優しいサステイナブル素材なのも魅力。テイクアウトコーナにて販売。

後編につづく

文・取材:新谷麻佐子
撮影:篠田麦也(物撮り)/冨田望(取材)

SNOOPY Chocolat

SNOOPY Chocolat 清水坂店
京都府京都市東山区清水2-252
営業時間:9:30~18:30
電話番号:075-708-3728

SNOOPY Chocolat 嵐山店
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町22-3
営業時間:10:00~18:00
電話番号:075-366-8778

公式サイトはこちら(新しいタブで開く)

© Peanuts Worldwide LLC

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