ザ・リーサルウェポンズ:突如として現代に降臨した、80年代リスペクトのふたり組バンド
2020.09.28
今、注目すべき旬のアーティストにスポットを当て、最新インタビューとプライベートショットで素顔に迫る新連載「Eyes on」。
第3回は、8月19日にEP「ハミダシモノ」で歌手としてソロメジャーデビューを果たした楠木ともり。声優の活動と並行して本格的に音楽活動も行なっていくことになった彼女に、自作曲の制作秘話や音楽への想いを聞いた。
楠木ともり
Kusunoki Tomori
1999年12月22日生まれ、東京都出身。声優、歌手として活動中。TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』(主役・レン)、『遊☆戯☆王SEVENS』(霧島ロミン)、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(優木せつ菜)などに出演。2020年8月、自身がヒロインを務めるTVアニメ『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』のEDテーマ「ハミダシモノ」にてSACRA MUSICよりソロメジャーデビューを果たす。
──まずは、楠木さんの音楽に関する原体験について伺わせてください。いつごろから音楽を聴かれていましたか?
両親や姉の影響もあり、物心がつく前から音楽が身近にある生活を送ってきました。色々なジャンルの音楽を自然と聴く環境でした。そのなかでも小さいころから聴き始めて、未だに大好きなのはBONNIE PINKさんです。自分で音楽を積極的に聴くようになってからは、酸欠少女さユりさん、ハルカトミユキさんなど影響を受けています。
──今挙げていただいたアーティストの方々のどういったところに惹かれたのでしょうか?
BONNIE PINKさんは本当に幼少期から聴いていて、歌声、歌詞、曲調含めた全体的な雰囲気が大好きです。
それと酸欠少女さユりさんとハルカトミユキさんは、特に歌詞の世界観に惹かれます。どちらも言葉だけで捉えるとネガティブな内容でも、誰かを支えようという想いがしっかりと表現されていて、聴いた後にポジティブな感情になれたり、まるで自分のことを歌われているような気持ちになったり、すごく生々しい感覚を覚えました。心の奥深くに刺さるような曲を歌う方々もいるんだと強く衝撃を受けたので、私の作詞・作曲活動においても大きな影響を受けています。
──楽器を学んだり、人前で披露するなどといった音楽活動はされていましたか?
3歳のときからピアノを習っていました。ただ当時は、習い事というよりも、好きなものに触れている娯楽的な感覚の方が強かったと思います。そのあと小学生になってからは金管楽器、高校生になってからは軽音楽部でキーボードを弾きながらボーカルを担当して、音楽にはずっと触れていました。
──学生のころからプロの音楽アーティストになりたいという気持ちはありましたか?
もともとは声優になりたい気持ちのほうが強かったです。母の薦めで一度声優オーディションを受けてみたことがあるのですが、当時は演技の勉強を全くしていなくて、あっけなく落選しました。そこで自分の実力不足を痛感して、声優の夢を諦めようとしていた時期もありました。
でも、アニメに携わる仕事がしたいという気持ちはどうしても諦められず、色々と考えるなかで、TVアニメのオープニングやエンディングを歌うアニソン歌手になるのも、アニメに携わるひとつの方法だなと思いました。それなら自分の音楽の経験も活かせるのではと思い、歌手志望でソニー・ミュージックアーティスツ(以下、SMA)のオーディションを受けました。ただ、一次、二次とオーディションが進むなかで、声優のお仕事をしたいという思いが再燃してきて、できれば歌手としてだけではなく、声優としての活動もしたいというお話もさせていただきました。
結果、オーディションでは特別賞を受賞することができて、SMAに所属することが決まったのですが、そのとき「声優としての所属です」と言っていただいて。すごくうれしかったのですが、同時に複雑な気持ちにもなりました。覚悟を決めて歌手として応募したつもりが、変な葛藤が生まれてしまったことを今でも覚えています。
──そこから音楽活動にどのように辿り着いたのですか?
声優のお仕事と並行してボイストレーニングにも通うようになり、そこで出会った先生が、私のライブのバンマスも務めていただいている音楽プロデューサーの多田三洋(ただみつひろ)さんです。
多田さんは、定期的にご自身のアコースティックライブを開催されているんですが、そのライブにゲストとして呼んでいただき、歌わせていただくようになりました。学生時代は友達の前でのパフォーマンスでしたが、そのライブのお客さんは私を知らない方たちばかり。そういったなかで自分の歌を通じてメッセージを伝える難しさを感じましたが、それ以上に人前で歌う楽しさを再発見しました。
それから改めて歌いたいという気持ちがより強くなり、自分で詞や曲を書いてみたいという気持ちも生まれました。
──作詞・作曲は、最初からスムーズにできたのでしょうか?
一歩踏み出すまでに時間がかかりましたが、そこからはスムーズだったと思います。お仕事を始めるまでは、一曲通しで作詞・作曲をしたことがなかったので、どうやって曲を作ったらいいのか最初はわかりませんでした。そんな私に多田さんが、「どんどん作ってみましょう!」と背中を押してくださって。それからすぐ、それを言ってくださったその日中には、今回のEPにも収録されている「眺めの空」(2019年12月に公式YouTubeで発表)が完成しました。
きっと最初だからということもあると思うんですが、特に何も気にせず、自分が書きたいことを歌詞にして、メロディを作ることができたんだと思います。
──楠木さんはどういうスタイルで作詞・作曲をされるんですか?
私には、例えば道を歩いていたら急にメロディが降ってきたみたいな経験はあまりなくて、「曲を作るぞ!」って決めて、その時間をしっかりと取って歌詞と曲を作ります。作るときは、基本的には全部スマホですね。歌詞もスマホに書き留めますし、メロディも鼻歌をボイスメモで録りながら作っていきます。
部屋では寝転がりながら書くことが多いんですが、身近に五感を刺激してくれるものを置いておくのがポイントです。例えば、自分の好きな写真家さんやイラストレーターさんの作品を見たり、あとは、ベランダに出て外の空気を吸ったり、何かを食べながら書いたりもします。
時間帯的には、夜から朝にかけてが多いかもしれないです。夜に書き始めたほうが、歌詞とメロディが浮かびやすいんですよね。気がつくと朝になっていることも多いので、曲を作るのは休みの前の日にするのが多いかもしれないです。
──表題曲「ハミダシモノ」は、楠木さんが声優としてヒロインのミーシャ・ネクロン役で出演するTVアニメ『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』のエンディングテーマですね。
メジャーデビュー曲がアニメのエンディングテーマになるということで、プレッシャーが大きかったですね。
それと今まで作ってきた曲は、自分が思っていること、感じていることをそのまま曲にぶつけていましたが、今回はまず作品があり、そこで描かれていることと自分の思いを良い形でミックスして歌詞に落とし込み、曲にしなければいけなかったので難しかったです。
また、今まではすべて詞を先に作っていたんですが、この曲は先にデモをいただいて、それに合わせて歌詞を書きました。曲に合わせて作詞するのが初めてだったので、そういったいつもと違う環境による気持ちの変化は、かなり大きくありました。そこは、今回のタイミングで自分に変化があった部分だと感じています。
「ハミダシモノ」
──先に曲がある状態での作詞は、実際にはいかがでしたか?
作詞を先行させていた理由は、そのほうが文字数に左右されることなく書けたからなんですが、曲ありきで作詞をすると、次にどんな言葉を持ってこようか迷ったとき、文字数の制限やメロディの運びによって、自分のなかにある大量の言葉が自然と絞られるという発見がありました。そういった意味では、歌詞を先に作るときとは違った書きやすさがありました。
歌詞の内容としては、今までは自分が普段の生活のなかで疑問に感じたことなどを歌詞にしていたんですが、今回はアニメのエンディングテーマということで、作品の世界観についても深く考えるようにしました。その結果、自分の心が豊かになって、今までとは違う何かに触れている感覚があって、すごく楽しかったです。
──作品のテーマ曲だと、歌うことそのものへのアプローチの仕方も変わってきますか?
歌い手としての芯の部分ではもちろんブレたくないという思いがあります。ただ、そういう気持ちを持ちながらも、エンディングテーマとして作品の世界観を表現して物語を彩るものなので、キャラクターをイメージしたり、いつもとは歌い方のニュアンスを変化させたり、作品を中心に考えることが多かったです。
──EP「ハミダシモノ」には、ご自身で作詞・作曲をして、インディーズ時代に発表した3曲も収録されています。
「眺めの空」、「ロマンロン」、「僕の見る世界、君の見る世界」ですね。3曲とも全部10代のころに作詞した曲です。やはり自分の考え方は、歳を重ね、さまざまな経験をすることで変わってくる部分があるので、最初に作詞した「眺めの空」なんかは、今の私と一番距離があるかもしれません。
それと、初めて作詞作曲したときはまだ自分の考えや思ったことを直接歌詞にするのが恥ずかしくて、空想の物語を書いていたんです。「眺めの空」がまさしくそうなので、聴いていただけると、その当時の私がどんな物語を考えていたのか感じ取っていただくことができると思います。
「眺めの空」
「ロマンロン」
「僕の見る世界、君の見る世界」
──今回のEPでは、どんな表現ができたと感じていますか?
メッセージ性が一貫しているというか、誰かを肯定したいという気持ちがすごく強い曲たちが並んでいると思います。聴いてくださる方には、いろんなタイプの曲があるけれど、芯になっている部分はブレずに強くあるということを、今回の作品で感じていただけたらうれしいです。
──今作では、CDの盤面のイラストもご自身で描かれたそうですが、今後はどんな挑戦をしていきたいですか?
今回はいろいろなところに自分のこだわりを入れさせていただきました。イラストを描かせていただいただけでなく、ミュージックビデオの撮影でも、監督さんやスタッフさんと積極的にディスカッションして、カット割りや表情の作り方などにも自分の意見を取り入れていただきました。
さまざまな“表現”の方法があるので、いろんなことに挑戦していきたいと思いますし、作詞・作曲についても、自分の思いをダイレクトに伝えられる表現のひとつなので、これからも続けていきたいです。
──自分以外のアーティストとコラボレーションしたり、ほかの方に楽曲提供するといったことにも興味はありますか?
ほかのアーティストの方たちが、どんな歌い方や表現をされるのか興味がありますし、コラボという直接的な機会があったら、新たな発見が得られるのではないかと思います。それと自分の作った曲をほかの方に歌っていただくというのは、今はまだ想像もできません。ただ、将来的に自分にもっと実力がついて、もしそんなお話をいただけるのであれば、ぜひそういったことにもチャレンジしてみたいと思います。
──声優と音楽活動を並行して行なっていることで、どんな影響を感じていますか?
架空の世界のキャラクターを声で演じて伝えていく声優と、作詞や作曲をして“楠木ともり”という人間の思いを歌にのせていく音楽。ふたつの表現方法があることで、それぞれを通してどちらの自分も見つめ直すきっかけになっていますし、相乗効果があると思っています。
──最後に、今後の活動に向けた思いを教えてください。
声優と音楽活動、どちらも私の本業だと考えていますし、両方に100%の力を注いでいきたいと思っています。その上で、改めて挑戦することになった音楽アーティストとしては、自分の考えをしっかりと昇華させて、より真摯に音楽と向き合うことで、皆さんに寄り添えるような楽曲を作っていきたいと考えています。まだまだこれからですが、いろいろなことに挑戦してみたいです。
今はライブを行なうこともなかなか難しいですが、必ずいつかファンの皆さんにお会いしたいなと思っていますし、その日が一日でも早く来ることを願っています。
文・取材:大久保和則
楠木ともり Official Website
https://www.kusunokitomori.com/
Sony Music Artists 楠木ともり
https://www.sma.co.jp/s/sma/artist/441
楠木ともり メンバーズサイト「TOMOROOM」
https://smavoice.jp/s/sma03/artist/45
楠木ともり 公式info Twitter
https://twitter.com/tomori_kusunoki
楠木ともり Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCYU-61cZHXE0P48ZCxvs4cQ
楠木ともり The Music Reverie
http://www.joqr.co.jp/programs/detail/tomori.php
2024.09.30
2024.09.25
2024.09.15
2024.09.12
2024.09.09
2024.08.28
ソニーミュージック公式SNSをフォローして
Cocotameの最新情報をチェック!